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高血圧

【監修】板東 浩 先生(医学博士、内科医)

高血圧についての基本知識

「高血圧」とは?

高血圧とは、血圧が平均的な数値よりも高い状態のことを言います。
継続的に血圧が高い場合は「高血圧症」とも言われ、合併症を引き起こしやすい状態です。
精神状態や時間帯で血圧が大きく変化する人もみられ、症状もめまいや動機など多岐にわたるため、すぐには「高血圧」と判別しにくい病気です。

高血圧の種類は要因によって異なる

高血圧は大きく2種類に分類されます。1つはホルモン分泌の異常や腎臓疾患、薬の副作用が原因とされる「二次性高血圧」というものです。他の病気や治療するときの薬によって血圧が高まっているため、その要因を取り除けば高血圧も自然と治っていきます。

もう1つは遺伝が要因であったり、生活習慣が影響したりして血圧が高くなっている「本態性高血圧」です。日本における高血圧は、この本態性高血圧が9割を占めています。

血圧は精神的にも変化するもので、病院に来たら血圧が上昇する「白衣高血圧」や、反対に病院では問題ないが、家庭で計測すると血圧が高い「仮面高血圧」といった高血圧もあります。

他にも早朝に血圧が上がる「早朝高血圧」、夜間の血圧が高い「夜間高血圧」といった、時間帯で現れる高血圧も注目され始めています。

ここでは、「本態性高血圧」について詳しく解説していきます。

「血圧」についての説明と数値基準

血圧とは血管内の血流による圧力です。
心臓が血を送り出すときの高い血圧を収縮期血圧といい、俗に「上の血圧」と言います。
反対に血液の流れが緩やかで低い血圧を拡張期血圧といい、「下の血圧」と表現されます。

落ち着いている状態のときに、上の血圧が139mmHg以下、下の血圧が89mmHg以下というのが年齢問わず「正常域血圧」とされています。
一方、上の血圧が140mmHg、下の血圧が90mmHgより高い状態なら、「高血圧」といえます。

年齢や合併症によって変わる血圧の「目標値」

高齢の方と若い方では、血圧の「目標値」が変わってきます。人間は歳を取ると臓器の働きが弱くなり、自然と血圧も高くなるためです。目標値は高血圧と診断される数値で、上回っている場合は「ここまで下げましょう」という数値のことです。

75歳以下の方の目標値は前述のとおり、上の血圧が135~139mmHg以下、下の血圧が89mmHg以下となっています。
それに対して75歳以上のかたの目標値は、上の血圧が145mmHg、下の血圧が85mmHgと上の血圧は高めに、下の血圧は低めに設定されています。
糖尿病や慢性腎臓病などの合併症を発症している方の血圧目標値も、それぞれ設定されています。

血圧の基準値

分類収縮期血圧(最高血圧)  拡張期血圧(最低血圧)
至適血圧<120 かつ <80
正常血圧120~129 かつ/または 80~84
正常高値血圧130~139 かつ/または 85~89
I度高血圧140~159 かつ/または 90~99
II度高血圧160~179 かつ/または 100~109
III度高血圧≧180 かつ/または ≧110
(孤立性)収縮期高血圧≧140 かつ <90

※赤字部分が一般的にいう高血圧
【参考】 
日本高血圧学会ホームページより高血圧治療ガイドライン2014電子版

至適血圧・・・脳卒中や心筋梗塞など、血圧が関係する病気のリスクが低いとされる最適な血圧正常血圧・・・至適血圧よりリスクは上がるが、正常な血圧

正常値高血圧・・・高血圧の注意が必要

I度高血圧・・・高血圧の程度が比較的低い

II度高血圧・・・高血圧の程度が中程度

III度高血圧・・・高血圧の程度が高い

「至適血圧」~「正常値高血圧」の数値に納まっていれば、いますぐに高血圧の治療を始める必要はありません。
ただし、血圧は日頃の生活習慣に大きく影響されるため、油断せず運動と食事のバランスに気をつけましょう。

