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にゅうがん乳がん

更新日:2022/08/16 公開日:2019/02/06 view数:8,606

乳がんとは?

乳がんは乳房にできるがんで、女性がなるがんの中でも、発症率の高い病気です。
転移した状態まで進行すると、命に関わる危険性が高くなります。初期がんのうちに発見すれば、(がんの中では)5年生存率が良好です。乳房に何らかの異常を感じたら、早急に医療機関を受診するようにしましょう。

乳がんには複数の種類があり、がん細胞の増殖速度や受容体ホルモンの違いで分類されおり、治療方法や効果などに関係しています。また、男性でも乳がんになるリスクはありますが、女性の1%以下にとどまります。女性のがんとしては、子宮頸がん子宮体がんが知られています。

乳がんを診てもらうなら外科乳腺外科です。ホルモンバランスが影響する病気なので、体調が良い日に受診しましょう。
乳がんの治療は、進行具合によってさまざまな方法があります。
治療手段は、手術、放射線を使った治療、抗がん剤の投与などです。
どのような方法でも、それぞれ注意すべき点や副作用があるため、医師や家族と十分に相談して決めることが大切です。


女性がなりやすいがん

乳房には乳腺(にゅうせん)というものが乳頭から放射状に広がっており、乳腺は母乳をつくる小葉(しょうよう)という部分と、その小葉と乳頭をつなぐ乳管で構成されています。乳がんは乳管から発生することが多いとされています。

乳がんの種類

・非浸潤がん

身体にできたがん細胞が、その場に留まっている状態のがんです。転移していないので手術もしやすいタイプです。

・浸潤がん

身体にできたがん細胞が、血液やリンパを通して他の部位に転移してしまっている状態のがんです。こうなると手術する場所が増え、さらに転移している可能性もあるので治療が困難になります。がん細胞が本来発生した場所からしみ出るように増殖し、他の組織を侵していくことを浸潤といいます。

このタイプを踏まえ、乳がんのできる場所によって下記のように種類が分かれます。

・非浸潤性乳管がん

がん細胞が乳管に発症しており、その場に留まっている状態です。切除をするといった手術も小さな範囲で済むので、身体的な負担も少なくなります。

・非浸潤小葉がん

小葉にがん細胞が発生している状態です。まだ転移がない状態なので、軽い手術で治療することができます。

・浸潤性乳管がん、浸潤性小葉がん

それぞれ乳管や小葉でがんが発症しており、他の部位に転移している状態の乳がんです。進行すると、手術だけでは治療できず、抗がん剤や放射線を使った治療も組み合わせて治療します。

また、乳がんには増殖速度やホルモン受容体が陽性か陰性かでサブタイプが異なります。
サブタイプは下記の表に記されている五つのタイプに分かれます。

①ルミナスAタイプ
②ルミナスBタイプ・HER2陰性
③ルミナスBタイプ・HER2陽性
④HER2陽性
⑤トリプルネガティブ

ホルモン受容体陰性 ホルモン受容体陰性
増殖能力 低い 高い
HER2 陰性 ホルモン受容体陽性 HER2 陰性タイプ ⑤トリプルネガティブ
ホルモン受容体陰性

HER2 陰性
①ルミナルAタイプ
かつ増殖能力が低い
②ルミナルBタイプ・HER2  陰性
かつ増殖能力が高い
HER2 陽性 ③ルミナルBタイプ・HER2 陰性
ホルモン受容体陽性
HER2 陽性タイプ
④HER2 陰性
ホルモン受容体陰性
HER2 陽性
目次
  1. 乳がんの症状
  2. 乳がんの診療科目・検査方法
  3. 乳がんの原因
  4. 乳がんの予防・治療方法・治療期間
  5. 乳がんの治療経過(合併症・後遺症)
  6. 乳がんになりやすい年齢や性別

