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てんかん

目次
  1. 概要
  2. 症状
  3. 原因
  4. 検査内容と主な診療科目
  5. 治療方法と治療期間
  6. 治療の展望と予後
  7. 発症しやすい年代と性差

概要

てんかんとは?

てんかんは神経細胞の電気信号が過剰に出ることで発作が起きる病気です。
身体のあらゆる行動はこの電気信号によってコントロールされていますが、過剰に信号が出ると正しく伝わらず、「意識がなくなる」「けいれん」などが起きたりします。
発症するのは3歳未満の子どもが多い傾向です。

子どもなら小児科、高校生以上は精神科や脳神経内科(神経内科)、脳神経外科で診てもらうことが望ましいです。
検査は脳、心理的なことについての検査をおこないます。
家族や身の回りの人に症状が出ているときの様子を動画で撮影してもらい持参すると診断に役立ちます。

人体には、たくさんの神経細胞が存在しています。そして、神経細胞は電気信号をやりとりして、情報伝達をします。

「目で見た情報」「耳で聞いた情報」「肌で感じた情報」などは、電気信号として脳に送られ、「明るい」「うるさい」「肌寒い」などと知覚されます。「指を動かす」「立ち上がる」「歩く」など、身体を動かすときも同様です。脳が筋肉に電気信号で命令を送り、筋肉がそのとおりに動きます。

ふだん意識していない行動、たとえば「まばたき」「呼吸」「心臓の拍動」なども、脳からの命令です。これらの命令もまた、電気信号で伝わっていきます。人間の身体の動きは、電気信号によって制御されているといえます。

しかし、大脳の神経細胞が過剰な電気を送るようになると、電気信号による情報伝達がうまくいかなくなります。正しい命令を送れなくなったり、きちんと情報を受け取れなくなったりします。この状態が「てんかん発作」です。

てんかん発作の代表的な症状は痙攣(けいれん)ですが、「脳のどの部分で過剰放電が起こるか」により、症状の現れ方は様々です。ただし、患者さんごとに「発作の起こる場所」は決まっているので、同じ患者さんが発作を起こした場合、(原則的には)同じ症状をきたします。

症状

種々の原因によって引き起こされる慢性の脳疾患で、けいれんやしびれ、意識障害などを起こす。
けいれん(ひきつけ)は、自分の意志とは無関係に、勝手に筋肉が強く収縮する状態のこと。
また、てんかんはけいれんの原因のひとつである。

てんかんは症状と原因で種類を分けることができる。
症状は意識障害や身体のけいれんなど多岐に渡り、その症状が起きるきっかけもさまざまである。
てんかんを患う根本的な原因は、他の病気や外傷の影響によるもの以外不明である。

てんかんの発作は、症状の特徴ごとに分類が可能である。
大きく分けて、部分発作と全般発作の2種類が存在する。

部分発作

大脳の一部で、過剰な放電が起こるものを「部分発作」に分類する。
部分発作にもいくつかの種類があり、単純部分発作、複雑部分発作、二次性全般化発作(にじせいぜんぱんかほっさ)に区分することができる。

1.単純部分発作

単純部分発作の場合、発作が起こっても意識を失うことはない。発作がはじまってから終わるまでの状況も、きちんと記憶している。
大脳神経細胞の過剰放電が起きた場所を「発作焦点」と呼びますが、発作焦点の位置に応じて、さまざまな症状が現れる。

「大脳の一次運動野(=手足を動かすなどの命令を出す)が発作焦点なら、運動症状(手足のけいれんなど)が生じる」というように、発作焦点に対応した症状が起こる。発作焦点の場所により、異なった症状が出る。

・運動症状

手足、顔面が痙攣(けいれん)するなどの症状。

・感覚症状

「手足がチクチクする」「視界がまぶしい」「変な音・におい・味がする」など、感覚異常が現れる。
広い意味での幻覚(幻視・幻聴・幻臭・幻味など)。

・自律神経症状

吐き気、発汗、頻脈(脈拍が早まる)、鳥肌などの不快感が現れる。

・精神症状

恐怖感、不安感、デジャヴ(初めての物事に既視感を覚える)などの症状。

2.複雑部分発作

複雑部分発作を起こすと、発作中の出来事を覚えていない。意識障害を起こし、発作後に健忘(=発作中の出来事を忘れる)が残る。

単純部分発作からはじまって意識障害に至る(=発作の途中までは記憶がある)症例もあり、最初から意識障害が起きる(=発作の記憶がまったく残らない)症例もある。
意識障害が起きている場合、周囲が話しかけても、患者さんは正常に返答することができない。