計測環境ごとの基準値

計測環境ごとの高血圧基準収縮期血圧(上)拡張期血圧(下)
家庭血圧135以上または85以上
診察室血圧140以上または90以上
自由行動下血圧(24時間)130以上または80以上
自由行動下血圧(昼間)135以上または85以上
自由行動下血圧(夜間)120以上または70以上
(単位 : mmHg)

家庭血圧・・・自宅で計測したときの血圧

診察室血圧・・・病院で計測したときの血圧

自由行動血圧・・・計測器具を身につけた状態で、一定間隔おきに計測したときの血圧

【参考】 日本高血圧学会ホームページより高血圧治療ガイドライン2014電子版

血圧は測定する環境によって数値が変わりやすいため、環境ごとに基準が定められています。
診察室血圧では、緊張で数値が高めに出る場合があります。診察室血圧が家庭血圧よりも低く出る方もいます。
家庭血圧では計測ミスを防ぐため、原則2回計測し、平均値を出します。家庭血圧と診察室血圧に差がある場合、診断の際には家庭血圧が重要視されます。
診察室血圧のみ高血圧の数値になる場合、白衣高血圧と呼ばれ、家庭血圧のみ高血圧の数値になる場合、仮面高血圧と呼ばれます。
白衣高血圧は病院での緊張が原因で血圧が上がっているものと考えられ、あまり治療の対象となりません。仮面高血圧の原因には、職場や家庭のストレスが考えられます。

年代、性別の血圧平均値

血圧が正常値の割合 年代別 一覧表

血圧正常値30代40代50代60代70代
女性85%65%43%26%19%
男性62%41%31%22%18%

【参考】 日本高血圧学会ホームページより高血圧治療ガイドライン2014電子版

40代までに高血圧になっている人の男女比は、男性の方が多い傾向にあります。これは男性が食生活や生活習慣を乱しがちなためだといわれています。
50代になると女性が高血圧になる比率が高まっています。女性は更年期に入ると女性ホルモンが減少し、血圧の調整機能が低下するためです。

板東浩先生
 【監修医】医学博士 / 内科医: 板東浩 先生
 1957年生まれ。
 1981年 徳島大学を卒業。
 ECFMG資格を得て、米国でfamily medicineを臨床研修。
 抗加齢医学、糖質制限、プライマリ・ケア、統合医療などの研究を行う。

大腸がん

【監修】板東 浩 先生(医学博士、内科医)

大腸がんとはそもそもどんな病気?

大腸がんとは、大腸にできるがんのこと

大腸がんは食べ物などの水分を吸収し、そのほかの成分を肛門へ運ぶ役割を持つ「大腸」にできるがんのことを指します。
がんが発生する場所で名前が異なり、小腸から直腸の手前あたりにできたがんは「結腸がん」といい、便の出口に近い部分にできたがんは「直腸がん」と呼びます。

大腸がんには良性の腺腫(せんしゅ)と呼ばれるポリープががん化するケースと、正常な粘膜が直接がん化するケースがあり、下血や便通異常などの症状が現れます。

大腸がんとはそもそもどんな病気?

大腸がんは早期発見で治る病気

大腸がんはほかのがんと比較して進行が遅いため、早期発見であれば完治の可能性が高まります。
しかしながら、早期の大腸がんには自覚症状があまりなく、症状が進行していくにつれてさまざまな違和感を覚えるようになります。

症状が進行してしまうと5年生存率(※)が下降してしまうので、定期検診を通じてできるだけ早く大腸がんになり得る腺腫や粘膜を見つけることが大切です。
また、腹部の異変を感じた段階で、放置せずにすぐ病院へ行くこともおすすめします。

※5年生存率とは:診断されてから5年経過後に生存している患者の比率を指します。
がんの場合、5年経過後に再発がなければ治癒の扱いとなります。

年1回の検診で早期発見することが生存率を高めるためにも重要

40歳以降は年に1回検診を受けることが重要となります。大腸がんは、40歳以降から罹患率(りかんりつ:病気にかかる可能性)が高まる病気です。
定期的に検診を受けておくことで病気の早期発見につながり、生存率を高めることにもなります。
また、親族に大腸がん患者がいる方も、若いうちから定期的に検診を受けることをおすすめします。

