だいどうみゃくべんへいさふぜんしょう大動脈弁閉鎖不全症
大動脈弁閉鎖不全症とは?
大動脈弁閉鎖不全症は、心臓から大動脈へ押し出された血液の逆流を防ぐ大動脈弁がうまく閉じなくなってしまう症状のことです。
大動脈弁が機能しなくなることで心臓に負担がかかり、心臓が弱わり、疲労感を感じやすくなったり、ちょっとした運動で動悸や息切れがおこるようになります。
原因は先天的な弁や血管の形状などによるものから、病気などによる後天的な理由で、弁が閉じずらい形状になってしまったり、大動脈が拡大していたりすることでおこります。
薬物による治療法がとられることもありますが、急性の場合などでは弁を人工弁に交換するなどの治療が必要なこともあります。
- 目次
大動脈弁閉鎖不全症の症状
動悸、息切れ、呼吸困難などの心不全症状がみられます。
あわせて読みたい
大動脈弁閉鎖不全症の診療科目・検査方法
大動脈弁閉鎖不全症の原因
大動脈弁閉鎖不全症の予防・治療方法・治療期間
薬剤療法及び手術療法(弁置換術、弁形成術)が挙げられます。
大動脈解離や※1)や感染性心内膜炎による急性の場合は、緊急手術による人工弁置換術あるいは弁形成術が必須です。
治療法や治療期間は重症度によって異なります。
手術は、壊れてしまった弁を人工弁に取り換えたり(弁置換術:べんちかんじゅつ)、縫合して形を整えたり(弁形成術)します。
手術の場合は、いずれも10日から14日間の入院期間が一般的です。
大動脈弁閉鎖不全症の治療経過(合併症・後遺症)
薬物療法により心不全の管理をするが、症状を完全に治すという薬はないため、あくまで進行を抑える治療が主です。
検査により逆流量や心機能を評価し、重症や他の合併症がみられる場合は手術療法の適応となります。
大動脈弁閉鎖不全症になりやすい年齢や性別
特に年代や性差についてはいわれていません。
参考・出典サイト
編集部脚注
※1 大動脈解離(だいどうみゃく-かいり)
大動脈解離は、「大動脈の壁の中に血液が流れこみ、血管壁が縦に裂ける病気」です。
3層構造になっている壁の内側に血液が入りこみ、血管壁を縦に裂きます。
大動脈の血流は非常に強く、一気に胸部から腹部までの血管壁が裂けることもあります。
大動脈解離をきたした血管において、「本来、血液が流れるべき空間」を「真腔」、「壁が裂けたことで血液が流れてしまった空間」を「偽腔」と呼称します。
※2 感染性心内膜炎(かんせんせい-しんないまくえん)
※1)や感染性心内膜炎は、「心臓の内部が細菌感染を起こした状態」です。
健康であれば、本来、心臓の内部は無菌です。
しかし、身体のどこかに感染症が起きている場合、細菌が血流に乗って心臓に侵入する恐れが出てきます。
心臓内部で細菌感染を起こしやすい場所は、次の2つです。
・血液の逆流を防ぐための弁
・心臓内部の小さな傷
心臓に入りこんだ細菌が、「心臓の弁」「心臓内の傷」を棲み処に増殖すると、※1)や感染性心内膜炎を起こします。
当初は発熱・倦怠感などの感染症状、重症化すると心不全の症状をきたします。
※3 マルファン症候群
マルファン症候群は、「指定難病対象疾患の1つで、遺伝性の病気」です。
ただし、突然変異で発症する患者さんもいるので、必ずしも遺伝による発症とは限りません。
おおよそ、4人に3人が遺伝、4人に1人が突然変異による発症と考えられています。
マルファン症候群にかかっていると、骨格、血管、肺などの結合組織が弱体化します。
・骨格が弱い⇒側弯症(背骨のゆがみ)、漏斗胸(胸部の変形)など
・血管が弱い⇒大動脈弁閉鎖不全、大動脈解離など、循環器・血管の損傷
・肺が弱い⇒自然気胸(肺に穴があく)
マルファン症候群を根本的に治療する方法はありませんので、それぞれの問題に対して、対症療法的に対応することになります。
遺伝形式は「常染色体優性遺伝」です。
両親の一方がマルファン症候群の場合、子供は50%の確率でマルファン症候群になります。
※4 上行大動脈
上行大動脈は、「大動脈を位置ごとに分類したときの一部分」を指す名称です。
血液を全身に送り出すのは、心臓の左心室です。
大動脈は「左心室から全身に向かうとき、動脈血が最初に通過する太い血管」です。
大動脈を位置ごとに分類すると、次のようになります。
・大動脈基部⇒大動脈がはじまる地点。
まず、心筋に酸素・栄養を届ける動脈―冠動脈(かんどうみゃく)が分岐。
・上行大動脈⇒大動脈はしばらく、縦隔の中を通って上向きに進む。
・大動脈弓部⇒Uターンするようにして、大動脈は下に向きを変える。
弓なりに曲がることから、大動脈弓部。頭と腕に向かう血管が分岐。
・下行大動脈⇒大動脈は下方向に進み、横隔膜を通過する。
・腹部大動脈⇒腹部で、いくつかの重要な血管が分岐。
※5 心臓カテーテル検査
心臓カテーテル検査は、「直径2mmほどの合成樹脂製の管(カテーテル)を用いた検査」です。
手首、肘、太ももなどの動脈からカテーテルを挿入し、血管内を心臓まで進めます。
カテーテルの先端を心臓に到達させることで、さまざまな検査が可能になります。
・心室内の血圧測定
・大動脈の血圧測定
・心筋生検(心筋の一部を採取して検査)
・心筋に酸素を届ける冠動脈の造影(レントゲン撮影)
などが、カテーテルを用いる検査の一例です。
執筆・監修ドクター
経歴1989年 関西医科大学卒業
1989年 関西医科大学附属病院内科 研修医
1992年 関西医科大学大学院医学研究科博士課程(循環器内科学専攻)入学
1996年 同大学院博士課程単位習得
1997年 関西医科大学附属病院第二内科(助手)
2003年 有隣会 東大阪病院内科 (副院長)
2010年 じくはら医院(内科・循環器内科) 開設(院長)
関連する病気
大動脈弁閉鎖不全症以外の病気に関する情報を探したい方はこちら。
関連カテゴリ
大動脈弁閉鎖不全症に関連するカテゴリはこちら。
関連コラム
「大動脈弁閉鎖不全症」に関するコラムはこちら。
