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花粉症

目次
  1. 概要
  2. 症状
  3. 原因
  4. 検査内容と主な診療科目
  5. 治療方法と治療期間
  6. 治療の展望と予後
  7. 発症しやすい年代と性差
医師

【執筆ドクター】

 板東 浩 先生

概要

花粉症とは?

花粉症は名前のとおり花粉が関係して発症し、くしゃみや鼻みず、鼻づまりを引き起こしたり、目がかゆくなったり、のどが痛くなったりする病気です。

花粉症を引き起こす代表的な花粉は以下の通りです。

・スギ花粉

2~4月にかけて飛散する花粉。日本での花粉症になるとしたら、最も多いのがこのスギ花粉です。沖縄と北海道を除き、全国的に発症の引き金になります。

・ヒノキ花粉

3~5月にかけて花粉が飛びます。スギと同じく全国的に広がる花粉で、スギ花粉と一緒に花粉を持つと重症になるので注意が必要です。

・ブタクサ花粉

8~10月に飛散し、スギやヒノキに続いて飛散量が多い花粉です。しかし、背の低い草花系の花粉で飛距離が短いので、植物が生えているところに近づかないことで防止することができます。

・イネ花粉

イネの飛散時期は5~9月であり、他のイネ科の飛散時期も考慮すると、春から秋にかけて長い間飛散している種類です。スギやヒノキと違い、北海道、沖縄も含めて全国的に飛散しています。

花粉症になると、鼻水、くしゃみ、鼻詰まりが起きます。
さらに皮膚や眼がかゆくなり、涙が出ます。
原因は、身体が体内に入った花粉を過剰に追い出そうとする、アレルギー反応が起きるためです。

花粉症は眼、鼻、のど、皮膚など複数の部位で症状が出るため、自分の症状にあわせ、眼なら眼科、鼻やのどなら耳鼻咽喉科、皮膚なら皮膚科を受診するべきです。
問診でよく聞かれる内容は答えられるようにしておくと、診断がスムーズに済みます。
ブリックテストや血液検査といった、アレルギーかどうかを診る検査を中心におこないます。

症状

花粉症のくしゃみは1度すると、続けて複数回するのが特徴的である。また鼻水は、多くは透明でサラサラしている。そして、1日中止まらないような勢いで流れる。
風邪の場合、初めは透明でサラサラだが、時間が経つと黄色いネバネバした鼻水に変化する。

花粉症による鼻づまりは両方詰まることが多く、鼻呼吸ができなくなることがある。

花粉は鼻や目を通して侵入する。そのため、目に入れば目のかゆみを引き起こし、鼻を通って口に入ればのどに炎症を起こすといった症状がおこる。

皮膚にまで影響を及ぼし、花粉症皮膚炎を引き起こす場合がある。発疹(ほっしん)ができたり、かゆみが出たりといった症状がある。

原因

花粉症の原因は当然、花粉である。

花粉症は遺伝的にかかりやすいというデータがある。ロート製薬が2012年におこなったアンケート調査では、両親が花粉症である子供のうち、43.2%が花粉症だとするデータがある。両親がともに花粉症ではない子供が花粉症になる可能性は、11.6%であった。

花粉症が発症するメカニズム

花粉症のメカニズムを知るために、身体がウイルスを撃退する際の仕組みを解説する。

・ウイルスが身体に侵入すると、異物と認識する。

・身体は、異物を排除するためにIgE抗体というものを作る。

・IgE抗体は血液と一緒に身体を循環し、皮膚や粘膜の下にあるマスト細胞にくっつき、異物にいつでも反応できる状態を作る。

・IgE抗体が身体に侵入した異物を見つけてくっつき、異物を撃退するためにマスト細胞がヒスタミンという物質を出して炎症を起こす。

こうした仕組みは健康な状態ならば大事な働きで、本来はウイルス撃退に必要な体液を集めるための反応である。しかし、本来身体に無害な物質を排除させるために、ヒスタミンが過剰に分泌されることがある。これがアレルギー反応である。

ヒスタミンが過剰に分泌されると、体液がたくさん集まるが、本来無害な花粉には何も作用しない。この体液が鼻水やくしゃみ、涙として出てくる。これが花粉症のメカニズムである。

