ジストニアとは
ジストニアは持続的で自分では制御できない筋肉の収縮がおこる病気です。全身におこる場合や、身体の限られた部分におこる局所性などがあり、発症部位はさまざまです。
最終的には体幹、首、手首や指などの関節がねじれてしまい、異常な姿勢になることもあります。
下肢を含む体幹部に広範なジストニアが出現するものを全身性ジストニアといいます。
ピアニストや作家、漫画家、大工、歯科医師など職業に特徴的な反復性関節運動があることによって発症するものは職業性ジストニアとよばれます。
長期的に抗精神病薬を服用していると出現する遅発性ジストニア、首が後ろに反り返ったり横にねじれたりした姿勢や、状態が反復する頚部ジストニアなどいくつかの分類があります。
ジストニアの症状
ジストニアは自らの意思とは関係なく自分では制御できない不随意運動がおこります。これによって、本来おこないたい運動が妨げられます。
ジストニアが生じた部位は筋肉が収縮するため、その部位にゆがみが生じます。
身体の一部分に症状があらわれるものや、複数あらわれるもの、全身にあらわれるものもあります。
最初のこわばりは定期的におこるか、ストレスを感じた時におこることが多く、数日~数年かけて少しずつ頻度が高くなっていきます。そして次第に安静時にも続くようになります。
最終的には患部がよじれたままになるため、重度の身体障害が残ることもあります。
ジストニアの診療科目・検査方法
ジストニアの原因
ジストニアは遺伝子の突然変異、反復する関節運動、薬剤などが原因にあるとされています。
身体の随意運動にかかわる大脳基底核、知覚や運動機能を統合している小脳、記憶や感覚などをコントロールしている大脳皮質などの脳の活動が過剰になると、意思にかかわらず筋肉が収縮すると考えられています。
脳性まひなどの病気や一部の薬剤が原因となっているものを二次性ジストニアといいます。二次性ジストニアは吐き気や精神病の治療に用いられる薬剤によっておこることが多くあります。
薬剤によって引きおこされる症状が変わります。
例えば、まぶたが閉じる、首がねじれる、背中がねじれる、足や腕がねじれる、舌を突き出す、しかめ面になるなどです。
ジストニアの予防・治療方法・治療期間
ジストニアの原因が判明すれば、その原因を取りのぞくことでけいれんは軽減します。
原因がわからない局所性ジストニアの場合は、神経伝達阻害作用がある薬剤として抗コリン薬やボツリヌス毒素などが使用されます。
これらの薬剤はけいれんの原因になる神経から送られる特定の信号を遮断することによってけいれんを減らすことを目的としています。
しかし、効果は限定的で改善に乏しい場合もあります。
大脳基底核を構成する視床の一部を凝固させる放射線治療や、超音波集積治療なども注目されています。
全身性ジストニアや薬剤性ジストニアの場合には、大脳基底核の一部である淡蒼球(たんそうきゅう)への深部刺激療法や熱凝固療法が効果的とされています。
ジストニアの治療経過(合併症・後遺症)
ジストニアの治療の経過や予後は、ジストニアの種類や患者さんごとの症状によって変わります。
遺伝性ジストニアは厚生労働省より難病に指定されています。原因となる遺伝子は判明していても、なぜ遺伝性ジストニアを生じるのかは、まだ明らかにはなっていません。
病気の遺伝子を持っていても病気にならないこともあり、詳しい原因や成り立ちもよくわかっていません。
しかし、治療を早期におこなうことで、重度の身体障害へ進行することを防ぐことができるようになりました。
ジストニアになりやすい年齢や性別
遺伝性ジストニアの患者さんは日本に500人程度いると推定されています。
身体の一部または複数部位におこる局所性ジストニアは30代に始まることが多くありますが、もっと若い年齢で発生することもあります。
執筆・監修ドクター
経歴2007年 近畿大学医学部卒業
2009年 近畿大学医学部救命救急センター入局
2012年 帝京大学医学部高度救命救急センター入局
2014年 帝京大学医学部脳神経外科入局
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