カンピロバクター食中毒は人からうつる?予防法や潜伏期間について

細菌性食中毒の中で、最も多いのがこの『カンピロバクター』です。
この記事では、カンピロバクター食中毒の感染経路や潜伏期間、子どもがかかったら、学校はどうするかについて解説します。
カンピロバクターが引き起こす食中毒
1.カンピロバクター菌とは?
『カンピロバクター』は、牛や豚、鶏、犬、猫などに感染する細菌です。
乾燥や高温に弱いですが、反対に低温には強いです。そのため、食材を冷蔵庫に保存しても、カンピロバクター菌を死滅させることはできません。
2.カンピロバクター食中毒について
先に解説した、カンピロバクターを含んだ肉を食べたり、菌に汚染された食品を食べたりすることで、食中毒にかかります。
カンピロバクター食中毒は、少しの菌でも発症するリスクが高く、潜伏期間が比較的長いことが特徴です。
3.特に5月~10月は感染に注意!
カンピロバクター食中毒の約6割が5月~10月に発生しています。湿気が多く暑い時期は、特に注意する必要があります。
4.カンピロバクターの症状について
カンピロバクターにかかると、『下痢』や『嘔吐』、『腹痛』、『発熱』、『悪寒』、『倦怠感』、『血便』などの症状があらわれます。
カンピロバクターは人にうつる?感染経路や潜伏期間
1.カンピロバクターってうつるの?
人から人へうつることはほとんどない
カンピロバクターが人から人へとうつることはほとんどありません。
カンピロバクターの感染力は強いですが、乾燥に弱いのが特徴です。そのため空気中で長時間生存することができず、空気感染についても、あまり心配する必要はありません。
ただし、便を介してうつることがある!
ただし、カンピロバクターに感染している人の便に触れ、手洗いが十分でないまま食品に触れると、食品が汚染され、感染することがあります。
看病するさい、便を触れるときは必ず手袋を
カンピロバクターにかかった人を看病するさいは、便は直接触らないように、手袋などをつけましょう。
2.カンピロバクターの感染経路
カンピロバクターは、生肉や、カンピロバクターに汚染された食品を食べることで感染します。
また、カンピロバクターは、犬の腸管にも存在します。人からの感染と同様に、ペットのフンを触ったり、直接口が触れ合ったりしてうつることがあります。
3.カンピロバクターの潜伏期間について
カンピロバクターの潜伏期間は1日~7日前後です。潜伏期間の間も、先に解説したように便を介して他の人にうつることがあります。
発症すると、症状は約1週間続きます。
4.子どもにかかったら…出席停止になる?
カンピロバクターの場合、かかったからといってただちに出席停止にはなりません。
下痢や発熱などの症状が軽減すれば、登校しても問題ないでしょう。しかし、菌はしばらく体の中にいるので、排便後きちんと手洗いをするようにしてください。1ヶ月~数ヶ月の間は、症状が治まっても体の中に菌がいます。
かかってしまった場合は、念のため医師や学校の先生に相談すると良いですね。
カンピロバクター食中毒の予防法
1.食品の保管や調理について
カンピロバクターを予防するために、次のことに気をつけましょう。
生肉を取り扱ったら、手や調理器具をしっかり洗う
生肉と調理済みの食材を近くに置かない
肉はしっかりと加熱する(75℃で1分以上)
調理済みの食材は、直接手を触れず、菜箸やトングなどを使って盛り付ける
生肉を冷蔵庫に入れるさいは、蓋のついたタッパーに入れるか、ラップをかける
お湯は一度沸騰したものを飲むようにする
カンピロバクターの予防には、しっかりと加熱をすることや、ほかの食材にカンピロバクター菌をうつさないことが大切です。
また、冷凍保存しても、そもそもカンピロバクター菌が付着していたら意味がありません。しかし、それ以上の繁殖を防ぐ方法として、冷蔵または冷凍保存することは有効です。
2.手洗いうがいをしっかり!
普段から、手洗いうがいをしっかりして、衛生的に保つことが大切です。また、規則正しい生活を心がけ、免疫力の低下を防ぎましょう。
3.ペットなど、動物からの感染について
先に解説したように、ペットのフンが感染の原因になることがあります。
ペットに症状が出ていなくても、腸内にカンピロバクターを保菌している可能性があります。ペットに触れたら、手を洗うことをおすすめします。
まとめ
カンピロバクターは、人から人へうつることは少ないです。
しかし、免疫力が低下していると、排泄物を介してうつってしまうことがあります。普段から規則正しい生活を心がけ、免疫力を落とさないようにしましょう。
また、カンピロバクターによる食中毒は、調理のさいに十分な加熱と、二次汚染の防止を徹底することで防ぐことができます。特に肉を調理するさいは、この2点に気をつけ、カンピロバクター食中毒を防ぎましょう。
執筆・監修ドクター

経歴2006年 北里大学大学院卒、
2008年 平塚共済病院内科医長を経て小田原銀座クリニックに入職、その後院長に就任。
2013年 12月には当院久野銀座クリニックを開業
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