糖尿病

糖尿病の基本情報

【監修】板東 浩 先生(医学博士、内科医)

 

糖尿病は、「血糖値を下げるホルモン―インスリン」が機能を果たさなくなる病気です。その結果、血液中のブドウ糖が過剰になり、最終的にさまざまな合併症をきたす原因になります。2014年には糖尿病の治療を受けている人が300万人以上に達し、今や国民病といった様相を呈しています。

代表的な合併症としては、糖尿病神経障害糖尿病腎症、糖尿病網膜症が知られています。そのほか、急激に脱水症状をきたす糖尿病性ケトアシドーシス(ペットボトル症候群)もハイリスクな症状の1つです。

糖尿病は血糖値が上昇して、下がらなくなる病気

人間の血糖値は、本来、空腹時で60~110mg/dLが正常範囲(※)となっています。
体内では血糖値を調整するためのホルモンが働いているので、健康なら正常範囲に収まるのが普通です。
血糖値を調整するホルモンには、次のような種類があります。

厳密には、100mg/dL未満が正常値、110mg/dL未満が正常高値(正常だが、やや高いので注意を要する数値)になります。

糖尿病は血糖値が上昇して、下がらなくなる病気

【血糖値を上げるホルモン】

・アドレナリン
・グルカゴン
・コルチゾール
・成長ホルモン

【血糖を下げるホルモン】

・インスリン

これらのホルモンによる調整がうまく機能しなくなり、血糖値が高いままになった状態が「糖尿病」と呼ばれるものです。

血糖値とは何か?

血糖値とは、血液に含まれるブドウ糖(グルコース)の濃度です。空腹時に下がり、食後に上がるなど、常に一定というわけではありません。

ブドウ糖は、身体を機能させるための重要なエネルギー源です。
しかし、同時に高い濃度になると、血管の壁がグリケーション(糖化)を起こします。
グリケーションは「タンパク質と糖が結合すること」で、毛細血管がグリケーションを起こすと血管障害に至ります。

糖尿病の問題点は、まさに「グリケーションにより、全身の毛細血管が破壊されること」にあります。

インスリンとは何か?

冒頭でも示したように、インスリンは「血糖値を下げるためのホルモン」です。
膵臓(すいぞう)の「ランゲルハンス島」と呼ばれる場所でつくられています。

「血糖値を上げるホルモン」がいくつもあるのに対して、「血糖値を下げるホルモン」はインスリン1種類だけです。
歴史のなかで、動物は飢えと戦ってきました。
「食べていなくても血糖値を上げるシステム」は重要でしたが、「食べ過ぎたときに血糖値を下げるシステム」はあまり活躍する機会がなかったのでしょう。

進化の過程で、血糖値を下げるホルモンは、1種類しか備わりませんでした。

その結果、飽食の時代を迎えた今、「高血糖」が問題化したのです。
血糖値を上げる方法はいくつかありますが、血糖値を下げるためにはインスリンが不可欠です。
もし、そのインスリンが機能しなくなったら、高すぎる血糖値を下げる手段はありません。このような状態に陥ると発症する病気が、まさに糖尿病です。

糖尿病の患者数は多い!

2014年におこなわれた厚生労働省の調査によると、糖尿病の患者数は316万6,000人でした。
患者数というのは「きちんと診断を受けて、継続的に治療をおこなっている人数」であるので、実際の罹患者数はもっと多いことになります。

実際、2016年に厚生労働省が実施した「国民健康・栄養調査」によると、「糖尿病を強く疑がわれる人」は、全人口の12.1%に及びます。
要するに、1,000万人ほど存在する計算になります。診断・治療を受けていない人の割合も多く、「診断を受けたけれど放置している人」もいるのが現状です。

やはり、厚生労働省が発表した「人口動態統計の概況(2015年)」を確認すると、「年間1万3,327人が糖尿病により死亡」となっています。
糖尿病は、日本国内で多くの人の生命を奪っている病気ということになります。

【参考】日本生活習慣病予防協会『平成26年患者調査の概況』
日本生活習慣病予防協会『平成27年 人口動態統計(確定数)の概況』
糖尿病ネットワーク

糖尿病は完治するのか?

まず、糖尿病には大きくわけて2つの種類が存在します。
結論から述べると、1型糖尿病は治癒しない病気、2型糖尿病は症状を軽減することが可能な病気となります。
完治を目指すことは難しいのが糖尿病です。

▼1型糖尿病
インスリンをつくるのは、膵臓―ランゲルハンス島のβ細胞です。
β細胞が死滅してしまい、インスリンを分泌できなくなるのが、1型糖尿病です。
本人の免疫細胞が間違って、自分の膵臓を攻撃する自己免疫性疾患の一種と考えられており、生活習慣は関係ありません。
糖尿病全体から見れば、ごく少数です。

▼2型糖尿病
世間一般で糖尿病と言った場合、基本的には2型糖尿病を指すのが普通です。
膵臓の機能低下でインスリン不足になり、さらに肥満・運動不足でインスリンが作用しにくい体質(インスリン抵抗性)になると、2型糖尿病を発症します。
遺伝的に「2型糖尿病になりやすい人」はいますが、生活習慣も大きく関連しています。

基本的には、防げる病気であると考えてください。糖尿病全体の95%以上が2型糖尿病だと推定されています。

【参考】[IDDM]レポート2011

2型糖尿病は「軽減する」病気

まず、1型糖尿病は「インスリン分泌機能」が失われているので、治癒することはありません。
生涯、体外からインスリンを補充する(インスリン注射)ことになります。

2型糖尿病に関しては、食事療法・運動療法で生活習慣を改善することで、病状の進行を遅らせることができます。
早いうちに生活習慣を見直せば、症状を軽減し、ほとんど普通の人と変わらない生活を送ることも可能です。

食事療法・運動療法で十分に病状をコントロールできなければ、経口血糖降下薬・インスリン注射などの薬物療法が必要になります。

一緒に調べられている病気

糖尿病神経障害

糖尿病腎症

糖尿病性ケトアシドーシス

低血糖

肥満症

板東浩先生
 【監修医】医学博士 / 内科医: 板東浩 先生
 1957年生まれ。
 1981年 徳島大学を卒業。
 ECFMG資格を得て、米国でfamily medicineを臨床研修。
 抗加齢医学、糖質制限、プライマリ・ケア、統合医療などの研究を行う。
 

情報リクエスト

病気スコープは、ユーザーの皆様が求めている情報を可能な限りお届けしたいと思っています。
「掲載されている病気についてより深く知りたい」「新しい情報として掲載してほしい病気がある」どちらの場合も、お気軽にリクエストしてください。
皆様の期待に応え続けることで、より信頼できるサイトとして成長して参ります。

どちらの情報をリクエストしますか?

または

※個別のご病気や治療法などの医療行為にかかわるお問合せには、
お答えできませんのでご了承ください。

送信完了

リクエストいただきありがとうございました。
いただいたご意見を元に、より信頼していただけるサイトとして成長して参ります。