じかいなんこつまくえん耳介軟骨膜炎
耳介軟骨膜炎(じかいなんこつまくえん)とは、何らかの理由で耳介軟骨に炎症を起こしてしまう疾患です。耳介とは、一般的に耳として目視できる部分のことです。耳介軟骨という軟骨で形作られており、軟骨膜という膜に覆われています。
耳介があることで、音を集めやすくなったり、音の発生している方向を同定することができるようになります。
耳介軟骨膜炎の症状として耳介の痛みが挙げられます。また、赤くなり、腫れたり、放っておくと軟骨が破壊され耳の変形がおこることもあります。症状によっては、抗生物質や消炎剤の投与が必要になり、重症の場合には入院加療が必要となる場合もあります。そのため、早い段階で治療することが大切です。
耳介軟骨膜炎の症状
耳の軟骨膜が細菌に感染し、炎症がおこると激しい耳の痛みを生じます。
また、耳介全体が熱を持ったり、赤くなったり、腫れたりして、膿が溜まることもあります。
軟骨膜炎が長引くと、軟骨自体が破壊され耳介が大きく変形することもあります。
耳介軟骨膜炎の診療科目・検査方法
まずは耳鼻いんこう科を受診する必要があります。明らかな原因がないにもかかわらず再発を繰り返すようなら自己免疫疾患を疑い、採血で検査を擦る必要があります。
耳介軟骨膜炎の原因
耳介軟骨膜炎が生じる原因は主に「細菌感染」「外傷」「自己免疫疾患」などが挙げられます。
軟骨は血流が悪い組織であり、栄養分が届きにくく修復されづらいです。炎症をおこすと治療が難航することもあり、悪化すると軟骨が破壊されてしまいます。
細菌感染ではピアスでの外傷、虫刺されなどの化膿性炎症がきっかけとなります。原因菌としては、主にはグラム陰性桿菌である緑膿菌や、黄色ブドウ球菌などです。
柔道やレスリングの選手など耳を擦ることが多い人は、耳介血腫という耳介に血腫ができてしまうことが多く、その血腫に感染や炎症をおこし、耳介軟骨膜炎になることもあります。破壊が進むとカリフラワーのような形になることから“カリフラワー耳”と言われます。
身体を守るためにある自己免疫機能が、自分自身の組織を異物として認識して攻撃することでおこる自己免疫疾患により、繰り返す耳介軟骨膜炎を生じることがあります。自己免疫疾患では、再発性多発性軟骨炎、多発血管性肉芽腫症などが原因として知られています。
そのほか、耳介の打撲、やけど、凍傷、耳介の湿疹や耳の術後合併症としておこることがあります。
耳介軟骨膜炎の予防・治療方法・治療期間
原因によって治療法は変わります。
細菌感染の場合には、排膿および抗生物質の投与が必要です。疼痛や腫れによってステロイドを併用します。
また耳介血腫などが原因の場合には、急性期(遅くとも発症から2週間以内)は血腫がまだ固まっていないことが多く、注射器で内容液を除去し耳介を圧迫固定します。慢性期になってしまうと、血腫は線維化していることが多く、内容物を容易に除去することはできません。耳介の変形が激しい場合には手術によって耳介を形成することがあります。この手術は主に形成外科で行われます。
自己免疫疾患による場合には、ステロイドや免疫抑制剤の使用が必要になります。
耳介軟骨膜炎の治療経過(合併症・後遺症)
原因により治療期間、予後も変わってきます。
ピアスや外傷が原因であれば、原因を取り除く必要があります。炎症が治まっていない、膿が排出されていない場合は、再発する可能性があります。
適切な治療をしないでいると慢性化してしまい、治療が困難になり、軟骨が壊死することもあります。
耳介軟骨膜炎になりやすい年齢や性別
原因により発症しやすい年代や性差はさまざまです。
参考・出典サイト
執筆・監修ドクター
経歴2009年に日本大学医学部を卒業。初期研修課程終了後、東京医科歯科大学耳鼻咽喉科へ入局。東京医科歯科大学付属病院や土浦協同病院などの市中病院で研鑽を積み、カリフォルニア大学サンディエゴ校へ留学。
2016年7月より医療法人社団則由会AGAヘアクリニックを院長として開院すると同時に水島耳鼻咽喉科副院長に就任。
関連する病気
耳介軟骨膜炎以外の病気に関する情報を探したい方はこちら。
関連カテゴリ
耳介軟骨膜炎に関連するカテゴリはこちら。