心の病気一覧

部位から調べる

五月病(季節性うつ)

【監修】板東 浩 先生(医学博士、内科医)

うつ病とは

眠れない、食欲がない、一日中気分が落ち込んでいる、何をしても楽しめないなど、このような「気分が落ち込む」「憂うつ」が長期にわたって続いている場合、うつ病の可能性があります。

うつ病は、精神的ストレスや身体的ストレスが重なることなど、さまざまな理由から脳の機能障害が起きている状態のことを言います。この状態になってしまうと、ものの見方が否定的・悲観的になり、自分がダメな人間だと感じてしまいます。
普段なら乗り越えられるストレスもよりつらいものに感じられ、よりストレスに感じさらなる悪循環に陥ってしまいます。

五月病とは

仕事や学校、転居などで環境が変わり、最初は張り切って活動していたのに、5月の連休明け頃からだんだんと気分が落ち込む、疲れやすい、仕事や勉強、家事などに集中できない、眠れないといったスランプ状態に陥ること、これがいわゆる「五月病」です。

精神的な症状だけでなく、食欲不振や胃の痛み、めまい、動悸などの症状を訴える方も多く、新しい環境での変化についていけないあせりやストレスが、知らず知らずのうちに身体的な症状となって出てくるのです。

五月病といっても、新入生の方や5月限定で起きる病気ではなく、完璧主義で物事にこだわりやすい人や、内向的で孤立しやすい人、過保護に育てられた人などが五月病になりやすいといわれています。たいていの場合は一過性の心身の不調で、1~2ヶ月程度で自然と環境に適応でき、症状が改善すると言われています。

五月病とは

五月病かな?と思ったら

五月病かなと思ったら、まずはとにかく気分転換やリラックスできることをしてみましょう。これらは五月病の予防法でもあります。

  • ・趣味やスポーツでストレスを発散する
    ・十分に睡眠を取る
    ・ゆっくりお風呂に入る
    ・好きな音楽を聴く
    ・アロマテラピーなどでリラックスする
    ・映画や絵画展、コンサート、小旅行などに出かけて気分転換をする
    ・新しい目標を見つける
    ・友人や先輩などに、話を聞いてもらう

うつ病の治療法

五月病のいろいろな対処法を試してみても心身の不調がなかなか治らない場合、睡眠はたっぷりとっているのに悩みや疲れが消えない状態が1ヶ月以上続く場合は、軽症のうつ病の可能性があります。

特に仕事や家事などにやる気が出なくなるだけではなく、好きな趣味などの以前は興味があったものにも関心がなくなってしまった場合は要注意です。

こんな症状が続く場合は、早めに心療内科か精神科を受診しましょう。

  • ・ 憂うつ、気分が重い(抑うつ気分)
    ・ 何をしても楽しくない、何にも興味がわかない
    ・疲れているのに眠れない、一日中眠い、いつもよりかなり早く目覚める
    ・イライラして、何かにせき立てられているようで落ち着かない
    ・悪いことをしたように感じて自分を責める、自分には価値がないと感じる
    ・思考力が落ちる
    ・死にたくなる

また、周囲から見てもわかる変化もあります。身近な人が「どこかいつもと違う」と感じるような変化に気づいたら、もしかしたら本人はうつ病で苦しんでいるかもしれません。

  • ・表情が暗い
    ・涙もろくなった
    ・落ち着かない
    ・飲酒量が増える

さらに、身体的な症状が現れることもあります。
食欲がない、体がだるい、疲れやすい、性欲がない、頭痛や肩こり、動悸がする、胃の不快感、便秘、めまい、口が渇くなど

うつ病かな?と思ったら

これらはあくまで目安となるものの、いつもと違うと感じたら一人で悩まず、まずは専門家に相談してみましょう。専門家とは、精神科や心療内科あるいはかかりつけの医師がいるクリニックなどです。

また、地域の保健所や保健センター、都道府県・指定都市に設置されている精神保健福祉センターなどにあります。これらの相談窓口を利用する場合は、市区町村役所に電話で問い合わせるか、ホームページで調べてみましょう。電話相談、来所相談のどちらも可能で、こころの専門医の意見を聞くことができます。

また全国共通の「こころの健康相談統一ダイヤル(0570-064-556)」があり、電話をかけると、地域の公的な電話相談窓口につながります。こころの問題だけでなく、さまざまな相談窓口を掲載している「いきる・ささえる相談窓口(http://jssc.ncnp.go.jp/soudan.php)」などがあります。
学生の方であれば、各学校に在籍するスクールカウンセラーに相談してみるのも良いでしょう。

 

