皮膚の病気一覧

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日焼け

【監修】北村 聖 先生(東京大学医学教育国際協力研究センター教授)

日焼けにはどうしてなるの?

「日焼け」は日光を浴びて皮膚が赤くなったり褐色になったりする症状で、「日光皮膚炎」の1つです。
「日光皮膚炎」には、「日焼け」の他に日光に当たることで皮膚炎を誘発する「光線過敏症」があります。
いずれも太陽にさらされた皮膚が紫外線(UV)の刺激を受けることで起こります。

日焼けにはどうしてなるの?

太陽光線に含まれる紫外線は、その波長によって紫外線A波(UVA)、B波(UVB)、C波(UVC)に分けられますが、その中で地上に届く紫外線A波とB波が主に「日光皮膚炎」の原因です。

紫外線の種類

紫外線の種類特徴肌に与える影響
紫外線A波
(UVA/長波長紫外線)
地表に届く紫外線の約90%を占めます。ガラスを通過する性質があります。皮膚の深い部分まで到達し、肌を赤くする作用は少なく、肌を黒くする作用をもたらします。皮膚の真皮に届くため、弾力やハリを保つための膠原線維(コラーゲン)や弾力腺維(エラスチン)を変性させ、皮膚の老化を早めます。
紫外線B波
(UVB/中波長紫外線)
紫外線Aよりも強力な刺激を肌に与えます。皮膚の比較的浅いところまでしか届きませんが、赤くヒリヒリと炎症を起こす原因となります。皮膚細胞の遺伝子DNAに傷をつけ、シミやしわを作ったり、大量に浴びることで皮膚ガンを発生させたりすることもあります。
紫外線C波
(UVC/短波長紫外線)
波長の短い光線で、オゾン層によって吸収されるため地表に届くことはほとんどありません。仮に皮膚に当たった場合、紫外線A波、B波によりもはるかに皮膚ガンをもたらす光線とされています。今後、環境問題となっているオゾン層の破壊が進行すれば、紫外線C波の影響も心配されます。

紫外線B波に要注意

日光が体にもたらす悪影響のほとんどは紫外線B波によるものです。紫外線B波は、日焼けによる炎症、皮膚の早期老化、しわ、シミ、皮膚がんなどの原因とされています。
日本の夏は、冬の約5倍近い紫外線B波が地表に降り注ぎます。紫外線量は時間帯では午前10時から午後2時ごろまでが最も多く、正午前後がピークとなります。
太陽からの直射に加えて、地表からの反射(※)も十分に注意が必要です。

※地表からの紫外線反射に注意が必要な場所:海やプール、スキー場のゲレンデ、コンクリートで鋪装された道路など

サンバーンとサンタン

日焼けをして皮膚が赤くなった後、4~5日経つと赤かった皮膚が褐色に変わっていきます。
皮膚が赤くなる日焼け直後の状態をサンバーン(sunburn)、褐色の色素沈着が起こる反応をサンタン(suntan)といいます。
サンタンは皮膚の色素細胞(メラノサイト)が紫外線に刺激されてメラニン色素を作ることによって起こります。

メラニン色素は、紫外線を吸収することで、その攻撃から皮膚を守り、DNAに傷がつかないようにしています。
紫外線に対してサンバーンを起こしやすいのは、色素細胞が少ない白い肌の人です。
自分の肌が紫外線に対して、どのような感受性をもっているかを知って、日常生活で適切な紫外線対策をすることが大切です。

日焼けってどんな症状?

日焼けは日光によるやけどです。主に紫外線B波(UVB)が関係しています。紫外線に当たったところの皮膚が赤くなって痛み、ひどい場合は皮膚が腫れて水ぶくれができることもあります。日焼けをして数時間たったころから症状が現れ、24時間後に最も強くなります。
日焼けがひどい場合には、発熱、悪寒、脱力などの症状が起こることもあります。熱射病を合併することもあり、その場合には入院して治療が必要になります。

光線過敏症の症状は?

光線過敏症には、薬剤などが要因となる外因性と遺伝疾患や代謝疾患などによる内因性の2つがあります。
主に紫外線A波(UVA)が関係しています。

外因性(主なもの)

光線過敏型薬疹:個人差により、薬を飲んでいると普通に生活しているだけで、日光が当たるところに発疹ができることがあります。
降圧薬(血圧を下げる薬)、抗菌薬(化膿止めの薬)、消炎鎮痛薬(痛み止め・熱さましの薬)などで起こります。

内因性(主なもの)

多形日光疹(たけいにっこうしん):女性や日光に当たる機会があまりない人に多くみられます。
症状としては、日光に当たった腕や手の甲などに複数の発疹が生じます。食べ物や薬剤などの中に紫外線を過敏にする物質(光感作物質)が含まれていて、それらを摂取した場合に少量の紫外線にも反応して炎症を起こします。

慢性光線性皮膚炎

中年以上の男性に多く、日光が当たったところに激しいかゆみを伴う慢性的な発疹で、日光が当たらない状態になると数時間で消えます。皮膚の広範囲にできると、頭痛、体力減退、吐き気などを伴う場合もあります。

他には、全身性エリトマトーデス(膠原病)が原因となって、日光に当たった皮膚が損傷を受ける光線過敏症などがあります。

検査方法は?

紫外線の影響を受けた場合、光線過敏症かどうかを調べるため、紫外線を皮膚の一部に当てて反応を観察する光線検査を行うことがあります。

この検査では、どの程度の光量や波長で紅斑(光の当たったところだけ生じる赤み)が出現するか、光線を当てることで実際に皮膚にできた発疹と同様の発疹ができるかなどを観察して判定します。

日焼けの診断

日焼けは、日光に長く当たったという経過、境界がはっきりした炎症、露出した部分の赤み、もしくは水ぶくれという症状から容易に診断ができます。
皮膚が露出した部分だけに発疹ができた場合は光線過敏症を疑います。

日焼けの治療方法は?

