しゅさようひふえん酒さ様皮膚炎
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酒さ様皮膚炎とは
酒さ様皮膚炎(しゅさようひふえん)とは、原因不明の病気である「酒さ」と似た症状が生じることから、この名前がつけられた皮膚炎です。
多くの場合、ステロイドや免疫抑制剤などの長期使用によって、毛細血管が拡張した状態を指します。
酒さは「ホルモンの異常が影響しているのではないか」と考えられています。一方、酒さ様皮膚炎は、ほかの皮膚炎の治療のために使用したステロイド剤の影響を受けて生じます。
治療したい皮膚炎の症状が継続している間は発症しませんが、症状が軽快したにもかかわらず、強いステロイド剤を塗布し続けていると、発症することがあります。
酒さ様皮膚炎の症状
酒さ様皮膚炎はステロイド剤を使用した部分の皮膚が薄くなり、細い血管が浮き出る「毛細血管拡張」が生じます。
そして、赤み、ほてり、熱感へと症状が悪化します。さらに進行すると、ニキビのような血疹(けっしん)や膿疱(のうほう)があらわれます。
また、ほとんどの場合、かゆみもあり、皮膚の突っ張り感や、ヒリヒリとした痛みを感じる患者さんもいます。
酒さ様皮膚炎の診療科目・検査方法
酒さ様皮膚炎は間違った自己判断をすると、悪化の恐れがあります。また、ほかの皮膚の病気や、内臓の病気の症状が皮膚に生じている恐れもあります。
まずは、皮膚科にて、医師の診断を受けてください。
症状が似ている病気には、アトピー性皮膚炎や接触皮膚炎などがあります。見分けるための診断が大切です。
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問診
これまでにかかったことのある皮膚の病気、外用薬(ステロイド剤など)を使っていたかどうか、使用している洗顔料、化粧品などを確認します。
視診
毛包一致性丘疹(もうほういっちせいきゅうしん)、膿疱といった、酒さ様皮膚炎の特徴的な症状があるかどうかを確認します。
パッチテスト
洗顔料や化粧品が原因と考えられるときは、症状が治まった後、その製品に含まれる成分のなかでも、原因となりそうなものを背中などに貼り、その反応を確認することで、原因を特定します。
酒さ様皮膚炎の原因
酒さ様皮膚炎の多くは、アトピー性皮膚炎や湿疹といった皮膚炎の治療のために、ステロイド外用薬を多くの量、長期間にわたって使用したことにより生じます。
あるいは、ステロイド外用薬を医師の指示とは異なる誤った使い方をした場合にも生じることがあります。
効き目の強いステロイド剤の場合、長期間でなく、1カ月程度の使用であっても、発症することがあります。
また、ステロイド剤ではない外用薬や、日頃使用している洗顔料、化粧品などが原因となることもあります。
酒さ様皮膚炎の予防・治療方法・治療期間
原因となったステロイド剤や化粧品などの使用を中止します。
その代わりに、抗菌作用のある薬、ステロイド剤ではない外用薬、乾燥肌やヒリヒリ感を緩和するための保湿剤を処方します。ステロイド剤や抗アレルギー剤の内服薬を併用することもあります。
治療期間は長期に渡ります。一般的に、ステロイド剤を使用してきた期間の1.5~2倍程度は必要とされています。
酒さ様皮膚炎の治療経過(合併症・後遺症)
酒さ様皮膚炎の原因となったステロイド剤の使用を完全に中止すると、その後、1~2週間の間は著しく悪化(離脱症状)しますが、その期間を過ぎれば、改善していきます。
酒さ様皮膚炎になりやすい年齢や性別
酒さ様皮膚炎の患者さんの数について、詳しいデータはありません。しかし、皮膚炎治療のための外用薬や、化粧品が原因となるため、少なくはないと考えられます。
年齢、性別を問わず発症しますが、中年期の女性には特に発症しやすいとされています。
ステロイド剤などの外用薬だけでなく、化粧品なども原因となることから、一般的に、化粧品に触れる機会が多い女性の方が発症のリスクは高いといえるでしょう。
執筆・監修ドクター
経歴北里大学医学部卒業
横浜市立大学臨床研修医を経て、横浜市立大学形成外科入局
横浜市立大学病院 形成外科、藤沢湘南台病院 形成外科
横浜市立大学附属市民総合医療センター 形成外科
を経て横浜栄共済病院 形成外科
2014年 KO CLINICに勤務
2021年 ルサンククリニック銀座院 院長 就任
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