とびひはうつる?感染しない・させないためにできること。治療期間は?
すぐに広がってしまうことで知られているとびひ。正式には、伝染性膿痂疹(でんせんせいのうかしん)という病名です。
原因菌として、ブドウ球菌や連鎖球菌などがあります。この記事では、とびひの感染経路や予防について解説します。
とびひは何でうつるの?
とびひは何でできる?
とびひは、あせもや湿疹、虫刺されなどができているところをひっかいてしまったり、転んだりして、新たにできた傷が二次感染を引き起こすことで発症します。
とびひの原因となる黄色ブドウ球菌は、至る所にある細菌です。正常の皮膚や粘膜などにも存在しています。
そのときの免疫力によって、とびひができるときとできないときがあります。
とびひはどこにできるの?
目、鼻、口まわりをはじめ、全身にできます。
幼い子供の場合は日ごろから鼻を触るような習慣があったり、アレルギー性鼻炎があったりすると、痒くてつい鼻を触ってしまいます。
鼻に何回も触ることで鼻周辺に傷ができ、そこからとびひになってしまうことも多いと言われています。
とびひの原因菌に触れた手で、あせもや虫刺されの跡など、痒いところを引っ掻いてしまうと、全身に広がることがあります。
できたばかりのとびひを放っておくと、数日のうちに指の頭ぐらいまで大きくなってしまいます。
とびひの原因菌
原因菌は、黄色ブドウ球菌がほとんどと考えられています。伝染力が非常に強く、破れた水泡から出た汁が他の皮膚につくことで感染します。
潜伏期間はおおよそ2日から5日間ですが、感染した菌の量や傷の状態によってさまざまです。
とびひの種類
とびひは、2種類あります。『水泡性膿痂疹』(すいほうせいのうかしん)と『痂皮性膿痂疹』(かひせいのうかしん)です。それぞれ原因菌が違います。
水疱性膿痂疹は「黄色ブドウ球菌」で、痂皮性膿痂疹は、主に「化膿レンサ球菌」です。
水泡性膿痂疹
引っ掻き傷や小さな怪我のところに薄い膜の水泡ができて、水泡内の液がだんだんと濁り、膿(うみ)になると簡単に破れてしまいます。
破れたところは、ただれた皮膚となってすぐにかさぶたができ、手でかいているうちに他の部分に広がり、時間をおかずに「飛び火」します。
幼児にできることが多いとびひです。
とびひのほとんどが水疱性のもので、通常、大人は免疫ができていて、皮膚のバリア機能がしっかりしているので、うつりづらいです。
痂皮性膿痂疹
かさぶたになることが多いとびひで、大人がかかることが多い症状です。「痂皮」とは、かさぶたのことです。
痂皮性は皮膚の一部に膿をもった水ぶくれ(膿疱)ができ、厚いかさぶたになります。
時々痛みやかゆみがあり、場合によっては発熱につながる恐れもあります。
とびひは季節に関係する?
季節性ではないが夏に多い
とびひは季節はあまり関係なくできますが、子供の場合は夏に感染することが多いです。夏の時期は薄着になり、虫刺されやすり傷ができやすいからです。
水泡は1つから始まり、接触によってうつることで増えていきます。
ある日突然、鼻の穴の周りや手や足などに直接、1~2㎜くらいの小さな水泡がいくつも集まってできるような状態になります。
火事の飛び火のようにあっという間に広がるので、たとえて“とびひ”と言います。
とびひうつったかも?と思ったら
とびひができてから治るまでの流れ
1週間から10日の間に治る
水泡は薄い透明の膜でおおわれており、そのうち破れて水が出ます。
自分で潰してはいけません。
念のため、浸出液が漏れないよう、患部に軟膏の外用、ガーゼなどの保護処置が必要です。
破れた後は、ジメジメとしている状態で赤くなった肌が現れ、その後渇いてくるとかさぶたができて、数日でとれてしまい治ります。
この期間がおよそ1週間から10日と言われています。
とびひがうつりやすいのはどんな時?
夏はプールに行く機会が多いと思いますが、夏にできた水泡性膿痂疹は特にプールでうつりやすいと言えます。
とびひができたらプールに行くのをやめましょう。
また、とびひに罹った方が使った下着やタオルを他の人が使わないようにします。
とびひの菌が皮膚に直接つくことがなくても、免疫力が低下している時はうつりやすいので注意が必要です。
とびひの再感染について
とびひは再発することがあります。
再発を予防するためには、1個でもとびひができたら早めに治療することが大切です。
かきむしることで症状が悪化すると、とびひになりやすくなります。
日ごろから毎日入浴する、爪を短く切っておくなど、皮膚を清潔に保つようにしましょう。
とびひの感染を予防する。登校や登園はいつから?
家族が感染した場合
一緒に生活する家族がとびひに感染した場合は、以下のことに注意しましょう。
- 同じタオルは使用しない
- 入浴はシャワーで済ませる
- 殺菌成分が含まれた薬用せっけんを使用する
- やさしく洗い、せっけんが残らないよう充分流し、病院で処方された抗生物質の軟膏などを塗る
- とびひ部分に触った時はもちろん、そうでない場合もこまめに手洗いをする
流行期に予防のためにできること
- 皮膚を清潔に保ち、他の人と共有のタオルは使わない
- 虫や蚊に刺された後は感染しやすくなるので、早めに治療をする
- 皮膚に傷がある場合、悪化しないように注意する
- アトピー性皮膚炎など皮膚に疾患がある人は感染しやすいため、皮膚をしっかり保湿する
登校・登園・プールはいつから?
全身に広がっていれば休む
とびひがひどく、全身に症状が広がっている場合は、学校や幼稚園を休むことが必要です。
狭い範囲なら患部をガーゼで覆えばOK
それほど範囲が広くないとびひの場合、病院で治療を受け、患部をガーゼで覆うなどの処置を行っていれば、学校や幼稚園に通うことができます。
プールは治療が終わるまで控えて
ただし治るまでは他の子どもにうつす可能性があるので、治るまでしっかりと治療を受ける必要があります。
プールも治療が終わるまで控えましょう。
まとめ
とびひは感染力が強い皮膚病です。
とびひの原因となる傷や虫刺されが皮膚にできたときは、症状を悪化させないように肌を清潔に保つことが大切です。
とびひになったら速やかに病院を受診し、他の人にうつさないよう適切な治療を受けましょう。
執筆・監修ドクター
経歴1989年 東京大学医学部大学院入学
1995年 東京大学医学部大学院卒業、博士号取得
1998年 東邦大学付属大橋病院皮膚科勤務
2001年 河北総合病院出向
2003年 東邦大学付属大橋病院皮膚科勤務
2003年 医療法人社団 優恵会 ひろせ皮フ科開設
2008年 医療法人社団 優恵会 ベル・ポークリニック理事長就任
2012年 医療法人社団 優恵会 銀座よしえクリニック院長就任
2015年 医療法人社団 優恵会 銀座よしえクリニック総院長就任
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