花粉症にはリンパ球が直接アレルゲンに対して攻撃をおこなう場合がある。この攻撃の際に炎症を引き起こし、リンパが腫れるといった症状も出る。

検査内容と主な診療科目

花粉症の症状はくしゃみや鼻水、目のかゆみ、のどの痛みと発症部位が異なる。そのためどの病院に行くべきか悩む人がいるが、最初に診察を受ける場合は症状がひどい部位に対応する診療科を受診する。

花粉症はアレルギーのため、耳鼻科や眼科だけでなく、皮膚科でも診察可能である。
アレルギー科といった診療科を掲げている病院もあり、そちらの方がスムーズに診断できる可能性もある。

くしゃみや鼻水・・耳鼻科

目のかゆみ・・眼科

のどの痛み・・咽喉科

総合的にみてもらいたい・・皮膚科、アレルギー科

問診

以下の内容について事前に確認しておくとよい。

・いつから症状が出ているか

長期的に鼻水やくしゃみが出ているのかを知ることで、花粉症かどうかを診断する。

・どの程度のくしゃみ、鼻水、鼻づまりか

くしゃみのパターンや鼻水の色、質、鼻づまりの期間を知ることで、花粉症か他の病気かを判断する。

・目がかゆいか

花粉症で目がかゆいのか、他の病気でかゆいのかを判断する。

・今までに他のアレルギー症状の診断を受けたことがあるか(薬を処方されたことがあるか)

他のアレルギーとの掛け合わせ、アナフィラキシーといったアレルギー症状の情報を整理する。

・家族に花粉症の人がいるか

遺伝的なアレルギー体質でないかを判断する。また、家族でアレルギーになるような環境でないか。

・ペットを飼っているか

ペットに付着したダニやほこりによるアレルギーの可能性がないか。

検査方法

1.皮膚反応テスト(ひふはんのうテスト)

皮膚反応テストはアレルギー反応が出るかのテストである。4種類のテストがある。

・ブリックテスト

ブリックテストは皮膚に針などで小さな傷をつくり、抗原体(花粉)を垂らして反応をみるテストである。痛みが少なく、子供でも可能である。

・スクラッチテスト

スクラッチテストは皮膚に抗原体を垂らし、皮膚を5mmほどひっかいて反応を確認する。痛みは少ないのでブリックテスト同様、子供でもテストできる。

・皮内テスト

スクラッチテストでも反応がはっきりと分からなかった場合、皮内テストをおこなう。抗原体を皮内に注射することで、反応を確認する。
15~20分後に赤くなったり、腫れが出たりすることでアレルゲンであるかを診断する。
強い反応が出ることもあるため、テストをする際には注意が必要で。

・パッチテスト

抗原体を塗ったものガーゼや絆創膏を皮膚に貼り、1~2日で反応をみる。

2.鼻鏡検査(びきょうけんさ)

鼻の穴を器具で開き、粘膜の状態を診る検査。
粘膜が荒れていると赤く腫れており、症状が長く続いていると白くなっている。
花粉症だけでなく、他の鼻の病気を調べるためにもおこなう。

3.レントゲン

鼻の炎症をよりはっきりと診断するためにおこなう。
レントゲンを撮ると、鼻の周りや目の上の副鼻腔が白くなっていることもあり、花粉症に伴う副鼻腔炎になっていないかの診断ができる。

4.鼻汁の細胞検査

鼻水が花粉によるアレルギー症状なのかを、綿棒で鼻水を採取して顕微鏡でみる。アレルギー反応があると増える好酸球(こうさんきゅう)という物質が多いかどうかで、アレルギー症状がどうかを判断する。

5.血液検査

血液中のIgE抗体の量やリンパ球量を検査することで、どのアレルゲンで症状が出ているのかまで診断することができる。
花粉だけでなく、ハウスダストや植物、動物のアレルギーも分かる可能性がある検査である。