監修/板東 浩 先生
医学博士/内科医

急性アルコール中毒

【監修】板東 浩 先生(医学博士、内科医)

飲んだお酒は体の中でどうなるのか

  • 1.お酒を飲むと、約20%のアルコールは胃の中で吸収され、残りは小腸でゆっくりと吸収されます。
  • 2.次に肝臓で「アルコール脱水素酵素」という分解酵素がアルコールをアセトアルデヒドに分解します。さらに、アセトアルデヒドは肝臓内で酢酸に分解されて血中に放出されます。
    最終的に水と二酸化炭素になり、体外に排出されます。摂取したアルコールの2~3%はそのまま呼気に含まれたり、尿や汗となったりして排出されます。
  • 3.血中に入ったアルコールは、血液の循環によって脳に到達し、脳の神経に作用し、麻痺させます。その結果として酔うのです。

二日酔いの原因と酔いがさめるまでの時間

例えば体重60Kgの人がビール500mlを30分で飲んだとしましょう。
そうすると、アルコールは3時間から4時間は体内に留まります。1000mlの場合はアルコールが体内から消失するまでに6時間から7時間かかります。この時間は個人の能力に差があるため、お酒が飲めない体質の人、弱い体質の人、女性などはもっと長い時間がかかります。

また肝臓がアルコールを分解してアセトアルデヒドを作り無毒の酢酸と水に酸化分解する時、肝臓は一時間に54ccのアルコールしか処理できません。これよりも多いと血液中のアルコール量が増加し、大脳を主とする各臓器に害を与えます。

アルコールの消化には上記のプロセスと個人の能力差があるため、許容量以上のお酒を飲むと体内にアルコールが残ってしまい、結果として二日酔いとなるのです。

二日酔いを治す基本として、冷や水を多く飲むことです。水は血液中のアセトアルデヒドの濃度を薄め、汗や尿とともに体外へ排出させることができます。

  • お酒の1単位1単位=ビール(アルコール度数5度の場合)500ml
  • 日本酒(アルコール度数15度の場合)なら180ml
  • 焼酎(アルコール度数25度の場合)なら110ml
  • ワイン(アルコール度数14度の場合)なら180ml

お酒を飲む時の秘訣

酔わないための方法として、お酒を飲む前にタンパク質や脂質を含んだ食品を食べると、アルコールと粘膜の接触を緩和し、アルコール吸収のペースがゆるやかになり、胃腸障害を防ぐことができます。また、食べ物に含まれる水分が血液中のアルコール濃度を薄める効果も期待できます。

食前にお酒を飲まなければならないときは、少量のお酒を飲むならば胃液の分泌を促し、食欲を増進させる良い働きがあります。しかし、空腹状態から多くのお酒を飲むと、胃は保護されない状態となりアルコールの吸収スピードを早めます。そのため肝臓の解毒する時間がなくなり、アルコールの濃度が増して酔いやすくなります。

お酒を飲んだ後はできるだけお湯、特に生姜湯を飲むと、酒ざめへの効果は意外に良いです。
ここまで酔わない方法を紹介しましたが、何よりお酒を飲み過ぎないことが大切です。

アルコールの適正な摂取量

アルコールの代謝能力には個人差があるため、適正な量も個人差があります。
一般的には、2単位程度(ビールなら中びん2本1000ml、日本酒なら2合360ml、焼酎なら1.2合220ml、ワインなら360ml)を限度とし、個人差はありますが「ほろ酔い」で お酒を楽しむことができる量と言われています。

急性アルコール中毒

お酒を飲み過ぎると、肝臓のアルコール処理が追いつかないことで酔いが回ります。このサイクルがより急速におこなわれると「急性アルコール中毒」に陥ります。一気飲みや短時間に大量のお酒を飲むと、アルコールの処理が追いつかず、血中アルコール濃度が高まります。
症状として、「酔い」ではなく、頭痛や吐き気、場合によっては意識を失う危険性もあります。

【参考】 Asahi 人とお酒のイイ関係

急性アルコール中毒

もし身近に急性アルコール中毒になった人が出たら

  • ・意識がない(反応がない)場合は救急車を呼ぶ
    ・一人にしない
    ・横向きに寝かせる(仰向けにすると吐瀉物をつまらせて窒息する恐れがあります)
    ・ベルトやタイツ、ブーツなど身体を締め付けている物をはずす
    ・無理に吐かせない
    ・嘔吐した場合は吐瀉物をよく拭き取る
    ・呼吸や脈の有無を確認する
    ・体温が下がらないように毛布や上着をかける
    ・水分補給をさせる

 

監修/板東 浩 先生
医学博士/内科医

秋バテ(季節性うつ)

【監修】板東 浩 先生(医学博士、内科医)

気温の変化で起こる「秋バテ」とは?

