糖尿病

糖尿病の基本情報

 

糖尿病とは?

「糖尿病」はインスリンがうまく分泌できずに高血糖になり、さまざまな合併症を引き起こす状態です。
多くの糖尿病患者さんが慢性合併症を患っていますが、糖尿病の慢性合併症は長期間にわたり高血糖状態が続くことにより起こります。

一方、糖尿病の病状は人によって千差万別です。
そのため、合併症の状態や血糖値の管理状態などは様々です。
糖尿病を疑われたら、まずは自分自身の状態を確認することが重要です。
必ず医療機関を受診し、まずは現在の状態の評価を受けます。
糖尿病性網膜症」「糖尿病腎症」「糖尿病神経障害」が糖尿病3大合併症とされています。
またインスリンが分泌されないことで糖分を分解できずに脂肪分を分解し始めると血液が酸性化して、危険な状態になる糖尿病ケトアシドーシスなどの症状がおこることもあります。

糖尿病の基礎知識

病名

糖尿病

別名

特になし

症状

多くは無症状である。重度の2型糖尿病や1型糖尿病では自覚症状があることもあり、疲労しやすい、体がだるい、異常にのどが渇く、頻尿などの症状がおこる。
慢性合併症として様々な臓器障害が起こり、それぞれの臓器の症状が現れる。

代表的な3大合併症ではそれぞれ以下のような症状がおこる。

糖尿病神経障害
・手足の感覚が鈍くなる

・手足の先端がしびれる

糖尿病性腎症
・たんぱく尿

・むくみ

・息切れ

糖尿病性網膜症
・視界がかすむ

・視力低下

急性合併症としてインスリン作用が極端に低下すると高血糖となって口渇・多尿・体重減少がおこり、更に進行するとケトアシドーシスとなり死に至ることがある。

罹患者数

2016年の国民健康・栄養調査で約1000万人と推計され、年々増加していると考えられる。
生活習慣を見直さなければ糖尿病に発展する可能性の高い境界型糖尿病についても約1000万人いると推計されている。

発症しやすい年齢と性差

国民健康・栄養調査では高齢になるに従い罹患率が上がっていた。
男性16.3%、女性9.6%とやや男性に多い。

原因

糖尿病は体内の糖代謝に異常が生じて血液中のブドウ糖が上昇する病気。
インスリンを産生する膵β細胞が破壊される1型糖尿病とその他の2型糖尿病に分類される。
2型糖尿病は糖尿病になりやすい遺伝素因に過食・肥満・運動不足などの環境因子が加わった結果発症する。

受診の必要性

糖の異常を指摘されたら直ちに「代謝内科」「内分泌・代謝内科」「糖尿病内科」などを受診する。
合併症に対応する診療科目も受診する必要が出てくる。
糖尿病性網膜症であれば「眼科」、糖尿病性腎症なら「腎臓内科」など。

検査内容

75g経口ブドウ糖負荷試験。
血液検査で血糖値・HbA1c・インスリン値などの測定を行う。
合併症の検査は極めて多岐にわたるが、一例として網膜症の評価のための眼底検査、腎症の評価のための血清クレアチニン・尿アルブミン、神経障害の評価のためのアキレス腱反射・振動覚検査、大血管障害の評価のためのABI測定・頸動脈エコーや血管の画像診断などを行う。

治療可否

糖尿病を完治させることは難しい。
合併症を抑制するために早期からの治療が重要。
治療開始が遅れると血糖コントロールが困難になり、合併症が進みやすくなる。

治療法

食事療法・運動療法・薬物療法に分けられ、病態に応じて使い分ける。
例えば1型糖尿病ではインスリン分泌が不足または消失しているのでインスリン注射が中心となる。
過食・肥満・運動不足が中心で発症した2型糖尿病は食事・運動療法が大切となる。
現時点で7種類の経口血糖降下薬があり、インスリン注射・GLP-1製剤の注射も選択可能である。

治療期間

治療は生涯にわたり必要となる。
一方、早期からの治療や食事運動療法の取り組み次第では薬物治療が不要となることも多い。

■医師が推薦する情報サイト

日本糖尿病協会 糖尿病とは

■参考サイト

日本生活習慣予防協会 糖尿病の調査・統計

【執筆】赤塚 元 先生

糖尿病は血糖値が上昇して、下がらなくなる病気

人間の血糖値は、本来、空腹時で60~110mg/dLが正常範囲(※)となっています。
体内では血糖値を調整するためのホルモンが働いているので、健康なら正常範囲に収まるのが普通です。
血糖値を調整するホルモンには、次のような種類があります。

厳密には、100mg/dL未満が正常値、110mg/dL未満が正常高値(正常だが、やや高いので注意を要する数値)になります。

糖尿病は血糖値が上昇して、下がらなくなる病気

【血糖値を上げるホルモン】

・アドレナリン
・グルカゴン
・コルチゾール
・成長ホルモン

【血糖を下げるホルモン】

・インスリン

これらのホルモンによる調整がうまく機能しなくなり、血糖値が高いままになった状態が「糖尿病」と呼ばれるものです。

血糖値とは何か?

