えむあーるえすえーかんせんしょうMRSA感染症
MRSA感染症(えむあーるえすえーかんせんしょう)とはメチシリンというペニシリン剤をはじめ、β-ラクタム剤、アミノ配糖体剤、マクロライド剤など、多くの抗菌薬に対して効果がない黄色ブドウ球菌(MRSA)による感染症です。
ほかの黄色ブドウ球菌感染症と同じように、MRSAの感染者との接触や、くしゃみによって飛び散った飛沫を吸引することによって感染します。
抵抗力が低下している人に発症しやすいのが特徴です。
MRSA感染症の症状
通常の黄色ブドウ球菌と同じ症状をひきおこします。
健康に問題のない人であれば症状のあらわれない不顕性感染(ふけんせいかんせん)になります。もし症状があったとしても軽いことがほとんどです。
ただ、体力が低下していたり、免疫が弱ったりしている人が感染した場合は生命にかかわることもあります。
黄色ブドウ球菌感染症の多くは手術後の傷口などに感染して膿瘍(のうよう)などの症状を引きおこします。腸炎や肺炎をひきおこすこともあり、重症化すると敗血症をおこすなど症状はさまざまです。
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MRSA感染症の診療科目・検査方法
通常の黄色ブドウ球菌に対する検査であれば、皮膚の外観から判断します。皮膚以外の部位であれば、感染した部位から採取した組織から、細菌が検出されれば診断が確定します。
ほとんどは医療機関内で外科治療を受けて、その後に感染するため、患者さんが診療科を選ぶ機会はほぼありません。専門は感染症を専門に扱う内科ですが、外科治療をきっかけにおこることが多く、対応は医療機関によります。
MRSA感染症の原因
黄色ブドウ球菌のなかでもメチシリン耐性のある黄色ブドウ球菌に感染した場合にMRSA感染症とよばれます。
黄色ブドウ球菌は健康な人の皮膚に常在している細菌です。通常であれば免疫で身体が守られており無害ですが、ほかの感染症などで抵抗力が低下した状態で感染すると、さまざまな病気の原因となる「日和見感染症(ひよりみかんせん)」になる場合があります。
発症しやすいのは外科手術後の患者さんです。手術でできた傷口が化膿症やただれて膿んだ状態になる膿痂疹(のうかしん)、毛嚢炎(もうのうえん)、癰(せつ、おでき)、蜂巣炎(ほうそうえん)など皮膚組織の炎症をおこします。肺炎、腹膜炎、敗血症、髄膜炎などの重い病気になる可能性があります。
また、黄色ブドウ球菌はエンテロトキシンなどの毒素を生み出すため、食中毒や毒素によって急激にさまざまな症状がおこるトキシックショック症候群、腸炎などの原因菌にもなります。
感染した黄色ブドウ球菌がMRSAであった場合、抗菌薬が効かないために治療が難しくなります。黄色ブドウ球菌に対し抗菌薬を使用した場合に、死滅せずに生き残り、薬への耐性を獲得します。
医療機関内では多数の抗菌剤が使用されています。そのため、医療現場で感染がおこることが多くあります。医療施設では特に注意が必要です。
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MRSA感染症の予防・治療方法・治療期間
メチシリン耐性黄色ブドウ球菌に有効な抗菌薬、バンコマイシンという種類の抗菌薬が有効とされ、治療に広く使われています。
しかし、2002年にバンコマイシンに耐性をもつ「バンコマイシン耐性ブドウ球菌」が発見されています。そのため、治療が困難になっています。
基本的には、対症療法や、さらにほかの抗菌薬を使用して治療をおこないます。
MRSA感染症の治療経過(合併症・後遺症)
抗菌薬に耐性があるため、治療が難しくなります。
免疫力の落ちている患者さんがかかりやすいため、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌の感染は、院内感染がほとんどです。
2013年6月に日本感染症学会と日本化学療法学会から「MRSA感染症の治療ガイドライン」が公開されています。医療従事者が正しい薬の選択をして、感染が広がらないよう取り組む必要があります。
MRSA感染症になりやすい年齢や性別
黄色ブドウ球菌感染症のうち約50%がMRSA感染症です。
どちらかといえば、内科系よりも外科系の患者さんに発症することが多く、骨折後の髄膜炎、開腹、 開胸手術後などの外科手術後に感染することが多くあります。また、血液にかかわる病気の患者さんの免疫力が低下している、がんの患者さんなどは感染するリスクが高くなります。
また、免疫がついていない新生児や、免疫力が低下している高齢者もリスクが高くなります。
執筆・監修ドクター
経歴2006年 北里大学大学院卒、
2008年 平塚共済病院内科医長を経て小田原銀座クリニックに入職、その後院長に就任。
2013年 12月には当院久野銀座クリニックを開業
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