水腎症とは
水腎症(すいじんしょう)とは、腎臓で作られた尿が、何らかの原因で尿管などが詰まってしまい、腎臓にたまっている状態のことを指します。
尿は腎臓で作られて、尿管を通り、膀胱に流れて尿道から体の外に出されます。尿の通り道が塞がれる、あるいは狭くなると、尿がスムーズに流れません。その結果、閉塞している部分より上にある腎臓などが大きく膨らんでしまいます。この状況が続くと、腎臓から膀胱に尿を運ぶ運動がうまく働かなくなります。そして、腎臓の機能が落ちてしまうことがあります。
一般的には、片方の腎臓が水腎症になることが多いですが、両方なることもあります。
水腎症の症状
水腎症は、以下の症状で気がつくことが多いといわれていますが、症状がでないこともあります。
- 腹痛
- 吐き気、嘔吐
- 脇腹の痛み
- お腹にしこりがある
- 高熱
腎臓や尿管が大きくなるために、症状が起こります。
また、尿が体の中にたまっているため、細菌感染を起こすことがあります。
進行がゆっくりしているタイプの水腎症では、症状がないことがあり検診などで偶然発見されることが多いといわれています。
水腎症の診療科目・検査方法
水腎症は、以下の検査をおこないます。
超音波検査
水腎症にはⅠ度~Ⅳ度まであり、評価をします。
閉塞している部分を特定するのは難しいですが、小児や妊婦でもできる検査です。
CT検査
超音波検査よりも精度が高い方法です。
結石があるかどうかを確認するのに向いています。
尿路造影
レントゲン検査にて造影剤を使って尿路などを検査します。
症状がある場合、泌尿器科などがある病院を受診しましょう。
水腎症の原因
水腎症は、先天性と後天性で原因が異なります。
先天性の場合
子どもの場合、先天性が多いといわれています。
本疾患の原因の約70~80%が、先天性といわれています。
遺伝も関係していると考えられています。
後天性の場合
腎臓、尿管などに結石や腫瘍ができて、尿の流れがせき止められます。
その他、尿管のポリープや血栓、抗コリン作用がある薬なども本疾患を悪化させる原因です。
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水腎症の予防・治療方法・治療期間
水腎症の治療は、腎臓の機能低下の有無で治療方法が異なります。
腎臓の機能が低下していない場合は、経過観察を中心に、尿の流れがせき止められている原因がある場合には治療します。
また、腎臓の機能が低下している場合は、手術をする必要があります。閉塞している部分を取り除き、腎盂と尿管をつなぐ手術をします。
手術は開腹することもありますが、腹腔鏡を使っておこなうこともあります。
治療期間は個人差がありますが、再発することも多い疾患です。
水腎症の治療経過(合併症・後遺症)
水腎症の治療後、腎機能に問題がなければ、通常通りの生活を送ることができます。
ただし、治療後も超音波検査などで経過を観察します。
尿の流れがスムーズにおこなわれない時間が長いほど、腎臓にダメージを与えるため、早期の診断と治療が大切です。
予後は、適した治療をおこなえば良好と考えられます。稀ですが、手術後にも尿路感染症や尿路結石を起こす人がいます。
また、数%の人で手術して数年経ってから再発することもあるといわれています。
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水腎症になりやすい年齢や性別
水腎症の罹患者数は不明です。
胎児期に発見されるのは、1,000~2,000人に1人と報告されています。出生前におこなう超音波検査で発見されることも多いようです。
子どもの場合は女児よりも男児に多く、2~4倍といわれています。成人期の場合は、女性が男性の約2倍であるといわれています。
また、加齢とともに前立腺は肥大すると、尿の流れがせき止められるリスクが高くなります。そのため、60歳以上の男性も注意が必要です。
執筆・監修ドクター
経歴2006年 北里大学大学院卒、
2008年 平塚共済病院内科医長を経て小田原銀座クリニックに入職、その後院長に就任。
2013年 12月には当院久野銀座クリニックを開業
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