大脳の側頭葉、前頭葉で過剰放電が起きた場合に、複雑部分発作を起こす傾向がある。
側頭葉からはじまる複雑部分発作は、前兆として単純部分発作と同じような症状をきたすことが多くなる。
そのため、発作の途中までは記憶が残っていることもある。発作の持続時間は2~3分が一般的。

一方、前頭葉からはじまる複雑部分発作は、突然、発作を起こす傾向がある。
発作の持続時間は平均して数十秒ですが、「叫ぶ」「激しく動き回る」など発作の症状が大きくなりがちである。
そのほか、複雑部分発作に特徴的な症状としては、以下のような例がある。

自動症

意識がはっきりしない状態で、無意識に特定の動きを繰り返しす。
「服をなで回す」「舌を鳴らす」「手足を動かす」「歩き回る」など、動きの内容は多岐にわたる。特定の言葉を連呼したり、大声で叫んだりする例もある。

・意識減損動作(いしきげんそんどうさ)

「急に動きを止めて、ぼんやりしたまま何もしない」「うつむいたまま動かなくなる」といった症状。
発作が終わってからも、しばらくは意識がぼんやりして、ちぐはぐな言動をすることがある。

3.二次性全般化発作

最初は部分発作としてはじまるが、過剰放電を起こした部位が広がり、大脳の広範囲で電気的興奮(=過剰な放電)が起こる。
ほとんどの場合、全般発作の「強直間代発作(きょうちょくかんたいほっさ)」を起こす。

全般発作

大脳の広い範囲で、過剰な放電が起こる発作。
単に「広範囲」というだけでなく、発作がはじまった段階で左右両側に電気的興奮が発生していることが、「全般発作である」と判断するための条件となる。

多くの場合、全般発作では意識障害が発生する。
要するに、大部分の患者さんは発作中の出来事を記憶していない。発作時の症状によって、複数の種類に区分されている。

1.欠神発作(けっしんほっさ)

突然、動きが止まり、うつろな目でうつむいた状態になる。
歩行中でも急に立ち止まり、会話中でも突然黙りこむので、「動作停止」と表現するとわかりやすい。

程度が軽い場合は、「動きが極端に遅くなるが、今までの動作を継続する」「ごく簡単な言葉に対して返事はする」といった症例もある。
発作の持続時間は短く、たいていは30秒くらい。
手に持っていたものを落とすことが多いので、「ダンベルなどの重量物」「ロウソクなど燃えているもの」を持っているとケガをする場合もある。

2.強直間代発作(きょうちょくかんたいほっさ)

てんかんにおける特に典型的な発作が「強直間代発作」である。
まず、地面に倒れて手足を突っ張り、全身を硬くして細かく痙攣(けいれん)する強直発作を起こす。

呼吸が止まっていて、失禁などを伴うこともある。強直期は10~20秒くらいで、その後、筋肉が弛緩(しかん:力が緩むこと)して、今度は手足を曲げた状態で痙攣(けいれん)を起こす間代発作を起こす。
間代期は20~30秒ほど続く。間代期が終わると、多くは意識がもうろうとして眠った状態になる。

3.ミオクロニー発作

体幹、顔面、手足など身体の一部がビクッと動く発作。
一瞬だけ、突発的に動く。発作が強い場合、「手に持っていたものを投げる」「足をがくっと曲げた拍子に転倒する」などの危険もある。

ミオクロニー発作に関しては、意識障害を起こさない例が多く、ほとんどは発作中の記憶を保っている。
しかし、中には1~2秒の短時間だけ意識が消失する例もある。

4.脱力発作

突然、筋肉から力が抜けて、崩れ落ちるように倒れる。意識障害が一瞬であれば「転倒発作」「失立発作」と呼ぶこともある。
突然倒れるので、ケガをしないようにヘッドギア(=頭部を保護するヘルメット)を装用するなどの対処が望まれる。

