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道化師様魚鱗癬とは
道化師様魚鱗癬(どうけしようぎょりんせん)とは、多くの場合胎児の時から皮膚の表面の角質が非常に厚くなり、皮膚のバリア機能が障害される疾患です。
皮膚にある皮脂が分泌されず、表面の細胞内に脂質がたまり、正常な皮膚の代謝が起こらないことによって、皮膚が割れ全身の皮膚が赤くなり、魚のうろこや、さめ肌のようになる遺伝性の病気です。
うろこのようになった皮膚の状態を鱗屑といいます。
道化師様魚鱗癬は魚鱗癬の中でも特に重症で、色々な臓器の合併症を起こし、赤ちゃんの時期に亡くなることもある病気です。
また、小児慢性特性疾患の対象疾患に指定されています。
道化師様魚鱗癬の症状
道化師様魚鱗癬は魚鱗癬の中でも特に重症で、皮膚の深い亀裂や、まぶたやくちびるの突出や開口、耳の変形、手のひらや足の裏の皮膚がとても厚くなったりします。
また、よろい状の固くて厚い鱗屑が全身にみられ、手足の動きが制限される、正常な皮膚機能の喪失から細菌やウイルスの感染、水分が蒸散しすぎによって体温保持が困難になる、重篤な呼吸不全が生じるなどの症状があります。
そのため、赤ちゃんの時期に亡くなることもあります。
魚鱗癬症候群では皮膚症状にくわえて、色々な臓器の合併症を起こします。
道化師様魚鱗癬の診療科目・検査方法
道化師様魚鱗癬の原因
道化師様魚鱗癬は、皮膚の最も外側にある表皮が、通常は細菌やウイルスなどが体内に侵入しないように、また体から水分が蒸発しないように保護する役割があります。
ところが、魚鱗癬の場合、皮膚のバリア機能が低下しているため、細菌などが体内に入りやすくなっています。
原因はある特定の遺伝子の異常が明らかになっています。道化師様魚鱗癬では皮膚を正常に形成されるために必要な遺伝子のABCA12に異常が起こり、病気になると考えられています。
道化師様魚鱗癬の予防・治療方法・治療期間
道化師様魚鱗癬は、特効的な治療法はなく、対処療法が基本になります。
新生児の時期には点滴による脱水症状の防止や、体温や呼吸の管理、皮膚の細菌やウイルス感染の治療などが必要になることもあります。
皮膚には保湿剤やワセリンなどの外用薬による治療も行います。
手のひらや足の裏の皮膚が厚くなり、手足の変形が強くなると、日常生活や歩行に障害、姿勢の異常などが出て、成長を妨げることもあります。その場合は栄養剤などの補給が必要になります。
道化師様魚鱗癬の治療経過(合併症・後遺症)
道化師様魚鱗癬は、出生時の症状は非常に重篤であるものの、終生その症状は続くものが多いです。一方で、中には成長するにつれ、軽くなっていくこともあります。
乳児期をすぎた後は、重症の常染色体劣性遺伝性魚鱗癬の症状になります。
成人になっても、表皮剥離などによって皮膚のバリア機能が低下が起きるため、その部位がウイルスや細菌による感染症などを引き起こしやすく、両目の結膜炎や外耳道の鱗屑による難聴や二次感染も起こします。
重症例では感染症や呼吸不全などの合併症により死亡することがあります。
道化師様魚鱗癬になりやすい年齢や性別
道化師様魚鱗癬は、全国で100-300人ぐらいの患者さんがいると考えられています。また、男女はほぼ同数といわれています。
参考・出典サイト
執筆・監修ドクター
経歴北里大学医学部卒業
横浜市立大学臨床研修医を経て、横浜市立大学形成外科入局
横浜市立大学病院 形成外科、藤沢湘南台病院 形成外科
横浜市立大学附属市民総合医療センター 形成外科
を経て横浜栄共済病院 形成外科
2014年 KO CLINICに勤務
2021年 ルサンククリニック銀座院 院長 就任
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