足の巻き爪・陥入爪が化膿して痛い!原因や治療方法、病院は何科を受診?爪の切り方やセルフケアも解説
歩くたびに痛む足の巻き爪・陥入爪で悩んでいませんか?見た目も気になる上、フットネイルがうまくできないと悩む方もいるでしょう。
巻き爪・陥入爪は悪化すると、化膿(かのう)して歩けないほどの激痛を引き起こすこともあります。そのため、早めに病院で診察を受けることが大切です。
この記事では、巻き爪の原因から、セルフケアや応急処置、治療法について解説します。
- 目次
巻き爪・陥入爪になりやすいのは足の親指
巻き爪は、爪の端が内側に巻き込んだ状態をいいます。陥入爪は爪の角が、まわりの皮膚に食い込んで炎症を起こした状態です。
どちらも全身の負担がかかる足の親指にできやすく、まれに手の爪に見られることもあります。また、巻き爪と陥入爪が合併して発生することもあります。
巻き爪が悪化すると炎症して肉芽ができ、ひどい痛みが出ることも
巻き爪は痛みがない時点では、基本的に心配はありません。ただし進行すると、靴を履いたときに巻いた爪が圧迫されたり、爪の両側にある皮膚が硬くなったりすることで、痛むようになります。
ふだんは症状がなくても、運動をしている時や、長時間の歩行で痛むことがあります。
陥入爪は初期の段階では、痛みは軽く、皮膚が炎症して赤く腫れる程度です。しかし症状が進行すると、皮膚の腫れがひどくなり、ますます爪が食い込んで炎症が悪化してしまいます。
指先が化膿して、肉芽(傷口が治る過程でできる粒状の組織)が盛り上がり、さらに痛みが強くなる場合もあります。 重症化すると靴が履けない、歩けないほどの激痛をともなうことがあるので早めに対処する必要があります。
また、爪の痛みをかばうために姿勢や歩き方が悪くなり、腰や膝を痛める場合もあります。高齢者の場合は、転倒の危険性もあります。巻き爪は自然治癒することはありません。食い込みによる痛みがなくても、爪の巻き方がきつくなったら、病院で診察を受けたほうがよいでしょう。
巻き爪の原因は爪の水虫や深爪、外反母趾や運動不足、老化も
基本的に、日常生活に巻き爪になる原因があったり、場合によっては病気でも巻き爪になったりすることがあります。
巻き爪になりやすいと考えられる原因は以下です。
歩き方が悪い
歩き方が悪いと足指の骨が変形し、足の先端に正しく圧力がかからなくなるため、爪が巻きやすくなります。
靴による圧迫
足のサイズに合っていない靴を履いていると、爪が圧迫されて巻きやすくなります。
またきつい靴だけではなく、サイズが大きい靴でも爪先が圧迫されるため、巻き爪になりやすいと言われています。
足や爪の形
生まれつきの足や爪の形によっては、巻き爪になりやすい場合があります。
特に偏平足で爪が薄い人は、外部からの圧力を受けやすいため、巻き爪になりやすいと言われています。
深爪
陥入爪の多くは「深爪」が原因です。爪を短く切りすぎると、指先の皮膚が盛り上がって爪が埋もれやすくなります。爪の端が皮膚を圧迫し、傷つけてしまうことで炎症が起きます。
食い込んだ爪の部分を切ると痛みが軽減されますが、爪が伸びるとまた症状が発生します。これを繰り返すと爪が変形し、さらに食い込みがひどくなり、症状が悪化するため注意しましょう。
老化
加齢によって爪は分厚くて硬くなるとともに、縮んで小さくなります。また、あまり歩かないことで爪に刺激が加わらないために、爪が巻きやすくなってしまいます。
スポーツやケガ
激しいスポーツで足の指や爪に負荷がかかる、あるいはケガで爪が損傷したり、剥がれることも巻き爪の原因となります。
爪の水虫(爪白癬・つめはくせん)
爪が水虫(爪白癬)になると、爪が分厚く変形してしまうため、巻き爪になる場合があります。
外反母趾
外反母趾(ぼし)の場合、爪が横や下からの圧力を受けやすくなり、内側に巻いてしまうことがあります。
病院での巻き爪・陥入爪の治療には、矯正療法と手術療法がある
病院での治療法は、大きく分けると矯正治療(保存的治療)と、手術(外科的治療)があります。治療法の内容、期間、費用や保険適用について解説します。
矯正(保存)療法
矯正(保存)療法は、手術をしないで爪の形を矯正する治療法です。治療に際しての痛みが比較的少ない、爪の形が変わらないといったメリットがあります。
ただし、ワイヤーなどの器具を使って、爪の形を少しずつ矯正していくため、ある程度の時間がかかります。定期的に器具を付け替えながら、軽度の場合は3~6か月、重度の場合は、6か月~1年程度治療を行います。
また、治療に使う器具は保険の適用がないため、多くは自由診療となります。費用は病院によって異なりますが、初期費用として5,000円~15,000円程度かかります。また、器具の交換の際にも費用がかかります。
矯正療法はさまざまな方法がありますが、ここでは代表的なものを紹介します。
ワイヤー法
爪の先端に2カ所穴をあけ、太さ0.3~0.5ミリの特殊な弾性ワイヤーを通します。ワイヤーが伸びて引っ張る力を利用して、爪を平らな状態に矯正します。爪の左右両側に専用のワイヤーをかけ、フックで中央に引き寄せる「VHO法」など、さまざまな方法があります。
1か月から1か月半おきに、ワイヤーを入れ替える必要があります。装着期間は半年から1年です。