乳がんの症状

乳房に痛みが生じ、しこりができる。また、乳房周辺のリンパが腫れる。乳房の皮膚状にも変化が現れることがあります。

乳がんの初期症状はほとんどわかりません。しかし、徐々に乳房の痛みや変化が現れます。

主な症状は以下のとおりです。

・しこり
・乳房の痛み
・分泌物の異常・・・乳頭から血が混じったような茶褐色の分泌液が出る
・乳房の皮膚にえくぼのようなくぼみ、凹凸した表面に変化
・乳頭のただれ、陥没
・脇の下のしこり、痛み・・・リンパを通じて、がん細胞が転移した際に生じる

乳がんのステージ分類

0期  がんが発生した乳腺の中にとどまっているもの。
極めて早期の乳がんで「非浸潤(ひしんじゅん)がん」という。
Ⅰ期 しこりの大きさが2cm 以下。わきの下のリンパ節には転移しておらず、乳房の外に広がっていないと思われる。
Ⅱa期 しこりの大きさが2cm 以下だが、わきの下のリンパ節に転移がある。
またはしこりの大きさが2~5cm で、わきの下のリンパ節に転移がない。
Ⅱb期 しこりの大きさが2~5cm で、わきの下のリンパ節に転移がある。
Ⅲa期 しこりの大きさは2cm 以下だが、わきの下のリンパ節に転移があり、さらにリンパ節同士が癒着していたり、周辺の組織に固定したりしている。
またはわきの下のリンパ節への転移はないが、胸骨の内側のリンパ節がはれている。あるいはしこりの大きさが5cm 以上で、わきの下あるいは胸骨の内側のリンパ節への転移がある。
Ⅲb期 しこりの大きさ、わきの下のリンパ節への転移の有無にかかわらず、しこりが胸壁にがっちりと固定していたり、皮膚にしこりが顔を出したり、皮膚が崩れたり、皮膚がむくんでいる。炎症性乳がんも含まれる。
Ⅲc期 しこりの大きさにかかわらず、わきの下のリンパ節と胸骨の内側のリンパ節の両方に転移のある場合。
あるいは鎖骨の上下にあるリンパ節に転移がある場合。
Ⅳ期 遠隔臓器に転移している。乳がんが転移しやすいのは骨、肺、肝臓、脳など。

乳がんの診療科目・検査方法

早期発見、早期治療により治癒が望めることがあるため、しこりを見つけた場合などには外科婦人科産婦人科乳腺外科の受診が必要です。

超音波検査とマンモグラフィーをおこないます。精密検査として、細胞診や組織診、MRIなどが主な検査となります。

診療科目

検査をしてもらうなら、外科乳腺外科に行くことが望ましいです。産婦人科でも受けられることがありますが、より専門的な検査が受けられる科目が良いです。検査を受けに行くときは、自分の体調が優れているときのほうが確かな検査が受けられます。

ホルモンバランスも関係してくるので、月経が終わってから1週間以内が望ましいです。

問診で回答できるように以下の内容を確認しておきましょう。

・年齢
・月経の状態
・妊娠、出産歴
・家族の乳がん、卵巣がん歴
・ホルモン剤の服用歴

検査方法

視触診

乳房の見た目と触ってから状態を確認する。ポイントとして以下のことが挙げられます。

・乳房の大きさや形
左右の大きさが異なっていたり、しこりがあるところが盛り上がっていたりすると乳がんの可能性があります。

・乳房にくぼみがないか
えくぼ状のくぼみがあると、乳がんの疑いが出てきます。

・左右の乳頭の位置
あまりに位置が違うと、大きさや形の異常と同じく乳がんの疑いが強まります。

・皮膚の異常や、引きつれがないか
皮膚に炎症があったり、色が違っていたりすると炎症性の乳がんが考えられます。また、皮膚が患部の方向に引きつっている場合は乳がんが皮膚近くまで進行している可能性があります。

・乳頭からの分泌物の有無
乳頭から血の混じったような茶褐色の分泌物がある場合は、乳がんの可能性があります。

触診

・しこりの有無
・乳頭からの分泌物の有無
・しこりの大きさや形、硬さ、皮膚の状態、可動性など
ゴリゴリとしていて硬く、指で押しても動かない(可動性がない)ようなしこりだと、乳がんの可能性があります。

