つめはくせん爪白癬
爪白癬(つめはくせん)とは、白癬菌を原因とする爪への感染症です。
爪が白色や黄色に濁り、しだいに厚くなる肥厚(ひこう)がおきるといった外見上の変化があります。爪の肥厚によって、靴を履くときに痛んだり、歩きにくくなったりもします。
また、爪白癬の原因となる足白癬は、家族内感染しやすいといわれており、周囲への拡散が問題となっています。
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爪白癬の症状
爪の色が先端や横から白色や黄色に濁ります。しだいに爪が厚くなり、爪の先端からボロボロと欠けてきます。
かゆみも、痛みもない無症状の場合が多いです。
爪白癬の診療科目・検査方法
家族内で感染しやすく、家族のなかに患者さんがいる場合は、そのほかの家族も感染に注意が必要です。足白癬の放置が主な原因になるため、足白癬を長期間、未治療で放置している場合は、受診が必要です。皮膚科を受診しましょう。
検査では爪切りなどで、爪の感染部分である、爪の色の濁った部分の角質を採取し、顕微鏡で白癬菌を確認します。この方法は「直接鏡検」という検査方法です。場合によっては、続けて培養検査をおこなうこともあります。
爪白癬の原因
水虫という名でも知られている足白癬(あしはくせん)を治療せず放置することで、白癬菌が皮膚から爪に侵入して発症します。まれに、爪の表面に直接侵入する場合もあります。
白癬菌への感染は、白癬菌を持つ人とのバスマットやスリッパ、タオルの共用や、足を乾燥させずに靴を履いたりすることも、感染の原因となります。
爪白癬の予防・治療方法・治療期間
白癬菌などを死滅させる抗真菌薬には、飲み薬で使用する内服薬と、塗り薬として使用する外用薬があります。原則、内服療法を行います。
内服薬
内服薬には、テルビナフィン、イトラコナゾール、ホスラブコナゾールがあります。
テルビナフィンは毎日1錠ずつ服用します。6ヵ月から1年ほど継続します。
イトラコナゾールは1週間服用し、3週間休薬するパルス療法を3サイクル繰り返します。ホスラブコナゾールは12週間毎日1錠ずつ服用します。
まれに肝機能障害を起こすことがあり、定期的に血液検査をおこなう必要があります。
外用薬
外用薬には、エフィナコナゾールとルリコナゾールがあります。爪がくさび状になっていて色も混濁している場合は外用薬が第一選択薬となります。
1日1回、爪に直接塗って浸透させることで、増殖した白癬菌を死滅させます。
治療には、感染部分が新しい爪に生え変わる必要があり、通常、手の爪で約半年、足の爪で約1年かかるといわれています。爪の肥厚が著しい場合、濁った爪を爪ヤスリ等で取り除くとよいでしょう。
爪白癬の治療経過(合併症・後遺症)
爪白癬は内服薬で治療するのが原則です。しかし、爪白癬には無効にもかかわらず、フィナコナゾールとルリコナゾール以外の既存の白癬外用薬が処方されているケースも少なくありません。直接鏡検をおこなって診断を確定し、その診断に基づいた適切な治療薬の処方が大変重要です。
また、見た目がきれいに変化しても、実際には白癬菌が残っている場合があります。自己判断で治療を中止せず、医師の指示を守って治療を継続することが大切です。
爪白癬になりやすい年齢や性別
患者さんの数は1,000万人以上です。日本人の10人に1人が爪白癬にかかっている恐れがあります。
患者さんの数は年齢とともに増加し、高齢になるほど多くなる傾向があります。
性差はほとんどありません。
参考・出典サイト
執筆・監修ドクター
経歴北里大学医学部卒業
横浜市立大学臨床研修医を経て、横浜市立大学形成外科入局
横浜市立大学病院 形成外科、藤沢湘南台病院 形成外科
横浜市立大学附属市民総合医療センター 形成外科
を経て横浜栄共済病院 形成外科
2014年 KO CLINICに勤務
2021年 ルサンククリニック銀座院 院長 就任
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