治療方法と治療期間

薬物治療

花粉症は発症すると完治をさせることは難しい。だが薬を使用することで症状を抑えることは可能である。
ここでは、主な薬の種類と効能を、副作用を含めて紹介する。

1.抗ヒスタミン薬

作用

抗ヒスタミン薬は、アレルギー症状を引き起こすヒスタミンの働きを抑える。すなわち、アレルギーの症状が出てきたらそれを抑える薬である。

副作用

眠気が出たり、ボーッとした気分になったりする。車の運転や仕事での集中力低下が懸念されるため、特に運転前の服用は禁止されている。
消化器の異常もみられ、口が渇いたり吐き気が出る場合もある。

2.抗アレルギー薬

作用

アレルギー症状が出てきたら服用する抗ヒスタミン薬に対して、抗アレルギー薬は、その症状をあらかじめ出さないようにヒスタミンの分泌を抑える薬である。

副作用

抗ヒスタミン薬に比べて眠気やボーッとすることは少ないとされている。

3.ステロイド

作用

ステロイドはヒスタミンの作用である炎症を抑制する。
抗ヒスタミン薬に比べるとかなり強力で、基本的に重症の場合に処方される。しかし即効性はなく、効果が出るまで1~2日要する。

副作用

効果が強力な反面、副作用も強力である。
長期的か大量に服用すると、ホルモンバランスが乱れてしまい、感染症や胃潰瘍、骨粗鬆症などを引き起こしやすくなる。

手術

一時的に症状を止めるレーザー治療

鼻の粘膜上皮質(ねんまくじょうひしつ)や粘膜凝固層(ねんまくぎょうこそう)をレーザーで凝固、変形させることで、アレルギー症状を抑える治療。
鼻の症状を抑える治療法なので、目のかゆみやのどの痛みを抑えることはできない。

鼻の粘膜は再生するため、時間が経てばやがてアレルギー反応が強まるが、そのたびにレーザーで再治療することができる。
術後は多少の痛みや出血の心配もあるが、1~2年は薬を投与されずともくしゃみや鼻水を抑えることができる。

減感作療法(げんかんさりょうほう)

減感作療法とは、患者さんにアレルゲンを少しずつ注入することで、過剰なアレルギー反応を抑えていき、最終的に治療する方法である。
12歳以上から治療をおこなうことが可能で、注入する量や回数は症状の差と個人差がある。

量や回数を間違えると強いアレルギー反応を起こしてしまうため、熟練の医師におこなってもらう必要がある。
とても時間がかかる治療であり、3年はかかると言われている。

・舌下免疫療法(せっかめんえきりょうほう)

近年生み出された治療法で、舌の下に薬を投与することでアレルギー反応を抑える。
スギ花粉アレルギーやダニアレルギーと診断された12歳以上の人が受けられる治療である。
治療薬を口に含み、舌の下で定められた時間保持した後、飲み込む。その後5分間は飲食、うがいを控える。

長期的に続けることで、アレルギー症状を治したり、大きく改善することができる。
副作用として、口内炎や口のなかのかゆみ、頭痛が起こり、場合によってはショックやアナフィラキシーの危険性がある。

予防

1.飲酒を控える

大量の飲酒は血管を拡張させ、鼻づまりや目の充血を引き起こす。
また、つまみで高タンパク、高脂質のものを食べることも多く、花粉症の症状を悪化させる。飲酒はなるべく控えるようにする。

2.喫煙

タバコは粘膜を直接刺激してしまい、花粉症の症状を促進させる。
煙によって周りの人にも影響が出る。

3.睡眠と運動

花粉症は身体の免疫力が低下すると発症しやすくなる。
そのため、寝具の花粉症対策をおこなったうえでぐっすりと眠るようにし、適度な運動を心がける。
ストレスをため込まず、身体を休める。

4.乳酸菌を含む食品とポリフェノール

食事で免疫力を高めることも有効とされている。主な食品としてヨーグルトのような乳酸菌や、緑茶、カカオといったポリフェノールを多く含む食品が推奨されている。

外出時の予防策

なるべく花粉を鼻や口、目から侵入させない対策をとる。マスクや眼鏡をつけて防ぐ。
静電気が起きにくい服だと、花粉の付着を防ぐことができる。
マスクの間に湿ったガーゼを挟むと、スギ花粉がとどまる。
眼鏡をつけるだけでも目を守ることができる。コンタクトレンズの使用は花粉が入ると目を直接痛める危険性もあるので、外出時はできるだけ眼鏡にする。
髪や頭に付着した花粉が家に侵入しないように帽子をかぶることも効果的である。