日焼けをした皮膚は早めの治療が大事です。熱を帯びてヒリヒリした患部に冷たい水を含ませたタオルなどをあてがいます。
治療薬は皮膚の痛みや炎症に応じて、非ステロイド性消炎鎮痛薬や副腎皮質ステロイド薬を使います。
日焼けが広範囲に及んでいたり、痛みが強すぎたり軟膏を塗ることができない時は、スプレータイプの薬を使う場合もあります。

日焼けした皮膚は数日のうちに自然に治りはじめますが、完全に元の状態に戻るには数週間かかります。
炎症が治まった後も、皮膚は乾燥した状態になっているので、化粧水や乳液などで水分と油分を補うことが必要です。

日焼けの治療薬

  • ・非ステロイド性消炎鎮痛薬
    ・シクロオキナーゼ活性阻害
    ・OTC薬外用薬(インドメタシン・ケトプロフェンなど)
    ・副腎皮質ステロイド薬
    ・酸化亜鉛
    ・グリチルリチン酸
    ・グリチルレリン酸

光線過敏症の治療方法は?

光線過敏症の治療薬としては、軽症の場合は抗アレルギー薬、重症の場合は副腎皮質ステロイド薬、免疫抑制薬を使います。
外出時には、直射日光を避け、肌に合ったサンスクリーン剤(日焼け止め)を使用することが大切です。
サンスクリーン剤は、紫外線を吸収する「紫外線吸収剤」と紫外線を反射させる「紫外線散乱剤」を主成分として構成されています。

紫外線吸収剤

紫外線を吸収して熱エネルギーに変えることで、紫外線が皮膚の中に入るのをくい止める作用があります。
パラアミノ安息香酸誘導体、ケイ皮酸誘導体、ジベンゾイルメタン誘導体など

紫外線散乱剤

物理的に紫外線をはね返す作用があります。
酸化チタン、酸化亜鉛など、肌が荒れたりかぶれたりすることもあるので、肌の丈夫でない人や毎日使用する場合には注意が必要です。

サンスクリーン剤の防御効果は?

サンスクリーン剤は日光をどの程度防げるかを示すSPF(Sun Protection Factor)値とPA(Protection grade of UVA)値という数値によって分けられています。
「SPF値」はサンスクリーン剤を塗っていない素肌と比べて、日焼けするまでの時間を何倍に延ばすことが出来るかという目安の値です。(例/SPF10は、日焼けするまでの時間を10倍に延ばせる)「SPF値」が大きいほど、紫外線B波の防御効果が高くなります。
一方の「PA値」は、+、++、+++の三段階に分かれており、紫外線A波を防御効果の高さで表しています。

SPF値PA値
0~12 … UVB防止効果がある
13~29 … UVB防止効果が高い
30以上 … UVB防止効果が非常に高い
※注意 SPF値が高いと、肌がかぶれたりアレルギー反応を起こしたりする場合があります。
PA+ … UVA防止効果がある
PA++ … UVA防止効果が高い
PA+++ … UVA防止効果が非常に高い
※注意 PA値が高いと、肌が乾燥しやすくなります。

日常の紫外線対策は?

一見健康的にみえる日焼けは、実際には健康上のメリットはまったくありません。
外で活動する場合、皮膚が赤くなる兆候が現れたら、できるだけすぐに日陰に移動してください。

強い直射日光に当たらないようにするために、日傘を使う、サングラスをかける、つばの広い帽子をかぶる、長そでを着る、建物や車の窓ガラスにUVカットフィルムを貼るなどして紫外線対策を心掛けましょう。

食生活にも注意をはらい、普段からビタミンCやEを摂るなどして紫外線に負けない体づくりをすることも大切です。

 

監修/北村 聖 先生
東京大学医学教育国際協力研究センター教授

水ぼうそう

【監修】北村 聖 先生(東京大学医学教育国際協力研究センター教授)

水ぼうそうとは?

水ぼうそうは医学用語で水痘(すいとう)といわれ、水痘・帯状疱疹(たいじょうほうしん)ウイルスの感染による皮膚感染症です。
水ぼうそうは、主に子供が感染する病気で1~4歳ごろに最も多くみられます。健康な子供であれば、この病気に感染しても軽症ですむことがほとんどです。

一方、他の病気などで免疫機能が低下しているような場合、症状が悪化することがあるので注意が必要です。
また、大人になってから感染すると子供が感染した場合より、熱が高くなるなど重症化する場合が多いことが知られています。
水ぼうそうは、1度感染すると免疫ができ、この免疫は生涯続きます。

水ぼうそうに感染したら

水ぼうそうは、ウイルスに感染してから症状が現れるまで約2週間の潜伏期間があります。
また、水ぼうそうが治ったからといってウイルスがいなくなるわけではありません。ウイルスは、知覚神経の神経節に隠れていつまでも潜伏し続けます。

しかし数十年後、加齢による体力低下、または大きなストレスや病気などで体の免疫力が低下すると、ウイルスは神経節から出てきて増殖しようとします。このため「帯状疱疹」が起こると考えられています。

水ぼうそうは、冬から春にかけて流行がみられ、保育園や幼稚園などで集団発生する場合があります。子供が水ぼうそうに感染した場合、治るまで他の子供たちとの接触は避けるようにしましょう。

水ぼうそうの症状と現れ方

水ぼうそうの症状は、全身に小さな赤い発疹(ほっしん)や水疱(すいほう)が現れ、強いかゆみや発熱がみられます。

発疹

最初に赤くて小さい発疹が、体の中心あたりに2~3個現れます。それから半日くらいの間に頭、顔、腕、足などの全身に広がります。
また、口の中やまれにまぶたと目の結膜に現れることもあります。

