熱性痙攣とは
熱性痙攣(ねつせいけいれん)は、生後6カ月からおおむね6歳までの子どもが、38℃以上の発熱によるストレスで痙攣(けいれん)をおこした場合に診断されます。
多くの場合、原因は不明です。生後6~36カ月の間に発症しやすいです。再発の可能性は30%程度と、比較的高いと考えられています。親や兄弟もかかったことがあるなど、遺伝的な要因でも再発の可能性は高くなります。
高熱が出てから24時間以内におこることが多く、解熱剤の投与で、予防することが可能です。
6歳未満の2~5%におこるため、珍しい病気ではありません。
熱性痙攣の症状
熱性痙攣の症状は、38℃以上の高熱が続き、全身、特に両手足が震えるように動いて、顔色が悪くなる、意識がなくなるなどし、周囲に対しての反応がない状態になります。
痙攣の9割以上は5分未満で収まります。30分以上続く場合や、24時間以内に再発する場合もあります。
多くは、熱が出てから24時間以内におこります。
熱性痙攣の診療科目・検査方法
熱性痙攣の痙攣が5分以内で収まり、意識が回復した場合は、あわてて受診する必要はありません。必要に応じて小児科を受診しましょう。
痙攣が5分以上続く場合や、意識が回復しない場合は、脳の異常につながることがあるため、救急車で受診しましょう。痙攣の原因がほかにないことを確かめる必要があります。小児科などが対応します。
痙攣が長く続く場合や、左右で差がある場合には、血液検査や、頭部の画像検査などをすることがあります。血液検査では、炎症反応や肝機能、腎機能、血糖値、ミネラル(ナトリウム、カルシウムなど)を測定します。
熱性痙攣の原因
熱性痙攣はほとんどの場合、軽度の感染症による発熱が原因でおこるといわれています。しかし、はっきりとしたことはわかっていません。
遺伝的な要因もあるため、兄弟に熱性痙攣がみられると、頻度が高くなります。
熱性痙攣の予防・治療方法・治療期間
熱性痙攣の痙攣が5分未満で収まる場合は、解熱剤を飲ませます。
発作が長く続く場合には、抗痙攣薬を点滴したり、気道確保(きどうかくほ:空気の通り道がふさがらないようにすること)をしたりします。
痙攣している間は平らなところに寝かせて、衣服は緩めましょう。可能であれば、身体や顔を横向きにして、唾液や嘔吐物を誤嚥(ごえん:唾液などが気管に入ってしまうこと)しない体勢にしてください。
熱性痙攣の治療経過(合併症・後遺症)
熱性痙攣は多くの場合、一回で終わります。
しかし、痙攣が複数回おこる場合や、熱が低いのに痙攣がおこる場合には、座薬を予防的に使ったり、抗てんかん薬を飲ませたりすることもあります。
熱性痙攣になりやすい年齢や性別
熱性痙攣は、6歳未満の子どもの2~5%におこります。
生後6~36カ月の間がもっとも発生しやすいとされています。
執筆・監修ドクター
経歴平成14年 慶應義塾大学医学部卒業
平成16年 立川共済病院勤務
平成17年 平塚共済病院勤務(小児科医長)
平成22年 北里大学北里研究所病原微生物分子疫学教室 研究員
平成29年 なごみクリニック 院長
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