マンモグラフィー検査

マンモグラフィー検査は、視触診でしこりや皮膚の異常が見つかった際に、乳がんかどうかを診断する検査です。この検査により、腫瘍の大きさや形、石灰化といった乳房の状態を知ることができます。「石灰化」とは乳腺のなかにあるカルシウムの沈着物のことです。

そのため、触診では発見できない、5mm程度の乳がんも発見することが可能です。しかし、乳腺が発達しており、石灰化が多い状態では撮影しても複数の石灰化した部分に隠れてしまい、小さな乳がんだと見逃してしまうことがあります。

撮影するときは、まず乳房の厚みが4~5cmになるように、乳房を片方ずつ圧迫筒(あっぱくとう)で上下から圧迫します。撮影時間は1秒もかからず、圧迫は数秒間で済みます。左右の乳房を比較することが重要なので、必ず両方の乳房を検査します。

撮影はX線によるものですが、2,3秒なので身体への影響は少ないです。

超音波検査(エコー検査)

超音波検査はエコー検査ともいわれており、ゼリーを塗った乳房に「プローブ」という器具を押しつけて、超音波の反射具合で乳房の状態を確認します。動画で観察する検査で、乳腺は白く、脂肪や水は黒く映されます。そのため、腫瘍部分があると乳腺が黒くなっており、良性だと黒いはっきりとした丸い形で見えます。

しかし、悪性だと丸形ではなく、不明瞭な形で映し出されます。

マンモグラフィーとの違いは、マンモグラフィーが画像でじっくり確認できるのに対して、エコーは動画で一瞬しか患部を確認できないことがあります。そのため、エコーは乳がんを見逃して検査が終了してしまう場合があります。

長所としては、X線のように被ばくのリスクがないことが挙げられます。超音波による検査のため、身体への負担が少ないです。

乳がんの原因

乳がんの発生には女性ホルモンであるエストロゲンが大きく関与していることが分かっています。

エストロゲンは女性ホルモンの一種で、身体が丸み帯びて女性らしい体つきになったり、卵胞(らんほう)を成熟させたり、妊娠、出産をサポートし、乳管を発達させて母乳を出しやすくする働きがあります。

このエストロゲンが何らかの要因で長期間、大量に分泌されると悪影響が出ます。乳房にも影響が現れ、がん細胞を作り出します。ホルモンバランスが乱れる要因は下記のようなことが考えられます。

生理、生殖に関する要因

乳がんの発症リスクが高まる要因の1つは、エストロゲンが長期間に渡って分泌されることである。例として以下のことが考えられます。

・初経年齢が早い
月経が早く始まるとその分、女性ホルモンが分泌される時間も長くなります。

・閉経年齢が遅い
月経がなくなる年齢が遅くなっても、エストロゲンにさらされる時間は長くなります。

・初産、授乳の年齢が遅い
出産が遅くなると同時に授乳する機会も遅くなります。授乳することで、ホルモンバランスは変化します。そのため、出産が遅いとその分エストロゲンの影響を受ける時間が長くなります。

体格による要因

・肥満体型の人は閉経後に注意
閉経後は脂肪によってエストロゲンがつくられるため、乳がんになりやすくなります。本来、閉経後はエストロゲンが減少しますが、脂肪組織でわずかにエストロゲンが生成されます。BMI(肥満指数)が25以上の女性は注意が必要です。

生活習慣による要因

・喫煙による乳がん発症率は4倍
喫煙をしている人の乳がん発症率は、喫煙していない人に比べて4倍になります。また、煙を吸うだけの受動喫煙でも2.6倍になるため、なるべく煙を吸わないようにすることが必要です。

・一日のアルコール摂取は10g以内で
一日にアルコールを10g摂取すると、発症リスクが10%増加するという飲酒の影響を示すデータがあります。具体的な量としては、250ml缶の発泡酒の半分が10gの目安になります。