帰宅時の対策

花粉を家に入れないよう工夫する。玄関先で服や帽子から花粉を払うようにする。
手洗いうがいをして、手や口に付着した花粉も取り除く。鼻うがいまでおこなうとさらに効果的である。

ドア、窓を閉める・・・花粉が直接家に入ってくるのを防ぐ。

こまめに掃除・・・ハウスダストおよび花粉をため込まないように掃除する。

布団を外に干さない・・・花粉の付着を防ぐ。どうしても布団を清潔にしたい場合は、コインランドリーを利用する。

寝具の花粉を取る・・・寝ている際に吸い込まないようにするため、寝る前でよいので、布団や枕をきれいにする。

空気清浄機を活用・・・家のなかの空気から花粉を取り除く。ハウスダストのような他のアレルギーを引き起こすものも除去することができる。

治療の展望と予後

一度発症してしまうと花粉症を根治するのは難しい。
継続した治療や予防が必要になる。

花粉症になると、頻発するくしゃみや大量の鼻水により作業に集中できなくなり、仕事や勉学に励んでいる人、車を運転している人、家事をしている主婦をはじめ、大勢の人の作業効率が低下する。

花粉症自体による集中力の低下以外に、花粉症を抑える薬の副作用に気分がボーッとする作用があり、それにより集中できない状態になる人もいる。

花粉症持ちで仕事をしている人に調査をしたところ、1032人中92.3%が、「仕事のパフォーマンスが落ちている」と実感しており、眠気やだるさ、集中力の低下を感じた人は70%以上となっている。
そのうち、仕事に影響が出ないように花粉症の薬を避けたことがある人は54%おり、薬をしっかりと服用していない人が若干多い状況がある。

合併症

1.気管支喘息(きかんしぜんそく)

花粉症を発症すると、鼻の粘膜で炎症が起こる。
炎症を起こした一部の細胞が血管を通して気管支に届くと、気管支喘息を合併症として引き起こす可能性がある。

気管支喘息の人は、炎症が起きて気道が狭くなっている。
呼吸が苦しくなって咳込み、たんができやすくなったり、ヒューヒュー、ゼェーゼェーといった呼吸になったりする。

2.副鼻腔炎(ふくびくうえん)別名:蓄膿(ちくのう)

花粉症の影響で鼻に炎症が起こると、副鼻腔炎を引き起こす可能性がある。
別名、蓄膿といわれるこの病気は副鼻腔に炎症が起き、膿が溜まる病気である。黄色い鼻水が出てくる、味覚、嗅覚障害に陥ることもある。発声の共鳴にも影響があり、鼻がつまっていると鼻声になるのはそのためである。

副鼻腔とは鼻のまわりにある空洞のことで、粘膜に覆われている。
粘膜表面の綿毛によって異物を絡め取り、鼻腔から出すのが本来の機能である。

3.口腔アレルギー症候群(OAS)

花粉症の人が、ナッツや野菜、フルーツなどを食べるとアレルギー反応が出る症状を、口腔アレルギー症候群(Oral Allergy Syndrome:OAS)と言う。口の中のかゆみやしびれといった症状が特徴である。
原因として、フルーツや野菜などに含まれるタンパク質が、花粉症のアレルゲンである花粉(特にシラカバ花粉)と構造が似ていることがあげられている。

OASを発症すると、野菜やフルーツ、ナッツを食べることでアナフィラキシーを引き起こす場合がある。
アナフィラキシーはアレルギー反応の一種で、全身に及ぶ発疹や発作、ショック、息切れなど多くの症状が出る。

発症しやすい年代と性差

日本では4人に1人が発症しているとされており、特にスギやヒノキの花粉が飛ぶ2~5月ごろがピークにあたる。

全国の耳鼻咽喉科医とその家族を対象とした2008年(1月~4月)の鼻アレルギーの全国疫学調査によるとアレルギー 性鼻炎全体の有病率は39.4%であった。
花粉症全体の有病率は29.8%、そしてスギ花粉症の有病率は26.5%であった。

花粉症の発症者は年々増加傾向にある。

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