秋は雨の日が多かったり台風などもきたり、気圧がとても乱れやすい季節です。気圧の変化は頭痛やめまい、食欲がなくなる、疲れやすい、だるい、立ちくらみがする、寝不足でボーっとするなど身体に様々な変化を起こします。
これは自律神経が乱れることで起こる、いわゆる「秋バテ」です。予防には身体を温めるなどして自律神経を整えることが肝心とされているため、次のことを実践していきましょう。

秋バテ対策①:ぬるめのお湯にゆっくりつかる

お湯の目安は37~39℃となります。ぬるめのお湯につかることで副交感神経が優位になり、リラックスモードに入って体温が上がり眠気が増してきます。

気温の変化で起こる「秋バテ」とは?

秋バテ対策②:白湯を飲む

朝1杯の白湯を飲むことで胃腸が温まり、血行が良くなります。体温が上がって代謝や免疫力もアップするため、風邪対策にも効果的です。

秋バテ対策③:1日1回は汗をかく

現代人は汗をかくのが下手とされています。汗をかかないと体温調節がうまくいかず、自律神経は乱れていきます。そのため、スポーツや入浴で1日1回は汗をかきましょう。そうすることで体臭予防にもなります。

秋バテ対策④:睡眠をしっかりとる

自律神経が乱れやすい秋は、睡眠のコントロールが悪くなりがちになります。そのため、リラックスをして早く床につき、朝は早めに起きてカーテンをあけ、光を浴びることを心がけましょう。

日照時間の低下で起こる「秋うつ」とは?

秋バテとともに最近言われているのが、日照時間が低下して起こる「秋うつ」です。
日照時間が低下すると、精神の安定化を保つ脳内の神経伝達物質「セロトニン」の分泌量が低下して、身体が急に冬眠モードに変わります。まだ夏モードの身体は冬眠モードへの変化についていけず、その歪みがうつ症状を起こしてしまいます。
また、暗い時間が長くなり、眠気の原因とも言える生体リズムを司るホルモン「メラトニン」が活性化されてしまうことも原因のひとつです。

うつというと大きい病気のように感じますが、症状は何となくだるい、眠れない、やる気がでないなどの身近なものです。特に女性に多く、男性の4倍はなりやすいと言われており、約5人に1人がかかる一般的な病気です。
対策としては「光を浴びること」が大切です。朝の散歩やウォーキングで太陽の光を浴びるといいでしょう。

水溶性食物繊維を積極的に摂って、秋バテ・秋うつを予防

「水溶性食物繊維」を積極的に摂るのも秋の不調に効果的です。便の水分を増やして軟らかくし、排便をスムーズにするとともに善玉菌のえさになって腸内環境を整え、自律神経の安定につながります。

日本人の食物繊維の平均摂取量は戦後間もない頃と比較すると約半分とされ、現代人の腸内環境が悪化している要因とも言われています。水溶性食物繊維が豊富に含まれる、こんにゃくや人参、山芋、海藻類をぜひ積極的に摂るようにしましょう。

 

監修/板東 浩 先生
医学博士/内科医

睡眠障害

【監修】板東 浩 先生(医学博士、内科医)

あなたはどのタイプ?睡眠障害のタイプ

不眠症には大きく5つのタイプに分類されます。

入眠障害

あなたはどのタイプ?睡眠障害のタイプ

夜は必ず11時には床につくようにしているのに眠れない。本を読んだり、携帯電話をいじったり、お酒を少し飲んでみても眠れない。

時計をみると1時2時。明け方にやっと眠っているようだ。このようにうまく寝付くことができないタイプ。

熟睡障害

規則正しい生活で、睡眠時間もたっぷりだけれども、全く眠った感じがしない。熟睡感がない。
だから日中はボーっとしてしまう。以前は睡眠時間そのものが短かったのに、起床後はすっきりしていた。睡眠自体の質が悪く、十分に睡眠が取れないタイプ。

中途覚醒

夜中に必ず目が醒めて、その後はもう眠れない。布団の中で悶々としているうちに朝になってしまう。寝た気がしない。
早く起きてしまい睡眠時間を十分に取れないタイプ。

早朝覚醒

朝の目覚めが早すぎる。4:00頃には目が開いてしまう。鳥が鳴いたり新聞配達の音を聞きながら、本を読もうとしてもボーっとしてしまうし朝食にも早いので何をするわけでもなく、辛い。

