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糖尿病神経障害

更新日: 公開日:
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目次
  1. 概要
  2. 症状
  3. 診療科目・検査
  4. 原因
  5. 治療方法と治療期間
  6. 治療の展望と予後
  7. 発症しやすい年代と性差
広瀬正和 先生

【執筆・監修ドクター】

D medical Clinic Osaka 広瀬 正和 先生

概要

糖尿病神経障害とは?

糖尿病神経障害(とうにょうびょうしんけいしょうがい)は糖尿病を起因にした神経障害です。高血糖の状態が続くと神経伝達に影響が出て末梢神経に障害が出ます。指先などにしびれや痛みを覚える場合もありますが、感覚が鈍くなり、何も感じなくなる場合もあります。

糖尿病性のこうした神経障害は「糖尿病性腎症」、「糖尿病性網膜症」と並ぶ糖尿病の三大合併症とよばれる典型的な症状です。治療には血糖コントロールがもっとも重要です。


症状

糖尿病の患者さんに高血糖状態が続くと、まず手足の先からしびれやピリピリとした痛み、感覚の異常などが現れます。このまま放置しておくと、痛みやしびれのために夜眠れなくなったり、こむら返りが起きたり、他の自律神経症状などもみられるようになります。

手足も症状がひどくなると、靴擦れなどの足の先の傷から感染、膿みが生じ、足の壊疽(えそ)を起こし、切断に至ることもあります。

感覚・運動神経障害での症状

基本的には両手、両足に対称性に症状が進んでいくといわれています。特に足の感覚に異常がでて、しびれや痛みを生じ感覚がなくなっていきます。風呂のお湯の熱さがわからなくなったり、低温やけどなどを起こしやすくなります。

よく「糖尿病で足を切断した」という話があるが、これは足の感覚がなくなるため足にケガをして傷ができても痛みを感じないので気づかないことが原因です。そのまま放置していると腐って壊死(えし)したことによりケガに気づくまでが遅れるといった悪循環に陥ります。

壊死しているところも感染しており、抗生剤などの治療が効かなければ切断にいたります。糖尿病の病歴が長くなり、感覚の低下が起きている患者さんは、痛くないので気づかないことが問題となります。

改善方法

足の観察を普段からおこない早期発見することが重要です。傷が治りにくいため、出血や膿を見つけたら早めに皮膚科や形成外科を受診しましょう。

足の発汗機能が低下することで皮膚が乾燥しやすくなるため、スキンケアにも気を付ける必要があります。

自律神経障害

長期間血糖コントロールの悪化が続くことで自律神経に障害をきたします。

自律神経障害がおきると、低血糖を起こしても自覚症状を感じにくくなる「無自覚性低血糖」になることがあります。重症の無自覚性低血糖は不整脈をおこし突然死のリスクも上がります。

また心筋梗塞を起こしても痛みを感じにくいので(無痛性心筋梗塞と呼ぶ)、命に係わる合併症をひきおこす場合もあります。他にも消化・吸収が障害されると吐き気や嘔吐、便秘、下痢などをひきおこします。

血管運動の機能低下では急に立ち上がったときに立ち眩みをおこします。起立性低血圧によって失神をおこすこともあります。

男性は勃起障害(ED)、女性では排尿の自律神経が障害されると残尿や膀胱炎のリスクが上昇します。


診療科目・検査

以下の検査で確認します。

①アキレス腱反射の消失
アキレス腱反射が消失します。
足の踵(かかと)にあるアキレス腱を打腱器と呼ばれるゴム製の棒で軽く叩くと、通常は無意識に足がビクッと反射を起こすが神経障害が進行するとこの反射がなくなります。

②触覚の低下
足の親指を細い針金(モノフィラメント)で軽く突いて感じることができるかで触覚の検査をおこないます。
神経障害が進行するとモノフィラメントで触られても感覚がなくなり触られたことがわからなくなります。

③振動覚の低下
検査用の音叉を足の内くるぶしにあてて、音叉の震えを感じなくなるまでの秒数を測定します。
通常は10秒以上音叉の震えを感じることができるが、神経障害が進行すると数秒で振動が感じられなくなります。

④神経電動検査
皮膚(手や足)の上に2点の電極を接触させます。
その電極の間に電気を流して、2点の間に電気信号が伝わる速度やその反応の波形を見ることで、客観的に神経障害の程度を測定することができます。

糖尿病内科、脳神経内科、皮膚科、形成外科、整形外科など症状や合併症の進行の程度に合わせて受診、治療の必要性がでてきます。

原因

血糖コントロール不良が原因です。

高血糖が続くと、通常の糖の代謝経路では糖の分解・処理が間に合わなくなります。そのためポリオール代謝と呼ばれる別の経路の糖の代謝が活性化します。

ポリオール代謝で糖が代謝される際に、神経細胞内にソルビトールという物質がたまることが原因で神経障害が起きるといわれています。

治療方法と治療期間

長期間続く高血糖により神経障害が進行するので、血糖コントロールを良くして血糖値を下げることが最も重要です。

しびれや痛みについては、ポリオール代謝活性が亢進していることが原因の一つとして知られています。

ポリオール代謝の律速酵素であるアルドース還元酵素阻害剤であるエパルレスタットという薬がよく利用されています。その他に抗うつ剤やてんかん薬も糖尿病神経障害に効果があるとされているものがあります。

患者さんによって試験的に使用し、効果を見ながら薬剤の選択をおこないます。

神経痛の薬であるプレガバリンやデュロキセチンと呼ばれる薬も糖尿病性神経障害の痛みに対して有効性が明らかとなり近年よく使用されるようになりました。

眠気やふらつき等の副作用がでる場合があります。とくに使用後の車の運転や高齢者では転倒に注意が必要です。

治療を開始してから数週間から数か月かかります。

合併症が進行すると症状や合併症が消失しないこともあるので、早期の治療開始、血糖コントロールの改善が必要です。

治療の展望と予後

軽度の神経傷害であれば、血糖値をコントロールすることで改善は可能です。しかし、進展した神経傷害は薬物治療が必要です。

神経障害の治療薬として、痛みを改善するため鎮痛剤や抗不整脈剤、抗てんかん薬、三環系抗うつ薬などが有効であるとされています。

発症しやすい年代と性差

全糖尿病患者の30~40%がなんらかの神経障害合併症を有するといわれています。

糖尿病の病歴が長いほど、また血糖コントロールが悪く高血糖が持続するほど神経障害の発生リスクは高くなります。

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