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VDT症候群

目次
  1. 概要
  2. 症状
  3. 原因
  4. 検査内容と主な診療科目
  5. 治療方法と治療期間
  6. 治療の展望と予後
  7. 発症しやすい年代と性差
医師

【執筆ドクター】

 板東 浩 先生

概要

VDT症候群(Visual Display Terminal syndrome)とは、パソコンやワープロなどのコンピューターを、長時間見続けて作業すること(VDT作業※)で発症する病気です。
眼の疲労や身体の不調、心的不調があらわれます。

そのためVDT症候群は、パソコンで作業する人が発症しやすい病気です。
長時間同じ姿勢でモニターを見続けることで、身体に悪影響をもたらします。
モニターを見続ける、同じ姿勢を取り続けることで眼の疲れ、肩こり、頭痛などがおき、血流が悪くなります。身体の不調が長く続けば、うつ病を発症することもあります。症状が多岐にわたるため、何科を受診すべきか迷うことがあると思いますがVDT症候群の専門領域は眼科になります。

※VDT作業とは
「事務所においておこなわれるVDT作業(ディスプレイ、キーボード等により構成されるVDT (Visual Display Terminals)機器を使用して、データの入力・検索・照合等、文章・画像等の作成・編集・修正等、プログラミング、監視等をおこなう作業)」
下記のガイドラインにおいて、VDT作業における安全衛生管理が策定されました。

症状

症状としては、眼の痛み、ドライアイのほか、肩や首、背中の痛み、手のしびれ、充血、睡眠不足、思考の低下など、またそれに対してのストレスからくる身体や心の不調などがあげられます。

眼の症状

・眼の痛み
・ドライアイ
・眼のかすみ
・充血

身体の症状

・肩こり
・首の痛み
・頭痛
・背中の痛み
・手のしびれ
・胃炎

心の症状

・ストレス
・睡眠不足
・ぼうっとする
・気分が落ち込む

原因

VDT症候群の原因は、眼の酷使、長時間同じ姿勢でいることによる血流不良、眼や身体の不調による心的ストレスです。
パソコンやスマホなどのモバイル端子、ゲーム機などの見すぎは視力低下の原因となり、近くのものを長時間見続けるときは、時々目を休める必要があります。

これはカメラのレンズに相当する水晶体と水晶体を支える毛様体筋に関係しているます。水晶体は水とたんぱく質でできており、弾力性を持つ組織です。
毛様体筋によって厚みを変え、ピント調整をしていきます。水晶体は、近いものを見るときは膨らみ、遠くを見るときは薄くなります。

近くのものを長時間見続けていると水晶体が膨らんで元に戻らなくなってしまい、毛様体筋が緊張して、近視が進む原因になります。

検査内容と主な診療科目

VDT検診を受けます。
職場での配置前の健康状態と、業務歴や既往歴、自覚症状、視力検査をおこないます。
眼科的検査のほかには筋骨格的検査をおこないます。
定期健診を受けることが重要ですが、個別の症状としては眼科を受診することが多くなります。
しかし、症状が多岐にわたるためほかの科目も合わせて受診する可能性もあります。

治療方法と治療期間

日頃の予防が重要となります。

作業中は時々遠くを見て目を休め、毛様体筋の緊張をほぐす、1時間ごとに5~10分の休憩を取り、遠くの景色を眺めたり、目を閉じたりするなどの対策が考えられます。
テレビゲームなどが好きなお子さんには、近視にならないようにするために保護者が注意します。
時間を制限するか、15~20分やったら少し遠くを見るなどの対策をとります。

勉強やゲームなどの物事に集中するあまり、つい対象となるものと距離が近づくと、姿勢が悪くなってしまいます。
そうすると毛様体筋が緊張するため近視が進みやすくなります。

理想は、目とパソコンや本などの対象物を40㎝程度あけることです。
寝転がってテレビを見たり、読書をしたりするのも避けましょう。
斜めから見ることになり、対象物と左右の目との距離感に差が出て、左右の視力が変わり、ものがぼやけて見えてしまいます。

VDT症候群の予防法

厚生労働省では、2002年にVDT労働環境のためのガイドラインを策定しています。また眼精疲労が労災認定された事例もあります。
しかし、最近は普段の生活の中に目の疲労を引きおこす原因があるため、労働環境だけではなく自己管理による目の健康を維持する努力が必要となってきました。

睡眠

眼に負担をかけない時間を作り、眼を休めます。
目を休めることで眼の疲れ、充血も回復します。眠る前のテレビやパソコン、スマートフォンはできるだけ見ないようにします。
至近距離でものを見ようとすると眼の筋肉が緊張状態になってしまいます。

また、最近話題の「ブルーライト」は覚醒の作用があり、LEDや紫外線、とくに朝日に多く含まれています。
眠る前は覚醒するのではなくリラックスできる明るさの照明、落ち着く音楽や香りなどで、心地よい眠りの環境を整え、しっかり休息をとるようにしましょう。

外に出る、動く

できるだけ遠くのものを見て眼の緊張をほぐすようにします。また、同じ姿勢を続けないように、時々は身体を動かします。

休日家の中にいると、どうしても近くのものを見てしまい、またパソコンの前に座ってしまう、なんとなくスマートフォンを眺めてしまうという人も多いでしょう。
身体は休めていても、眼は働き続けています。外に出てリフレッシュすることも、眼を休めることにつながります。
少し身体を動かすと、適度な肉体疲労のおかげで睡眠の質も改善されます。

コンタクトレンズやメガネを利用する

自分の眼やライフスタイルにあったコンタクトレンズやメガネを利用することで、眼への負担や眼の疲労からくる身体的・精神的ストレスを緩和します。
大切なことは自分にあったものを選ぶことです。眼科を受診し、きちんと視力を測った上でコンタクトレンズやメガネを選ぶようにしましょう。

老眼鏡を使用する

携帯電話の画面を見るときや新聞を読むとき、遠く離して見ないとピントが合わない老眼の人もいます。水晶体は若い時は膨らんだり、薄くなったりして、ピントを合わせる調節力をもっています。しかし、加齢と共に水晶体の弾力性が落ち、ピントが合わせづらくなります。これが老眼です。
残念ながら水晶体の弾力性を維持するためにできることは今のところなく、加齢と共に進む老眼を止めることはできません。

40代から始まる傾向にありますが、30代半ばから症状が出てくる方もいます。
近くのものが見えづらくなって不自由を感じ始めたら、我慢せず老眼鏡をかけます。無理してかけないでいると頭痛や肩こりに悩まされることもあります。

治療の展望と予後

治療や対策をせずにいると眼科的な疾患や精神疾患の可能性もあります。また近視など根治の難しい症状もあります。
予防することが重要です。

発症しやすい年代と性差

VDT作業へ従事する労働者には年代や性別を問わず発症の可能性があります。
作業時間に関わらず9割程度の労働者が視機能の症状を訴えるとされています。

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