がん自体に遺伝的要素が強く、若くても大腸がんになる可能性もあるため、原因遺伝子があると疑われる方は注意が必要です。

板東浩先生
 【監修医】医学博士 / 内科医: 板東浩 先生
 1957年生まれ。
 1981年 徳島大学を卒業。
 ECFMG資格を得て、米国でfamily medicineを臨床研修。
 抗加齢医学、糖質制限、プライマリ・ケア、統合医療などの研究を行う。

狭心症と心筋梗塞

【監修】板東 浩 先生(医学博士、内科医)

狭心症と心筋梗塞とは、どんな病気?

狭心症と心筋梗塞、病気の特徴と違い

狭心症や心筋梗塞は虚血性心疾患(きょけつせいしんしっかん)と総称され、ともに動脈の血管が硬くなる「動脈硬化」が原因で心臓への血流が悪くなる病気です。

■狭心症

狭心症は動脈硬化によって心臓の血管が狭くなり、血流が不十分になることで起こります。
血流が悪くなると心臓の酸素や栄養が不足し、胸の痛みや息苦しさを感じます。

狭心症は心筋梗塞の前兆ともいわれ、発作が頻繁に起きたり長引いたりする場合は、心筋梗塞へと進行している可能性があります。

■心筋梗塞

心筋梗塞は動脈硬化によって心臓の血管に血栓ができ、血が通わなくなってしまうことで心筋細胞が壊死していく病気です。
血流が止まってしまうことにより心筋が重度の酸素・栄養不足となるため、強い痛みや圧迫感を感じます。心筋梗塞は発見や治療が遅れてしまうと、死に至る可能性もあります。

狭心症の発作などの前触れもなく突然心筋梗塞を発症することもあるので、日ごろから定期検診を受け、異変を感じたらすぐに医療機関を受診しましょう。

【まとめ】

■狭心症

原因:動脈硬化が原因で心臓の血管が狭くなること
特徴:心筋梗塞の前触れ

■心筋梗塞

原因:心臓の血管に血栓ができて血が通わなくなること
特徴:発見や治療が遅れると死に至る可能性も

■共通する要素

・動脈の血管が硬くなる「動脈硬化」が原因で発症する

狭心症と心筋梗塞とは、どんな病気?

狭心症と心筋梗塞の種類

■狭心症の種類

心筋梗塞の前段階といわれる狭心症にはさまざまな種類があり、大きく分けると下記の4種類があります。

① 冠れん縮性狭心症(かんれんしゅくせいきょうしんしょう)

冠動脈が急にけいれんを起こすことで血管が狭くなり、血流が不足することで胸痛(きょうつう)を引き起こす発作です。
安静にしているときにも起こることがあり、安静時狭心症とも呼ばれています。

② 労作性狭心症(ろうさせいきょうしんしょう)

運動や興奮状態など、心臓への負担が大きくなったときに酸素の供給が間に合わなくなり、胸痛が起こる発作です。
動脈硬化によって血管の内側にコレステロールや脂質がお粥のように溜まり(プラーク)、血液の通り道が狭くなることで痛みを引き起こします。
痛みが出たあと安静にしていれば、数分程度で発作がおさまります。

③ 安定狭心症

狭心症の発作が起きる状況や強さ、持続時間が毎回同じ範囲内におさまっている状態を安定狭心症と呼びます。
心臓に一定以上の負荷がかかったときに胸の痛みが起こり、負担が減ると症状がなくなっていきます。

④ 不安定狭心症

反対に発作の起きる状況や、持続時間が一定していない状態を不安定狭心症と呼びます。
今まで発作の起きなかった運動や安静時にも発作がおこります。
血管の内側にあるプラークの表面が破れやすくなっている、または破れかかっており血栓ができやすい状態です。
血栓が血管を塞いでしまうと心筋梗塞に発展する可能性があり、注意が必要です。

