さじじょうつめ匙状爪
匙状爪とは
正常な爪の形は中央部分が膨らみ、緩やかな弧を描いています。
ところが、爪中央部分が凹んで外側が反り返り、まるでスプーン(匙)のような形に変形してしまう場合があり、この病態になると「匙状爪(さじじょうつめ)」と呼ぶようになります。
要因によっては、爪の変形だけでなく、爪の色や厚みに変化が現れることもあります。
年代問わず誰もがなりうるものですが、比較的女性に多くみられます。
また、赤ちゃんと大人では要因が違う場合があり、その主な要因は「鉄欠乏性貧血」「外的圧力」「爪の切り方」などが挙げられます。
爪の薄い赤ちゃんや幼児にも同様の病態が現れますが、この場合はその強度の弱さからくる「外的圧力」によるものが多く、成長とともに改善することが多いです。
すぐに受診が必要ではありませんが、要因を改善しても病態に変化がみられない場合には受診し検査のうえ、治療が必要になることもあります。
匙状爪の症状
匙状爪は、手足爪の甲中央部分が凹み、爪先が反り返った形に変形してしまいます。
爪の変形以外にも、「爪の色が白っぽい」、「黄色く厚みを帯びた状態」もみられます。
力作業で「外的圧力」がかかりやすい、親指・人差し指・中指に症状が現れやすいのも特徴です。内的要因としては、疲れやすさや、顔色が悪いなどの症状がみられる場合もあります。
匙状爪の診療科目・検査方法
匙状爪の原因
匙状爪の原因は主に3つ考えられます。
外的要因
指先にかかる継続的な力作業による変形で農作業に従事する方や、薬品に触れることによる変形で美容業界に従事する方にも多くみられます。
内的要因
鉄欠乏性貧血によるもの。女性に多く、食事の工夫で改善することもありますが、重度の場合は鉄剤の処方が必要となることもあります。
爪の切り方
ラウンド型を意識するあまり爪の両端を深く切りすぎてしまう場合や、爪噛みによる深爪で強度が保てなくなっている場合にみられます。
このほか、遺伝の場合もあります。
新生児から幼児については、成長に伴って爪の強度が増してくるため、自然に改善することがほとんどですが、「元気がない」「顔色が青白い」「疲れやすい」「食欲がない」などの症状がみられる場合は、内的要因を伴っていることがあります。
匙状爪の予防・治療方法・治療期間
匙状爪の内的要因の場合は、貧血改善を目的とした食事の工夫と、必要に応じて鉄剤を服用します。
外的要因及び新生児~幼児においては、爪の保湿ケアにより爪の強度を保つことで改善が図れます。合わせて爪の切り方を工夫することも改善につながります。
爪を切る際、両サイドまで深く切る「ラウンド型」だと強度が保ちづらいため、「スクエア型」を意識して、爪の両サイドを切りすぎないことが大切です。
また、深爪の場合は爪が伸びる際指に引っかかって伸びるため、反り返りの要因になります。白い部分をほんの少しだけ残して切るようにします。
お子さんで爪噛みの癖がある場合は、寄り添った言葉がけを行い、不安を取り除いてあげることで改善していく場合があります。
治療期間については「爪が生え変わるまで」となる」ため、数カ月を要すると考えます。
匙状爪の治療経過(合併症・後遺症)
匙状爪の原因を取り除けば、薬で徐々に完治する場合が多くあります。
ただ、爪甲の側縁を短く切る方法は、爪が伸びると再発して、重症化することが多いです。
原因が再び起これば、再発します。
例えば鉄欠乏性貧血によってであれば、鉄を補充すれば治りますが、また鉄欠乏性貧血になった場合は、再発します。
匙状爪になりやすい年齢や性別
匙状爪は、新生児から高齢者まで年代に関わらず発症の可能性はあります。なかでも年代別で最も鉄分が必要とされる成長期のお子さんや、月経、ホルモンバランスの変化などで鉄欠乏性貧血になりやすい、中高年の女性に多くみられます。
参考・出典サイト
執筆・監修ドクター
経歴北里大学医学部卒業
横浜市立大学臨床研修医を経て、横浜市立大学形成外科入局
横浜市立大学病院 形成外科、藤沢湘南台病院 形成外科
横浜市立大学附属市民総合医療センター 形成外科
を経て横浜栄共済病院 形成外科
2014年 KO CLINICに勤務
2021年 ルサンククリニック銀座院 院長 就任
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