発疹は1日経つと、強いかゆみを伴う水疱に変わります。最初の発疹が現れてから3~4日の間に新しい発疹が次々と現れて、水疱に変わります。水疱は、3~4日経つと乾いてかさぶたに変わるため、病気のピーク時には、発疹と水疱、かさぶたが入り混じった状態になります。そして、すべてのかさぶたが自然にはがれ落ちるまで約3週間かかります。
※水疱を潰したり、かさぶたをかきむしったりすると細菌感染を起こして化膿する場合があるので注意してください。
※水疱にはウイルスがたくさん含まれているので、直接手で触れないようにします。触れた場合は、すぐに手を洗うようにしてください。

発熱

発疹が現れると、同時に発熱します。10歳くらいまでは熱もそれほど高くなく、37~38度が3~5日間続きます。
発疹の数が多いほど熱は高くなる傾向にあり、重症になると39度前後の熱が1週間近く続く場合があります。
また、新しい発疹が現れなくなると熱は徐々に下がります。

発熱

水ぼうそうの検査と診断

検査

水ぼうそうの場合は、問診と視診以外に特別な検査はありませんが、幼児や小児の場合、家族が経過を把握して、しっかりと医師に伝えることが大切です。
また、確定診断のために血液検査でウイルスの抗原や抗体を調べたり、水疱からウイルスを特定したりすることもあります。

診断

発疹、水疱、かさぶた、またはそれに伴う強いかゆみ、発熱、年齢という特徴的な症状により診断されます。
水ぼうそうは法定伝染病とされているため、医師の許可が出るまで幼稚園や小学校は休まなければなりません。

水ぼうそうの治療法とは?

水ぼうそうの治療には、対症療法と抗ウイルス療法があります。

対症療法

かゆみを和らげる治療

「フェノール亜鉛華軟膏の外用」「抗ヒスタミン薬の使用」
外用薬は水疱を破らないように注意して、丁寧に塗ります。水疱が破れても、手で直接触れないように綿棒を使うといいでしょう。

細菌感染を防ぐ治療

「抗生物質の使用」
かゆみで皮膚をかきむしったりした場合、細菌感染で化膿することがあり、その際には抗生物質が使用されます。

抗ウイルス療法

「抗ウイルス薬(アシクロビル・バラシクロビル)の使用」
抗ウイルス薬は、体内でウイルスが増殖するのを抑制する作用があります。
発症48時間以内に服用すると、発疹や水疱が少なくなり軽症ですみます。
抗ウイルス薬は、必ず医師の指示を守って服用してください。

治療上の注意とケア

水ぼうそうを治療する上で注意しておきたいポイントと、ケア方法には下記のようなものがあります。

●発疹や水疱をかきむしらないようにするため、子供の爪は短く切ります。できれば手袋をするとよいでしょう。子供の手にもウイルスがついている場合があるので、よく洗って清潔にします。
●食事は食欲があれば何を食べてもかまいませんが、口の中に発疹があると痛むので喉越しのよいヨーグルト、ゼリー、麺類などにします。
●水疱がかさぶたになるまでは入浴を控えます。お尻や外陰部にできた水疱は、かさぶたになりにくいのでシャワーなどで洗い流し、清潔にして他の細菌感染を起こさないようにしましょう。
●水疱が潰れると衣類や寝具が汚れます。下着やパジャマ、シーツや枕カバーなどはこまめに替えるようにしましょう。
●水疱が現れている間は、人への感染力を持っています。全ての水疱がかさぶたになるまでは外出を控えるようにしましょう。

※市販の解熱剤には、アスピリンなど子供に強い副作用(ライ症候群:激しい嘔吐や痙攣(けいれん)などが起こり、生命の危険がある病気)が現れる可能性のある成分が入っているため、服用する場合は必ず医師に相談してください。

水ぼうそうの予防方法

予防法の第一は、水ぼうそうのワクチン接種を受けることです。このワクチンは副作用がほとんどなく安全性が高く、受けておいたほうがよいとされる任意接種になります。

水ぼうそうは非常に感染力が強く、ワクチンが使用されるようになるまでは(1995年)、子供の約90%が15歳までにこの病気にかかるといわれていました。現在では、ワクチンの普及で年間の水ぼうそう患者数は約70%も低下したといわれています。

ワクチンは、1歳から接種できるものの、費用は自費となります。
一方、このワクチンは、免疫をつくる作用があまり強くないため、100%の効果はありません。接種後に乳幼児の1~2割程度に感染がみられる場合がありますが、軽症ですむとされています。
また、アトピー性皮膚炎などで皮膚の弱っている場合、水ぼうそうにかかると症状が重くなるので、ワクチン接種をしたほうがよいといわれています。

注意点

妊婦は水ぼうそうのワクチン接種が禁じられています。また、家族内に妊婦・授乳をしている人がいる場合は医師に相談してください。

 

監修/北村 聖 先生
東京大学医学教育国際協力研究センター教授

虫刺され

【監修】板東 浩 先生(医学博士、内科医)

虫さされとは?

虫さされとは、皮膚が虫に刺されたり触れたりした箇所にできるピンク色や赤色の盛り上がった発疹です。
日常的な「虫さされ」※とは、大きく4つに分けることができます。

1.吸血する

蚊、ブユ、アブ、ダニ、ノミ、シラミ

2.噛む

クモ、ムカデ

3.刺す

4.触れると皮膚が炎症を起こす

毛虫

※砂漠のサソリや、クラゲやヒトデといった海洋生物は除きます。

虫の種類別、症状と対処法

白と黒のシマシマ模様が特徴のヒトスジシマカ、日本脳炎やフィラリアの仲介役となるアカイエカなど、日本には約60種類の蚊が生息しています。
痒みの原因は、血を吸う時に血が固まらないよう注入する唾液です。成虫は普段、花の蜜や果実の汁を吸っていますが、栄養が必要になる産卵の時期に人間や家畜など動物の血を吸います。

刺されてしまった場合は患部を清潔にし、炎症にあわせて市販の虫さされ薬、抗菌薬やステロイドの塗り薬を使い分けます。
また、高熱が出たり潰瘍になったりした場合は、「蚊アレルギー」の可能性があるので皮膚科を受診しましょう。