・食生活の変化も原因の一つ
高脂肪高カロリーの食生活になったことで、成長が進み、初潮(初経)が早くなりました。その結果、20~30代の若い女性も乳がんのリスクが高まっています。

その他

・遺伝
乳がんの5~10%は遺伝が関係している。家族で乳がんになった経験のある人がいると、遺伝的に乳がんになる可能性があると考えられています。原因遺伝子となるのはBRCA1とBRCA2という遺伝子であり、本来は細胞を修復してがん細胞を抑制する機能を持っています。しかし、何らかの要因で遺伝子の働きが阻害されると、がん細胞ができてしまいます。

この本来の機能ができていないBRCA遺伝子を親から受け継いで、乳がんになりやすい人がいると考えられています。

乳がんの予防・治療方法・治療期間

乳がんの種類や進行期にもよるが、乳房部分切除や乳房切除、リンパ節郭清の手術療法と放射線治療、薬物治療を組み合わせておこないます。また、保険適応での乳房再建術も可能です。

治療期間は1か月から6か月だが、数年にわたり内服治療をおこなうこともあります。

手術

・乳房部分切除手術

腫瘍の周りを部分的に切除して、がんを外観上もきれいになくします。手術をするための条件は決められておらず、がんや乳房自体の大きさ、位置、患者さん自身の希望によるので、医師としっかりと相談して決めることが大切です。

一般的には、手術をしたあとに放射線を当てて、再発を防ぐ治療までおこないます。

・乳房切除手術

乳がんが広範囲に広がってしまっている、しこりが複数ある場合は乳房全体を切除する手術をおこないます。

・乳房再建術

乳房切除手術をおこなったあとに、患者さんのお腹や背中などの組織や人工のシリコンを用いて乳房をつくる手術です。乳がんの手術を終えてすぐおこなう一次再建と、数ヶ月から数年後におこなう二次再建があります。
手術には近年保険が適用され始めているが、内容や病院によって異なります。

医師と十分に相談して治療をおこないます。

・わきの下のリンパ節郭清(腋窩リンパ節郭清)

乳がんが乳房から転移する可能性があるわきの下のリンパを切除する手術です。わきの下のリンパを切除する(リンパ節郭清)をすることでそれ以上の転移を防ぎます。

後遺症として、わきや肩の知覚がなくなったり、腕や肩がしびれたり、リンパ液が溜まって腕がむくれる「リンパ浮腫」が起こることがあります。

放射線治療

X線や電子線を使って、局所的にがんを除去する治療です。身体の外から放射線を浴びせることでがんの増殖を抑え、小さくすることができます。近年では乳房部分切除手術の仕上げに放射線治療をおこなうことが一般的です。

副作用

放射線を浴びせた部位が赤くなる場合があります。1~2週間で治まるので、こすったりかいたりしないように心がけます。

また、皮膚が熱い状態だったり、黒ずんでかさかさになることがありますが、これも1~2年で治まります。
他にも治療して数ヶ月後に肺に炎症が起こることがある。症状が長く続く場合は医師に相談する。

薬物療法

薬物療法は、手術の前や後に補助的におこなったり、延命や生活しやすいように症状をやわらげるためにおこないます。薬物療法の種類として、「ホルモン療法」と「化学療法」、「分子標的療法」があります。この二つの治療法は乳がんのサブタイプによって組み合わせが異なります。

・化学療法

化学療法は抗がん剤を用いることで、がんの増殖を抑制させる薬物療法です。手術をする3ヶ月~半年前から投与し、がんを小さくして手術をしやすくすることができます。
術後は、再発を防ぐために投与し、身体のどこかに潜んでいる小さながん細胞を死滅させます。

