頭痛には種類がある?代表的な緊張型頭痛と群発頭痛について
慢性的な頭痛の大半は『機能性頭痛』と呼ばれるものです。
『機能性頭痛』の代表的なものとしては「緊張型頭痛」と「群発頭痛」があります。「片頭痛」もこの一種です。
緊張型頭痛はストレスから起きる頭痛で、ズキズキとした痛みが続きます。
群発性頭痛の原因は分かりませんが、脳の内頚動脈が拡張することで起こる頭痛です。
緊張型頭痛と群発頭痛とは?
慢性的な頭痛の大半は『機能性頭痛』と呼ばれるものです。『機能性頭痛』の代表的なものとしては「緊張型頭痛」と「群発頭痛」があります。「片頭痛」もこの一種です。
緊張型頭痛は、ストレスなどが要因となる頭痛です。持続性の圧迫感や頭重感があり、頭全体が痛むことも少なくありません。
群発性頭痛は海綿静脈洞部における内頚動脈の拡張や、炎症など原因は分かっていません。目の辺りを中心とした、焼けるような激しい痛みが特徴です。
治療は基本的に、ストレスと痛みを緩和する薬物療法になります。
頭痛には命に関わる病気が隠されていることもありますが、機能性頭痛は、生命に危険を及ぼすものではありません。しかし、頭痛によって生活の質は低下します。
『機能性頭痛』に対し、生命に危険を及ぼしかねない頭痛を『症候性頭痛』と呼び、クモ膜下出血などの血管障害による頭痛や脳腫瘍などによる頭痛がこれに当たります。
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どのような症状が現れるのか?
緊張型頭痛はほぼ毎日痛みが続く「慢性」と月の半分以上あるいは1年に数回痛みがある「反復性」の大きく2つに分けられます。
中には片頭痛(ズキズキする痛みがあり、吐き気を伴う頭痛)を併発する混在型もみられます。
群発性頭痛は群発期(群発頭痛の発作が起こっている期間)を過ぎるとしばらくの間は症状がおさまります。
半年~2、3年周期で発作が始まっては1か月程度でまたおさまるという状態を繰り返す傾向にあります。
群発頭痛は、自律神経が刺激されて次のような症状が現れます。
・痛くなる方の目が赤く充血する
・涙が出る
・鼻がつまる
・まぶたが腫れる
・鼻水が出る
・まぶたが下がる
・汗をかく
など
種類 | 緊張型頭痛 | 群発頭痛 |
痛みの特徴 | 頭を鉢巻でしめつけられるように痛む。痛み始めも終わりもはっきりせず痛みがずるずると続く。フワフワしためまいを感じることもある。 | どちらか片方の目の周囲や、目の奥、こめかみあたりが、えぐられるように激しく痛む。夜中や早朝に起こることが多い。 |
痛みの持続期間 | 30分~1週間程度 | 15分~3時間程度 |
痛みの程度 | 軽度または中等度 日常生活は普通に送ることができる |
重度 日常生活に支障をきたす |
どのような検査をするのか?
診断のポイントは?
どのような治療法があるのか?
緊張型頭痛の治療法としては、ストレスのコントロールと薬物療法があります。
ストレスのコントロール
緊張型頭痛は、心身面の過度な緊張が原因になっていることが多いので、生活習慣を改善することが第一です。
過労を避け、適度な休息をとるとともに、首や肩の筋肉に負担がかからないよう正しい姿勢を保つようにしましょう。
強い不安感や心労などの精神的なストレスも頭痛の原因となります。ストレスの存在を自覚し、気分転換のための趣味を持つなど、ストレスをコントロールすることが大切です。
薬物療法
身体的ストレス・精神的ストレスを緩和するために、必要に応じて薬を用います。
身体的ストレスの場合
鎮痛薬 … 非ステロイド性抗炎症剤NSAIDs (エヌセイズ)
筋弛緩薬 … 塩酸エペリゾン製剤・塩酸チザニジン製剤 など
精神的ストレスの場合
抗不安薬 … ジアゼパム製剤
三環系抗うつ薬 … 塩酸アミトリプチリン製剤・塩酸イミプラミン製剤
SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)…フルボキサミン製剤・パロキセチン製剤 など
群発頭痛の治療法は、発作時の痛みを改善する治療と、発作そのものを起こりにくくする予防的治療の2種類があります。
発作時の痛みを改善する治療
スマトリプタンコハク酸塩錠(皮下注射薬)
血管収縮作用をもつスマトリプタンコハク酸塩錠は、頭痛を鎮静させる作用があります。この薬は群発頭痛の発作時の第一選択の薬として使われています。
※ただし虚血性心疾患(狭心症・心筋梗塞)や末梢血管障害(手先・足先など、からだの末梢への血液の流れが悪くなる疾患)のある人には使えません。
酸素吸入
発作時の痛みには酸素の吸入も有効とされます。
酸素吸入は、酸素マスクで純酸素(100%酸素)を15分間投与します。効果が乏しい場合は酸素量が少ない、あるいは装置を正しく使えていない可能性があります。
この治療法は以前では保険適用外でしたが、現在は重度の患者さんに限り保険による診療が可能です。
予防的治療
エルゴタミン製剤(片頭痛に保険適応あり、群発頭痛には保険適応外)
頭痛が起こる前(就寝前など)にタイミングよく服用することで予防作用があります。
ただし痛みが本格化してからの服用は意味がないので注意が必要です。
カルシウム拮抗薬 … 塩酸ロメリジン製剤(片頭痛に保険適応あり、群発頭痛には保険適応外)・塩酸ベラパミル製剤(保険適応外使用が認められている)
副腎皮質ステロイドホルモン … プレドニゾロン製剤(保険適応外使用が認められている)
抗てんかん薬 … バルプロ酸ナトリウム製剤(片頭痛に保険適応あり、群発頭痛には保険適応外)
抗うつ薬 … 炭酸リチウム製剤など(保険適応外)
*注意
薬の服用等、治療方法については必ず専門医に相談しましょう。
日常生活での注意点は?
緊張型頭痛のセルフケア
緊張型頭痛を軽減するためには、心と体をリラックスさせることが大切です。
デスクワークなど長時間同じ姿勢で仕事をするときは、ときどき席を立ってストレッチや体操をするようにしましょう。
マッサージや入浴は、筋肉を温めて血流をよくするため、頭痛を緩和する働きがあります。
水泳やウォーキングなどの運動を生活に取り入れると体がほぐれ、気分転換もされます。
また、枕の高さが合わなかったり、眼鏡の度が合っていなかったりすると頭痛の原因になるので枕の高さや眼鏡の度を調整してください。
群発頭痛のセルフケア
群発頭痛は、発作を助長する要因を取り除くことが大事です。群発期の飲酒は発作を誘発するため、アルコールは一切避けてください。
ただし、群発期が終われば飲酒は可能です。
入浴の際に発作が起こることもあるため、浴槽につからずにシャワーで済ませるなどしてなるべく避けましょう。
群発期に狭心症の治療薬であるニトログリセリンなどを服用すると、血管が拡張して発作が起こりやすくなるので、そのような薬を服用する際には専門医に相談してください。
執筆・監修ドクター
経歴2000年 福岡大学医学部卒業
2008年 福岡大学病院 神経内科 助教
2009年 福西会病院 神経内科部長
2012年 福西会病院 神経内科・リハビリテーション科部長
2016年9月 おばた内科クリニック開院
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