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けいぶのうほう頸部嚢胞

更新日:2022/08/10 公開日:2019/05/15 view数:38,086

頸部嚢胞(けいぶのうほう)とは、首に生じる嚢胞です。嚢胞(のうほう)とは、袋状の構造物に粘液がたまった柔らかいかたまりをいいます。「正中頸嚢胞(せいちゅうけいのうほう)」とは、頸部の真ん中、喉仏の上あたりに生じるのに対して、「側頸嚢胞(そくけいのうほう)」は胸鎖乳突筋近傍に生じます。

頸部に生じる嚢胞にはいろいろな種類があり、ここで紹介する疾患の他にも「リンパ管腫」、「皮様(ひよう)嚢腫」、「類上皮腫」などが存在します。

正中頸嚢胞も側頸嚢胞も痛みなどの症状は特にありません。嚢胞は通常の組織に比べて感染を起こしやすく、感染すると疼痛や発赤が生じます。また、感染が増悪しすると「瘻孔(ろうこう)」といって袋が破れて皮膚などから分泌物が出るようになることもあります。感染を繰り返すことも多く、瘻孔になると手術も難しくなる場合もあり早めに病院を受診することが重要です。

治療に関しては、無症状の場合には経過観察とすることもありますが、審美的な理由や、感染を繰り返す場合には手術が選択されます。

目次
  1. 頸部嚢胞の症状
  2. 頸部嚢胞の診療科目・検査方法
  3. 頸部嚢胞の原因
  4. 頸部嚢胞の予防・治療方法・治療期間
  5. 頸部嚢胞の治療経過(合併症・後遺症)
  6. 頸部嚢胞になりやすい年齢や性別

頸部嚢胞の症状

柔らかい腫瘤のため、症状は特にありません。ただし、感染などによる炎症があれば、痛みが出ることもあります。腫瘤の内部に分泌物が入っているため、他の部位との境界ははっきりとしています。ただし感染した場合には周囲との境界は不明瞭になります。

感染を起こした場合、痛みをともない皮膚が赤くなります。膿が増大すると腫瘤が破れる場合があります。瘻孔は咽頭腔や皮膚に排出するようになり、「瘻孔」と呼ばれる状態になります。嚢胞が大きくなると気管を圧迫して呼吸苦などの症状が生じる場合もあり注意が必要です。

頸部嚢胞の診療科目・検査方法

視診、触診、頸部CT、頸部MRIで検査します。腫瘤がある場所や周囲組織との癒着の有無などを確認します。また、嚢胞が悪性腫瘍性の疾患ではないことを確認するための鑑別も同時におこなわれます。

主な診療科は「耳鼻いんこう科」、「形成外科」、「小児外科」です。甲状腺を専門にする医院などで発見される場合もあります。

頸部嚢胞の原因

これらの疾患は、お母さんのお腹の中にいるとき(胎生期)に様々な臓器ができる過程で生じてしまいます。正中頸嚢胞は、甲状腺ができる過程に関係しています。甲状腺の原型は、舌の奥で生成されてから、気管の前方まで下降して最終的に甲状腺になります。下の奥から気管の前方までの通り道を甲状舌管といいます。

常この通り道は甲状腺の原型が通過した後はなくなってしまうのですが、なくならずに残る場合があります。残った場合に一部分が嚢胞になってしまうことがあり、これを正中頸嚢胞といいます。

「側頸嚢胞」は、えらのようにみえる「鰓裂(さいれつ)」という構造物が通常は胎生期に消失するはずがなくならずに残存し、嚢胞となってしまいます。鰓溝には何種類かあり、溝によってそれぞれ嚢胞につながる管が「外耳道」「口蓋扁桃」「下咽頭」などにつながります。

頸部嚢胞の予防・治療方法・治療期間

手術療法と保存療法の2つがあります。

手術療法

唯一の根治療法となります。嚢胞だけでなく、嚢胞につながっている管(瘻孔)まで全てを完全に摘出します。わずかでも組織が残っていると再発してしまう可能性があるため、確実に切除します。

全身麻酔でおこない、周囲の血管や神経に注意すれば比較的容易に摘出できます。合併症の危険も少ないとされています。

感染を繰り返している場合、嚢胞と周囲が癒着してしまい摘出が難しくなります。また、感染をしている場合は抗生物質で炎症をおさえてから手術をおこないます。

保存療法

「エタノール」を嚢胞内に入れることで、嚢胞を固めてしまう方法です。腎臓や肝臓の嚢胞の治療には一般的ですが、側頸嚢胞などの治療ではまだ一般的ではありません。

また、炎症を起こして膿が出ている場合、膿を出すために抗菌薬を使います。炎症を起こす菌としては、黄色ブドウ球菌、表皮ブドウ球菌が多いです。そのため第1選択薬としては「ペニシリン系」や「セフェム系」の抗菌薬となります。

治療期間は、嚢胞の大きさによります。手術は数日の入院で済むことが多いです。

頸部嚢胞の治療経過(合併症・後遺症)

頸部嚢胞の25%は自然に破裂して膿が出るといわれています。

通常であれば手術によって確実に摘出することで再発はおこらなくなります。しかしその一方で、手術後に3%の再発率があるという報告もあるため、注意が必要です。

炎症を起こさなければ放置しておいても問題ありませんが、嚢胞が大きくなれば見た目が悪くなるなど美容的な問題もあります。

頸部嚢胞になりやすい年齢や性別

2016年のこの疾患での医療機関受診者数は約2000人でした。発症率は10万人に1人といわれていて、男女差はないとされています。その多くは片側の頸部のみにおこっています。

小児期に見つかることが多いですが、あまり頸部が腫れずに経過した場合は20~40歳代に気がつくことが多いです。

執筆・監修ドクター

水島 豪太
水島 豪太 医師 水島耳鼻咽喉科 副院長 担当科目 耳鼻いんこう科

経歴2009年に日本大学医学部を卒業。初期研修課程終了後、東京医科歯科大学耳鼻咽喉科へ入局。東京医科歯科大学付属病院や土浦協同病院などの市中病院で研鑽を積み、カリフォルニア大学サンディエゴ校へ留学。
2016年7月より医療法人社団則由会AGAヘアクリニックを院長として開院すると同時に水島耳鼻咽喉科副院長に就任。

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