がいじしゅよう外耳腫瘍
外耳腫瘍(がいじしゅよう)とは、耳の外側の部分である「外耳」と呼ばれる部分にできる腫瘍(できもの)のことです。
耳は構造を大きく分けると外側から順に「外耳」「中耳」「内耳」に分かれています。音をひろうための働きがある外耳は細長く存在し、一般的に“耳の穴”といわれている場所で、鼓膜よりも外側に位置するものです。
耳介を含め、その部分に異常増殖した細胞が集まることによって腫瘍となったものを外耳腫瘍といいます。頻度は多くありません。
良性腫瘍としては、耳介にできる、粉瘤(ふんりゅう)、繊維腫、皮様嚢腫、血管腫、肉芽腫があります。また外耳道に見られる、乳頭腫、外骨腫、骨腫、腺腫、母斑細胞母斑(もはんさいぼうもはん)などもあります。
悪性腫瘍としては、扁平上皮(へんぺいじょうひ)がん、基底細胞がん、耳垢腺腫、腺がん、腺様のう胞がん、悪性黒色腫などがあります。
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外耳腫瘍の症状
大小問わず、隆起したできもの(腫瘍)ができます。
耳介、外耳は音を集めたり聞いたりするための臓器なので、そこにかたまりができ、外耳がふさがってしまうことで、音が聞こえづらい、聞こえない、耳垢が溜まりやすくなる、という状態が生じます。
悪性の場合、耳介ではかゆみ、痛み、出血などがあります。また外耳道では痛みがあらわれたり、膿性耳漏、血性耳漏などがあらわれます。
また、耳だれや顔面麻痺などが生じることもありますが、無症状の場合もあります。
良性の場合は、腫瘍表面の凸凹が少ないです。一方、悪性の場合は出血や痛みを伴うことが多く、腫瘍表面がゴツゴツ、ボコボコしていることも多いのが特徴です。
外耳腫瘍の診療科目・検査方法
耳鼻いんこう科で、耳鏡や鼓膜鏡を使って鼓膜の状態を確認します。
その他、症状によってはティンパノグラムによって鼓膜の動きや耳小骨を確認したり、聴力検査や平衡感覚検査、顔面神経検査やCT、髄液検査を行ったりなど、様々な検査をします。また、必要に応じてエックス線検査、CT、MRIといった画像診断、血液検査なども行う場合があります。
放置してしまうと、母斑細胞母斑が悪性黒色腫へと悪性腫瘍化する場合もあるので、腫瘍がある場合は受診が必要です。
外耳腫瘍の原因
外耳腫瘍の種類によっても原因は異なります。
血管腫は広がって太くなった血管が集まってできていますが、それが生まれつきや、成長過程によって発生します。
粉瘤は、皮膚から剥げ落ちるはずの垢や皮膚の脂が溜まることで起こります。また、ピアスの刺激などにより肉芽腫が作られる場合もあります。
外骨腫は、骨部外耳道に生ずる骨の新生でサーファーに多いことからサーファーズイアーと呼ばれていて、冷水刺激が原因ではないかと考えられます。
耳介には紫外線暴露(太陽の光を浴びること)によって扁平上皮がんといった悪性腫瘍ができることがあります。
外耳道周辺の耳下腺、側頭部、中耳、上咽頭などに腫瘍があることで、外耳道へも転移して発症する場合もあります。
あまり見られませんが、直腸や腎臓などに腫瘍が外耳道へ転移することで外耳腫瘍になる場合があります。
外耳腫瘍の予防・治療方法・治療期間
症状によって治療法や治療期間は異なります。
良性の場合は耳の機能を考慮しながら手術によって腫瘍を切除する場合もあります。粉瘤などは膿を出す、または抗菌薬や痛み止めを服薬することで症状が軽快することもあります。
悪性の場合は手術によって腫瘍部位や腫瘍周辺を取り除きます。症状によっては化学療法や放射線治療を併用して行うこともあります。
外耳腫瘍の治療経過(合併症・後遺症)
外耳腫瘍になりやすい年齢や性別
良性腫瘍は、耳鼻いんこう科総外来患者数の0.05%ほどです。
悪性腫瘍は100万人に数人ほどと、外耳腫瘍という疾病自体、発症する確率は低いです。
その中でも良性腫瘍の母斑細胞母斑は外耳腫瘍の約20%を占め、中年女性に多い傾向があります。
また、悪性は扁平上皮がんが特に多いです。
参考・出典サイト
執筆・監修ドクター
経歴1988年 聖マリアンナ医科大学 卒業 同耳鼻咽喉科入局
1998年 山梨医科大学 耳鼻咽喉科 入局
2005年 矢崎耳鼻咽喉科 入職
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