花粉症の予防対策は、かかったことがない人にも必要!?
毎シーズン、花粉症に悩まされている方は、花粉症のシーズンが間近になるとさまざまな準備に追われるのではないでしょうか。
しかし、まだ花粉症にかかったことがない方も、予防対策をしておくべきだということをご存じでしょうか。
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まだかかっていない方も予防が必要!
「花粉症は体質によるもの」、「自分には関係ない」と安心している方もいらっしゃるかもしれません。しかし、必ずしもそうではないという理由をご説明します。
実は、まだ症状があらわれていないだけ
まだ花粉症の症状を経験したことがないという方も、実は、花粉症にかかる一歩手前にいるのかもしれません。
花粉症の原因となる花粉は、誰もが同じように浴びています。
しかし、多くの方は、花粉の影響よりも、体の抵抗力が上回っているために、症状があらわれていないだけなのです。
逆にいうと、その人の抵抗力を上回る量の花粉が飛んだり、なんらかの理由で抵抗力が下がったりすることで、このバランスが崩れると、誰でも、すぐ花粉症にかかる恐れがあるといえるのです。
一度かかると、取り返しがつきません
一度、花粉症にかかってしまうと、すっかり元の状態に戻すことは、現代の医療をもってしても、とても難しいとされています。
一生涯にわたって、苦しい症状と向き合い続けることを覚悟しなければなりません。
そうならないためにも、まだ花粉症にかかっていない方こそ、予防が大切といえるのです。
抵抗力を決して下げないことが大切です
花粉症を予防するためには、その仕組みから考えても、体の抵抗力を下げないよう、高く保っておくことが必要です。具体的には、どうすればよいのでしょうか。
食生活を通じて、抵抗力を保とう!
抵抗力を高めるための工夫として、まず考えられるのは、食生活の見直しです。
抵抗力を高めるためには、腸の環境を整え、はたらきを活発にするのがよいと考えられています。
栄養のバランスを意識した食事を、1日3回、規則正しくとるようにしてください。
また、きのこなど食物繊維を多く含む食品や、納豆、漬物、ヨーグルトなどの発酵食品を食べるようにしましょう。
これは花粉症に限らず、風邪、インフルエンザなど、ほかの病気を予防することにもつながります。
最近では、抵抗力を高めるとされるお茶、ヨーグルト、サプリメントなども数多く売られています。
薬ではありませんので、劇的な効果は期待できませんが、食べるものを選ぶとき、補助的に取り入れてみるのもいいでしょう。
ストレスもためないように
抵抗力を下げてしまう原因として、ストレスも挙げられます。
こちらも、花粉症の予防に限った話ではありませんが、普段から、十分な休息・睡眠をとり、疲れをためないようにする、適度に体を動かす、気分転換の方法を確保しておくといったことを心がけましょう。
毎シーズンの方は、より積極的な対策を
ここまでは、まだ花粉症にかかったことがない方に向けた予防対策をお伝えしました。
その一方で、すでに毎シーズン、花粉症に悩まされている方は、より積極的な対策をとらなければいけないのはいうまでもありません。
まだかかったことがない方の対策とは、どう違うのでしょうか。
まずは診察・診断から
花粉症と正しく向き合うためには、まず医師による診察・診断が欠かせません。
診察は受けずに、花粉症に違いないと思い込まれている方もいますが、実は、別の病気であったりすることも珍しくありません。
また、何シーズンも前に診てもらったきりという方も、この機会に病院へいってみましょう。
ご自身も、病気も、時間がたつにつれて少しずつ変わってくるものです。
「現在の」状態をしっかりと把握したうえで、今シーズンをどうやって乗り越えていくかの計画を立てることが大切です。
入り口は何科でも問題ありません
花粉症で受診するのが初めてな方、もしくは久しぶりという方は、何科で診てもらえばいいか、迷うことがあるかもしれません。
結論からいうと、最初に受診するのは何科でも問題ありません。厳密には、花粉症の専門はアレルギー科です。
しかし、近くにないようであれば、かかりつけの内科、小児科などでも相談できます。
また、のどに違和感があれば耳鼻いんこう科、目がかゆければ眼科というように、症状があらわれている,またはあわわれそうな部分によって決めるのもいいでしょう。
近年では、花粉症、アレルギーに対する知識、理解が広まっていますので、診療科目に関係なく、対応をしてもらえます。
もし、その病院で対応できないようであれば、状態に応じた病院を紹介してもらえるでしょう。
花粉症の治療は、どうしても期間が長くなります。ですから、取り立てて症状が重い場合でない限り、通いやすさ、相談しやすさも、病院選びの大きなポイントといえるのです。
状態を把握し、無理のない計画を
病院で診察・診断を受けることのメリットとしては、
・ほかの病気が原因ではないことを確かめることができる
・何の花粉が原因となっているのかを特定することができる
・どんな症状があらわれている、あらわれる恐れがあるのかを知ることができる
・今シーズン、どのくらいのペースで通院するのか、どんな薬を飲むのかなど、治療の計画を立てることができる
といったことが挙げられます。自分が普段、どんな生活をしているのか、率直に伝え、無理のない計画を立ててください。
「定期的に病院へ通う時間がない」などの理由があって、市販の薬を利用する可能性があれば、どんな薬がいいのか、受診した時に聞いておくのもいいでしょう。
セルフケアーも頑張って
薬を飲むなど、医師から指示された治療だけでなく、自分でできるセルフケアーもしっかりとおこなうことで、症状をあらわれにくくしたり、軽くおさえたりできます。
とにかく花粉を浴びないように
原因となる花粉をなるべく浴びないようにすることは、花粉症対策の基本です。
主だった花粉については、テレビやインターネットなどで日々の飛散状況が報じられています。
こまめにチェックして、花粉の多い日、時間帯は、可能な限り外出を控えましょう。
どうしても外出しなれればならないときは、マスクやメガネ(ゴーグル)、鼻や目の周りに塗るワセリンなど、市販のグッズも活用してください。
どれも種類が多くあって、迷うかもしれません。しかし、大切なのは、どれを選ぶかではなく、忘れずに、正しい方法で、長く使い続けることだと思います。
また、家に入る前に上着の表面を払う、空気清浄機を導入するなど、家のなかに花粉を持ち込まない工夫も有効です。
抵抗力を意識した日常生活
症状があらわれないように、また、軽く抑えられるように、食生活などを通じて抵抗力を高めなければならないのは、まだかかっていない方の場合とまったく同じです。花粉のシーズンは特に、抵抗力を意識しながら生活しましょう。
注射のメリット・デメリットを知ってください
最近、注射で花粉症の対策をしているという声をよく耳にするようになりました。
注射による治療は、効果が期待できる一方、体質や症状によって、さまざまな副作用がおこりやすいという特徴もあります。
最初は平気でも、あとから副作用があらわれることも珍しくありません。
また、使う薬によっては、対応できる医師、病院が限られていたり、健康保険が適用されないため、治療費が高額になったりすることもあります。
そのため、注射による治療を受けるかどうか、また、受ける場合、どの薬を使うのかは、医師とよく相談して決めなくてはなりません。
注射による治療を受けることになったら、どんな副作用が考えられるのか、副作用があらわれたときにはどうすればいいのか、しっかりと把握しておいてください。
まとめ
執筆・監修ドクター
経歴産業医科大学医学部 卒業
順天堂大学医学部公衆衛生学教室 研究員
McGill University Occupational Health 留学
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