■心筋梗塞の種類

心臓の血管が血栓によって完全に詰まり、心筋が壊死してしまう心筋梗塞には発症時期によって下記の3種類に分類されます。
心筋梗塞は、発症からの時間によって重症度や治療法が異なります。

① 急性心筋梗塞:発症から72時間以内のもの
② 亜急性心筋梗塞(あきゅうせいしんきんこうそく):発症から72時間以上~1ヶ月以内のもの
③ 陳旧性心筋梗塞(ちんきゅうせいかへきしんきんこうそく):発症から1ヶ月以上経過したもの

① 急性心筋梗塞

胸痛などの発作発生から2時間以内に閉塞した血管を再び開通させる「再灌流療法(さいかんりゅうりょうほう)」が必要になります。そうすることで、後遺症などの障害が残りにくいとされています。

② 亜急性心筋梗塞

壊死した心筋組織が線維化しているため症状が安定しているものの、残っている心筋への負担が高くなることから合併症を引き起こしやすくなります。

③ 陳旧性心筋梗塞

陳旧性心筋梗塞の段階になると、心筋の保護と動脈硬化の進展を抑え、次の心筋梗塞の発症を防ぐことが目的として生活習慣の改善が必要となります。

発症しやすい年齢・年代

狭心症や心筋梗塞はともに30代から発症が見られ、男性の平均年齢は62~65歳、女性の平均年齢は70~74歳にかけて患者数が増えていく病気です。
高血圧症や高脂血症などの生活習慣病、過度なストレスによっても発症のリスクが高まります。

また、加齢とともに血管の弾力性が失われ、心筋梗塞の原因となる動脈硬化が促進されます。
日ごろから食生活や運動、飲酒・喫煙の改善、適度に気分転換を図ることによって、健康的な生活を送ることが重要です。

心筋梗塞における死亡率

急性心筋梗塞の場合、病院に搬送される前に14%の患者さんが心停止してしまうといわれています。
急性期の死亡率は6~7%とされるため、発作が起こってからの素早い処置が必要になります。

発作時は迅速に救急車を呼び、心停止してしまったときは心肺蘇生のために心臓マッサージをすることが大切です。
2時間以内に再灌流療法をおこなうことで心筋壊死の範囲を狭め、生存率を上げることにもつながります。

板東浩先生
 【監修医】医学博士 / 内科医: 板東浩 先生
 1957年生まれ。
 1981年 徳島大学を卒業。
 ECFMG資格を得て、米国でfamily medicineを臨床研修。
 抗加齢医学、糖質制限、プライマリ・ケア、統合医療などの研究を行う。

慢性便秘

【監修】板東 浩 先生(医学博士、内科医)

高齢になると男性にも増える慢性便秘

慢性便秘は高齢者に多い病気です。60代以上では男性の患者様が増加し、80代以上になると女性よりも男性の方が多くなります。

原因①:食事・水分の摂取量の減少

高齢になればなるほど食事の量、水分の摂取量が減るためです。
当然便は硬くなり、排便の頻度は2~3日に1回に減少していきます。
筋肉も衰えて便が出しにくくなる方が多くなります。

原因②:筋肉の衰え

便は直腸や肛門といった便の出口に到達すると周辺の筋肉を緩ませて、排便を促します。
しかし、加齢で筋肉が衰えると排便がしにくくなっていきます。特に高齢の男性は筋肉の衰えが原因の慢性便秘になりやすいと言われています。

慢性便秘の定義

慢性便秘には「排便回数の減少」と「排便困難症(回数は関係なく、便が硬くて力まないと出ないなど排便が困難な状態)」があります。
自分がどのタイプの便秘であるのか把握して、適した対策を行うことが大切です。目安は下記の通りです。

排便回数の減少

・週3回未満しか排便がない
・排便回数が以前より減った

排便困難症

・お腹に不快感がある
・力まないと出ない
・何回もトイレに行く
・残便感がある
・毎日排便はあるが、硬くて、出にくい

60代以上の高齢者には「排便困難症」が多くみられます。
便通が2~3日に1回でもあまり困ることはないものの、いざトイレに行くときに便が出しにくいというのは苦痛を感じる要因となります。