てんかん重積

2012年にアメリカで発表されたガイドラインによると、てんかん重積は、次の2つのいずれかにあてはまるものを指す。

・てんかん発作が5分以上にわたって続く状態
・連続して発作が起こり、5分異常にわたって意識が回復していない状態

1981年、国際抗てんかん連盟が発表した基準では「30分以上の意識消失」が条件であった。
しかし、発作が5分続くだけでも危険性が高いことから、「5分以上」の基準が一般的になっている。
てんかん重積状態の予後は芳しくなく、「後遺症が残る」「生命にかかわる」といった症例も少なからず存在する。

原因

大きくは脳に何らかの障害や傷があることによって起こる症候性てんかんと原因不明の特発性てんかんに分けられる。
症候性てんかんの原因として、生まれたときの仮死状態や低酸素、脳の感染、脳梗塞や脳出血などの脳損傷などがある。

・特発性てんかん

検査をおこなっても、原因がわからないもの。遺伝的要因による先天異常などが疑われる。

・症候性てんかん

脳に何らかの障害を負ったことによるもの。
脳血管障害、脳腫瘍、外傷、さらに感染症による脳炎・髄膜炎などが原因になることがある。

てんかんと類似した疾患

てんかん発作に類似した症状を有する病気としては、次のようなものがある。

1.一過性脳虚血発作(いっかせいのうきょけつほっさ)

脳の血管が詰まる病気で、メカニズムは脳梗塞と同様である。
ただし、短時間のうちに血栓が溶けるなどして、血流が元に戻った場合を「一過性脳虚血発作」と呼ぶ。「手足・顔面の左右一方がうまく動かなくなる」「言葉がうまく話せなくなる」などの運動障害を起こす。そのほか、片眼が見えなくなるなどの感覚障害をきたすこともある。
症状の持続時間は5~10分という例が多く、てんかん発作による運動障害・感覚障害と類似している。一過性脳虚血発作発作を起こした人の10~15%が3か月以内に脳梗塞を起こしているため、「脳梗塞の前段階」といえる。

2.転換性障害

心理的ストレスが「身体的症状」として現れる病気。
「姿勢を維持できない」「うまく歩けない」などの随意運動機能異常(ずいいうんどうきのういじょう)が起きるほか、「目がよく見えない」「音がよく聞こえない」などの感覚異常が生じることもある。
身体表現性障害と呼ばれる心身症の一種。運動機能異常、感覚異常が、てんかん発作の症状に似ている。

3.過換気症候群

一般的に「過呼吸」と呼ばれる症状。極度の不安・緊張などで激しい呼吸を繰り返すと、過呼吸状態になる。
呼気からの二酸化炭素排出が過剰になり、血液中の二酸化炭素量が限度を超えて減少する。
すると、呼吸中枢は呼吸を抑制して「血液中の二酸化炭素量」を元に戻そうとするため、呼吸困難を覚える。血液中の二酸化炭素が減りすぎると、血液はアルカリ性に傾く。
血液がアルカリ性になると、血管が収縮して、手足のしびれ・痙攣(けいれん)が起こることもある。これらの症状が、てんかん発作と類似している。

検査内容と主な診療科目

てんかんの原因は感染や脳血管障害による場合があるため、発症した場合はすぐに精神科、脳神経内科(神経内科)、脳神経外科を受診する。

採血、頭部CTあるいはMRI、脳波検査が基本の検査となる。
採血では感染の可能性や低ナトリウム血症などの電解質異常がないか調べる。
頭部CTあるいはMRIでは脳の感染や脳血管障害や脳腫瘍の有無を調べる。
脳磁波検査では脳のどこに異常があるのか調べる。

診療科目

てんかんの診断・治療をおこなう診療科目は、一般に精神科・脳神経内科(神経内科)・脳神経外科とされている。
ただし、15歳未満の場合、可能なら小児科(特に小児神経科)を受診する。
てんかんの診療に力を入れ、「てんかんセンター」を併設している医療機関も存在している。
通院できる範囲内に、てんかんセンターと標榜する医機関があるなら、検討するのが良い。

