風邪でお風呂はダメ?ひき始め、発熱時、治りかけ別に解説!適温は?

熱がある時、お風呂に入っていいのかどうか悩んだことはありませんか?
お風呂に入ることで、かえって風邪を悪化させないかどうか心配に思う人もいると思います。
しかし、風邪が長引き、しばらく入浴できないことが続くと、汗が気になったり、頭がかゆくなったりと、不快な症状に悩まされることもあります。
この記事では、風邪をひいている時のお風呂について解説しています。
風邪をひいているとき、お風呂に入ってもいい?
1.「風邪を引いたらお風呂に入らない」といわれてきた理由
そもそも、風邪を引いたらお風呂に入らないという考え方は、隙間風が多い「昔ながらの日本の家屋」が影響しています。
また、熱いお風呂につかることで体力が消耗してしまうと言い伝えられてきた「日本特有の風習」とも言われています。
西欧では、保温性の高い住環境と、入浴後にガウンを羽織るなど暖かく過ごすことができるため、風邪を引いてもお風呂に入るのが当たり前であり、風邪を引いたからといって特にお風呂を控えるという習慣はないようです。
現在は、日本の住環境も気密性と保温性に優れ、お風呂上りに湯冷めをする心配もほとんどなくなりました。
熱が高い、嘔吐や下痢があるなどひどい症状がなければ、お風呂に浸かることは決して悪いことではありません。
2.「風邪の引き始め」はお風呂に入ってもいい?
特に鼻づまりの症状には有効
お風呂に入ると、体全体の血行が良くなり、筋肉のこわばりを和らげ、血管を拡張させます。
そのため、鼻づまりの症状にも有効で、お風呂に入ることで新陳代謝も高まります。
とくに、上手く鼻水を出すことができない小さな子供は、浴室に入ることで鼻の症状が楽になります。
お風呂の湯気は喉を保湿し、ウイルスの活動も抑える
鼻づまりだけでなく、浴室内の湯気は、喉の保湿や、ウイルスの活動を抑えることにもつながります。
風邪の引き始めにおいては、むしろお風呂に入ることで症状を和らげる効果も期待できます。
しかしお風呂から上がったら、湯冷めには気をつけて早めに布団に入り、ゆっくり睡眠をとるとよいでしょう。
3.「熱が出ている時」はお風呂に入ってもいい?
大人の場合
熱が38度以上あり、悪寒や全身の倦怠感がある場合は、シャワーで身体を流す程度にとどめ、湯船につかることは避けましょう。
とくに嘔吐、下痢、めまい、頭痛などの症状がひどい場合は、無理に湯船に入ると体力を消耗してしまうので、控えるようにしましょう。
子供の場合
症状がそれほどひどくないように感じても、子供自身がお風呂を嫌がるようであれば、無理に入る必要はありません。
子供の場合は、自分でうまく症状を伝えることができません。
温かいタオルで体を拭く、お尻などの汚れやすい部分をお湯で洗ったりするだけで十分です。
3.「風邪が治りかけている時」はお風呂に入ってもいい?
入れるなら入ったほうがいい
高熱などの症状が落ち着いてくれば、お風呂に入っても良いでしょう。
熱が出ると、汗もたくさんかくため、皮膚を清潔にすることで発汗作用がスムーズに働き、ウイルスや細菌に対する抵抗力も高まります。
また、お風呂に浸かることによって、体温が上がり、体が熱を逃がそうとしてゆるやかに体温を下げることもあります。
長湯や熱いお湯は控えて
しかし、疲労感が出るほどの長湯や、熱いお湯は、体力を消耗してしまうため注意が必要です。
脱衣所や浴室は事前に温めておくようにし、寒さを感じて体を冷やさないようにしましょう。
4.「インフルエンザの時」はお風呂に入ってもいい?
解熱後すぐの入浴は控えて
インフルエンザの場合、抗ウイルス薬を内服することで早めに解熱することがあります。
しかし、いったん熱が下がっても、再度上昇することがよくあるため、解熱後すぐは入浴しないようにしましょう。
インフルエンザの予防接種をしていると、インフルエンザに感染しても高熱にならないことがあるため、注意が必要です。
お風呂で体力を消耗すると、熱が上がることも
お風呂に浸かることで体力を消耗してしまうと、熱が上がることがあります。
インフルエンザの場合は、治癒するまでお風呂に浸かることは控え、慎重に判断するようにしましょう。
5.おう吐や下痢の症状があるときは要注意!
おう吐や下痢の症状があるときは安静にしていることが一番です。
入浴自体は可能ですが、浴室でおう吐や下痢をしてしまうと感染リスクが高まります。
症状がある方の入浴は最後にし、 使用後の浴室はよくシャワーで流すようにしましょう。
また、ドラッグストアなどで購入可能な『次亜塩素酸』は、ノロウイルスの消毒に用いると感染を防ぐことができます。
風邪を引いている時のお風呂の入り方は?
1.お風呂のお湯はどれくらいが適温?
シャワーでも湯船でも、熱いお湯は避けましょう。
38~40℃前後のお湯にするとよいでしょう。お湯の温度は好みがありますが、のぼせないように調整することが大切です。
2.浴室に入る時の注意点
寒さ対策はしっかりと
脱衣所や浴室内は温めておきましょう。
入浴によって体力を消耗するため、風邪の症状に合わせてシャワーにするのか、お風呂に浸かるのかを選びましょう。
体力の消耗が心配な時はシャワーだけにする
体力消耗を防ぐには、シャワーだけにするのが良いでしょう。
しかし、長時間シャワーを浴びても体の芯までは温まりにくいので、さっと済ませて上がったら体の水分をしっかりタオルで拭き、湯冷めをしないように十分注意します。
髪は、時間をかけずに手早く洗いましょう。
入浴後、濡れたままの髪は放置せずにすぐドライヤーでしっかりと乾かします。
お風呂に浸かる場合も長湯をしない
お風呂に浸かることは、体の冷えを防ぎ温めるというメリットがあります。
しかし、数分程度にとどめ長湯をしないことが大切です。
まとめ
風邪を引いた時にお風呂に浸かっていいのか、そもそもシャワーも浴びない方がいいのか判断に迷うことがあります。
ですが症状がひどい場合を除いては、お風呂に入ることは悪いことではなく、むしろ風邪の症状を和らげる効果が期待できる場合もあるのです。
子供や高齢の方の場合は、様子をよく観察して必要であればお風呂やシャワーを控えることが大切です。
また、お風呂に浸かる場合も、なるべく短時間で済ませ、入浴後の体の冷えに注意して早めに布団でゆっくり休むようにしましょう。
執筆・監修ドクター

経歴1996年 埼玉医科大学卒業
1997年 埼玉医科大学第一外科入(一般外科、呼吸器外科、心臓血管外科)終了
1999年 戸田中央総合病院心臓血管外科医として就職
2000年 埼玉医科大学心臓血管外科就職
2006年-2012年3月 公立昭和病院心臓血管外科就職
2012年4月 岡村医院、医師として勤務
2012年7月 岡村クリニック開院
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