なぜ?中耳炎で頭痛がおこる理由。病院でうける治療と再発予防について
『中耳炎』は、広く知られている耳の病気です。今までにかかったことがある、というかたも多いのではないでしょうか。
身近な病気ともいえる中耳炎ですが、さまざまな症状に苦しむことも多いです。『頭痛』も、そんな中耳炎の症状のひとつです。
こちらの記事では、中耳炎が頭痛を引き起こす理由や、中耳炎にかかったときの注意点について解説します。
中耳炎が「頭痛」を引き起こす!
1.そもそも中耳炎って?どんな病気?
中耳炎にかかると、鼓膜の奥に膿がたまる!
『中耳炎』とは、鼓膜の奥に細菌やウイルスが入り、膿のたまる病気です。
主に風邪やインフルエンザが原因でかかります。治療のために通院しても、治るまで何か月もかかったり、再発を繰り返したりする、厄介な病気のひとつです。
中耳炎は、耳の真ん中「中耳」の病気
耳は、外側から『外耳』、『中耳』、『内耳』の3つにわけられます。中耳炎は、病名のとおり、真ん中の『中耳』の部分に膿がたまり炎症を起こします。
生後半年~5歳児にかかりやすい
中耳炎は、生後半年から5歳ごろまで非常に多い病気です。ピークは1~2歳です。
大人に比べて、子どもは抵抗力が弱く、風邪やインフルエンザによるダメージを受けやすいことが原因です。とはいうものの、大人がかかることもあります。
2.中耳炎で頭痛が起こるワケとは
中耳炎を発症すると『頭痛』がするのは、頭痛の痛みを伝える神経と、中耳炎による痛みを通じる神経が共通しているからです。
したがって、中耳炎にかかって頭だけが痛いということは、ほとんどありません。同時に耳の奥の方にも痛みを感じます。
また、神経がつながっているため、耳の奥が痛くても、痛みがひどい場合は頭痛のように感じられることもあります。
中耳炎の2つの種類。頭痛がするのは?
中耳炎には『急性中耳炎』と『滲出(しんしゅつ)性中耳炎』の2種類があります。耳や頭に痛みを感じる場合は、急性中耳炎であることがほとんどです。
1.頭痛をともなう!急性中耳炎
風邪や細菌の感染症が原因
急性中耳炎は、風邪や細菌の感染症が原因で発症することが多いです。通院期間も比較的短く、短期間で治りやすい病気です。
症状は、耳や頭の痛み、耳垂れ、発熱など
症状は、『耳や頭の痛み』、耳から液体が出る『耳垂れ』、『発熱』などです。くわえて、なんとなく感じる違和感が中耳炎によるものである場合もあり、耳を触る回数が増える、耳が詰まっているように感じるなどの症状があらわれることもあります。
また、耳がつまることで、聞こえづらさや音がくぐもって聞こえるなど、『難聴』が生じる可能性もあります。
2.症状が出ない…滲出性中耳炎
症状がなく、長期化しがち
滲出(しんしゅつ)性中耳炎は、急性中耳炎と異なり、耳や頭の痛み、耳垂れなどの症状が出ません。そのため発見が遅れ、治療も長期化しがちです。
中耳炎の治療と自宅でのケア
1.中耳炎が疑われるときは耳鼻咽喉科へ!
中耳炎が疑われるときは、耳鼻咽喉科を受診しましょう。
耳鼻咽喉科が近くにない、時間の都合で受診するのが難しいなどの場合は、ひとまず近くの内科を受診してもかまいません。
2.病院でうける治療
病院では「抗生剤」を使って治療する
病院で中耳炎だと診断を受けたら、『抗生剤』を使って治療します。抗生剤で細菌を死滅させ、それにより熱を下げる効果もあります。
鼓膜に穴が開いていて、耳垂れの症状がみられる場合は、耳を清潔にして洗浄したあと、液状の『点耳薬』を直接耳の穴に落とします。
鼓膜に穴が開いていない場合は、点耳薬を使用しても効果が期待できません。そのため、鼓膜の切開が必要になることもあります。
そのほか鼓膜の切開、手術などの治療法
耳に空気を送りこむことで通気をよくする治療や、鼓膜を切開して膿を吸引する治療を行うこともあります。
また、慢性中耳炎が悪化した場合は、手術をすることもあります。症状によっては、日帰りでの手術も可能です。
2.中耳炎が治るまで、気をつけること
再発の可能性が高い!しっかり通院を
中耳炎は、治ったと思っても再発する可能性が高い病気です。
通院をしている場合も、症状がよくなったからといって自己判断で通院をやめないようにしてください。医師から完治したと認められるまで通院を続けるとともに、薬もしっかり服用しましょう。
激しい運動や水泳はひかえる
また、激しい運動や水泳などは、ひかえるようにしてください。
中耳炎にかかっていると、普段よりも気圧の変化などに敏感に反応します。飛行機や高いところにのぼるのもおすすめできません。治療中にそういった予定がある場合は、医師と相談して指示を仰ぎましょう。
身体をしっかり休め、回復をはかる
身体をしっかり休めることも大切です。
中耳炎にかかるのは、免疫力や抵抗力が低下していた結果でもあります。この機会にストレスや疲労の軽減をはかりましょう。
3.再発の予防にも!中耳炎にかからないために
まずは、風邪の予防が第一!
中耳炎は風邪が原因で起こることが多いです。
まずは風邪をひかないようにすることが第一です。食事の栄養バランスを整え、疲れやストレスをためないようにしましょう。
風邪をひいたら、鼻水をこまめにかむ
風邪をひいてしまったときは、鼻水をすすらず、こまめに鼻をかむように気をつけましょう。風邪をひいたときに出る、黄色や薄い緑色の鼻水には、中耳炎の原因となる細菌が混ざっていることが多いです。
熱があってつらい場合は、解熱剤を服用するのもひとつの方法です。身体を冷やす場合は、耳や首の後ろを冷やすようにしましょう。
まとめ
頭痛や耳の痛み、聞こえづらさがあれば中耳炎を疑う
中耳炎は、5歳までの小さな子どもに発症することが多いですが、大人にもかかります。
頭痛や耳の痛み、聞こえづらさなどの症状があれば、中耳炎を疑いましょう。症状があらわれたらすぐに病院を受診することも大切です。
中耳炎の治療中は安静に
中耳炎にかかったら、完治するまでは無理せず安静にしてください。
執筆・監修ドクター
経歴2001年 慶應義塾大学医学部附属病院耳鼻咽喉科入局
2002年 佐野厚生総合病院耳鼻咽喉科
2004年 川崎市立川崎病院耳鼻咽喉科
2007年 静岡市立清水病院耳鼻咽喉科 科長
2011年 深谷耳鼻咽喉科クリニック開業
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