花粉皮膚炎とは
花粉皮膚炎(かふんひふえん)とは、花粉が原因でアレルギー反応が起こり、肌荒れを起こす疾患です。
花粉が飛散する時期に発症することが特徴で、乾燥肌やアトピー性皮膚炎の人が発症しやすいといわれています。
花粉症というと、目や鼻に症状が出るのが一般的ですが、同じ花粉症でも目や鼻に症状がなく、顔や首にかゆみなどの症状が出る人もいます。
特に花粉皮膚炎は、あまり知られていない疾患です。しかし、花粉が飛散する時期に肌荒れを起こす場合は、花粉症皮膚炎を疑っても良いでしょう。
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花粉皮膚炎の症状
花粉皮膚炎は、春や秋など、花粉が飛散するシーズンになると、顔や目の周り、首といった露出している部分にかぶれや赤み、発疹ができます。かゆみを伴うこともあり、ヒリヒリと痛みを感じる場合もあります。肌は乾燥気味になります。
顔や首は花粉が接触しやすいため、症状が起こりやすいと考えられています。中でも特に目の周りは皮膚が薄いため、症状が強くあらわれます。
また、もともと乾燥肌の人やアトピー性皮膚炎の人は、症状が悪化しやすいといわれています。
これは肌のバリア機能が低下しているためと考えられます。
花粉皮膚炎の診療科目・検査方法
花粉皮膚炎の検査ではスクラッチパッチテストをおこない、診断が確定されます。
スギ花粉などの抗原となる花粉のエキスを腕の内側に垂らし、その部分の皮膚を引っ掻いて、20分後に血液との反応を観察します。スギ花粉が原因の場合、陽性となることが多いといわれています。
本疾患はかゆみを伴うことがあり、かいてしまうと肌のバリア機能が低下します。症状が軽いうちから治療するため、気になる症状がある場合は皮膚科を受診しましょう。
花粉皮膚炎の原因
花粉皮膚炎はスギ花粉などの花粉が原因です。
また、ブタクサやヨモギなども原因となるため、春だけではなく秋にも発症することがあります。
肌にはバリア機能があり、角質層といわれる皮膚の一番外側の層が、外から異物が侵入しないように肌を守っています。しかし、肌の乾燥やアトピー性皮膚炎があると、角質層がはがれてバリア機能が低下しています。
花粉症皮膚炎はこのバリア機能が低下した肌に花粉が侵入することでアレルギー反応を起こすのです。
花粉皮膚炎の予防・治療方法・治療期間
花粉皮膚炎では、抗アレルギー薬や抗ヒスタミン薬を内服します。皮膚の症状に対しては、ステロイド剤などの外用薬を使用します。
また、日常生活では以下のような花粉に接触しないような対策が大切になります。
- 外出時はマスクやメガネを使用する
- 肌に触れる衣類や布団を外に干さない
- 外出から帰宅したら、すぐシャワーを浴びる
治療期間には個人差があり、明確ではありません。花粉が飛散している時期は、特に注意が必要です。
花粉皮膚炎の治療経過(合併症・後遺症)
花粉皮膚炎は、早めに治療を開始することで、皮膚の症状を悪化させずに済むといわれています。治療後は、保湿剤を使用して肌のバリア機能を保つことが大切です。肌の保湿が大切な理由は、肌が乾燥すると角質に隙間ができてしまい、花粉が肌に侵入しやすくなるためです。
肌の保湿に加えて、免疫力を上げるために寝不足を避け、規則正しく食事をとりましょう。腸内環境を整えると免疫力が上がるといわれています。乳酸菌や食物繊維を摂取するようにしましょう。
予後は良好と考えられます。
花粉皮膚炎になりやすい年齢や性別
花粉皮膚炎は、患者数が明確に分かっていません。環境省による調査では、花粉症の有病率は約30%であると報告されています。
また、男性よりも女性が多いといわれています。女性は化粧や洗顔によって、肌のバリア機能が低下しやすい状態になっています。そのため、花粉が肌に侵入しやすく、発症しやすいと考えられます。クレンジングをしすぎず、肌を保湿して発症を予防しましょう。
発症しやすい年代は明らかになっていませんが、比較的若い人に多いといわれています。
執筆・監修ドクター
経歴北里大学医学部卒業
横浜市立大学臨床研修医を経て、横浜市立大学形成外科入局
横浜市立大学病院 形成外科、藤沢湘南台病院 形成外科
横浜市立大学附属市民総合医療センター 形成外科
を経て横浜栄共済病院 形成外科
2014年 KO CLINICに勤務
2021年 ルサンククリニック銀座院 院長 就任
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