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小頭症

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目次
  1. 概要
  2. 症状
  3. 診療科目・検査
  4. 原因
  5. 治療方法と治療期間
  6. 治療の展望と予後
  7. 発症しやすい年代と性差

概要

小頭症とは?

小頭症とは、子どもがWHOの基準値よりも頭が小さい状態で生まれてくる病気です。また、生まれてきてから頭部が成長せず、大きくならない場合も小頭症に含まれます。
小頭症(しょうとうしょう)は、「ウイルスや細菌などの影響で頭が小さくなる先天異常」です。

そのほか、ヒ素・重金属などの毒物、放射線の影響でも小頭症になり得るとされています。しかし原因についてははっきりとわかっていません。

近年、「ジカウイルスが小頭症を引き起こす」というニュースが話題になりました。
感染症への予防が小頭症を防ぐ第一歩です。疑わしい場合は感染症内科を受診するか、妊娠中は産婦人科で相談しましょう。

症状

症状の重症度は様々です。

小頭症で生まれた赤ちゃんはけいれんを起こすことがあり、成長につれて身体障害や学習障害をきたすこともあります。

先天性の小頭症の場合、細菌やウイルス、その他の影響で、胎内にいるときに頭蓋骨が小さくつくられます。これに伴って、脳の容積も小さくなり、中枢神経に障害が出る可能性があります。そのため、知能や運動機能の発達が遅れるなどの症状が出ます。

一方、後天性は、出生後に頭が小さいまま成長しません。しかし、それ以外に大きな症状は出ず、身体は元気に成長することができます。

※小頭症と挟頭症(きょうとうしょう)とは異なります。狭頭症は胎内で胎児の頭が形成されるときに早期に縫合(ほうごう:縫い合わせること、ここでは骨と骨がかみ合うこと)することで、頭部が小さくなってしまう症状です。頭部が小さくなるだけでなく、変形が激しいのが特徴です。

診療科目・検査

感染症の疑いがあるなら感染症科、産婦人科でも可

小頭症は胎児がなる病気です。そして、感染症が原因となる病気のため、妊婦さん自身が身体の不調を感じ、感染症の疑いがある場合は感染症科を受診しましょう。

小頭症自体は、産婦人科で胎児の状態を診てもらわなければ分かりません。そのため産婦人科を受診する必要があります。

検査は胎児期の超音波検査や出生後の頭位計測を行います。胎児が先天性の小頭症を患って生まれてくるか、後天性でのちに発症するかを特定する検査方法はありません。しかし、先天性の小頭症かどうかを検査することは可能です。

妊娠第三期(後期)に超音波(エコー)による画像スキャンをすることで、胎児の頭部の大きさを確認することができます。

原因

母体の感染症(サイトメガロウイルスやジカウイルスなど)や母体のアルコールや喫煙、放射線曝露などが知られているが、原因不明であることも多いです。

小頭症が発症する原因は主に母親が妊娠中に感染症にかかる場合です。しかし、その感染症によってどのような作用が起こり、小頭症が発症するのかはほとんどが不明です。

小頭症を発症する可能性がある主な原因は、下記の通りです。ジカウイルス以外は、日本国内でも発症が考えられます。

原爆小頭症

小頭症は母体が放射線を浴びることでも起こります。第二次世界大戦後、原爆で被爆した母親から生まれた子どものなかに、小頭症の症状のように頭が小さい子どもが生まれていいます。こういった患者さんは「原爆小頭症患者」と呼ばれ、当初は母親の妊娠中の栄養失調が原因であるとされていましたが、1967年、国が被ばくによるものと認めました。

ジカウイルス感染症

2017年4月13日に米疾病管理予防センター(CDC)によって、ジカウイルス感染が小頭症やその他胎児に対する症状を引き起こすと発表された。小頭症の原因として有力なものです。

ジカウイルスを持つ蚊が感染源とされています。アフリカや南米で流行したことがあり、日本には旅行客が感染した事例があります。日本にウイルスは存在していないため、国内で一般的な生活をしていれば感染することはほとんどありません。

