しんしつひんぱく心室頻拍
心室頻拍の症状
激しい動悸、息切れ、全身の倦怠感があらわれます。
血行動態が悪化すると、めまい、眼前暗黒感、ショック、失神が出現します。
心室頻拍の診療科目・検査方法
心電図、心臓超音波、心臓カテーテル検査を行います。
症状がみられた場合は、早急に循環器内科を受診する必要があります。
心室頻拍の原因
陳旧性心筋梗塞(※1)と拡張型心筋症(※2)、肥大型心筋症(※3)等の心筋症が代表的な原因です。
そのほか、催不整脈性右室心筋症(※4)、心サルコイドーシス(※5)、特発性心室頻拍もあります。
心室頻拍の予防・治療方法・治療期間
血行動態が安定している場合は薬剤治療を始めに試みる場合もあります。
血行動態が不安定な場合はカルディオバージョン(※6)、頻拍停止後はアミオダロン(※7)などの薬物投与をします。
治療期間は原因によって大きく異なります。
心室頻拍の治療経過(合併症・後遺症)
治療は可能です。
心室頻拍になりやすい年齢や性別
罹患数を特定できるデータはありません。
年代や性差も原因によって大きく異なります。
編集部脚注
※1 陳旧性心筋梗塞(ちんきゅうせい-しんきんこうそく)
陳旧性心筋梗塞は、「発症から30日以上が経過して、壊死した部位が繊維化・安定した心筋梗塞」です。
症状も安定していますが、慢性心不全の原因になり得るので、楽観はできません。
ちなみに、心筋梗塞は「心臓の筋肉に酸素・栄養を運ぶ動脈―冠動脈が詰まった状態」です。
当然、詰まった場所から先には、血液は届きません。酸素・栄養が得られなくなった部位は壊死します。
発症から間もない心筋梗塞を「急性心筋梗塞」、発症から30日以上が経過した心筋梗塞を「陳旧性心筋梗塞」と呼びわけています。
※2 拡張型心筋症
拡張型心筋症は、「心臓が大きく広がる病気」です。
心臓の筋肉―心筋の収縮力が低下し、心臓が拡張します。
心臓が大きくなりすぎると、心筋は伸びきったゴムのようになります。
筋力が低下することで、血液を送り出す力は徐々に失われていきます。
心臓は「拡張⇔収縮」を繰り返すことで、全身・肺に血液を送り出しています。
収縮力が落ちれば、心機能は低下していきます。
※3 肥大型心筋症
肥大型心筋症は、「心筋が肥大する病気」です。
心臓を動かす筋肉―心筋が厚くなります。
心筋は内側に向かって肥大しますので、心臓内部の空間が狭くなります。
心臓は「拡張⇔収縮」を繰り返して、血液を送り出します。しかし、心筋が肥大すると、心臓内部の空間がうまく広がらなくなります。心臓が送り出すのは、心臓の中にある血液です。心臓の内部空間が狭くなれば、血液を循環させる効率も低下します。
※4 催不整脈性右室心筋症(さい-ふせいみゃく-せい-うしつ-しんきんしょう)
催不整脈性右室心筋症(ARVC)は、「右心室の心筋が一部、脂肪化・繊維化する病気」です。
右心室は、「静脈血を肺に送り出すための部屋」です。ARVCでは、右心室の機能に問題が起こります。
遺伝子変異を原因として右心室の心筋が変質し、
・右心室の拡大
・右室に起因する不整脈
・心不全
などの症状を引き起こします。
※5 心サルコイドーシス
心サルコイドーシスは、「サルコイドーシスのうち、心臓病変を認めるもの」を指します。日本では、サルコイドーシスの約10%に心臓病変が見られます。
まず、サルコイドーシスは、国の指定難病にもなっている病気です。全身のさまざまな臓器に「肉芽腫(にくげしゅ)」と呼ばれる病変が生じます。
サルコイドーシスでは、皮膚、筋肉、心臓、肺、骨、眼など、至るところに病変が出る恐れがあります。心臓に病変が現れた病態を「心サルコイドーシス」と呼んでいます。日本においては、サルコイドーシスで死に至る場合は心臓病変に起因する例が多くなっています。
発症メカニズムは未だにはっきりと解明されていませんが、「プロピオニバクテリウム・アクネス(アクネ菌)」が関与しているという見方が有力になっています。
※6 カルディオバージョン
カルディオバージョンは、「頻脈性不整脈を治療するための電気的刺激」です。
致死性不整脈に対して実施する電気的刺激を「電気的除細動」と言いますが、頻脈性不整脈に対して実施するものは「カルディオバージョン」と呼びます。電気的除細動とカルディオバージョンの2つを指して、「カウンターショック」と総称します。
※7 アミオダロン
アミオダロンは、抗不整脈薬の1つです。
ほかの薬剤が奏効(そうこう:効果を発揮すること)しない不整脈に対しても、有効性が期待できます。
執筆・監修ドクター
経歴2005年 日本医科大学医学部医学科 卒業
横浜市立市民病院
日本医科大学医学部付属病院
2008年 国際親善総合病院内科
2009年 国家公務員共済組合連合会 虎の門病院循環器センター内科
2011年 湘南鎌倉総合病院 心臓センター循環器科
2014年 スイス留学・チューリッヒ大学病院循環器内科
2015年 日本医科大学医学部付属病院 循環器内科
医療法人笹野台内科 院長
2019年 5月より二俣川内科・循環器内科クリニック 院長
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