診断方法

てんかんの診断においては、主に次のような検査をおこなう。

1.脳波検査

てんかんの診断でもっとも基本的な検査。
「てんかん波」「発作波」と呼ばれる異常な脳波が見つかれば、てんかんと診断することができる。
通常、脳波のグラフは細かい波のような形状をしている。しかし、てんかんの場合、特有の脳波を見つけることができる。
グラフの一部が尖っている「鋭波(えいは)」、トゲのような部分がある「棘波(きょくは)」が一例である。
ただ、いつも同じ脳波が出ているわけではなく、そのときの状況によっては「てんかん波」を確認できないこともある。
その場合、何度か検査を繰り返す必要が出てくる。
必要に応じて、「てんかん波」を確認しやすいように、「睡眠中の脳波を測定する」「過呼吸状態にして測定する」「ストロボの光を見せて測定する」などの検査をおこなう。
さらに、脳波測定装置を装着したまま過ごす「長時間記録ビデオ脳波モニター検査」を実施することもある。

2.心理検査

言語能力・計算力・記憶力などを調べ検査と、精神状態・性格などを調べる検査を総称して、心理検査と呼ぶ。
てんかんの患者さんが併発しやすい「コミュニケーション障害」「記憶力低下」「抑うつ状態」などの有無を確認する。
また、発達障害が併存していないかを知るためにも役立つ。

3.画像診断

脳の断面図を撮影する「CT」のほか、磁場・電波を利用して体内の様子を確認する「MRI」などを総称して、画像診断と呼ぶ。
脳に外傷・腫瘍など、てんかんの原因になる器質的異常(身体の器官に物理的な問題があること)がないか確認することができる。
また、部分発作の場合、「発作焦点の位置(=どの部分で発作がはじまっているのか)」を特定できることもある。

問診を受ける上での注意点

医療機関を受診した場合、検査に加えて問診がおこなわれる。
その際、可能な限り、発作を目撃したことのある家族などが同行する

多くの場合、患者さん本人は意識障害のため、発作を起こしているときの記憶がない。
「どんなときに発作が起こるか」「発作の様子はどうか」などの情報は、家族などから得る必要がある。
できれば、あらかじめ発作の様子をスマートフォンなどで動画撮影しておくと、診断の役に立つ。

治療方法と治療期間

てんかんの可能性が考えられても、2回目の発作を起こす確率は50%以下である。
そのため、1回だけの発作では治療は行わないことがある。
しかし、検査結果により再発作のリスクが高い場合は1回の発作で治療を開始する場合もある。
内服薬による内科的治療が中心となる。
内服薬による治療が困難な場合は外科的治療を行うことがあるが、まずは抗てんかん薬による内科的治療を行う。
内服薬は部分発作に対してはカルバマゼピン、全般発作に対してはバルプロ酸を選択する。
治療が困難な場合は、第2選択薬に変更し、2~3種類の内服薬を使用しても改善のない場合は併用療法を検討する。
併用療法でも改善がない場合は、外科的治療を検討する。

いずれの治療も長期にわたる。
自己判断での治療の中断は発作頻度の増加あるいは重度の発作の原因となりえるため注意が必要。

薬物療法

てんかんの患者さんは、発作が出ているときを除けば正常である。そのため、薬で発作を抑える治療が第一選択になる。
6割以上の症例で、抗てんかん薬の服用を続けることで発作を抑えることが可能とされている。

「マサチューセッツ内科外科学会」発行の医学雑誌『ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン』に掲載された論文『Early Identification of Refractory Epilepsy(2000年)』をもとに、抗てんかん薬の治療成績(目安)を解説する。

未治療の患者さん470名を対象とした研究によると、47%の患者さんが最初に処方された薬で、発作の抑制に成功している。
さらに、14%の患者さんが2番目、3番目に処方された薬で発作の抑制に成功した。
加えて、3%の患者さんが、2種類の薬を併用することで、発作のコントロールに成功している。