また、発症すると軽度の発熱や頭痛、関節痛、下痢、嘔吐を起こすものの、症状が軽すぎるため気づかないことが多いです。

ジカウイルス感染症に伴う小頭症は、妊娠中の母親がジカウイルスに感染することで発症します。

トキソプラズマ症

トキソプラズマという寄生性原生生物(きせいせいげんせいせいぶつ)による感染症です。ほぼ、すべての哺乳類に感染する能力があり、人間にも世界の人口の3分1が感染していると言われています。

感染ルートは加熱の不十分な食肉を食べること、またはネコの糞便に含まれるオーシスト(細菌の成長ステージの一つで、膜や殻を形成した状態)が土や水に混ざることで経口(けいこう:口に入って)的に感染します。空気感染、経皮感染はしません。

健全な人が感染しても、基本的に何も症状は起こらない。軽い発熱や倦怠感、リンパ節の腫れが生じる程度です。

妊娠中の人が感染すると胎盤を通してトキソプラズマが胎児に感染します。胎児が感染することで、小頭症や神経障害を引き起こすことがあり、感染が妊娠初期であればあるほど、重症になることが多いです。

先天性風疹症候群

風疹は近年では大流行とはならないものの、かつては局地的に流行していた感染症である。

2011年ごろから海外旅行をした人が感染し、国内に輸入する例が増えています。2012年が2386例、2013年が14344例と急速に増えていたのに対し、2014、15年の発症例はそれぞれ319例、162例と落ち着きつつあります。しかし、注意が必要な感染症であることは変わりはありません。

妊娠初期の女性が風疹にかかると、胎内の胎児にも感染することがあります。主な症状としては先天性心疾患(せんてんせいしんしっかん:生まれつき心臓に穴が開いていたり、血流が悪かったりする症状)、難聴、白内障の3大疾患があります。

その他、発育遅滞、小頭症、糖尿病といった症状が起こる場合もあります。

風疹は日本国内で予防接種を2回受けることができ、95%予防することが可能です。妊娠してからは受けることができないため、早めに予防接種を受けておきましょう。

先天性ヘルペス症候群

母体がヘルペスウイルスに感染することで、胎児に感染することがあります。日本では1万2千~1万4千人に1人の確率で発症するといわれています。母胎は無症状のことが多いものの、感染した子どもは出生から1週間後ほどでさまざまな症状が現れます。

先天性ヘルペス症候群は症状が3つの型に分けられます。このうち、中枢神経型の治療をおこなっても後遺症が残る場合があり、そのなかに小頭症が含まれます。

全身型

最も多く現れるのが全身型のヘルペス症候群です。発熱、活気や哺乳力(ほにゅうりょく:乳を吸うちから)の低下、呼吸障害といった症状が出ます。

中枢神経型

中枢神経に障害が起き、けいれん発作や呼吸障害(神経的なもの )、頭部MRI異常がみられます。

表在型(局在型)

口や皮膚といった部分に病変が局在(きょくざい:その部分にだけ存在する、現れること)します。

梅毒

梅毒トレポネーマという細菌に感染することで起こる性病です。感染者と性行為をおこなうことで感染する病気です。感染した女性が妊娠すると胎児にも感染し、生後数ヶ月で梅毒特有の発疹や、骨軟骨炎(こつなんこつえん:軟骨部分で起こる炎症)が起こります。学童期(6歳~12歳)にはハッチンソン3徴候がみられます。

ハッチンソン3徴候とは、実質性角膜炎、内耳性難聴、ハッチンソン歯(永久上切歯の下縁が半月状に凹陥したもの)の、3つの症状を指します。

サイトメガロウイルス

このウイルスは主に乳幼児の時期に多くの人が感染します。サイトメガロウイルスはヘルペスの一種で、人以外には感染しない病原菌です。ほとんどの成人はすでに感染しており、免疫をもっています。しかし、妊娠するまで感染しておらず、妊娠後に初めて感染したり、免疫力が低下していてウイルスが活性化することで、胎児に感染してしまう恐れがある病気です。