思うように睡眠時間を取れないタイプ。

過眠症

特別に疲れているわけでもないのに、大事な会議や試験の時でもあくびをしてしまったり強烈な眠気に襲われる。いつも怒って悩んでいる。
慢性的な眠たさを感じるタイプ。

不眠症の原因

不眠の理由はまず、仕事や家庭生活でのストレスや心配事、「今夜も眠れないのではないか」「8時間眠らなくては」と、眠れないことや眠ること自体がプレッシャーとなってしまうなど心理的なものが挙げられます。

次に考えられるのが、24時間制社会によって生活の時間感覚を失ってしまっていることです。夜昼交代制のシフト勤務や時差勤務、夜遅くまで起きていることで、生活のリズムが乱れます。
人間の体には、日が昇って明るくなると目覚め、暗くなると眠るという体内時計が備わっていますが、生活リズムが乱れると体がそのリズムに順応できなくなり、体内時計に狂いが生じて不眠になってしまうのです。

また、寝室の騒音や照明、温度や湿度、寝具などの環境的なことが原因で安眠できないこと考えられます。
そのほかの原因として、コーヒーなどカフェイン入りの飲み物やアルコール、タバコ(ニコチンには覚醒作用があります)などの摂りすぎ、寝る前に長時間テレビゲームなどをして脳が興奮してしまうこと、気管支喘息、皮膚のかゆみなどの病気で睡眠を妨げられること、うつ病や神経症などの精神疾患によるもの、などが挙げられます。
特に早朝覚醒の場合、年をとるにつれて眠りが浅くなることや、うつ病などの精神疾患が関係する場合もあります。

それから、運動不足も理由として考えられます。休日に家でゆったりくつろいだつもりなのに、月曜日の朝が辛いということはありませんか。これは、肉体的疲労がないために睡眠の質が落ちていると言う可能性が考えられます。

それぞれのタイプの改善方法

睡眠には、疲労を回復し、ストレスを解消する働きがあります。また、睡眠不足や睡眠障害等の睡眠の問題が事故につながることもあることから、快適な睡眠を確保することは、いきいきとした健康な生活や事故の防止につながるものと考えられます。

【参考】 厚生労働省:健康づくりのための睡眠指針検討会報告書

まずは良い睡眠を取るために、下記の点についてできることから取り組んでみましょう。

入眠障害タイプの場合

  • ■入浴は38から39℃の温度にして20分間位で終えるようにする。
  • ■入浴直後は入眠しにくいので、火照りを鎮めてから眠る。
  • ■夜間の運動は避ける。
  • ■夜遅くに食事をしない。

入眠前の時間はできるだけ落ち着いて過ごすことで、入眠しやすくしていきましょう。

熟睡障害タイプの場合

  • ■日中になるべく運動することを心がけ、昼夜のメリハリをつける。
  • ■休日だからと寝坊せず、起床時間を一定にする。

睡眠を取る時間とそれ以外の時間をきっちりと分けて毎日決まった時間に睡眠を取るように心がけましょう。

中途覚醒タイプの場合

  • ■眠る時の動作を一定にする。
  • ■寝室、寝具を始め、眠りやすい環境を作るよう心がける。
  • ■睡眠時間の長さにこだわらない(1時間半の倍数が睡眠時間の目安です)

無理に寝ないといけないと考えず、自分の中で一定のリズムをつくって睡眠を取りましょう。

早朝覚醒対応の場合

  • ■別室へ移動して、眠り始めてみる。
  • ■思い切って起床してしまい、早朝散歩や軽い体操を始める。

一度起きてしまったら、もう一度無理に寝ようとせず、そのまま起きて過ごすことで、夜にしっかりと入眠できるでしょう。

過眠症タイプの場合

単純な睡眠不足、特別に疲れているわけでもないのに日中の眠気がひどい場合は医者に相談しましょう。

質の良い睡眠を取るための4箇条

上記、タイプ別の改善方法をご紹介しましたが、睡眠障害であるなしに関わらず、健康で快適な生活を送るには、質の高い睡眠が欠かせません。

睡眠時間は人それぞれ

よく8時間は寝なくてはならないと言われたものですが、適正な睡眠時間は人それぞれ異なります。大切なのは時間ではなく、その睡眠の質なのです。

たくさん寝ようと意気込む必要はありません。また、老化で睡眠時間が短くなるのは普通のことです。あまり心配しなくても問題ありません。

快眠をつくる

入眠しやすくするために夕食は控えめに。また覚醒作用のあるカフェイン摂取は寝付きを悪くしてしまいますので夕食後は避けましょう。

寝具も、自分が心地よいと感じるものを選びましょう。眠る空間作りも大切です。照明、音、匂いなど、不快に感じるものは改善した方が睡眠の質は向上するでしょう。

リラックスして、無理に寝ようとしない

寝ようと意気込むのは逆効果。自然な眠気を誘うために、読書、ストレッチ、音楽や香りを楽しむなどしてリラックスしましょう。

朝日を浴びる

毎日同じ時刻に起床しましょう。早起きは早寝に通じます。休日に遅くまで寝床で過ごすと翌日の朝がつらくなりますので、起床時間はいつもの同じにし、朝日を浴びて体内時計をリセットしましょう。