そのほか、国内の大手製薬会社が「最初に処方された薬で50~60%、次に処方された薬で10~20%の患者さんが、発作の抑制に成功している」といった内容を公表している。

診断名は同じ「てんかん」でも、発作型の種類によって「どの抗てんかん薬が効きやすいか」は違ってくる。
薬物療法をおこなうにあたっては、患者さんごとに適切な抗てんかん薬を処方しなくてはならない。

・部分発作

部分発作を起こす患者さんには、次のような薬が処方される。
・カルバマゼピン
・ゾニサミド
・トピラマート
・バルプロ酸
・フェニトイン
・ペランパネル
・ラモトギリン

・全般発作

全般発作を起こす患者さんの場合、発作の種類によって薬が変わる。

欠神発作

・エトスクシミド
・クロバザム
・バルプロ酸
・フェニトイン
・ラモトリギン

強直間代発作

・クロバザム
・トピラマート
・バルプロ酸
・フェニトイン
・フェノバルビタール
・ペランパネル
・ラモトリギン
・レベチラセタム

ミオクロニー発作

・クロナゼパム
・クロバザム
・バルプロ酸
・フェニトイン

そのほかの発作型

上記以外の特徴を有するてんかんには、以下のような薬が処方される。

・スチリペントール
・ビガバトリン
・ルフィナミド

抗てんかん薬の副作用

抗てんかん薬には、いくつかの副作用が知られている。薬の種類ごとに、副作用は異なる。

抗てんかん薬の種類に関係なく現れる副作用

次のような症状が知られている。

・服用開始時の副作用

薬物療法を開始した時期に生じる副作用である。少量から開始して、徐々に増量することで、副作用を弱めることができる。

・眠気
・めまい
・ふらつき
・頭痛

・服薬量が多いときの副作用

以下は1回の服用量が多いときに生じる副作用である。
「服用回数を増やす代わりに1回の分量を減らす」など、服用方法を見直すことで緩和できる場合がある。

・視界がかすむ
・複視(モノが二重に見える)

・アレルギーによる副作用

薬剤アレルギーは、服用開始から数か月以内に発生するのが普通である。
医師に相談することで、薬を変更するなどの対処を検討してもらえる。

・発疹
・肝障害

妊娠の可能性がある女性が注意するべき副作用

抗てんかん薬には催奇形性があるとされており、胎児への影響が懸念される。
妊娠中の女性はもちろん、妊娠の予定・可能性がある女性も含めて、医師にしっかりと相談する。

薬剤それぞれの副作用

・エトスクシミドの副作用

服用をはじめてから数日で、吐き気・嘔吐が起こることがある。
子供の場合、2~3割の確率で生じるとされている。ただ、症状は軽いので、ほとんどの場合、投与を中止する必要はない。

・ガバペンチンの副作用

長期間にわたり高用量の服用を続けると、体重増加の副作用が生じることがある。

・カルバマゼピンの副作用

服用開始から数か月以内に、白血球が減少する例がある。
子供の12%、成人の7%に発生すると言われているが、大きな問題になることは稀である。

・トピラマートの副作用

日本国内でおこなわれた臨床試験によると、2.6%の患者さんにおいて腎結石の副作用が見られた。
ただ、軽度~中等度であり、重症例がほとんどないことから、基本的に投与中止になることはない。
水分補給を心がけることで、腎結石のリスクを緩和することができる。

・バルプロ酸

高アンモニア血症(=血液中のアンモニアが増加)の副作用により、下痢・腹痛・嘔吐・食欲不振などの症状が現れることがある。

・フェニトインの副作用

長期的に服用している患者さんの約2割に、歯肉増殖(=歯茎が腫れて、肥大すること)の副作用が現れる。
口の中が不衛生になっていると、歯肉増殖のリスクが増す。

・フェノバルビタールの副作用

子供に使用すると、多動(=落ち着きがなくなる)、癇癪(かんしゃく)、興奮などの副作用が出ることがある。
服用を開始したころに副作用が出るが、1年以内に治まるのが一般的。