副作用

・吐き気
抗がん剤を投与して1週間は吐き気があります。吐き気止めを併用して予防しながら治療をおこなうので、そこまで症状に悩まされることはありません。

・骨髄抑制
赤血球と白血球、血小板が減少する。抗がん剤を投与して1週間してから減り始め、2週間目になると最低値まで下がり、3週間してから回復してきます。免疫力が低下した状態のため、感染症や体調管理に気をつける必要があります。

・脱毛
抗がん剤を投与して2~3週間で髪の毛が抜け始めます。眉毛やまつ毛も抜けることがある。あらかじめウィッグ(かつら)を用意するなど、準備をしておく必要があります。

・卵巣機能障害
一時的に月経が止まることがあります。完全に止まる恐れもあり、のぼせやほてりといった更年期障害の「ホットフラッシュ」の症状も出てきまます。

・その他
味覚障害や、爪の色に異常が出たり、爪割れしたりといった症状が出ます。

・ホルモン療法

ホルモン療法とは内分泌療法ともいい、女性ホルモン(エストロゲン)の分泌量を調整してがんの増殖を抑える治療法です。乳がんのサブタイプには、エストロゲンをえさとするタイプがあります。そのようなタイプのがんの増殖を抑えるために有効な治療法です。

副作用

女性ホルモンを抑制するため、イライラしたり、不眠やほてりといった更年期障害の症状が出てきます。薬剤によっては高脂血症、血栓症、骨粗鬆症といった症状が出てくることがあるため、その治療も並行しておこなう必要があります。

・分子標的療法(HER2療法)

分子標的療法は、乳がんの増殖に関わっているタンパク質(HER2)の働きを抑える治療法です。がん細胞だけ狙い撃ちにするため、副作用は軽いが寒気や発熱が出るので、注意して治療を進める必要があります。

この3種類の薬物療法を、サブタイプによって組み合わせを変えておこない、治療を進めます。
サブタイプ別の薬物療法の組み合わせは以下の通りです。

サブタイプ別の推奨される薬物療法
サブタイプ 推奨される薬物療法
ルミナルAタイプ ホルモン治療法単独(※1)
ルミナルBタイプ ホルモン治療+化学療法(※2)
ルミナルBタイプ
(HER2陽性)
化学療法+抗HER2療法+ホルモン療法
HER2陽性
(ルミナルタイプではない)
化学療法+抗HER2療法
トリプルネガティブ 化学療法

※1:リンパ節転移が多い場合など、化学療法が必要なこともあります。
※2:ホルモン療法単独の場合もあります。

予防

早期に発見し治療を開始できれば治療の成功率はあがります。
そのため、日頃からしこりや痛みがないかチェックをおこなうことが重要です。2cm以上のしこりを自分で見つけることで9割以上の人が助かっています。月一回、月経周期を考えて、自分の体調が良い時におこなうように意識してみましょう。

チェックすべきポイントは以下の6つです。

・乳房の大きさや形に左右差がないか
・しこりができていないか
・皮膚の異常やひきつれがないか
・えくぼのようなへこみがないか
・ただれていないか
・出血や異常な分泌物がないか

入浴前に鏡を見てチェック

・腕を下げた状態で、乳房の状態を確認する
・腕を上げた状態で、さまざまな角度から乳房を観察。異常がないか確認する
・乳頭を軽くつまみ、分泌物がないか確認。異常があれば医師に相談する。

入浴中のチェック

・腕を上げ、乳房の表面に渦を書くように、しこりがないか調べる。
・指をわきの下に入れてリンパが腫れていないか確認する。

就寝前のチェック

・腕を上げて、乳房の内側部分に異常がないか指の腹で確認する。
・同じ状態で、乳房の外側も確認する。
・わきの下にしこりがないか、指で確認する。

2cm以上のしこりで、硬く押しても動かないようなものがある場合は、早めに医師に診てもらいましょう。

生活習慣

・飲酒、喫煙を控える

喫煙をおこなうとタバコを吸わない人に比べて約4倍も乳がんになりやすいというデータがあります。
また、飲酒についても、アルコール摂取量が10g増えるごとに10%ずつ乳がんのリスクが高まることが分かっています。
そのため、喫煙や飲酒を控えることが乳がんの予防には必要です。