睡眠障害の治療

睡眠障害の中でも不眠に関しては、生活習慣を見直すことで改善できると言われています。

光療法
適切な時間に明るい光をあてる治療法です。生体時計を正常な状態にリセットすることができます。

睡眠補助剤(催眠薬)
睡眠障害が日常生活の妨げとなっていて、健康であるという意識がもてない場合は、睡眠補助薬を1週間以内の期間で間欠的に服用すると役に立つでしょう。

ほとんどの睡眠補助薬は処方せんが必要です。処方せんなしに購入できる市販薬には、抗ヒスタミン薬のジフェンヒドラミンやドキシラミンが含まれています。
これらの薬には副作用があり、特に高齢者で起こりやすくなっています。睡眠補助剤は安易に服用せず、医師の診断にしたがってください。

その他、情緒的な原因については、うつ病である可能性もあり,その場合はうつ病の治療をすることで睡眠障害も軽減することがあります。リフレッシュできるよう、趣味に没頭したり、体を動かすよう心がけることも大切です。

睡眠障害は誰にでも起こる可能性があるものです。一人で悩まず、医師に相談することや、睡眠の質を向上することなどできることから取り組んでみましょう。

 

監修/板東 浩 先生
医学博士/内科医

適応障害

【監修】板東 浩 先生(医学博士、内科医)

説明

適応障害とは、生活が変化することにストレスを感じ、そのストレスに適応できずに生じる心の症状です。
「学校に行けない」「無気力でやる気が出ない」などの症状があらわれ、社会生活に影響します。悪いことだけでなく、進学や部署異動、結婚、離婚などの一般的に良いとされる出来事での変化でも適応障害は起こりうるのです。

環境が変化しても特に問題なく適応できる人もいますが、その一方で同じ環境の変化に苦痛を感じて、社会生活を健康的に送れなくなってしまう人もいるのです。

説明

症状

「適応障害」の症状はいずれも一見は強いものではありませんがさまざまな症状があります。
しかし、それらはどれもストレスに適応できない場合の心の反応です。

また、健康かどうかの判断は社会生活を維持できているか否かによって決まります。

適応障害の精神症状は、不安や抑うつ、焦燥感、敏感、混乱などがみられます。
一方で身体的にあらわれる症状は、倦怠感や頭痛、腹痛などで、行動面では遅刻や欠勤、不眠、犯罪などが挙げられます。

適応障害のタイプ

「適応障害」の症状は、主な症状から下記の6つに分けられます。

・抑うつ気分を伴うタイプ
憂鬱感、涙もろくなる、絶望感、思考力・判断力の低下、感情のコントロールが難しくなるなど。いずれの症状も、気分障害ほどではありません。
気分障害:抑うつ気分を主症状とする精神疾患のグループ。代表的なものは「うつ病」。

・不安を伴うタイプ
漠然とした不安感があり、災害、病気、死などを心配しすぎたり、精神が過敏になって、不安から呼吸困難に陥ったり、軽いパニック発作を起こしたり、社会生活を送ることが困難な状態。不安障害ほどではない。
不安障害:病的な不安感が高まり社会生活が困難になる症状。神経症とも。

・抑うつと不安を伴うタイプ
不安と心配、気分の落ち込みが同時に現れ、社会生活に支障をきたすタイプ。例えば健康診断で「要精密検査」となることで不安と憂鬱な日々が続くことです。身体の病気で入院したことが心に影響した人の多くは、このタイプの適応障害です。

・行動の障害を伴うタイプ
万引き、飲酒運転、暴力、無断欠席・無断欠勤、公共の場へのいたずらなどの行動を伴うタイプです。
ただ思春期の青年は、この時期によくある精神的な不安定さから反社会的な行動や言動を起こしてしまうことがあります。

・情緒と行為の混合した障害を伴うタイプ
不登校やかん黙など。子どもが適応障害となる場合、情緒障害や行動障害を伴うタイプである場合が多い傾向があるようです。
情緒の障害:情緒障害とは病名ではなく文部科学省が規定している名称。