・ラモトリギンの副作用

高用量で服用開始すると、アレルギー性皮疹(=身体に発疹が現れる)の副作用が出ることがある。

・レベチラセタムの副作用

副作用として、気分の変調が現れることがある。
気分変動は、易刺激性(=些細なことで不機嫌になる)などの形式で現れるのが一般的である。

外科手術による治療

薬物療法で発作を抑えられない「難治性てんかん」に関しては、外科手術の適応になる場合がある。
ただし、すべての症例に対して、外科手術が有効というわけではない。

一般社団法人 日本神経学会の「てんかん治療ガイドライン2010」によれば、外科手術の適応となるのは、以下に示す5通りの症例である。

1.内側側頭葉てんかん

部分発作で、内側側頭葉が発作焦点(=最初に発作症状を起こす場所)となっている場合は外科手術の適応が可能とされている。

2.器質病変を伴う部分発作のてんかん

器質病変(=物理的に特定できる病変)による部分発作のてんかんは、病変を取り除くことで回復が見込める。

3.器質病変の見当たらない部分発作のてんかん

器質病変が見つからない場合でも、部分発作のてんかんに関しては外科手術の適応が可能とされている。

4.片側半球の左右どちらか)の広範な病変による部分発作のてんかん

脳の広い範囲が発作の原因になっているとしても、病変が左右どちらかにとどまっていれば、外科手術の適応が可能とされている。

5.失立発作(脱力発作 / 転倒発作)を有する難治性てんかん

失立発作(=立っていることができず、転倒する発作)のある難治性てんかんに関しても、外科手術の適応が可能とされている。

外科手術の可能条件

外科手術を実施するためには、いくつかの条件を満たす必要がある。

・てんかん発作を起こしているのが、脳の一部であること
・抗てんかん薬の処方を工夫しても、発作を抑えられない状態であること
・発作の頻度が高いなど、日常生活に著しい障害があること
・3~4年にわたり、改善の兆候が見られない状態であること
・全身状態が良好で、外科手術に耐えられる状態であること
・手術予定箇所が、後遺症のリスクがない部位であること
・患者さん自身が同意していて、検査・手術に協力的であること

手術前の検査内容

時間記録ビデオ脳波モニター検査などで脳波測定をおこない、発作焦点が脳の一部であることを確認する。
また、画像診断でも、手術が可能かどうか検討する。

検査の結果、手術が可能であれば、必要に応じて「頭蓋内電極留置術(とうがいないでんきょくりゅうちじゅつ)」を実施し、頭蓋骨の中に電極を埋めこんで脳波測定をおこなうこともある。
「発作焦点の位置を予測すること」「手術による影響を予測すること」に役立つ。
脳を覆う硬膜の上に電極を配置する方法のほか、脳に直接電極を刺す方法もある。

外科手術の種類

てんかんに適応する外科手術にはいくつかの種類が存在します。外科手術の一例を以下に示す。

1.側頭葉前半部切除術

内側側頭葉が原因のてんかんに対して、実施する。発作焦点となっている部位を切除する術式。
ただ、記憶力低下などの後遺症がある。

2.病巣切除術

脳腫瘍など、器質的病変を取り除く手術です。器質的病変に起因するてんかんを根治するための術式といえる。

3.半球離断術(はんきゅうりだんじゅつ)

大脳の片側広範囲の病変による部分発作を改善するための手術。

4.脳梁離断術(のうりょうりだんじゅつ)

失立発作(=てんかん発作により、転倒する場合を指す)を伴う難治性てんかんに対して実施する。
左右の脳をつないでいる脳梁(のうりょう)を切除することで、発作の転倒リスクが緩和される。

5.迷走神経刺激療法

胸部・頸部(けいぶ:首のこと)に電気刺激装置を埋めこむ手術。左頚部の迷走神経に電気刺激が加わることで、発作が軽減される。
開頭手術に比べると治療効果は低いが、患者さんの負担が少なくなる。

てんかんの食事療法

てんかんの症状を緩和するために、食事療法をおこなうことがある。
「絶食すると、発作の回数が減る」という経験則から生まれた治療法。主だった方法としては、次のようなものが挙げられる。