ブユ、アブ

ブユもアブも、メスだけが人間や家畜などの動物の血を吸います。そのため、蜂とは異なり、自ら人間に寄ってきます。

また、蚊とは異なり皮膚を噛み切って吸血するため、吸血時には痛みをともない、また注入される唾液によってしだいに患部に激しい腫れと痒みの症状があらわれます。
症状は一ヶ月など長期間にわたることもあり、赤いしこりが長く残ることもあります。

ブユやアブに刺されてしまった場合は、皮膚科を受診しましょう。放置すると症状が長引いたり、掻きむしった患部から細菌感染を引き起こしたりする可能性があるため、できるだけ医師の診断と治療を受けた方が良いでしょう。
実際の治療では、抗生物質とステロイド剤、痛み止めなどで治療します。

ダニ

ダニは地球上のあらゆる場所に生息しており、日本では約600種類が知られています。ダニは昆虫ではなくクモに近い仲間(足の数が成虫になると8本になる)で、シラミとノミは昆虫となります。
日常で害が多いのはイエダニです。室内に生息しておりネズミに寄生し、人間の血液を吸います。
ツメダニやトゲダニは体液を吸います。皮膚が柔らかい太ももや腕の内側、腹部などが狙われやすく、痒みを伴う赤い発疹の症状が出ます。

野外ではマダニに注意が必要です。吸血のために1~2週間は患部にくっついたままとなり、無理に引き抜くと頭部が残る、感染症を引き起こすなどのリスクがともなうので、この場合も皮膚科を受診しましょう。

クモ

ほとんどのクモが捕食のために毒を持っています。人を死に至らしめるほどの猛毒を持つクモはいないものの、「カバキコマチグモ」や「セアカゴケグモ」は猛毒を持っているので注意が必要です。
「カバキコマチグモ」は山地を問わず草むらや水田、山林など至る所に生息しています。

クモに噛まれると激痛を伴う腫れの症状があらわれます。そのため、噛まれたらすぐに医師の診断を受けましょう。

ムカデ

ムカデは夜行性で、落ち葉や朽ち木の下など暗い場所に住んでいます。そのため目はほとんど退化していますが、ニオイや振動に敏感で、素早い動きもあわせもっています。かなり強い毒を持っており、トカゲやヒキガエルなどを捕食します。

人間が噛まれた場合は激痛が走って患部が腫れ、しびれを引き起こします。また、蜂に刺されたときのようなショック症状「アナフィラキシーショック」を起こすこともあります。

人間を刺す蜂の代表的なものはアシナガバチ、スズメバチです。ミツバチは養蜂家の方以外の一般人はあまり刺されることはなく、刺されるケースは稀です。蜂の被害は秋の野外レジャーで多く、刺されると患部に激しい痛みを伴い赤く腫れます。

これはハチ毒の刺激作用によるもので、初めて刺された場合は通常1日以内に症状は治まるものの、2回目以降は蜂の毒に対するアレルギー反応があらわれます。刺された直後から蕁麻疹の症状や、1~2日すると強い発赤や腫れが起こります。

人によってはショック症状として「アナフィラキシーショック」を起こし、しびれる、意識喪失、血圧低下などで死に至ることもあります。

ケムシ

蝶や蛾の幼虫(ケムシ/イモムシ)の毛に触れることで、腫れて痒みを起こすことがあります。これは、有毒毛を持つケムシに触れた場合に起こる皮膚炎です。
有毒毛には毒針毛(どくしんもう)と毒棘(どくきょく)があり、毒針毛はドクガ類(ドクガ、チャドクガなど)、毒棘はイラガ類(イラガ、ヒロヘリアオイラガなど)の幼虫にあります。これに触れると、激しい痒みを伴う蕁麻疹のような症状があらわれます。

非常に強い痒みを伴うため、掻きむしって細菌感染してしまい、化膿する恐れがあります。
薬は、抗生物質が配合されたものを使用するのがおすすめです。

虫の種類別、症状と対処法

虫よけを使用するときのマナー

最近ではさまざまなタイプの虫よけが市販されており、レジャーの際や普段のお出かけの時に使用する方も多くいます。
しかし、虫を観察するような昆虫館などの場では、使用を避ける必要があります。虫よけもその場のルールを確認し、状況にあわせて使用するのが良いでしょう。

 

監修/板東 浩 先生
医学博士/内科医

紫外線

【監修】板東 浩 先生(医学博士、内科医)

紫外線とは?

紫外線とは?

紫外線は、太陽の光に含まれる光線のうちの一つです。この紫外線は波長の違いで種類がわかれます。
そのうち、地上まで到着するのがA波(UV-A)とB波(UV-B)です。

A波(UV-A)

A波は波長が長いため、真皮の奥までじわじわと影響を与えます。私たちが浴びる紫外線の4~9割以上がA波です。
ガラスを通り抜けるほどの威力を持っているため、レストランなどの室内にいても窓際なら浴びてしまいます。

B波(UV-B)

波長の短いB波は、A波に比べて量は少ないかわりに強いエネルギーを持ち、皮膚に対する刺激が強いのが特徴です。
日焼けで炎症を起こして赤く腫れ上がるのはこのB波の仕業だといえます。

紫外線トラブルの症状

紫外線によるダメージは蓄積されると、同じ年齢でもシミが多くなったり、ハリがなくなったりと、肌の若々しさに差が生まれてきます。
特にターンオーバーが乱れてくすみがちな肌にシミの発生が重なると、肌の透明感はますますなくなる悪循環に陥り、見た目年齢がさらにダウンしてしまいます。

また、紫外線はシミやそばかす、しわなどを作るだけでなく、最悪の場合「皮膚がん」を起こすなど肌への影響が顕著にみられます。
さらには、目にもダメージを与え、失明に至るともされる白内障を引き起こすこともあります。免疫力を低下させ、感染症などになりやすくなってしまいます。

