開張足の原因と改善法は?進行すると痛みや変形も!自分でできるケアとは
【医師監修】
足が疲れやすい、外反母趾がある、足の裏に魚の目やタコができる…もしかしたら、開張足かもしれません。
女性に多く、徐々に痛みや変形を伴っていきます。
足が疲れやすい、足がだるくて重い、足の裏に魚の目やたこができるなど、足のトラブルを抱えてはいませんか?
そのお悩みの原因は、もしかすると「開張足」かもしれません。
開張足とは、足にある三つのアーチのうち、横アーチが崩れた状態のことをいいます。開張足は、多くの人が抱えている足のトラブルの一つです。
この記事では、開張足の症状や原因、改善方法について解説します。
開張足について
1.開張足とは
足にある「三つのアーチ」が崩れた状態
足には三つのアーチがあります。
土踏まずといわれる内側の縦アーチ、踵から小指に繋がる外側の縦アーチ、親指から小指に繋がる横アーチの3つです。
この3つのアーチが、しっかりと働くおかげで、私たちは体を支えたり、歩いたり、走ったりすることができます。
開張足とは、3つのアーチのうちの横アーチが崩れ、足の甲が広がってしまう状態、つまり、足の指が横に広がってしまう状態のことをいいます。
2.偏平足とはどう違う?
開張足と似ているものに、偏平足があります。偏平足は土踏まずがない足のことで、内側の縦アーチが崩れている状態のことをいいます。
生まれたばかりの赤ちゃんは誰でも偏平足です。個人差はありますが、5~8歳くらいまでには足のアーチができてきます。
偏平足の原因はさまざま
偏平足の原因には、小児期において足の裏を使うような運動をあまりしないことや、何らかの障害や骨格の異常によって、先天的に土踏まずのアーチが発達しないこと、思春期や成人期における過度な運動、肥満や加齢による筋力低下や、腱・靭帯が弱ることなどがあります。
開張足の原因
開張足の原因である、「横アーチ」の崩れは、おもに次のことが原因で起こります。
・運動不足からの筋力の低下
・踵のある靴を履き、靴の中で足指を締めつけて動かせなくすることで、足裏の筋力が減ってしまい、横アーチを保てない
・地面からの衝撃などダメージの蓄積
・姿勢の悪い歩き方
1.足裏の筋力とヒールの靴との関係
足裏の筋力が低下すると、きちんとした横アーチを保つことが難しくなります。
踵のある靴を履いていると、靴の中で足指を締めつけて動かせなくなり、足裏の筋力が減りやすくなります。
横アーチが崩れることで、足裏が地面にぴったりとくっつくようになってしまいます。
2.男性よりも女性がなりやすい
女性は、男性よりも開張足になりやすいといえます。
それは、足裏の筋力を低下させる踵のある靴を履く機会が多いことや、女性は男性に比べると筋力が弱く関節が柔らかいことがあげられます。
3.外反母趾や魚の目、足底筋膜炎を引き起こすことも
開張足になると、足裏全体に負担がかかり、足が疲れやすくなります。
また、外反母趾や魚の目、たこ、足底筋膜炎など、足の病気を引き起こしてしまうこともあります。
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自分でできる、開張足の改善方法
開張足は、足の筋力アップをすることで改善することは可能です。
1.タオル寄せ運動
- 床にタオルを広げます。
- 踵を床につけたまま、足の指だけで、タオルを自分の方に寄せます。
慣れないうちはうまくできませんが、繰り返すうちに足裏の筋力アップになります。
2.足指じゃんけん
- 足の指をすべて丸めるように力を入れて、グーの形を作ります。
- 足の親指を伸ばし、その他の指を丸めるように力を入れて、チョキの形を作ります。
- 足の指と指の間が開くように力を入れて、パーの形を作ります。
3.正しい歩き方を心がける
開張足の人は、ぺたぺたという歩き方になりやすいため、踵を地面につけてから、親指の方へ体重移動させるように歩くようにしてください。
足指でしっかりと地面を蹴るように意識しましょう。
正しく歩くことで、筋力もアップし、横アーチも改善されていきます。
病院で行う、開張足の検査と治療
1.何科にかかれば良い?
開張足の検査や治療は、整形外科で受けることができます。
2.検査の流れ
まずは、痛みやどのような症状があるかなどの問診と、足の変形などを直接触る触診をした上で、レントゲンを撮って診断を行います。
3.治療
治療は大きく分けて二つあります。
正しいアーチを作るための治療
- 痛みや変形を予防するテーピング
- 足裏のアーチを持ち上げ、正しいアーチを作ることのできるインソールで治療をする
足の筋力を鍛えるトレーニング
ゴムバンドやタオルで足の指を鍛えます。
家でも簡単に行えるため、継続して運動することが大切です。病院では、医師の指示のもと理学療法士がついてトレーニングをすることもあります。
手術の必要性
純粋な開張足の場合は、基本的に手術は行いません。
外反母趾や偏平足(後脛骨筋機能不全)が合併しているケースでは、重症度にもよりますが手術をするケースもあります。
4.開張足を予防するには?
開張足を予防する生活習慣とは
・規則正しい食事をして、急激な体重増加をしない
・適度な運動をして、足裏の筋力を落とさないように努める
・意識して足指を動かすようにすること
・足に負担がかからない、正しい歩き方をマスターすること
・靴を適当に買うのではなく、足にフィットする自分に合ったものを選ぶようにすること
まとめ
開張足は急になるものではありません。徐々に症状が進行し、痛みや変形などを伴っていきます。
日常生活の中でトレーニングすることで、筋力を落とすことなく、横アーチを保つことができ、予防や改善が期待できます。
疲れや痛みがあまりにもひどい時は、専門の病院を受診しましょう。
執筆・監修ドクター
経歴1995年 昭和大学卒業(形成外科)
1996年 慶應義塾大学(整形外科) ※以後、関連病院にて脊椎専門にて勤務医
2010年 久我山整形外科ペインクリニック 開院
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