・特定不能のタイプ
肩こり、頭痛、疲労感などの身体症状を主に訴えたり、主症状がひきこもりだったりする例です。
さまざまな症状がありますが、どれも適応障害特有のものではないため、医師は患者さんの病歴や環境などから診断を進めます。

適応障害の診断基準(DSM-IV-TRより)

■A
はっきりと確認できるストレス因子に反応して、そのストレス因子の始まりから3ヶ月以内に情緒面または行動面の症状が出現

■B
これらの症状や行動は臨床的に著しく、それは以下のどちらかによって裏付けられている

■(1)
そのストレス因子に暴露されたときに予測されるものをはるかに超える苦痛

■(2)
社会的または職業的(学業状の)機能の著しい障害

■C
ストレス関連性障害は他の特定のⅠ軸*障害の基準を満たしていないし、既に存在しているⅠ軸障害またはⅡ軸*障害の単なる悪化でもない。

■D
症状は、死別反応を示すものではない

■E
そのストレス因子(またはその結果)がひとたび終結すると、症状がその後さらに6ヶ月以上持続することはない

I軸・II軸

DSM(米国精神医学会診断基準)では、診断が偏らないように「多軸方式」をとっています。

■I軸
II軸以外の心の病気

■II軸
パーソナリティ障害と精神遅滞

■III軸
体の病気

■IV軸
心理社会的・環境問題の視点

■V軸
機能

※DSM-Vでは、家族など愛する人との死別も適応障害の発症の原因となるストレスとみなされています。この基準は変更されることがあります。

要因

適応障害の原因はストレス

日常生活において大きなストレスになる出来事が起こると、身体にさまざまな反応が出ます。これは普通のことですが、これが「反応」を超えて「症状」にまで至った状態が適応障害です。

誰でもショックな出来事に遭遇すれば驚いたり、あるいは悲しんだりします。環境の変化があれば緊張したり不安を感じたりします。はじめはこのような心の動揺があっても、だんだん気持ちがこの状況に適応してきて、環境に馴染んだり、価値観を変えてみたり、新たな楽しみとして受け取るなど問題解決の方法を考えはじめます。適応障害は、このような出来事への心理的な反応がうまくいかなかったために起こります。本人にとっては極端な反応に見え不思議に思うこともあるでしょう。

身のまわりのさまざまなストレス

ストレスを感じるのは、つらいことや悲しいことだけではありません。結婚や引っ越し、昇進など、プラスなことも心のストレスの原因になります。あるいは、プラスな変化であっても、それらの受け取り方によってマイナスのストレスにもなります。また、少しのストレスは生活の「はりあい」にもなりますが、これが過度になってしまうと心にとって大きな負担となっていきます。

住居や経済的な問題といった環境的なストレス、病気や食習慣といった健康面のストレス、家族や学校、職業、文化など心理社会的なストレス、対人関係のストレス、一般的には良いことと思われていることへのストレス(結婚、出産、就職、子どもの独立、定年退職など)

ストレスへの耐性が弱いと適応障害になりやすい

同じ環境下でストレスを受けても、適応障害になる人とならない人がいます。これはストレスを乗り越える力は人によって異なるためです。

この力は個人の資質によるところがあり、よく「がんばりやさん」は適応障害になりやすいといわれています。まじめで努力家、他者からの評価を気にし、仕事も多少無理をしてでも片付けて、自分を抑えてでも相手に合わせようとする。
子どもの頃からわがままを言わず、聞き分けがよく、自分を抑えて生きてきた人が少なくありません。

その反面、自己主張ができず、感情や欲求の表し方がわからなくなっている可能性があります。
一見、「いい人」のようですが、とてもストレスをためています。資質的な傾向としては下記が挙げられます。

  • ・感情の表し方がわからない
  • ・傷つきやすい(周囲の人が理解できないほどささいなことで傷ついてしまう)
  • ・白黒思考(100点でなければ0点と同じ)
  • ・まじめだけどがんこ(いいかげんなことが許せない、これと思ったら変更できない)
  • ・断れない(無理なことや嫌なことも自分を抑えてしまい断れない)
  • ・自律神経失調傾向(もともと自律神経のバランスが乱れやすい)

治療と治療薬

最初はひとりで我慢したり、家族や友人に相談したりするでしょう。ストレスはこの段階で解消することも多くあります。
ですが、それができない状態が続き、抑うつ状態が続くようであれば、カウンセリングや医療機関での受診を検討しましょう。
医師は上記のような個人の資質やその他の精神疾患を念頭におきながら患者さんの話を聞きます。

適応障害の原因はストレスであることから、そのストレスの原因をつきとめ、解決するための行動を起こしていきます。
しかし、解決できないストレスであるなら受け止めることで気持ちを楽にしていきます。あるいは薬物療法で現れている症状を緩和します。
いずれの治療も、社会生活が送れるようにすることを目的としています。したがって、医師に治してもらうのではなく、自分で治していく意識が大切です。

FAQ

・IT関連企業に勤めている人は適応障害になりやすい?