紫外線トラブルの対策と処置

紫外線を浴びて肌が赤くなったら炎症の証です。水で冷やし、ほてりをしずめましょう。ビタミンEやCを含んだクリームを塗るのもおすすめです。
ビタミンEは炎症をしずめ、ビタミンCは肌の弾力のカギであるコラーゲンの生成にも関与しています。これらの成分を含む食材を積極的に摂るのもよいでしょう。

しかし、紫外線によって水疱ができたり、発熱や頭痛が生じたりしたときは医療機関をしっかり受診しましょう。

ビタミンEの代表食材

玄米、ごま、ピーナッツ、大豆、アボカド

ビタミンCの代表食材

みかん、いちご、緑黄色野菜

紫外線トラブルの予防法

紫外線対策は、まさに見た目年齢の要です。「肌は紫外線で歳をとる」ともいえるため、いま目に見えるトラブルがなくても、紫外線に無防備でいると、数年後は後悔することになりかねません。

日差しの強い弱いに関わらず、夏場はきちんと日焼け止めを使いましょう。首のうしろや手の甲などにもムラなく塗るようにしてください。曇りでも影響はあるため、塗り忘れは禁物です。

日焼け止めにも種類があり、シーンに合わせて選ぶと効果的です。SPFやPAの数値が高いほどガードしてくれますが、肌に負担を感じる方もいるはず。肌質も配慮しましょう。子供は大人と同じ日焼け止めを使うと毛穴をふさいでしまいニキビになりやすいので、子供用を使うことをおすすめします。

 

監修/板東 浩 先生
医学博士/内科医

アレルギー疾患

【監修】板東 浩 先生(医学博士、内科医)

アレルギーとは

身体にとっての異物(抗原あるいはアレルゲン)が体内に入ってきた時、これに対抗する物質(IgE抗体)を作って排除・防御するしくみが身体にはあります(抗原抗体反応)。抗原に対して適切な防御であれば問題ないものの、抗体が体内で増えすぎて本来の防御から逸脱してしまった過剰反応がアレルギーです。

この抗原抗体反応が、鼻の粘膜で起これば「アレルギー性鼻炎」、気管支で起これば「喘息」、腸壁で起これば「食物アレルギー」となります。例えばアレルギー性鼻炎なら、くしゃみや鼻みずなどによって抗原を排除しようとします。

アレルギーには下記の4つの型がありますが、一般的に知られている「アレルギー」とは、主にⅠ型を指しています。

同義語抗原皮膚反応代表疾患
Ⅰ型即時型

アナフィラキシー型

●外来性抗原
ハウスダスト、ダニ、
花粉、真菌、TDI、
TMA(ハプテン)、
薬剤(ハプテン)
即時型
15~20
分で最大の発赤と膨疹
アナフィラキシーショック
アレルギー性鼻炎
結膜炎
気管支喘息
蕁麻疹
アトピー性皮膚炎
花粉症
食物アレルギー
Ⅱ型細胞障害型
細胞融解型
●外来性抗原(ハプ
テン)
ペニシリンなどの薬剤●自己抗原
細胞膜・基底膜抗原
不適合輸血による溶血性貧血
自己免疫性溶血性貧血
特発性血小板減少性紫斑病
薬剤性溶血性貧血・顆粒球
減少症・血小板減少症
Goodpasture症候群
薬剤アレルギー
Ⅲ型免疫複合体型
アルサス型
●外来性抗原
細菌、薬剤、異種蛋白
●自己抗原
変性IgG、DNA
遅発型
3~8時
間で最大の紅斑と浮腫
血清病
糸球体腎炎
過敏性肺炎
慢性関節リウマチ
全身性エリテマトーデス
薬剤アレルギー
アレルギー性気管支炎
Ⅳ型遅延型
細胞性免疫
ツベルクリン型
●外来性抗原細菌
真菌
●自己抗原
遅発型
24~72
時間で最大の紅斑と硬結
接触性皮膚炎
アレルギー性脳炎
アトピー性皮膚炎
過敏性肺炎
移植拒絶反応
結核性空洞
類上皮細胞
性肉芽腫
薬剤アレルギー
ウイルス免疫
臓器移植の拒否反応

【参考】厚生労働省:アレルギー総論

 

上記の通りアレルギーとは身体の反応を表し、また特定のものに対する反応を指します。アトピーとはアレルギーの一種で、Ⅰ型のアレルギー反応によって起こる疾患のことです。そのため、よく耳にするアトピー性皮膚炎や食物アレルギー、喘息も含めて、「アトピー」と総称します。

「アトピー」という言葉の語源はギリシア語に由来しており、「否定型の」「奇妙な」という意味です。まだアレルギーについてよくわかっていなかった時代では、アレルギーと言えばアナフィラキシーショックのことを指していました。アトピー性皮膚炎、アトピー性鼻炎、花粉症、喘息などは、当時はまだアレルギーであると認識されておらず、「アトピー」と言われるようになったのです。

アレルギーとは

アレルギーを引き起こす抗原(アレルゲン)とは?

アレルゲンとなるもの

アレルゲンはいくつかの経路から体内に取り込まれます。
食物性アレルゲンの場合、抗原抗体反応を起こすものは、比較的大きな分子のタンパク質です。タンパク質は消化の過程でアミノ酸に分解・吸収されるため、通常は何も起こりません。

しかし、体調不良などにより消化機能が衰えている場合や、子供だと消化吸収機能が未発達の場合があり、タンパク質が大きな分子のまま腸に到達してしまうため、抗原抗体反応を起こします。
一般的には年齢とともに克服すると言われているものの、身体はこのアレルギーを記憶しているため、治ったとは言えないのです。

