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中耳炎

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目次
  1. 概要
  2. 症状
  3. 診療科目・検査
  4. 原因
  5. 治療方法と治療期間
  6. 治療の展望と予後
  7. 発症しやすい年代と性差

概要

中耳炎とは?

中耳炎(ちゅうじえん)とは、鼓膜(こまく)の内側の部分である中耳(ちゅうじ)に起こる炎症です。特に強く鼻をかんだあとに、耳の痛みや耳閉感(耳がふさがったような感覚になること)がある場合には中耳炎である可能性があります。中耳にはさまざまなタイプの炎症が起こり、異なった病気を起こすことがあります。

特に子どもでみられる中耳炎としては、急性中耳炎(きゅうせいちゅうじえん)と滲出性中耳炎(しんしゅつせいちゅうじえん)などが挙げられます。

比較的予後は良好な疾患ですが、治りにくくなってしまい、慢性化する場合もあります。

慢性化した中耳炎として、鼓膜の穴が残る「単純穿孔性中耳炎」、カルシウムの沈着による耳小骨の動きの制限で聞こえにくさが残る「鼓室硬化症」、鼓膜の一部が中耳の壁にはりついてしまう「癒着性中耳炎」、においの強い耳漏(いわゆる「耳だれ」)のほかにさまざまな合併症が起こる「真珠腫性中耳炎」などがあります。高齢者の場合、風邪などのあとに「滲出性中耳炎」を発症する場合もあります。

このほかにも航空機やダイビングをする人が気圧の変化によって生じる「航空性中耳炎」という特殊な中耳炎もあります。

慢性化した場合には、全身の症状や後遺症を残す可能性もあります。そのため、早期の段階で耳鼻いんこう科での治療を行い、慢性化を予防することが重要です。

症状

中耳炎の主な症状は、耳が痛くなる耳痛(じつう)、耳がふさがれたような耳閉感(じへいかん)などが挙げられます。

症状を訴えることができない乳児の場合、理由なく泣く、不機嫌、耳を気にする、など「なんとなく機嫌が悪い感じ」が多いため、日ごろから注意深く様子を観察することが大切です。

また子どもに多い「滲出性中耳炎」の場合、聞き返しが目立つ、呼びかけても返事をしない、といった「軽い聞きにくさ」が症状の中心となります。

痛みはほとんどなく、自然に治癒することも多いですが、数か月にわたって症状が持続する場合もあります。

診療科目・検査

耳鼻いんこう科を受診します。基本的には問診と視診を行います。治りにくいと判断した場合には、早期から抗菌薬を含んだ治療が必要になるため、耳漏や中耳の菌を採取して原因となっている細菌を確認することがあります。

問診で「聞こえにくさ」が目立つ場合には、純音聴力検査、ティンパノメトリーという、鼓膜の動きを測定する検査など、さまざまな聴覚医学的検査を行います。

「純音聴力検査」では、難聴の程度を調べることができます。小さな子どもの場合、検査の集中力がもたないので、遊びとして聴力検査を行うためのさまざまな方法があります。

また、内耳からでる音や、脳波での反応をみながら聴力を確定する別の方法もあります。

中耳炎は有病率が高く、難聴と合併して中耳炎に罹患していることはよくあります。このため、中耳炎だから聞きにくいと決め打ちをしてしまうと、他の難聴の原因を見逃す可能性もあります。

子どもの聞きにくさが気になる場合には、聴力検査を行って状態をチェックすることが必要です。例えば、ことばの遅れや発音(構音)に気になる点があれば、それぞれの発達検査を実施することもあります。

特に長引いたり、治療が困難なことが多かったりする子どもの場合には、その背景を調べることも重要になります。

アデノイド肥大や小児副鼻腔炎、粘膜下口蓋裂(ねんまくかこうがいれつ)等、あるいは逆流性食道炎などの中耳炎を長引かせる疾患の存在が疑われるときには、それぞれの病気を確認するための検査が追加することがあります。

原因

基本的に、細菌が耳に入ることで発症します。ただし、航空性中耳炎の場合は「気圧の変化」が原因となります。

風邪をひいたときなど、膿性の鼻水が増えると中耳炎にかかりやすくなります。中耳は耳管で鼻の奥にある上咽頭とつながっており、この上咽頭にいる肺炎球菌や肺炎桿菌といった菌が中耳に侵入するからです。

例えば、子どもに多い急性中耳炎の場合、ウイルスよりも細菌が原因である比率が高いとされています。

特に「アデノイド肥大」や「小児副鼻腔炎」があって膿性の鼻汁が続いていると、急性中耳炎を起こしやすくなります。このときに成長過程でまだ免疫の力が未熟であれば、特に繰り返して中耳炎になることがあります。

また滲出性中耳炎の場合、急性中耳炎で中耳に入り込んだ菌の成分に対する炎症反応によって中耳に滲出液が残ることから始まります。そのときにアデノイド肥大など、耳管からの滲出液の排出がうまくいかない原因があると中耳に液が溜まってしまいます。こうした状況が長く続くと、中耳粘膜から分泌物が増え、「乳突洞」という鼓膜の奥にある器官の発育が悪くなってさらに液が溜まりやすい環境になります。

特に口蓋裂やダウン症など、耳管の働きに特別な弱さをもつ子どもは、滲出性中耳炎になりやすい傾向がありますが、このような子どもは滲出性中耳炎を繰り返すことがよくあります。

急性中耳炎と同じように、アデノイド肥大や小児副鼻腔炎のために耳管の働き不十分になるようであれば、口蓋裂などの特別な要因がなくても治療が難しくなることがあります。

感染症だけでなく、逆流性食道炎(ぎゃくりゅうせいしょくどうえん)によっても中耳炎が生じることがあります。これを咽喉頭酸逆流症(いんこうとうさんぎゃくりゅうしょう)といいます。
この場合も治療しても再発を繰り返すため、治療が難しいこともあります。