1.ケトン食療法

炭水化物、タンパク質の摂取量を減らした上でカロリー制限をおこなう。
そして、脂肪をエネルギーに変えるときに発生する副産物―ケトン体を増やすため、脂肪の摂取量を増やす。
血液中のケトン体が増えることで、発作が減少すると考えられていることから、近年、この食事療法が再評価されている。

2.修正アトキンス食

糖質制限食が中心になる。それほど負担のない方法なので、人を選ばずに食事療法を実施可能である。

てんかんの大部分は、服薬でコントロール可能

特発性てんかんは「原因がはっきりとわからない」てんかんであり、症候性てんかんは「腫瘍・感染症・外傷などに起因する脳の障害」である。
そのため、「てんかん自体を予防する方法」は存在しない。

ただ、てんかんが持病だとしても、発作を抑えることは十分に可能である。患者さんの60~80%は、薬物療法で長期的に発作を抑えている。

重要なのは、自己判断で服薬を中止しないことである。用法・用量を守り、医師の指示どおりに服用することが、病状をコントロールするための基本になる。
そのほか、疲労・睡眠不足・慢性的体調不良などは発作の要因になり得るので、規則正しい生活を心がける。

治療の展望と予後

一般的には70~80%の方が何らかの内服薬で寛解にいたる。
残る20~30%は難治となることが多い。

特発性てんかんは「原因がはっきりとわからない」てんかんであり、症候性てんかんは「腫瘍・感染症・外傷などに起因する脳の障害」である。
そのため、「てんかん自体を予防する方法」は存在しない。

ただ、てんかんが持病だとしても、発作を抑えることは十分に可能である。患者さんの60~80%は、薬物療法で長期的に発作を抑えている。

重要なのは、自己判断で服薬を中止しないことである。用法・用量を守り、医師の指示どおりに服用することが、病状をコントロールするための基本になる。
そのほか、疲労・睡眠不足・慢性的体調不良などは発作の要因になり得るので、規則正しい生活を心がける。

てんかんの症状によるリスク

てんかんは症状によって無意識に行動することや、行動を中断するリスクがある。
それは単に小刻みに動く状態だけではなく、無意識に歩き回ることや意識障害が起こることもある。
てんかんの発作が起きた際に車の運転や物を運んでいると大きな事故につながる。

てんかん発作が起きているとき、患者さん本人は無防備な状態である。
意識障害が起きていれば、本人は「自分が何をしているのか」を理解できていない。
実際、てんかん発作に起因する事故が、生命を脅かす例もある。

・自動症における事故

複雑部分発作を起こすと、意識が消失したまま動き回ることがある。
この状態を「自動症」と呼ぶ。その場でバタバタ動くだけでなく、「歩き回る」「暴れ回る」といった例も存在する。

自動症で動いている間は、「手がコンロの火に当たる」「頭を激しくぶつける」などの出来事を避けることができない。
自動症の症状によって起きる事故は、てんかんにおける大きなリスクの1つである。

・意識障害に起因する事故

自動症と重複する部分もあるが、「意識がなくなること」に起因する事故にも注意が必要である。
てんかん発作では、「動きが止まる」「倒れこんで動かない」「意識が消失したまま徘徊する」といったリスクがある。しかも、発作は前触れなく発生する場合もある。

リスクが大きいのは「プール・海水浴・入浴など、水中にいるとき」や「自動車などの運転中」である。
水中で意識を失えば溺れる恐れがあり、運転中なら大事故につながる。
病状をコントロールできていない(=いつ発作が起きるかわからない)状況では、リスクの高い行動を避けるようにする。

ミオクロニー / 脱力発作 / 全身痙攣(けいれん)による事故

「手足が突然大きく動く」「筋肉の力が抜ける」「全身痙攣(けいれん)」などは、いずれも突然の転倒リスクがある。
生命にかかわる場合もあるため、ふだんから「危険なものを周囲に置かないこと」を意識する。
また、外出時はヘッドギアなどを装用の上、なるべく介助者と同行する。