また、抗原(アレルゲン)には下記のようなものがあげられます。

吸引性アレルゲン室内ほこり、カビ、ダニ、畳、ソバガラ、ペットの毛、衣服、寝具(綿、絹、羊毛、羽毛)
建材に使用されている化学部質(ホルムアルデヒド、VOCなど)
花粉ブタクサ、カナムグラ、スギ、アカマツ、ススキ、ヒメガマ
カビアルテルナリア、ペニシリウム、カンジダ、クラドシポリウム、アスペルギルス
食物性アレルゲン卵、乳、小麦、そば、落花生、えび、かに、大豆、いか、いくら、鮭、さば、牛肉、鶏肉、豚肉、くるみ、やまいも、オレンジ、キウイフルーツ、もも、りんご、バナナ、ゼラチン、あわび、まつたけ
薬物性アレルゲン鎮痛剤、解熱剤、抗生物質、ホルモン剤、ペニシリン、サルファイト、タートラジン色素
接触性アレルゲン化粧品、塗料、衣服、金属、うるし、ラテックス(ゴム)、寝具類、ヨード、洗剤

【参考】アトピー・アレルギー克服応援ブック

アレルギーを予防するには

日常生活での注意点

アレルギーを緩和するには、アレルゲンを遠ざけることが大切です。アレルギー性鼻炎にしてもアトピー性皮膚炎にしても喘息にしても同様です。

通年性アレルギー性鼻炎の場合は毎日掃除をする、畳ではなくフローリングにする、布団ではなくベッドにする、布製のソファーをやめる、布団やぬいぐるみは毎日ていねいに掃除機をかける、空気清浄機を使用するなどでハウスダストやダニを減らすことができます。
また、犬や猫などのペットは飼わないようにしたり、こまめに布団を干したりすることにも気をつけましょう。

季節性アレルギー性鼻炎の場合は、花粉を避けることが大切です。外出時にはマスクや眼鏡をつける、洗濯物や布団を干した後は、花粉を丹念に払い落とすようにしましょう。

食生活においては和食中心の食事を心がけ、動物性タンパク質と脂質の摂り過ぎに注意が必要です。欧米化した現代の食生活では、卵やチーズ、牛乳や小麦粉などがさまざまなかたちで繰り返し使用されています。
これらを摂取する回数が多ければ多いほどそれがアレルゲンとなる可能性が高くなると言われています。
また、加工食品に頼りすぎた食事も問題となります。和食の場合でも偏らずできるだけたくさんの食材を取り入れましょう。

医師とのつきあい方

「時間とお金をかけてでも大病院の専門医に」という方がいます。しかし、アレルギーは長期的な治療が必要な場合が多く、受診し続けようとすると金銭面だけでなく体力、精神的にも大きな負担となります。
また、混み合っている医療機関の医師も患者数が多くなるにつれて、一人ひとりとじっくり向き合う時間を取れなくなります。その結果、患者さんと医師の双方にストレスがかかり、治療が進まないといった状況になってしまいます。

「大病院や専門外来で最先端の治療を!」と考えて労力とストレスを抱えるよりは、円滑にコミュニケーションがとれて診察の経過も詳しく把握できる、身近なかかりつけ医を受診することも重要です。
小児科や皮膚科の医師はアレルギーを専門としているわけではないものの、適切な医療機関の紹介を受けることができるかもしれません。

アレルギーの検査方法とは

アレルギーの検査方法は何種類もありますが、大きく分けると下記の3つの方法があります。これらは患者さんの年齢や症状、体調、タイミングなどを医師と相談しながら検査を進めていきます。

① 血液検査
血液検査は主に血中の抗体量を調べるためにおこないます。アレルギー性鼻炎や蕁麻疹(じんましん)、ぜんそくなどの特定は可能なものの、接触性皮膚炎などⅣ型の判断には向いていない検査方法です。

② 皮膚テスト
皮膚テストは主にⅠ型のアレルギー検査が目的ですが、その反応からⅣ型のアレルギーであることがわかる場合もあります。実際の検査ではスクラッチテストや皮内テスト(注射)、パッチテストなどをおこないます。

③ 誘発テスト
誘発テストは主に、血液検査や皮膚テストで判定できない型のアレルギーのアレルゲンを調べるためにおこないます。検査内容は経口負荷試験、吸入誘発テストなどがこれに該当します。

 

監修/板東 浩 先生
医学博士/内科医

ジカ熱とジカウィルス

【監修】板東 浩 先生(医学博士、内科医)

ジカウィルス感染症とは?

「ジカウィルス感染症」は、蚊を媒介にして感染する病気です。この感染症は、中南米を中心に感染者が多数発生していること、妊婦の感染による胎児の小頭症との関連が示唆されていることから、特に流行地域への渡航者に対して注意が呼びかけられています。

海外への渡航を考えている人で、妊娠中またはその予定がある人には知っておいてもらいたい情報です。

ジカウイルス感染症の症状と診断

ほとんど症状が見られない

感染しても8割の人は症状がないか、症状が軽いため気づきにくいのが特徴です。潜伏期間は2日~12日程度で発症し、発熱、頭痛、眼球結膜充血、皮疹、筋痛、関節痛といった症状がみられます。デング熱や、日本ではあまり知られていないチクングニア熱の症状によく似ている感染症です。

診断について

ジカウイルス感染症は、国内ではまだ感染症例のないウイルスのため、通常の診療所や病院では検査の中に含まれていません。医師が必要性を考えた場合にのみ、他の感染症の可能性も考量して検査します。

【参考】 「蚊媒介感染症専門医療機関一覧」一般社団法人 日本感染症学会

ジカウイルス感染症の予防

ジカウィルス感染症の予防には、流行エリアに行かない、蚊にさされやすい時間帯に外での活動を避ける、刺されないようする虫除け剤や長袖の服、蚊帳などの備えが重要です。 感染した人と同じ場所にいても感染することはありませんが、血液や体液での感染が疑われる例が報告されています。

