「背中が痛い!」病院は何科?痛い場所や種類はさまざま。息苦しさや筋肉痛の原因は?症状、病気、治療方法を解説

一口に背中が痛いといっても、痛みの種類はさまざまです。
まず、「痛む位置」による違いがあります。
背中は体のなかでも面積の広い部分。右上、右下、左上、左下、中央など、背中のどのあたりが痛むのかによって、考えられる原因は違ってきます。
また、「痛み方」による違いもあります。
急に強い痛みがあらわれる場合もあれば、強くはないものの長い期間ずっと痛んでいる場合、いつもではなくときどき痛む場合など、こちらもさまざまなパターンがあります。
そして、場合によっては命にかかわる重い病気の恐れもあるので、注意しなければなりません。
もし、今背中に痛みを感じていて、なおかつ
- 急にがまんできないほどの痛みがあらわれた
- 痛みの感じがいつもと違う
- 痛む位置が、時間が経つにつれて変わってくる
- 胸の痛み、高い熱、冷や汗、息苦しさ、意識がなくなりそうになるなど、ほかの症状もある
といったことがあれば、迷わず救急車を呼ぶなどして、すぐに診察、治療を受けてください。
このコラムでは主に、緊急性の高くない、日常でよくみられる背中の痛みについて、痛みの種類や、病院にいくべきかを考えてみます。
背中が痛くなる原因と仕組み
そもそも、人間の背中は、なぜ痛くなるのでしょうか。これには、大きく分けて、二つの原因が考えられます。
一つは、背中の筋肉や筋、骨、皮膚などに異常があって、炎症をおこしている場合。
もう一つは、内臓など、体のほかの部分に異常があって、その影響が背中にあらわれている場合です。
原因別痛み方の例
それでは、それぞれの場合で、どんなケガ、病気が考えられるのか、主な例を挙げてみましょう。
背中の筋肉や神経、骨のせいで痛い!
重いものを持ち上げたり、はげしい運動をしたりといったことがきっかけで、背中と腰にある関節やを支える筋肉、靭帯(じんたい)に急な負担がかかると、ぎっくり腰ともよばれる急性腰痛症になることがあります。
痛みの程度はさまざまで、一時的に動けなくなることもあります。
背骨が体自体の重さに耐えられなくなり、自然に折れてしまう圧迫骨折をおこすこともあります。
骨がもろくなっている高齢の方に多くみられ、「いつのまにか骨折」とも呼ばれます。
背骨のなかでクッションの役割を果たしている椎間板(ついかんばん)という部分が、つぶれたり、変形して飛び出したりすると、椎間板ヘルニアという状態になります。
背中、腰の痛みに加えて、手足のしびれもみられるのが特徴です。
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皮膚のせいで痛い!
みずぼうそうのウイルスが皮膚に水ぶくれをつくり、ヒリヒリと痛くなる帯状疱疹(たいじょうほうしん)という病気があります。
背中には、この帯状疱疹の症状があわられやすく、体の右側、もしくは左側に、片側だけ、横向きに症状が広がっていくのが特徴です。
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内臓のせいで痛い!
内臓の異常からくる背中の痛みでもっとも気をつけなければならないのが、心臓や大動脈の病気によるものです。
背中だけでなく、胸も痛んだり、息苦しさもある場合は、心筋梗塞や狭心症、大動脈解離(だいどうみゃくかいり)、肺塞栓症(はいそくせんしょう)など、重い心臓の病気かもしれません。
この場合は、早急に医師の診察を受ける必要があります。
すい臓や胆のうの異常でも、背中が痛むことがあります。
背中に加えて、みぞおちも痛む場合はすい炎、お腹の右上が痛み、吐き気もある場合は胆のう炎の疑いがあります。
尿の通り道に小さな石(カルシウムなどが固まったもの)ができると、尿路結石という状態になり、背中から腰周りにかけて、はげしい痛みがあらわれます。
さらに、この状態を放っておくと、腎臓の一部に細菌が溜まり、腎盂腎炎(じんうじんえん)という重い病気にかかることもあります。
このように、内臓の異常が原因で背中が痛む場合は、重い病気にかかっている、もしくは、その兆候のある恐れが高くなっています。
ためらわず、すぐに病院へいってください。
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科目で迷わず、まずは受診を!
背中の痛みで病院にいく場合、これといって原因に心当たりがなければ、最初は何科にかかっても問題ありません。かかりつけ医など、信頼のおける医師に相談してみるとよいでしょう。
持病などで通院の習慣があれば、その際に、背中が痛むことを伝えてみるのも一つの方法です。
「直前にぶつけた」、「重いものを持ったとたんに痛くなった」など、ケガによるものとはっきりしていれば、整形外科がいいでしょう。
また、皮膚に水ぶくれができていれば皮膚科など、原因が目で見てわかるときも迷うことはありません。
しかし、そういった場合以外は、本当にあらゆる可能性が考えられるのです。複数の原因が絡んでいることも珍しくありません。
必ずしも、痛みの原因に直接対応できる医師に一発でたどりつく必要はないのです。
仮に、診療科目が違っていたとしても、症状などから「○○科で診てもらうといいですよ」といったアドバイスを受けることはできます。
「何科で診てもらえばいいかわからない」、「間違っていたらどうしよう」といった理由で受診を先延ばしにし、症状を悪化させてしまうことの方が問題なのです。
セルフケアーは診断のあとで
背中の痛みに対して、病院などで受ける「治療」とは別に、ストレッチなどの「セルフケアー」をおこなっているという声もよく耳にします。
特に、慢性的な痛みを抱えている患者さんには、なんらかのセルフケアーをとりいれている方が多いようです。
ただし、効果が期待できるのは、症状に適していて、なおかつ正しいやり方でおこなわれている場合に限ります。
症状と合っていなかったり、やり方が間違っていたりすると、効果がないばかりか、余計に悪くしてしまうこともあります。
一度、医師に診てもらったうえで、正しいやり方を教えてもらってからおこなうのがよいでしょう。自己判断、自己流は、あまりおすすめしません。
また、セルフケアーは、あくまで日々の調子を整え、それ以上悪くならないようにするためのものです。続けたからといって、痛みが完全になくなるわけではありません。
慢性的な痛みにも原因はあります。その場しのぎを繰り返すのではなく、医師と相談しながら、根本的に治すことを考えるのも必要です。
もちろん、急に痛みが増したり、いつもとは違う痛みがあらわれたりしたときには、すぐに中止して、病院へいってください。
まとめ
背中の痛みには、さまざまな原因があります。どんな場合でも、簡単に自己判断せず、まずは医師に診てもらい、原因を把握することが大切です。
そのうえで、症状、原因に応じた治療、セルフケアーを組み合わせていけば、より早く快適な状態を取り戻せるのではないでしょうか。
医師に診てもらい、原因を把握することは、原因がわからない状態のままでいるのと比べて、精神的な負担を軽くすることにもつながります。
診てもらう診療科目が間違っていたからといって、医師に怒られるようなことはありません。
一人で悩まず、一日も早く行動をおこしましょう。
執筆・監修ドクター

経歴2005年 帝京大学医学部卒業
2012年 のぞみ整形外科内科クリニック開院
2017年 スガモ駅前整形外科開院
2020年 医療法人社団のぞみ会理事長
スガモ駅前整形外科 院長
のぞみ整形外科内科クリニック 院長
望クリニック 副院長
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