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多発性骨髄腫とは
多発性骨髄腫(たはつせいこつずいしゅ)は、骨髄で作られる白血球の1種であるB細胞が成熟することによってできる形質細胞が腫瘍化する病気です。
腫瘍化することで骨髄などで制御を失い異常に増殖します。
正常な場合は、白血球のなかでもB細胞は、体に侵入してくるウイルスや細菌などの異物から体を守る役割をしています。
形質細胞に異常がおこると、骨髄腫細胞ががん化することでさまざまな障害をもたらすようになります。
多発性骨髄腫は非常に重篤な病気です。治療には先天異常を引きおこす可能性のあるサリドマイド薬が使用されることがあります。
日本でのこの薬の使用については、「サリドマイド製剤安全管理手順」に沿った厳重な処置が必要になります。
多発性骨髄腫の症状
多発性骨髄腫の腫瘍化した形質細胞は、骨を侵すことが多く、形質細胞腫瘍により破骨細胞が刺激されて骨密度が低下します。そのため骨が弱くなり、骨折しやすくなります。
また、骨からカルシウムが放出されるため、血液中のカルシウム値が異常に高くなり頻尿・腎障害・脱力感・錯乱などを生じることがあります。腰や背中、肋骨に痛みがおこることがあります。
骨髄の機能が低下するため赤血球の生産量が低下します。そのため貧血をおこし、疲労感や脱力感があらわれることもあります。
白血球の生産量の低下や抗体産生能力が低下し、免疫力が低下します。感染症を繰り返しやすくなり、発熱や悪寒があるといった状態になることもあります。
血小板の生産の低下がおこると、血液の凝固能力が低下します。そのため出血しやすく、血液が固まりにくくなります。
また骨髄腫細胞が異常に産生するMタンパクとよばれる異常免疫グロブリンによって、腎障害や過粘調症候群になることがあります。
これによって血液循環にかかわる障害などを引きおこします。
多発性骨髄腫の診療科目・検査方法
多発性骨髄腫は血液内科を受診します。
臨床検査により、赤血球、白血球、血小板の減少、腎不全、血液中のたんぱく質の濃度が上昇していた場合や、尿中のたんぱく質の量が増えていることが確認された場合、X線検査をおこないます。
その結果、骨量の減少が確認されると、多発性骨髄腫を発見できることがあります。
血液と尿のたんぱく質の性質を調べる電気泳動法をおこないます。この検査は免疫電気泳動法や血清電気泳動法とよばれることもあります。
この検査によって、多発性骨髄腫の患者さんの約半数からベンスジョーンズ蛋白といわれる特徴的なたんぱく質が尿から検出されています。
こうした検査に加えて、骨髄検査をおこなうことで診断が確定されます。
多発性骨髄腫の原因
多発性骨髄腫の原因は明らかにはなっていません。遺伝子や染色体の異常による可能性が高いのではないかといわれています。
また、有機溶剤への接触や、放射線による被ばくなども原因と考えられています。
多発性骨髄腫の予防・治療方法・治療期間
多発性骨髄腫の治療は近年進歩してきていますが、いまだ完全な治癒が望める状況ではありません。
そのため症状や合併症の予防と緩和、異常な形質細胞の破壊によって病気の進行を遅らせることなどが、治療の目標となります。
基本的な治療としては、さまざまな薬剤を併用して治療がおこなわれます。サリドマイドや化学療法薬、コチコステロイドなどを用いて、異常な形質細胞を死滅させる治療をこころみます。
感染症の合併がある場合は、抗菌薬を投与することがあります。骨の痛みの軽減には、鎮痛薬や放射線療法などをおこないます。
多発性骨髄腫の治療経過(合併症・後遺症)
多発性骨髄腫への緩和治療の方法が増えてきています。平均生存期間が約2倍に伸びていることがわかっています。
しかし、完全な治癒が望めないために、最終的に生命にかかわる状態になることがあり、終末期のケアについて、主治医や家族との話し合いが必要になります。
終末期の過ごし方や事前指示書、栄養チューブの使用や管理、痛みの緩和などを十分に主治医と話し合っておく必要があります。
多発性骨髄腫になりやすい年齢や性別
多発性骨髄腫の患者さんの平均年齢は約65歳です。60歳代に多く、40歳以下は多くありません。
日本では1年間で10万に対して5人ほどの発症があるといわれています。やや男性に多い傾向があることがわかっています。
執筆・監修ドクター
経歴2006年 北里大学大学院卒、
2008年 平塚共済病院内科医長を経て小田原銀座クリニックに入職、その後院長に就任。
2013年 12月には当院久野銀座クリニックを開業
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