症状は、小頭症、低出生体重、黄疸(おうだん)、出血斑(出血をともなうあざ)、肝脾腫(かんひしゅ) 、脳内石灰化、肝機能異常、血小板減少、難聴、脈絡網膜炎(みゃくらくもうまくえん)など多彩で、時に重篤になることが多いです。

黄疸:黄色いあざのようなもの
肝脾腫:肝臓や脾臓が腫れてしまうこと
脈絡網膜炎:眼の脈絡と網膜に起こる炎症のこと

HIV(ヒト免疫不全ウイルス)

人の免疫細胞に感染するウイルスで、最終的に後天性免疫不全症候群(こうてんせいめんえきふぜんしょうこうぐん:AIDS)を引き起こします。

HIVの感染経路はウイルスを持っている人との性行為や、血液感染が挙げられます。妊婦がHIVに感染していると、胎児への母子感染も考えられます。

HIVによる小頭症は、この母子感染による症状です。

その他原因とされるもの

感染症の影響以外で考えられる小頭症の原因は以下のようなものが挙げられています。

・ヒ素、水銀といった重金属、アルコール、放射線、喫煙への曝露(ばくろ:この場合、妊婦が触れる、体内に入れること)
・遺伝的異常
・胎児の重度栄養失調

治療方法と治療期間

妊娠している女性が発症した感染症自体を治療する術はあるが、小頭症自体に対する有効な治療法はまだありません。

母親が感染症を発症したからといって、100%小頭症の子どもが生まれてくるわけではない。また、小頭症と診断されて生まれた子どもが、問題なく成長することもあります。しかし、どの程度の確率で小頭症の子どもが生まれてくるか、小頭症の子どもが成長したとしても頭が一般的な大きさになるかについては、確証はありません。

小頭症に発達障害を合併している場合は、根気よく発達プログラムをこなしていくことが必要です。

小頭症の子どもを持つ親は精神的にも体力的にも負担が大きくなりがちになります。両親に対してもカウンセリングをしてメンタルケアをしたり、子育てを協力しておこなったりすることで、精神的にも体力的にも負担を分散することが重要です。

小頭症はいまだ原因が分かりません。感染症が関係していることは判明しつつありますが、どのような機序(きじょ:症状や作用のしくみ)で発症するのかは不明です。そのため、関係があるといわれている感染症を予防することが必要となってきます。

小頭症はジカウイルス感染症の関係性が高いとされています。そのため、妊婦がジカウイルス対策をすることがせめてもの予防になる方法です。日本国内にはウイルス持ちの蚊はいないので、海外旅行に行く際に気をつけましょう。

予防方法は以下の通りです。

・蚊がいそうな水辺、草木が生えている場所に近寄らない
・長袖、長ズボンで肌の露出を抑える
・防虫スプレー、蚊取り線香で蚊が近寄らないような対策をする
・寝るときは蚊帳を使って蚊に刺されるのを防ぐ

トキソプラズマ症候群の予防

小頭症の原因の一つとされるトキソプラズマ症は、トキソプラズマに感染している食肉を食べることで感染する。

予防法として、十分な加熱(71℃以上:中心が67℃以上になるまで)をしてから食べるようにする。調理した器具からも感染しかねないので、熱湯消毒や洗剤で清潔にする。
また、イヌやネコのフンから土壌に感染していることも考えられる。土を触ったら手洗いを徹底し、生の野菜や果物は入念に洗ってから食べる。

先天性風疹症候群の予防

妊娠中にはワクチンを接種することはできまないので、妊娠前に接種しておきましょう。すでに妊娠している場合はなるべく外出しないことでも対策になります。風疹は、2回の予防接種を受けることで95%の人が予防できるといわれています。これは、ワクチンを2回受けることで免疫がより強くなるためです。