そのため、医療機関を受診し、医師の診察を受けましょう。

慢性便秘の定義

便秘の原因が大腸がんの場合も

便秘の背後には「大腸がん」が隠れている可能性があるので注意が必要です。
50歳をすぎて「今まで便秘ではなかったのにここ1年で便秘になった」という人は検査をした方がいいでしょう。

実際に便秘で医療機関にかかった人の中には、進行型の大腸がんが発見されたり、肝臓に転移していたりといったケースもゼロではありません。

大腸がん自体はよほど病状が進行しないと便秘以外に症状がありません。
一度は医療機関に行き、内視鏡検査を受けるとよいでしょう。命に関わる便秘もあるということを覚えておきましょう。

市販の便秘薬には危険も伴う

市販の便秘薬を使っている場合、依存性が強い薬もあるため注意が必要です。
薬がないと腸が動かず、排便できなくなるという状態に陥ることがあるので、適切な使い方を守るようにしましょう。

また、そういったリスクを避けるためにも医療機関を受診した方がよいと言えます。

生活習慣の改善で治していく

便秘の悩みがある方は、まずはかかりつけの内科医か、消化器内科を受診するとよいでしょう。

医療機関では大腸がんなどの病気の有無を検査し、問題がなければ問診を通じて、生活習慣の指導を受けられます。
薬を飲まないと排便できなかった人でも、運動と食生活の改善だけでよくなることもあります。

そのため、下記のような便秘の原因となる生活習慣を確認し、自分に当てはまるものがないか確認してみるといいでしょう。

慢性便秘を引き起こす生活習慣例

・食物繊維不足
・運動不足
・水分不足
・薬(精神科の処方薬など)

慢性便秘に悩んでいる場合、この4つの要因をまず考えてください。
当てはまる、思い当たる要因があれば、改善することで慢性便秘の症状を軽減できる可能性があります。

自己流は控え、医師に相談を

日本人は我慢強く、便秘がいかに生活の質を落としているかわかっていても、我慢する人が多くいます。
たかが便秘だと思い込んで、日常生活を台無しにしているという認識がない方がほとんどです。

しかし、ストレスなく排便ができることは私たちの健康の条件、幸せの条件ともいえるため、自己流の対策はやめ医師に相談することをおすすめします。

便秘のタイプを医師と一緒に探り、生活習慣の改善と効果的な薬の活用で、便秘解消の近道を歩んでいきましょう。

監修/板東 浩 先生
医学博士/内科医

脂質異常症

【監修】板東 浩 先生(医学博士、内科医)

自覚症状がないから危険!着実に寿命を縮める脂質異常症

脂質異常症の最大の問題は、症状が何もないという点です。

気づかないうちに、血管の壁にコレステロールが蓄積してプラーク(こぶ)となり、血液の通り道がふさがれる動脈硬化におちいります。
脳の血管が詰まれば脳梗塞に、心臓の血管なら心筋梗塞になるリスクがあります。

数値に異常があり、再検査と言われても症状がないために放置する人が多いですが、それは自分の寿命を縮めているに過ぎません。
脂質異常症は10年20年先を見据えて治療すべき病気です。無視せずこつこつとケアに励みましょう。

脂質異常症は動脈硬化から突然死を招く怖い病気

最近の自分のコレステロールや中性脂肪の把握は、職場や自治体の健康診断や定期的に医療機関にかかっているという方であれば血液検査でチェックできているでしょう。

一方、何年も検査をしておらず、わからないという方もいるはずです。

脂質異常症の診断基準とは?