疑問や不安がある方は出発前にトラベルクリニック等でご相談ください。

蚊に刺されない対策

  • ・肌を露出しない長袖、長ズボンを着用する
  • ・素足でのサンダル履きを避ける
  • ・白など薄い色のシャツやズボンを選ぶ(蚊は色の濃いものに近づく傾向がある)
  • ・露出する部分には虫除けスプレーなどを使い、蚊を寄せ付けないようにする
  • ・蚊取り線香などを使って蚊を近づけない

など

妊娠中女性のジカウイルス感染症と新生児の小頭症との関連

妊娠女性に対するジカウイルス感染症と小頭症との関係が、時間的・地理的関係が一致していることから示唆されています。ブラジルでは、2015年10月から2016年3月の間で、小頭症または中枢神経奇形の2,212例を調査したところ、863例がジカウイルスに感染していたというデータがあります。

そのほかカーボベルデ共和国、フランス領ポリネシアにおいてもジカウイルス感染と小頭症新生児の関連性が報告されており、世界保健機関(WHO)は、2016年3月8日、妊婦は流行地域への渡航をすべきでないと勧告しています。

ジカ熱の流行地域と感染経路

主な媒介は日本でも身近な「蚊」

ジカウイルス感染症は、「蚊」によって媒介(ばいかい)される感染症です。日本国内での感染はまだ確認されていませんが、フランス、イタリア、アメリカ合衆国といった、媒介する蚊が存在していない国でも感染が報告されており、輸血・性交渉によって感染する可能性があります。
流行地域への渡航歴のない方への感染や、精液からのジカウイルス遺伝子検出も報告されているため、流行地域から来た渡航者との接触は気をつけましょう。

【参考】 「ジカウイルス感染症のリスクアセスメント」国立感染症研究所

 

監修/板東 浩 先生
医学博士/内科医

帯状疱疹

【監修】板東 浩 先生(医学博士、内科医)

帯状疱疹ってどんな病気?

帯状疱疹の主な症状と発症率

帯状疱疹は水ぼうそうと同じ原因ウイルスで発症し、症状も似ています。違う点は、帯状疱疹には「強い痛み」が伴うことが一つ挙げられます。
水ぼうそうはほぼ1週間で症状がおさまるのに対して、帯状疱疹は約3週間から1ヶ月程度長引きます。

帯状疱疹と水ぼうそうは水痘(すいとう)・帯状疱疹ウイルスによって引き起こされます。
水ぼうそうは一度かかると生涯に渡ってウイルスに対する免疫がつくため、再発する可能性は低くなります。
しかし、ウイルス自体は体(神経)の中に残っており、免疫力が低下したときに帯状疱疹として再発する人もいます。帯状疱疹の発症率は6人に1人程度だと言われています。10年前に比べ、発症率は高まっているという研究データもあります。

帯状疱疹ってどんな病気?

帯状疱疹の治療や痛みの期間

帯状疱疹は一般的に完治まで約3週間から1ヶ月程度かかります。皮膚症状を伴うため早い段階から病院に通い、抗ウイルス薬を飲みはじめることで、あとが残らずに済みます。

帯状疱疹によって起こる皮膚の症状は、チクチクとした痛みからはじまり、発疹・水ぶくれができ、かさぶたになって治っていきます。
ほとんどの場合、皮膚の症状が消失していくとともに痛みもなくなっていきます。

家族へのリスク

帯状疱疹は通常、ほかの人にうつることはあまりありません。一度水ぼうそうになっている場合、抗体を持っているので空気や接触感染のリスクは少なくなります。
しかし、水ぶくれの中には原因となるウイルスが存在しており、水ぼうそうにかかったことがない人が患部に触れてしまうと、病気がうつってしまう可能性があります。
そのため、水ぶくれが乾燥して治るまでは、まだ水ぼうそうにかかったことのない赤ちゃんや子供、妊婦さんには接触しないほうがよいといえます。

板東浩先生
 【監修医】医学博士 / 内科医: 板東浩 先生
 1957年生まれ。
 1981年 徳島大学を卒業。
 ECFMG資格を得て、米国でfamily medicineを臨床研修。
 抗加齢医学、糖質制限、プライマリ・ケア、統合医療などの研究を行う。

アレルギー疾患とうつ

【監修】北村 聖 先生(東京大学医学教育国際協力研究センター教授)

アレルギー性疾患とこころの不調

アレルギー性疾患は、治療が長期にわたる慢性的な病気のひとつです。
そのため、治療の見通しへの不安や生活の質(QOL:Quality of Life)の低下などから、大きなストレスを感じてしまう傾向がみられます。特にアトピー性皮膚炎では皮膚の赤みなどが気になり、外出するのが憂うつになってしまうことも考えられます。

そのまま放っておくと抑うつ状態になり、治療への意欲が低下したり症状の悪化をもたらしたりする場合もあります。
アレルギー性疾患に伴うこころの不調は、かかっている病気に隠れて気づかれにくく、患者さんが一人で悩みをかかえてしまうことも少なくありません。

アレルギー性疾患の治療の過程で「なぜか治療への意欲がわかない」などのこころの不調を感じたら、まずは担当医に相談してみましょう。

こころの不調を伴いやすいアレルギー性疾患とは?

アレルギー性疾患の中でも、アトピー性皮膚炎と喘息(ぜんそく)は、治療が長期にわたって肉体的な負担も少なくないことから、こころの不調を伴いやすいといわれています。
アトピー性皮膚炎と喘息についての概要は下記の通りとなります。

アトピー性皮膚炎

症 状発疹、かゆみ など
原 因主に、アレルギーの原因物質である抗原(アレルゲン)により引き起こされる。気温や湿度の変化、衣類などでこすれたときの刺激、ストレスなどが誘因となる
検査と診断抗原を特定するために血液検査や皮膚反応検査を行う
治療法ステロイド外用薬やタクロリムス水和物軟膏薬で炎症を抑える。
かゆみの強い場合は抗ヒスタミン薬や抗アレルギー薬を服用する
アトピー性鼻炎