プレート法
爪の上にアクリルや形状記憶合金でできたプレートを装着して、巻き爪の形を矯正します。2~3か月おきに、プレートを付け替える必要があります。ワイヤー法より矯正力が弱くなりますが、装着が目立たないというメリットがあります。
クリップ法
爪の先に形状記憶合金製のクリップを差し込んで、上に戻る力を利用して巻き爪の形を矯正します。爪が薄くて、ワイヤー法では爪が割れたり、過度に矯正されたりする人に適した方法です。半年程度の装着が必要となります。ワイヤー法より矯正力が弱くなりますが、自分で装着できるというメリットがあります。
手術療法(外科的治療)
麻酔をして、爪や周囲の皮膚を切除する治療を行います。所要時間は20~30分程度で、入院の必要はほぼありません。保険が適用されます。
手術によっては、爪の幅が狭くなってしまうというデメリットがあります。
部分抜爪法
皮膚に食い込んでいる爪を部分的に切除する方法です。肉芽がある、化膿しているといった場合に適した治療法で、痛みがすぐにひく場合もあります。 ただし、再発の可能性があり、傷が治るまでに2~3週間かかります。費用は保険適用で、5,000円程度です。
爪郭部切除法
爪が食い込んでいる皮膚の部分(爪郭部 、そうかくぶ)を切除する方法です。爪の食い込みが続いて、周囲の皮膚が盛り上がってしまい、爪を矯正しても繰り返し炎症を引き起こす場合に有効な治療法です。
爪の形が変わらないというメリットがありますが、手術した部分を治療するのに2~3週間必要です。費用は保険適用で、5,000円程度です。
フェノール法
爪が食い込んでいる部分を切除したのち、爪が生えてこないように「フェノール」という薬剤で、爪のもとになる「爪母」の細胞を処理する方法です。再発率が低いのがメリットです。傷が治るまでには2週間から1か月程度かかります。費用は保険適用で、10,000円程度です。
巻き爪・陥入爪のセルフケア
巻き爪が痛んでいるけれど、仕事などが忙しくてなかなか病院に行けないこともありますよね。そのような時は、病院に行けるようになるまでセルフケアをこまめにするとよいでしょう。
爪は「スクエアカット」をする
正しく爪を切ることが巻き爪や陥入爪を予防し、改善に役立ちます。 正しい爪の切り方は、爪を四角に切る「スクエアカット」が基本です。爪の角を斜めに切る「バイアスカット」は、爪が巻きこみやすくなります。
スクエアカットの場合、爪は指の先端か、それより少し長めの位置でまっすぐ切ります。爪の角は切り込まず、やすりを使って、やや丸く整えるようにしましょう。爪を切る頻度は、1か月に1度程度が目安です。
正しい歩き方をする
正しい歩き方をすることで、足の爪に均等に圧力がかかるようになります。
そのため、爪がまっすぐ伸びやすくなります。
正しい歩き方は、まずかかとで着地して、重心を小指の付け根に移動させます。次に小指の付け根から、薬指、中指、人さし指の付け根へ順番に重心を移動させて、最後に親指の付け根から蹴り上げるように歩くようにしましょう。
靴の選び方に注意する
足に合った正しいサイズの靴を選びましょう。足先にゆとりがあり、指の付け根が曲がりやすく、足指をしっかり使って歩ける靴がおすすめです。
甲まわり、かかとまわりが合っているかどうかも確認しましょう。また、3㎝以上の高いヒールは、爪先に体重がかかって爪が圧迫されるため、なるべく控えましょう。
足はブラシでしっかりと洗う
細菌感染を防ぐために、足を清潔に保つことが大切です。フットケア用のブラシなどを使って、爪と指の間、爪の側面、生え際をやさしくていねいに、しっかりと洗いましょう。洗い終わったら、やわらかいタオルでしっかりと水分をふきとることも大切です。
自分でできる巻き爪・陥入爪の応急処置は?コットンを使った方法も
軽症でも痛みがある場合は、病院に行くまでの間、以下のような応急処置を行ってもよいでしょう。
テーピング
巻き爪の食い込みがひどくならないように、テープを使って、爪と皮膚の間にすき間をあける方法です。爪の際にテープを貼って、皮膚を引っ張ることで爪の食い込みを緩和し、痛みを和らげます。使用するテープは、ドラッグストア、スポーツ用品店、100円ショップなどで購入できます。
コットンパッキング
巻き爪になった爪と皮膚の間に、コットンをはさんで空間を作り、痛みをやわらげる方法です。コットンを米粒程度の大きさにまるめて、ピンセットで爪と食い込んでいる皮膚の間にはさみます。
コットンは毎日取り換えるようにしましょう。
巻き爪・陥入爪は放置していると重症化する可能性もあります。そのため、セルフケアだけに頼らず、できるだけ早めに医療機関へ相談するようにしましょう。
まずは皮膚科を受診して、治療方法の相談を!
執筆・監修ドクター
経歴2002年 金沢医科大学医学部 卒業
2002年 金沢医科大学病院 小児科、内科勤務
2004年~2018年大阪、神戸、東京、福岡の病院、クリニックで内科、皮膚科勤務
2018年 クリスタル医科歯科クリニックインターナショナル内に医科開設
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