IT関連企業に勤めている人にはうつ病や適応障害が多いと言われています。
仕事量が多く、残業しがちで職場によってはパーテーションで区切られ、人と会話することなく、一日パソコンに向かっているなど環境的な問題もあります。
また目の疲れや肩こりなど身体的不調もあらわれるでしょう。

 

監修/板東 浩 先生
医学博士/内科医

アレルギー疾患とうつ

【監修】北村 聖 先生(東京大学医学教育国際協力研究センター教授)

アレルギー性疾患とこころの不調

アレルギー性疾患は、治療が長期にわたる慢性的な病気のひとつです。
そのため、治療の見通しへの不安や生活の質(QOL:Quality of Life)の低下などから、大きなストレスを感じてしまう傾向がみられます。特にアトピー性皮膚炎では皮膚の赤みなどが気になり、外出するのが憂うつになってしまうことも考えられます。

そのまま放っておくと抑うつ状態になり、治療への意欲が低下したり症状の悪化をもたらしたりする場合もあります。
アレルギー性疾患に伴うこころの不調は、かかっている病気に隠れて気づかれにくく、患者さんが一人で悩みをかかえてしまうことも少なくありません。

アレルギー性疾患の治療の過程で「なぜか治療への意欲がわかない」などのこころの不調を感じたら、まずは担当医に相談してみましょう。

こころの不調を伴いやすいアレルギー性疾患とは?

アレルギー性疾患の中でも、アトピー性皮膚炎と喘息(ぜんそく)は、治療が長期にわたって肉体的な負担も少なくないことから、こころの不調を伴いやすいといわれています。
アトピー性皮膚炎と喘息についての概要は下記の通りとなります。

アトピー性皮膚炎

症 状発疹、かゆみ など
原 因主に、アレルギーの原因物質である抗原(アレルゲン)により引き起こされる。気温や湿度の変化、衣類などでこすれたときの刺激、ストレスなどが誘因となる
検査と診断抗原を特定するために血液検査や皮膚反応検査を行う
治療法ステロイド外用薬やタクロリムス水和物軟膏薬で炎症を抑える。
かゆみの強い場合は抗ヒスタミン薬や抗アレルギー薬を服用する
アトピー性鼻炎

喘息

症 状喘息発作、せき、喘鳴(ぜんめい)(※1) など
原 因気道(※2)が炎症を起こし、収縮することによって発症する。主に、アレルギーの原因物質である抗原(アレルゲン)によって引き起こされるが、風邪やストレスが誘因となる場合もある
検査と診断抗原を特定するための血液検査や皮膚反応検査に加えて、スパイロメーター(肺活量計)を用いた呼吸機能の検査を行う
治療法主に吸入ステロイド薬を使用し、気道の炎症を抑えて喘息発作を予防する。喘息発作が起こった場合には、気道を拡げて呼吸を楽にするためにβ2刺激薬を使用する。重症の喘息には、経口ステロイド薬を使用する

※1喘鳴・・・ゼイゼイ、ヒューヒューというような雑音のある呼吸
※2気道・・・気管支や肺など、呼吸するときの空気の通り道

アトピー性皮膚炎とこころの不調

アトピー性皮膚炎によるかゆみのために、発疹患部位をかくことを「掻破行動(そうはこうどう)」といいます。
掻破行動は、人間関係や仕事などのストレスによっても誘発されます。

なかには、かゆくないにもかかわらず、ストレスを一時的に解消するためにかき、その結果、症状が悪化してしまうケースも見受けられます。
こうしたケースでは、症状の改善のためにストレスの除去が不可欠です。

抑うつ状態の有無を診断するために「アトピー性皮膚炎用心身症尺度」という質問表を用いる場合もあります。
また、アトピー性皮膚炎と抑うつ状態では、ともに睡眠障害が見受けられます。

さらに、その特徴に違いがあり、前者はかゆみのために寝つけない入眠困難型が、後者は早朝に目が覚めてしまう早朝覚醒型が多いといわれています。
そのため、アトピー性皮膚炎で早朝に目が覚めるという場合は、抑うつ状態を伴っている疑いがあります。

