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伝染性膿痂疹とは
伝染性膿痂疹(でんせんせいのうかしん)とは細菌によって皮膚におこる感染症のことです。
ブドウ球菌や、溶血性連鎖球菌などが原因です。
火事の飛び火のようにあっという間に炎症が広がることから「とびひ」という名で知られています。ひっかき傷などに感染しておこり、それを触ってからあせもや虫刺されなどをひっかくことで広がっていきます。
伝染性膿痂疹の症状
伝染性膿痂疹の症状は、主に水ぶくれのできる「水疱性膿痂疹(すいほうせいのうかしん)」と、厚いかさぶたができる「痂皮性膿痂疹(かひせいのうかしん)」の2種類にわけられます。
水疱性であれば、かきこわした皮膚のまわりに水疱(すいほう)、つまり水ぶくれができます。そのまわりの部分は赤くなっていきます。水ぶくれの中に膿(うみ)がたまり膿疱(のうほう)になります。
かゆみがあることがあり、水疱や膿疱は簡単に破れます。内部にたまっていた液体によって周辺への皮膚へと広がります。
痂皮性膿痂疹は、なんらかの炎症をおこしている箇所に小さな膿疱があらわれ、それがただれていきます。そこに厚い痂皮(かひ)、つまりかさぶたができます。
痂皮性膿痂疹はより炎症が強いことが多く、うずくような痛みをともないます。発熱やリンパ節の腫れ、のどの痛みなど、全身症状があらわれることもあります。
また、重症になると菌が作りだす毒素によって全身が真っ赤になることがあります。
伝染性膿痂疹の診療科目・検査方法
伝染性膿痂疹は皮膚科を受診します。
外観から診断します。感染を繰り返す場合は、鼻腔(びくう)、つまり鼻の穴の内部をこすってサンプルを採取し、それを詳しく調べてブドウ球菌や連鎖球菌が鼻腔内に常にいる状態ではないか検査します。
伝染性膿痂疹の原因
伝染性膿痂疹の水疱性膿痂疹は黄色ブドウ球菌、痂皮性膿痂疹はA群β溶血性連鎖球菌がそれぞれ原因になります。
虫刺され、あせもなどの部位をひっかいた時にできた傷や、湿疹、すり傷などに感染します。
痂皮性膿痂疹はアトピー性皮膚炎などに合併することが多く、急速に発症します。かさぶたにも細菌がいるため、そこから感染が広がることもあります。
水疱性の場合は夏に多くなりますが、痂皮性については季節があまり関係ありません。
伝染性膿痂疹の予防・治療方法・治療期間
伝染性膿痂疹の感染部位の皮膚は清潔に保ちましょう。そのため、1日に数回、せっけんと水でやさしく洗います。
小さな炎症部位に対しては、抗菌薬の軟こうやクリームなどを直接塗ります。面積が広い場合や外用の抗菌薬で効果があらわれない場合は、抗菌薬を内服することもあります。
鼻に菌がいることが確認された患者さんは鼻腔に外用抗菌薬を塗って治療します。
かゆみがあるとかきむしってしまうので、かゆみをおさえる抗ヒスタミン薬を飲むこともあります。
痂皮性膿痂疹の場合、菌が産生する毒素によって、腎障害を併発することがあります。なおってからも数週間は尿中の蛋白(たんぱく)を調べてもらう必要があります。
伝染性膿痂疹の治療経過(合併症・後遺症)
伝染性膿痂疹は、再発の予防が大切です。夏は皮膚を清潔にしましょう。
感染力が強いため、兄弟姉妹がいる場合は、ほかの子どもの後で入浴させるようにしてください。また、湯船につからずシャワーで済ますなどの対策が必要です。
入浴後は浸出液などが周囲に接触しないように、軟こうを塗った後にガーゼなどで保護しましょう。
伝染性膿痂疹になりやすい年齢や性別
伝染性膿痂疹の水疱性膿痂疹は、子どもにおこりやすい傾向にあり、大人はあまりかかりません。
しかし、抵抗力が落ちている高齢者など大人にも感染します。
痂皮性膿痂疹は年齢に関係なく発症します。その中でも高齢者は皮膚が薄く、傷つきやすいことに加え、皮膚のバリアー機能が低下しているため、細菌に感染しやすい傾向にあります。
参考・出典サイト
執筆・監修ドクター
経歴2002年 金沢医科大学医学部 卒業
2002年 金沢医科大学病院 小児科、内科勤務
2004年~2018年大阪、神戸、東京、福岡の病院、クリニックで内科、皮膚科勤務
2018年 クリスタル医科歯科クリニックインターナショナル内に医科開設
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