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しいたけ皮膚炎とは
しいたけ皮膚炎(しいたけひふえん)とは、椎茸(特に加熱不十分のもの)を食べてから、数時間~4日以内に発症することが多い皮膚炎です。
それまで椎茸を食べて体になんらかの異変が生じた経験がなくても、発症することがあります。椎茸に含まれる特定の成分(レンチナン、チロシン、チロシナーゼなど)が、原因物質として挙げられています。
それらに対して生じるアレルギー反応ではなく、一度だけ発症し、その後は何の問題もおこらない患者さんもいます。
また、バーベキューパーティーのように大勢で椎茸を食べる機会の後、集団で発症した事例もあります。
しいたけ皮膚炎の症状
しいたけ皮膚炎は、胸、腹、背中を中心に、激しいかゆみをともなう発疹が生じます。発疹は線状で、ムチで叩かれたり、爪などで引っ掻かれたりした痕のようにも見えます。
かゆさのあまり、患部を掻くと、その部分の皮膚が盛り上がったり(丘疹:きゅうしん)、境界が明確な赤い発疹(紅斑:こうはん)が残ったりすることがあります。
また、発疹のない部分に刺激が加わったのをきっかけに、その場所に新たな発疹ができる現象(ケブネル現象)もみられます。
しいたけ皮膚炎の診療科目・検査方法
しいたけ皮膚炎自体は、命にかかわるものではありません。ただし、重症な薬疹や内臓疾患、皮膚筋炎といった、ほかの病気にかかっている恐れもあります。
発疹が生じたときには、自己判断せず、早めに皮膚科を受診し、治療を受けましょう。
問診
発症までの数日間に、椎茸を食べたかどうかを確認します。
視診
しいたけ皮膚炎の際に生じる症状(線状の発疹)があるかどうかを確認します。
しいたけ皮膚炎の原因
しいたけ皮膚炎は、椎茸に含まれる、熱に対して不安定な性質の成分が原因とみられています。
「よく加熱すれば大丈夫」という考えもありますが、十分に加熱した椎茸を食べて発症した例もあり、まだはっきりとはしていないのが現状です。
加熱不十分の椎茸を食べる以外にも、乾燥椎茸の戻し汁を未加熱で飲んだり、味付けされた乾燥椎茸のスナック菓子を食べたりする行為も発症の原因となります。
しいたけ皮膚炎の予防・治療方法・治療期間
しいたけ皮膚炎は多くの場合、外用薬(ステロイド剤)や、内服薬(抗ヒスタミン剤)での治療となります。患部のかゆみが激しいようなら、ステロイド剤を短期間内服することもあります。
症状の程度や、個人差によっても異なりますが、外用薬と内服薬の併用で、多くは1週間~10日ほどで治ります。
しいたけ皮膚炎の治療経過(合併症・後遺症)
しいたけ皮膚炎が治った後は、椎茸を食べる度に繰り返し発症するとは限りません。しかし、二度と発症しないということでもありません。
しいたけ皮膚炎になりやすい年齢や性別
しいたけ皮膚炎の患者さんの数について、具体的な統計などは見当たりません。ただし、夏頃(バーベキューの季節)に多い傾向があります。
また、以前、テレビ番組で「乾燥椎茸の戻し汁を飲む」という健康法が紹介された後に、患者さんの数が増えたという報告もあります。
老若男女を問わず、誰にでも発症する恐れがあります。
参考・出典サイト
執筆・監修ドクター

経歴北里大学医学部卒業
横浜市立大学臨床研修医を経て、横浜市立大学形成外科入局
横浜市立大学病院 形成外科、藤沢湘南台病院 形成外科
横浜市立大学附属市民総合医療センター 形成外科
を経て横浜栄共済病院 形成外科
2014年 KO CLINICに勤務
2021年 ルサンククリニック銀座院 院長 就任
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