さらに特殊な例では、「航空性中耳炎」があります。これは、航空機の離着陸やダイビングでの潜水などで、急激な気圧の変化が起こることが原因になります。急激に気圧が変化することで、耳管がとじたままになってしまい、鼓膜の内側と外側で気圧の差が生まれて、耳が痛くなることがあります。

治療方法と治療期間

治療は薬物療法が基本ですが、鼓膜切開や鼓膜チューブ留置術などの手術療法を行うこともあります。

薬物療法の場合

経過と所見から重症度を判定して、軽度の中耳炎と判定されるようであれば、解熱鎮痛薬だけで様子をみても落ち着くことも多くあります。

経過観察でも改善しない場合や、中等症以上の急性中耳炎では抗生物質が処方されます。内服薬として使われる主な抗生物質はアモキシシリン、クラブラン酸カリウム・アモキシシリンなどで、特にアモキシシリンは通常で用いられるよりも高容量で用いられることがよくあります。

手術療法の場合

鼓膜が膿のために膨れ上がっているときなど、重症化の傾向がみられる場合、手術療法として「鼓膜切開術(こまくせっかいじゅつ)」が行われることがあります。
必要に応じて鼓膜に麻酔を行った上で、鼓膜に小さな穴をあけ、中耳に溜まっている膿などを排出します。ほとんどの場合、切開で開いた鼓膜の穴は数日でふさがっていきます。

「鼓室内チューブ留置術(こしつないちゅーぶりゅうちじゅつ)」では、この鼓膜切開をして作られた穴にチューブを差し込み、早期に鼓膜の穴がふさがらないようにすることで鼓膜の奥が継続的に空気で満たされるようにします。持続する滲出性中耳炎では、この手術を行うことで速やかに聞こえを改善し、また難治性の急性中耳炎では膿を抜くためのチューブの働きをします。留置したチューブは、数か月の経過で自然に耳の外に排出されることもよくありますが、自然にとれてこない場合には鼓膜に穴を残す原因になるため、除去することもあります。

外科的治療の一部としてアデノイド切除術が追加されることもあります。特にアデノイド肥大が、慢性的な鼻汁・鼻閉の原因となって繰り返す炎症を引き起こしている場合等では治療の一環として取り入れられることもあります。

滲出性中耳炎の治療法では、このほかに「通気療法」もあります。耳管から空気を中耳に送り、溜まった液体の排出を促します。通気の方法には、鼻の入り口からゴムでできた器具を使って発声と同時に空気を送る方法と、細い金属製の管を鼻の奥に入れて耳に空気を送り込む方法があります。自己管理ができる状態であれば、自分で行うための器具や手法もあるため、必要なときには主治医に相談しましょう。

治療の展望と予後

子どもによくみられる急性中耳炎や滲出性中耳炎の大半の予後は良好です。
適切な治療と経過観察で後遺症を残すことなく改善します。

中にはしっかりした治療を行ってはっきりした症状がなくなっても、3週間以上にわたって鼓膜の炎症などが改善しなかったり(遷延性:せんえんせい)、一度治ったあとにも何度も中耳炎を繰り返したり(反復性:はんぷくせい)することがあります。
こうした状態を「難治性中耳炎」とも呼ぶことがあります。しかし、こうした難治性中耳炎でも免疫機能の成長に伴って繰り返さなくなることが多いです。

一方で、まれに急性中耳炎から強い全身症状を呈するような病気に広がる場合もあります。

中耳から内耳に感染が波及して内耳炎(ないじえん)を起こすと、激しいめまいと一緒に聴力の低下をきたします。
乳突洞に波及すれば、強い頭痛と耳後部痛を伴う乳突洞炎(にゅうとつどうえん)になることもあります。
さらには頭蓋内に広がって髄膜炎(ずいまくえん)を起こせば、さまざまな全身症状をきたすことがあります。

中耳炎では長い経過の中で、さまざまな慢性の病気に変わってくることもあります。

慢性化の例

単純穿孔性中耳炎(たんじゅんせんこうせいちゅうじえん)

鼓膜の穴、すなわち慢性穿孔(まんせいせんこう)が残り、難聴や、持続する耳漏の原因になります。

鼓室硬化症(こしつこうかしょう)

耳小骨にカルシウムの沈着が起こり、耳小骨の動きを制限して聞こえにくさが残ります。

癒着性中耳炎(ゆちゃくせいちゅうじえん)

鼓膜の一部が中耳の壁にはりついてしまい、耳漏がなかなかな止まらなくなることがあります。

真珠腫性中耳炎(しんじゅしゅせいちゅうじえん)

においの強い耳漏のほかにさまざまな合併症が起こることがあります。

中耳炎になった人が、かならずこうした病気を発症する訳ではなく、このような経過になるのは中耳炎の経過になる子どもたちのごく一部です。しかし、こうした全身症状や、後遺症を残すことなく中耳炎を改善していくためにも、早く治療を受けることが大切です。

発症しやすい年代と性差

すでに触れたように、急性中耳炎は小児にとっては頻度が高く日常的な病気といえますが、一方で大人でも罹患することがあります。特に2歳以下が多いですが、最も頻度の高い年齢層は生後6か月から1歳半くらいまでの間です。中耳炎は繰り返すことがありますが、特に生後6か月までに最初の急性中耳炎を発症する子どもではそのリスクが高いと考える必要があります。7歳までに約3分の1の子どもが6回以上の中耳炎を経験するともいわれます。

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