喘息

症 状喘息発作、せき、喘鳴(ぜんめい)(※1) など
原 因気道(※2)が炎症を起こし、収縮することによって発症する。主に、アレルギーの原因物質である抗原(アレルゲン)によって引き起こされるが、風邪やストレスが誘因となる場合もある
検査と診断抗原を特定するための血液検査や皮膚反応検査に加えて、スパイロメーター(肺活量計)を用いた呼吸機能の検査を行う
治療法主に吸入ステロイド薬を使用し、気道の炎症を抑えて喘息発作を予防する。喘息発作が起こった場合には、気道を拡げて呼吸を楽にするためにβ2刺激薬を使用する。重症の喘息には、経口ステロイド薬を使用する

※1喘鳴・・・ゼイゼイ、ヒューヒューというような雑音のある呼吸
※2気道・・・気管支や肺など、呼吸するときの空気の通り道

アトピー性皮膚炎とこころの不調

アトピー性皮膚炎によるかゆみのために、発疹患部位をかくことを「掻破行動(そうはこうどう)」といいます。
掻破行動は、人間関係や仕事などのストレスによっても誘発されます。

なかには、かゆくないにもかかわらず、ストレスを一時的に解消するためにかき、その結果、症状が悪化してしまうケースも見受けられます。
こうしたケースでは、症状の改善のためにストレスの除去が不可欠です。

抑うつ状態の有無を診断するために「アトピー性皮膚炎用心身症尺度」という質問表を用いる場合もあります。
また、アトピー性皮膚炎と抑うつ状態では、ともに睡眠障害が見受けられます。

さらに、その特徴に違いがあり、前者はかゆみのために寝つけない入眠困難型が、後者は早朝に目が覚めてしまう早朝覚醒型が多いといわれています。
そのため、アトピー性皮膚炎で早朝に目が覚めるという場合は、抑うつ状態を伴っている疑いがあります。

喘息とこころの不調

患者さんの心理状態を把握するために「気管支喘息症状調査票」などの問診表を用いる場合もあります。
問診表は点数化されており、点数が高いと抑うつ状態を伴っていると診断されます。
特に、小児から喘息を発症し長い間患っている場合は、治療の見通しへの不安から抑うつ状態を伴う頻度が高いといわれています。

また、抑うつ状態を伴う喘息では喘息発作がないにもかかわらず、早朝覚醒型などの睡眠障害が起こる場合があります。

こころの不調を伴う場合の治療法

まずはそれぞれの病気に適切な治療を行って、ストレスの軽減やQOLの向上を図ることが大切です。
それでも効果がみられない場合は、主にSSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)を使用した薬物療法を行います。
SSRIは、第3世代の抗うつ薬で、精神を安定させる脳内物質(セロトニン)のバランスを整えます。

比較的副作用も少なく、安全性も高いといわれているため、精神科や心療内科以外の医師でも使用しやすい薬剤とされています。
そのため、皮膚科や呼吸器内科の担当医から心身両方の治療を受けることも可能です。
また、必要に応じて精神科や心療内科などの専門医を紹介される場合もあります。

アトピー性皮膚炎で抑うつ状態を伴うと、睡眠障害が強く現れる傾向にあります。
睡眠が浅いと掻破行動が激しくなる恐れがあるため、ベンゾジアゼピン系短時間型睡眠薬を併用する場合もあります。
ベンゾジアゼピン系薬は呼吸抑制作用もあるため、抑うつ状態を伴う喘息には、あまり使用しません。

日常生活におけるセルフケアとは?

アレルギー性疾患やそれに伴うこころの不調を改善するためには、日常生活におけるセルフケアも大切です。
下記のようなポイントを抑えながら、できることから始めてみましょう。

上手にストレス解消

不安によるストレスは、症状の悪化や抑うつ状態を招く恐れがあります。好きな音楽を聴いてリラックスするなど、上手にストレスを解消しましょう。
規則正しい生活習慣を身につけてストレス耐性を高めることも大切です。

周囲の人に相談

一人で悩まず信頼できる人に相談してみましょう。ほかの患者さんと交流がもてる勉強会などに参加するのもよいでしょう。
人に話すことで気持ちが楽になったり、ほかの患者さんの体験や治療への取り組みを聞くことで、治療への意欲がわいたりすることもあります。

症状日記をつける

掻破行動や喘息発作が起こるパターンを把握し、予防するためには症状日記が有効です。
掻破行動や喘息発作が起こったきっかけや時刻、症状の強さなどについて記録しましょう。
喘息ではピークフローメーター(最大呼気流量計)(※)を使用して、起床時と就寝時に呼吸機能をチェックし、記録しておくとよいでしょう。

※ピークフローメーター:深く息を吸って一気に吐き出した時の最速値を測定する器具。手に持てるほどの大きさで、取り扱いは簡単。比較的安価で市販されている

家族や周囲の人が気をつけること

抑うつ状態を伴ったアレルギー性疾患の治療には、家族や周囲の人々の理解が必要です。
下記のことに注意して、適切な治療が行えるようサポートしましょう。

聞き役に徹する

患者さんが自分の悩みや不安を打ち明けたときには、あれこれ質問したり意見を述べたりせず、聞き役に徹して静かに耳を傾けましょう。

励ましは厳禁

「頑張って」などの励ましは、かえって患者さんに負担をかけてしまいます。つらい気持ちを理解し、共感する言葉をかけ、気持ちを楽にしてあげるよう心がけましょう。

ゆっくり休養できる環境づくり

仕事や家事・育児などは分担して、患者さんが気兼ねなくゆっくりと休養できるような環境を整えましょう。

服薬のサポート

自己判断による薬の中断や飲み忘れ防止のために、医師の指示どおり服薬しているかを確認しましょう。患者さんの服薬後の変化も観察し、医師に伝えましょう。

気長に見守る

一見元気に見えても、精神面がまだ不安定だという場合も少なくありません。あせらず気長に患者さんを見守ってあげましょう。

 

監修/北村 聖 先生
東京大学医学教育国際協力研究センター教授

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