転倒以外にも、突然、脱力して「持っていたモノを落とす」という例がある。
足に落ちて大けがをするほどの重量物を運ぶのは避ける。

合併症

てんかんには、いくつかの合併症が存在する。
代表的な合併症としては、脳への影響や精神症状が知られている。

てんかん発作が脳に影響を与える恐れがある。
具体的には、知能・性格に一定の影響が出ると考えられている。
てんかんに起因する「脳への影響」は、次の4つの原因が絡み合って生じる。

1.てんかん発作が、脳の働きに影響する
2.>抗てんかん薬の作用により、脳が影響を受ける
3.てんかんにより、教育・社会参加が困難になる
4.もともと、てんかん発作の要因となる脳障害が存在する

原因不明の特発性てんかんでは1~3、脳の外傷・病気に起因する症候性てんかんでは1~4の要因が影響してくる。

てんかん発作を繰り返した患者さんの性格傾向としては、たとえば、以下のようなものが知られている。
これはてんかん発作が、脳に影響した結果と考えられている。

・冗長(話が回りくどい)
・几帳面(些細なことを過度に気にする)
・頑固(融通がきかない)
・神経質(細かいことで怒り出す)

近年は早期治療により、性格的影響が出る例は少なくなった。
治療法も多様になっており、ほとんどのケースで病状をコントロールできるようになってきている。

また、てんかんの患者さんに知的障害を認める例があるが、多くは症候性てんかんの原因となった脳障害が原因である。
たとえば、脳外傷がきっかけで症候性てんかんを発症した場合、知的障害を引き起こした原因も、同じく脳外傷である確率が高い。
実際、特発性てんかんの患者さんでは、ほとんど知的障害が見られない。

てんかん発作に関連した精神症状

発作の前兆として、あるいは発作中に精神症状が見られる場合もある。
複雑部分発作を起こしているとき、精神症状が顕著に出る。
てんかん発作における精神症状には、次のようなものがある。

1.意識障害

意識が混濁・朦朧(もうろう)とする。
思考の混乱、錯覚などを起こし(意識変容)、ふだんの判断能力が失われる。

2.感情障害

多くの場合、怒りやすくなる、機嫌が悪くなるなどの変化が生じる。

3.性格変化

話がまとまらなくなる、回りくどくなるなど、冗長な性格になることがある。
そのほか、粘着質な性格に変容する人もいる。

4.精神病様状態

妄想を信じこむ、幻覚が見えるなど、精神病の陽性症状に似た症状が現れる。

5.行動異常

意味のない行動を反復(自動症)する、叫ぶ、暴れるなどの行動が見られる。

てんかんに起因する二次的な精神症状

てんかん発作そのものが引き起こすわけではないが、「てんかんという持病があること」が影響して、二次的な精神症状が出る場合もある。

てんかん発作を繰り返していると、不安・絶望感を覚える機会もある。
また、学校・仕事などを長期的に休んでいれば孤独感もある。
ネガティブな感情に支配される時間が長ければ、抑うつ状態・うつ病を発症する例もある。

てんかんの発達障害の合併

子供のてんかん患者は、発達障害を併せ持つ例が多いと考えられている。
発達障害は「脳の発達が通常と異なること」を指していて、ADHD(注意欠陥・多動性障害)LD(学習障害)自閉症スペクトラム障害などが知られている。

発達障害の子供220例を検討した結果、40%の患者さんにおいて「てんかんが併存していた」という報告も存在する。
そのため、「発達障害とてんかんの併存率は高い」と考える人も多い。

発症しやすい年代と性差

人口1000人あたり7.24人と推計されている。

乳児期から老年期まで、どの年齢でも発症する。
中でも小児と高齢者に多く、性差はない。

てんかんの有病率(=てんかんにかかっている人の割合)は、0.5~1.0%と言われている。

特発性てんかんは、3歳未満の発症が多く、年齢が上がるにつれて減っていく。一方、症候性てんかんは、脳血管障害などの疾患に起因して発症するため、高齢者の発症が多くなっていく。

てんかんを発症した子供のうち、5歳未満では4割以上、5歳以上10歳未満では3割以上が、特発性てんかんである。

「てんかんの大部分は幼小~若年期に発症する」と考えられる。実際、てんかんの約80%は18歳未満での発症となっている。

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