ないじがいしょう内耳外傷
内耳外傷の症状
症状は難聴、耳閉感(耳の塞がった感じ)、耳鳴、めまいなどで外傷の程度によりその強さは様々です。
内耳がある側頭骨に骨折が出る場合は顔面神経麻痺(顔面の動きが悪くなること)があらわれることもあります。
内耳外傷の診療科目・検査方法
内耳外傷の原因
耳掃除の際に綿棒や耳かきによって鼓膜を破り内耳まで傷つけたり、爆発や事故などで大音量が内耳に伝わったとき、ときに鼻を強くかんだことでも内耳外傷が生じます。また潜水などで急激な気圧変化が生じた際にも内耳外傷が起きる場合があります。
頭部打撲によっても生じることがあり、これは「内耳震盪症」と言われます。また内耳のある側頭骨の骨折によって「内耳障害」になることがあります。
仕事などで毎日大きな音を聞き続けて難聴になる「騒音性難聴」というものもありますが、「労働安全衛生法」などにより管理されており、ここでは内耳外傷としては扱いません。
内耳外傷の予防・治療方法・治療期間
音響外傷により難聴となっている場合は、程度にもよりますがステロイド剤、循環改善剤などの内服をします。
難聴が高度の場合は入院治療を行う場合もあります。回復の程度は症状の強さにもよりますが、必ずしも全ての方が治癒するとは言えない状況です。
また、受傷してから時間が経過してから治療を開始する場合は治癒が悪いと言われており、症状が出たらなるべく早く(遅くとも1週間以内)に医師の診察を受けるようにして下さい。
患者さんによっては難聴は回復しても耳鳴りが残る方がいます。難聴、耳閉感、耳鳴りが出ている間は、内耳が弱っている状態なので大きな音は聞かないようにすることも必要です。
「外リンパ瘻」の場合は、ステロイド治療の他に瘻孔(穴)を塞ぐために「瘻孔閉鎖術」、「内耳窓閉鎖術」といった手術を行うこともあります。めまい症状は徐々に回復してくることが多いものですが、症状の出ている間はめまい止め、吐き気止め、循環改善剤などを投与します。
「顔面神経麻痺」の場合は、ステロイド剤とビタミン剤を投与しますが、骨折が明らかな場合は骨折による神経の圧迫を解除するために手術を行うことがあります。
内耳外傷の治療経過(合併症・後遺症)
難聴は早い方では1週間以内に回復することがありますが、大体1ヶ月は経過を見ることが必要です。
3ヶ月を過ぎて難聴、耳鳴りが残る場合、は回復の見込みは低いようです。めまいが長期化することは多くないようですが、長期化する場合は外リンパ瘻などが起きていないか精密検査が必要なことがあります。
内耳外傷になりやすい年齢や性別
特に発症しやすい年代や性別はありません。
執筆・監修ドクター
経歴1985年 浜松医科大学卒業
1985年 慶応義塾大学耳鼻咽喉科学教室入局
1990年 慶應義塾大学医学部助手(耳鼻咽喉科学)
1994年 横浜市立市民病院 勤務
2001年 相模原協同病院 部長
2004年 横浜市立市民病院 部長
2007年 済生会横浜市南部病院 部長
2017年 おがた耳鼻咽喉科 開設
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