血糖値とは、血液に含まれるブドウ糖(グルコース)の濃度です。空腹時に下がり、食後に上がるなど、常に一定というわけではありません。

ブドウ糖は、身体を機能させるための重要なエネルギー源です。
しかし、同時に高い濃度になると、血管の壁がグリケーション(糖化)を起こします。
グリケーションは「タンパク質と糖が結合すること」で、毛細血管がグリケーションを起こすと血管障害に至ります。

糖尿病の問題点は、まさに「グリケーションにより、全身の毛細血管が破壊されること」にあります。

インスリンとは何か?

冒頭でも示したように、インスリンは「血糖値を下げるためのホルモン」です。
膵臓(すいぞう)の「ランゲルハンス島」と呼ばれる場所でつくられています。

「血糖値を上げるホルモン」がいくつもあるのに対して、「血糖値を下げるホルモン」はインスリン1種類だけです。
歴史のなかで、動物は飢えと戦ってきました。
「食べていなくても血糖値を上げるシステム」は重要でしたが、「食べ過ぎたときに血糖値を下げるシステム」はあまり活躍する機会がなかったのでしょう。

進化の過程で、血糖値を下げるホルモンは、1種類しか備わりませんでした。

その結果、飽食の時代を迎えた今、「高血糖」が問題化したのです。
血糖値を上げる方法はいくつかありますが、血糖値を下げるためにはインスリンが不可欠です。
もし、そのインスリンが機能しなくなったら、高すぎる血糖値を下げる手段はありません。このような状態に陥ると発症する病気が、まさに糖尿病です。

糖尿病の患者数は多い!

2014年におこなわれた厚生労働省の調査によると、糖尿病の患者数は316万6,000人でした。
患者数というのは「きちんと診断を受けて、継続的に治療をおこなっている人数」であるので、実際の罹患者数はもっと多いことになります。

実際、2016年に厚生労働省が実施した「国民健康・栄養調査」によると、「糖尿病を強く疑がわれる人」は、全人口の12.1%に及びます。
要するに、1,000万人ほど存在する計算になります。診断・治療を受けていない人の割合も多く、「診断を受けたけれど放置している人」もいるのが現状です。

やはり、厚生労働省が発表した「人口動態統計の概況(2015年)」を確認すると、「年間1万3,327人が糖尿病により死亡」となっています。
糖尿病は、日本国内で多くの人の生命を奪っている病気ということになります。

【参考】日本生活習慣病予防協会『平成26年患者調査の概況』
日本生活習慣病予防協会『平成27年 人口動態統計(確定数)の概況』
糖尿病ネットワーク

糖尿病は完治するのか?

まず、糖尿病には大きくわけて2つの種類が存在します。
結論から述べると、1型糖尿病は治癒しない病気、2型糖尿病は症状を軽減することが可能な病気となります。
完治を目指すことは難しいのが糖尿病です。

▼1型糖尿病
インスリンをつくるのは、膵臓―ランゲルハンス島のβ細胞です。
β細胞が死滅してしまい、インスリンを分泌できなくなるのが、1型糖尿病です。
本人の免疫細胞が間違って、自分の膵臓を攻撃する自己免疫性疾患の一種と考えられており、生活習慣は関係ありません。
糖尿病全体から見れば、ごく少数です。

▼2型糖尿病
世間一般で糖尿病と言った場合、基本的には2型糖尿病を指すのが普通です。
膵臓の機能低下でインスリン不足になり、さらに肥満・運動不足でインスリンが作用しにくい体質(インスリン抵抗性)になると、2型糖尿病を発症します。
遺伝的に「2型糖尿病になりやすい人」はいますが、生活習慣も大きく関連しています。

基本的には、防げる病気であると考えてください。糖尿病全体の95%以上が2型糖尿病だと推定されています。

【参考】[IDDM]レポート2011

2型糖尿病は「軽減する」病気

まず、1型糖尿病は「インスリン分泌機能」が失われているので、治癒することはありません。
生涯、体外からインスリンを補充する(インスリン注射)ことになります。

2型糖尿病に関しては、食事療法・運動療法で生活習慣を改善することで、病状の進行を遅らせることができます。
早いうちに生活習慣を見直せば、症状を軽減し、ほとんど普通の人と変わらない生活を送ることも可能です。

食事療法・運動療法で十分に病状をコントロールできなければ、経口血糖降下薬・インスリン注射などの薬物療法が必要になります。

一緒に調べられている病気

糖尿病神経障害

糖尿病腎症

糖尿病性ケトアシドーシス

低血糖

肥満症

【監修】板東 浩 先生(医学博士、内科医)

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