疥癬とは
疥癬(かいせん)とは、ヒゼンダニという小型のダニによっておこる皮膚の感染症です。
ヒゼンダニは、人間の皮膚の表面にトンネル状の穴を開けて、そのトンネルに卵を産みつけます。その後、卵からかえった幼虫が人間に寄生します。寄生したダニは数匹であっても、赤い小さなブツブツができ、強いかゆみがあらわれます。
人間から人間へとうつることもあります。
疥癬の症状
とても強いかゆみがあらわれます。
ヒゼンダニが皮膚の表面に作るトンネルは、最長1㎝と長く、細い線として目で見ることができます。また、ダニそのものも目に見えることがあります。
強いかゆみがあることから、その部分を強くかいて皮膚を傷つけることで、皮膚への二次感染で細菌感染症がおこることもあります。
手の指の間、手首、ひざの裏、わきの下、乳首など、身体のあらゆる部位に寄生します。ただし、顔面に寄生することはありません。
免疫の機能が下がっている人や、重度の身体障害、もしくは知的障害のある人は、疥癬をきっかけに重い感染症にかかる場合もあります。
疥癬の診療科目・検査方法
主な診療科目は皮膚科です。
通常は、赤いぶつぶつや、かゆみ、ふくらみ、トンネルが目に見えるため、見た目で診断することができます。また、診断が間違っていないことを確かめるために、ダニや卵、糞を顕微鏡で観察することもあります。
血液検査では診断できません。
疥癬の原因
ヒゼンダニは、学校や避難所など、人間の集まる場所に多くいます。
タオル、寝具、衣類などに潜んでいて、そこから人間へと寄生します。ヒゼンダニにとって、人間の体温が生きていくのに適しているからです。逆に、人間の身体から離れると、ヒゼンダニはあまり長生きすることができません。
人間から人間へとうつることもあります。
疥癬の予防・治療方法・治療期間
塗り薬、もしくは飲み薬を使って治療します。
患者さんが乳幼児の場合、塗り薬を目と口の周辺以外の全身に塗ります。患者さんが無意識に手でぬぐい取った塗り薬を口に入れることがないように、それぞれの指ごとに分かれていないミトンの手袋をはめさせることも必要です。
年長の子どもや大人に対しては、何種類かの塗り薬があります。ただし、健康保険が適用されないものもあります。
また、妊婦や授乳中の女性、けいれんを伴う病気を患っている患者さんには向いていないものもあります。そのため、薬を選ぶにあたっては、医師との相談が必要になります。
塗り薬で効果がない場合や、塗り薬を使えない患者さんに対しては、飲み薬を使います。
かゆみに対しては、抗ヒスタミン薬という飲み薬を併せて使います。
疥癬の治療経過(合併症・後遺症)
患者さん本人の治療だけでなく、家族や周囲の人にうつさないようにすることも必要です。
入浴時のタオルなど、肌に触れるものは、ほかの人が使うものと区別するようにしてください。また、パジャマなどは毎日交換しましょう。
ヒゼンダニは、湯を使って洗濯し、高温の乾燥機に入れる、またはアイロンで乾かすと、死に絶えます。また、ドライクリーニングをすることでも死に絶えます。
疥癬になりやすい年齢や性別
乳幼児から、成人まで幅広い年代の人に感染します。
最近では、高齢者施設、病院・療養施設で多くみられる病気とされていて、間をおいた流行がみられます。
参考・出典サイト
執筆・監修ドクター
経歴北里大学医学部卒業
横浜市立大学臨床研修医を経て、横浜市立大学形成外科入局
横浜市立大学病院 形成外科、藤沢湘南台病院 形成外科
横浜市立大学附属市民総合医療センター 形成外科
を経て横浜栄共済病院 形成外科
2014年 KO CLINICに勤務
2021年 ルサンククリニック銀座院 院長 就任
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