・運動

運動は、閉経後の女性にとって乳がん対策になると考えられています。そしてなによりストレスを解消できることが、がん予防につながります。1日に30分ほどでもよいので、有酸素運動や軽めの運動を取り入れることが推奨されます。

・食事

栄養をバランス良く取ることは、がんだけでなく、さまざまな病気の予防になります。特にホルモンバランスを整える、イソフラボンを摂取できる大豆や豆料理をとると、乳がん対策になります。塩分過多や高脂質の料理ではなく、野菜や魚からもしっかりと栄養を摂取するようにしましょう。

乳がんの治療経過(合併症・後遺症)

治療は手術療法が基本となります。抗がん剤治療や放射線治療、薬物治療(ホルモン剤治療、分子標的治療)などを組み合わせておこないます。

乳がんのリスクは、他の器官や部位にがん細胞が転移することであります。
対応が遅れると身体全体が蝕まれ、やがて命に関わります。
早めに治療すれば根治できる可能性もあるが、手術によっては後遺症が存在します。

早期発見の重要性

乳がんは他のがん同様、何も対処せずにいると他の部位に転移して身体を蝕んでいきます。これを遠隔転移といいます。転移が進むと、本来の乳房部分の痛みだけでなく、他の部位で痛みが生じ、より多くの手術や治療が必要になります。

乳がんの生存率は年々低下している。国立がん研究センターによると、乳がん患者死亡率は2010年の死亡者数12,455人、2015年の死亡者数は13,584人と増加傾向にあります。相対的に乳がんになった人が亡くなることが多くなっています。

乳がんはステージの進行具合で生存率が大きく変わります。ステージⅠ、Ⅱまでは胸のみで発生している局所的ながんの状態であるため、90%以上の生存率であり、早期発見と早期治療の重要性が確認できます。

しかし、ステージⅣの状態になると周りの組織に遠隔転移します。転移している場所は多い順に骨、局所・リンパ節、肺、肝臓、脳の確率が高いです。この状態での5年生存率は約33%となり生命にかかわってきます。

また、乳がんは他のがんと同様に再発するリスクがあります。3年以内に再発することが多い傾向がありますが、5年、10年と過ぎてからも再発の起こる可能性はあります。

手術後の後遺症

・腋にリンパ液がたまる

リンパ節からがんが転移していた場合、腋窩リンパ節郭清(えきかリンパせつかくせい)で取り除きます。これによってリンパ液が腕に溜まってしまい、むくんでしまう「リンパ浮腫(ふしゅ)」が起こることがあります。

・腕や肩のしびれ、運動障害

手術の影響で筋肉やわきの下が縮むことがあるので、肩を上げたり腕を動かすと痛みやしびれが生じることがあります。リハビリをして意識的に運動しましょう。

・皮膚の知覚障害

腋窩リンパ節郭清によって、切開部やわきの下の知覚がなくなることがあります。自然に治ることもありますが、そのままの場合もあります。

・リンパからの感染

腋窩リンパ節郭清をおこなったあとは、免疫力が低下します。なるべく虫刺されや感染症に気をつけて生活する必要があります。

参考・出典サイト

乳がんになりやすい年齢や性別

発症者数は約72,500人(女性のがんの約20%)です。

女性に多く、30代から増加し、40歳代後半から50歳代前半に多い傾向がみられます。

他のがんに比べると発症者が非常に多いといます。

特に40代から乳がんになる人が多いという傾向もみられ、5年生存率は転移していない状態で98.9%、隣の臓器やリンパまでの転移だと88.4%と高い数字になっています。
しかし、転移が進んだ段階では33.7%となっており、生命に関わる病気といえます。

参考・出典サイト

執筆・監修ドクター

岩田 佳幸
岩田 佳幸 医師 いわたレディースクリニック 院長 担当科目 婦人科/内科

経歴京都府立医科大学 卒業

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