ワクチン(麻しん含有ワクチン)はニワトリの胚細胞を使用しており、アレルギー反応はないとされています。しかし、重度のアレルギーを持つ場合はアナフィラキシーが起こる可能性もあるので、医師と相談しましょう。

梅毒、HIVの予防

梅毒とHIVはともに性病です。予防としては性行為による感染を防ぐためにコンドームを使用する方法があります。

また、感染が分かっているパートナーとの性行為は、治療が終わるまで控えることも予防になります。

サイトメガロウイルスの予防

サイトメガロウイルスは多くの人が乳幼児の時期に感染し、免疫を持っています。そのため、乳幼児に接する機会が多いとサイトメガロウイルスと接することも増えます。未感染の疑いがある妊婦さんは、なるべく乳幼児との接触を避けましょう。

人体に悪影響を与えるものに触れない、体内に入れない

ヒ素や水銀、放射線は毒性をもつ化学物質です。また、アルコールやタバコも人体に少なからず悪い影響を与えます。どういった機序で小頭症が起こるかは不明ですが、妊娠中はこれらとの接触、飲酒喫煙は控えましょう。

治療の展望と予後

有効な治療法はありません。また小頭症の子どもは知的発達に遅れが生じるため、歳相応の知識や一般常識が身につきにくくなります。また、神経の異常も起こる場合があり、身体を上手く動かせなくなることもあります。そのため、普段の生活が一般の人より送りにくくなる恐れも出てきます。

一方で一部の子どもは、頭部が小さいままではあるものの、発達遅滞や神経異常などが起こらず、正常に成長します。

小頭症になる子どもは、その発症の違いで寿命が大きく変わるといわれています。先天性の場合は、生まれて間もなく亡くなる子が多い傾向にあります。

後天性の小頭症を発症した子どもは、頭部が成長しないことと中枢神経の障害が出ることもありますが、リハビリをおこないながら元気に過ごすことができます。

神経障害を合併する可能性

小頭症は、中枢神経に障害をきたす可能性が高いです。神経障害を合併すると発達障害を引き起こし、知能の発達が遅れたり、身体をうまく動かせなくなったりする可能性があります。

 

発症しやすい年代と性差

小頭症の発症率は、定義と対象人口が一致していないデータが多いため、一概にして述べることはできません。

しかし、感染症のなかでもジカウイルス症候群(ジカ熱)によって、小頭症が起こる可能性が高いとされています。

2015年~16年のブラジルにおける調査(※)では、2015年10月22日から2016年4月16日までに、小頭症および中枢神経系奇形(ちゅうすうしんけいけいきけい:脳や脊髄が正常な形でつくられないこと)の症状が7,150例報告されました。

このうち、1,168例で先天性の感染症(ジカウイルスと思われる)に感染していたことが示唆されています。2001年から2014年にかけての症例が163例であったのに対して、大幅な増加となっています。ジカ熱患者の増加に伴い小頭症の発症数も増えていることから、小頭症の発症起因と考えられています。

そのほかにも、母胎を通して胎児に感染する病気によって小頭症を発症する恐れがあります。
※小頭症および/または中枢神経系奇形はブラジル全土で確認されています。しかし、報告数の増加は北東地域に集中しています。

妊娠している女性がジカ熱や梅毒などの感染症を発症したからといって、生まれてくる子どもが100%小頭症を患うかというと、そうではありません。多くの場合、ジカ熱や梅毒に感染した母親からも健康な赤ちゃんが生まれてきます。小頭症の赤ちゃんは数千人に1人の割合で生まれてくるため、非常に稀といえます。

しかし、小頭症の原因と考えられている感染症にかかると、(少なくともかかっていない人と比べて)小頭症の子どもが生まれやすくなることは知っておく必要があります。

発症のメカニズムがわかっていないことや、研究が進められている最中であることが理由で、どの程度小頭症の心配をしたらいいかを明言することはできません。しかし、妊娠中に胎児に影響のある行動は避けた方がよいでしょう。

とくに妊娠中のジカ熱流行地域への旅行や、過度な喫煙などは控えた方が良いです。

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