- 目次
膀胱タンポナーデとは
膀胱タンポナーデ(ぼうこうたんぽなーで)とは、何らかの理由で、膀胱から尿道の下部尿路を閉塞が起こる事で発症する状態を示します。
膀胱が出血によって起こった凝血塊などで尿路を閉塞し、尿でパンパンに張った状態(緊満状態)となります。
尿で膀胱が張った状態になるため疼痛のほか、状況によっては血圧低下やショック状態に陥る場合があります。
また出血などが主な原因であるために、貧血をきたすこともあるので、泌尿器科の緊急疾患の1つと言えます。
膀胱タンポナーデの症状
膀胱タンポナーデは、次のような症状が現れます。
- 膀胱緊満による下腹部の張り
- 圧痛
- 強い尿意
- 頻尿
- 排尿困難
- 多量の残尿
- 溢流性尿失禁
- 出血が原因の貧血、血圧低下、ショック状態
膀胱壁の損傷が原因であれば、膀胱壁の腫れの程度が酷くなるため膀胱内が狭くなり、症状は重くなります。
膀胱タンポナーデの診療科目・検査方法
膀胱タンポナーデは超音波検査にて、尿路内、膀胱内の状態を観察し、溜まっている尿の量、凝血塊の量などを推測します。
凝血塊産生の原因となっている疾患が何かを調べます。また尿細胞診や尿培養などで原因検索を行います。
排尿ができない状態となっているところに自動的に腎臓から新しい尿が膀胱に送られるため、時間と共に膀胱が緊満してきて、症状が悪化します。
対応が遅れれば遅れるほど苦痛は増していきますので、緊急な対応が必要です。
泌尿器科を受診してください。
膀胱タンポナーデの原因
膀胱タンポナーデは、出血が最も多い原因です。出血は膀胱にある腫瘍が原因になる場合のほか、膀胱炎などからも出血を起こすことがあります。
ほかにも、手術などの理由による尿路の損傷、腎臓の血管の異常といった、尿路に関する多くの疾患が原因となり、膀胱内に多量の血の塊(凝血塊)が蓄積することで、尿路を閉塞して排尿が困難となります。
女性は細菌性膀胱炎、男性では、手術のような医療処置が原因での発症があります。
また、薬剤(抗凝固剤、抗精神病薬、抗コリン薬など)服用による排尿障害や、残尿量の増加、膀胱内に留置された尿道カテーテルが原因となる症例も、増えてきています。
膀胱タンポナーデの予防・治療方法・治療期間
膀胱タンポナーデの治療方法は、膀胱洗浄と原因となる疾患の治療の2段階で行います。
膀胱洗浄
膀胱内を生理的食塩水で洗浄し、排尿の妨げとなっている凝血塊を除去します。
原因疾患の治療
凝血塊産生の原因となる出血を伴う疾患を治療し、出血、凝血塊産生を止めます。
治療後、継続して軽度の出血がみられていても、膀胱壁の収縮により、自然に止血することもあります。
しかし、動脈性の出血が止まらない場合など、必要な時には、手術などにより出血部の止血をします。
治療期間
男性が発症した場合、定期的な膀胱内洗浄の必要性が高く、女性よりも、治療期間が長くなる可能性があります。
また、凝血塊産生の原因の根本治療には、原因となった疾患の病状に見合った治療期間が、必要となります。
膀胱タンポナーデの治療経過(合併症・後遺症)
膀胱タンポナーデは膀胱内の凝血塊を取り除くことで、排尿ができ苦痛が取れることが多いです。
しかし、治療の刺激による出血の誘発による再閉塞や、中途半端な除去による凝血塊の残留が原因による再閉塞の恐れがあります。
たとえ、一度治癒したとしても、再び尿路に異常が生じ、凝血塊が膀胱内に蓄積されれば、再発します。
膀胱タンポナーデになりやすい年齢や性別
膀胱タンポナーデは、日常生活に最低限必要な動作(日常生活動作:ADL)のレベルが低い、高齢者に発症するケースが多いです。
これは、膀胱、膀胱を支配する神経、排尿コントロール機能などが衰えてくるためです。
男性よりも膀胱炎になりやすい女性の方が、罹患しやすい傾向にあります。
発症しやすい高齢者の人数が増えているため、罹患者は増加傾向にあります。
執筆・監修ドクター
経歴1998年 埼玉医科大学 卒業
1998年 福岡大学病院 臨床研修
2000年 福岡大学病院 呼吸器科入局
2012年 荒牧内科開業
関連する病気
膀胱タンポナーデ以外の病気に関する情報を探したい方はこちら。
関連カテゴリ
膀胱タンポナーデに関連するカテゴリはこちら。