喘息とこころの不調

患者さんの心理状態を把握するために「気管支喘息症状調査票」などの問診表を用いる場合もあります。
問診表は点数化されており、点数が高いと抑うつ状態を伴っていると診断されます。
特に、小児から喘息を発症し長い間患っている場合は、治療の見通しへの不安から抑うつ状態を伴う頻度が高いといわれています。

また、抑うつ状態を伴う喘息では喘息発作がないにもかかわらず、早朝覚醒型などの睡眠障害が起こる場合があります。

こころの不調を伴う場合の治療法

まずはそれぞれの病気に適切な治療を行って、ストレスの軽減やQOLの向上を図ることが大切です。
それでも効果がみられない場合は、主にSSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)を使用した薬物療法を行います。
SSRIは、第3世代の抗うつ薬で、精神を安定させる脳内物質(セロトニン)のバランスを整えます。

比較的副作用も少なく、安全性も高いといわれているため、精神科や心療内科以外の医師でも使用しやすい薬剤とされています。
そのため、皮膚科や呼吸器内科の担当医から心身両方の治療を受けることも可能です。
また、必要に応じて精神科や心療内科などの専門医を紹介される場合もあります。

アトピー性皮膚炎で抑うつ状態を伴うと、睡眠障害が強く現れる傾向にあります。
睡眠が浅いと掻破行動が激しくなる恐れがあるため、ベンゾジアゼピン系短時間型睡眠薬を併用する場合もあります。
ベンゾジアゼピン系薬は呼吸抑制作用もあるため、抑うつ状態を伴う喘息には、あまり使用しません。

日常生活におけるセルフケアとは?

アレルギー性疾患やそれに伴うこころの不調を改善するためには、日常生活におけるセルフケアも大切です。
下記のようなポイントを抑えながら、できることから始めてみましょう。

上手にストレス解消

不安によるストレスは、症状の悪化や抑うつ状態を招く恐れがあります。好きな音楽を聴いてリラックスするなど、上手にストレスを解消しましょう。
規則正しい生活習慣を身につけてストレス耐性を高めることも大切です。

周囲の人に相談

一人で悩まず信頼できる人に相談してみましょう。ほかの患者さんと交流がもてる勉強会などに参加するのもよいでしょう。
人に話すことで気持ちが楽になったり、ほかの患者さんの体験や治療への取り組みを聞くことで、治療への意欲がわいたりすることもあります。

症状日記をつける

掻破行動や喘息発作が起こるパターンを把握し、予防するためには症状日記が有効です。
掻破行動や喘息発作が起こったきっかけや時刻、症状の強さなどについて記録しましょう。
喘息ではピークフローメーター(最大呼気流量計)(※)を使用して、起床時と就寝時に呼吸機能をチェックし、記録しておくとよいでしょう。

※ピークフローメーター:深く息を吸って一気に吐き出した時の最速値を測定する器具。手に持てるほどの大きさで、取り扱いは簡単。比較的安価で市販されている

家族や周囲の人が気をつけること

抑うつ状態を伴ったアレルギー性疾患の治療には、家族や周囲の人々の理解が必要です。
下記のことに注意して、適切な治療が行えるようサポートしましょう。

聞き役に徹する

患者さんが自分の悩みや不安を打ち明けたときには、あれこれ質問したり意見を述べたりせず、聞き役に徹して静かに耳を傾けましょう。

励ましは厳禁

「頑張って」などの励ましは、かえって患者さんに負担をかけてしまいます。つらい気持ちを理解し、共感する言葉をかけ、気持ちを楽にしてあげるよう心がけましょう。

ゆっくり休養できる環境づくり

仕事や家事・育児などは分担して、患者さんが気兼ねなくゆっくりと休養できるような環境を整えましょう。

服薬のサポート

自己判断による薬の中断や飲み忘れ防止のために、医師の指示どおり服薬しているかを確認しましょう。患者さんの服薬後の変化も観察し、医師に伝えましょう。

気長に見守る

一見元気に見えても、精神面がまだ不安定だという場合も少なくありません。あせらず気長に患者さんを見守ってあげましょう。

 

監修/北村 聖 先生
東京大学医学教育国際協力研究センター教授

情報リクエスト

病気スコープは、ユーザーの皆様が求めている情報を可能な限りお届けしたいと思っています。
「掲載されている病気についてより深く知りたい」「新しい情報として掲載してほしい病気がある」どちらの場合も、お気軽にリクエストしてください。
皆様の期待に応え続けることで、より信頼できるサイトとして成長して参ります。

どちらの情報をリクエストしますか?

または

送信完了

リクエストいただきありがとうございました。
いただいたご意見を元に、より信頼していただけるサイトとして成長して参ります。