かんせんせいかんせつえん乾癬性関節炎
乾癬性関節炎とは?
乾癬性関節炎は、皮膚がボロボロと白く剥がれ落ちる乾癬(※1)の症状があり、その後に関節炎や指が腫れる、爪の変形が起こる病気です。免疫機能の異常によって起こると考えられていますが、詳しい原因はわかっていません。
乾癬の症状があるすべての人が関節炎になるわけではなく、日本での発症数はそのうちの約1%といわれています。乾癬性関節炎は進行していくと関節リウマチと同じく、関節の組織を破壊するため関節の変形が進行します。
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乾癬性関節炎の症状
乾癬(かんせん)特有の皮膚症状(赤く腫れたあとにフケのようにポロポロとれる)のほか、手指や足などの関節に痛みと腫れが出ます。
かかとのあたり(アキレス腱付着部)や腰背部痛も合併することがあります。まれに皮膚症状が出る前に関節炎が発症することもあります。
乾癬性関節炎の診療科目・検査方法
乾癬性関節炎の原因
原因はわかっていません。
乾癬性関節炎の予防・治療方法・治療期間
メトトレキサートなどの抗リウマチ薬が関節炎と皮疹(ひしん)両方に効果があります。難治性の場合にはTNF阻害薬(※2)という生物学的製剤の使用も可能です。
基本的には生涯にわたる治療が必要です。
乾癬性関節炎の治療経過(合併症・後遺症)
治療は生涯必要ですが、適切な治療にて炎症を抑えられます。
乾癬性関節炎になりやすい年齢や性別
乾癬(かんせん)のある患者さんの約30%に関節炎が発症するといわれています。
25歳から30歳での発症が多く、男女差はありません。
参考・出典サイト
編集部脚注
※1 乾癬(かんせん)
乾癬は、「白い鱗屑(りんせつ:フケのような白い粉)を伴う皮膚病」です。
鱗屑の下は、周囲との境界がはっきりした紅斑になっています。
紅斑の数、大きさ、形はさまざまです。
約90%は局所的症状にとどまりますが、重症例では「爪の変形を伴う例」「関節炎を伴う例」「紅斑が全身に広がる例」なども見られます。
※2 TNF阻害薬
TNF阻害薬は、「関節リウマチなどに用いられる生物学的製剤の1つ」です。
関節リウマチなどの自己免疫性疾患は、「免疫システムが自分の身体を攻撃対象にすること」が要因です。
免疫システムが自分の細胞に反応した結果、病原体が入ってきたわけでもないのに炎症が起きるのです。
このとき、炎症を誘発しているのは、「炎症性サイトカイン」と呼ばれる物質です。
TNF阻害薬は、主要な炎症性サイトカインである「TNF-α」の働きを阻害し、炎症を抑えます。
具体的には、
・TNF-αと結合して、炎症誘発を抑える
・TNF-αをつくり出す細胞を阻害する
といった作用で、自己免疫性疾患の炎症を緩和します。
執筆・監修ドクター
経歴2004年 弘前大学医学部医学科卒業
茅ヶ崎徳洲会総合病院(現:茅ヶ崎徳洲会病院)にて初期臨床研修
2006年 湘南鎌倉総合病院総合内科にて後期研修
2008年 2008年度内科チーフレジデント
2009年 東京医科歯科大学医学部附属病院膠原病・
リウマチ内科に入局しリウマチ膠原病診療に従事
湘南鎌倉総合病院総合内科・リウマチ科非常勤
武蔵野赤十字病院膠原病・リウマチ内科非常勤
2011年 信愛クリニック非常勤医として勤務
2014年 東京医科歯科大学大学院博士課程修了 信愛クリニック常勤医として勤務
2016年 アカラクリニック開院
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