血液中の悪玉コレステロール(LDLコレステロール)や中性脂肪(トリグリセライド)が過剰に多いことや、善玉コレステロール(HDLコレステロール)が不足している状態になっていると脂質異常症と診断されます。
具体的な数値は下記の通りです。

■悪玉コレステロール(LDLコレステロール):140mg/dL以上
■善玉コレステロール(HDLコレステロール):40mg/dL未満
■中性脂肪(トリグリセライド):150mg/dL以上

定期的な血液検査が健康度を知るチャンス

突然の脳梗塞などのリスクを減少させたいとお考えであれば、何よりまず自分のコレステロールや中性脂肪の数値を認識することが肝心です。
血液検査を受けてください。

検査の頻度は年1回の健診が目安です。35歳ぐらいから気にした方がいいでしょう。
職場の定期健診などの機会がない方は自治体の健診に申し込んだり、医療機関で検査を受けたりすることをおすすめします。

また、一度でも健診で引っかかったという方は医療機関を受診し、医師の指導通りに対策をして数値をコントロールするように心がけましょう。

注意すべきは脂っこい食べ物が好きな人と更年期以降の女性

夜遅くご飯を食べたり、丼物などの脂っこい食事をとりすぎたり、運動不足で肥満になっている人は危険です。
また、親が脂質異常症だとなりやすいとも言われています。

さらに、60歳以上の女性にも多く見られます。女性ホルモンには善玉コレステロールを上げる作用があるために女性は脂質異常症になりにくいものの、閉経すると女性ホルモンが減少するため、悪玉コレステロールが高くなるのです。
更年期以降の女性は、問題がないかチェックしましょう。

注意すべきは脂っこい食べ物が好きな人と更年期以降の女性

体調変化は感じないが続けてほしい「薬物治療」

症状がないのに薬を飲むのは億劫かもしれませんが、薬は1日1回服用すればよいものがほとんどです。
1か月に1回程度通院し、経過を診ていきます。個人差もありますが、服用後1か月程度で結果が出ます。

基本的に服用は一生ですが、高齢になったら薬が要らなくなるケースもあります。
体質や生活リズムが変わって食事量が減って痩せたことで数値が安定するからです。

脂質異常症の治療と予防のための「食事管理」

脂質異常症の大きな原因は食べ過ぎなどの食生活の乱れにあります。そのため、治療や予防のためには、1日3食、規則正しく食べることが重要です。

もともと規則正しい生活ができていたり、食事管理をきちんとしてくれる家族がいたりすればさほど問題ありません。
しかし、比較的深刻なのが一人暮らしの若い男性です。

20~30代の若い方で、朝・昼は食べず夕食だけという人や、昼間は缶コーヒーだけ、毎晩コンビニ弁当で野菜もあまり食べていない、というような食生活をしていれば若いうちからコレステロール値が高くなってしまいます。

そのままの生活を続けると、一生の間のコレステロールの平均値も上がってしまい、寿命も縮まってしまうでしょう。

そこで、おすすめしたいのが食物繊維をたくさん摂ることです。
お野菜、大豆、海藻類に含まれる食物繊維はコレステロールや脂質を身体が吸収するのを抑えてくれるので、食事をする際は先に食べるのがいいでしょう。

脂質異常症ケアに役立つ食生活は糖尿病などの他の生活習慣病ケアにも役立ちます。ぜひ実践していきましょう。

コレステロール・中性脂肪を減らす「有酸素運動」

脂質異常症のケアに不可欠なのが運動療法です。おすすめは、有酸素運動をすることです。

ダンベルを持ち上げるような、いわゆる筋トレというよりは、お話を笑顔でできる程度のペースでするウォーキングや、遅めのランニング、水中ウォーキングがおすすめです。
それらの有酸素運動を1日30分くらい、週3回程度できればいいでしょう。

無理に激しい運動を目標にしてしまうと身体に負担をかけることになり、逆効果になることもあります。
最寄り駅まで自転車を使っていたという方は歩いていくようにしたり、エスカレーターをやめて階段を使ったりなど、無理なく続く方法を選択してください。

 

監修/板東 浩 先生
医学博士/内科医

血清尿酸値

【監修】北村 聖 先生(東京大学医学教育国際協力研究センター教授)

血清尿酸値、気にしていますか

近年、食生活の欧米化などのライフスタイルの変化に伴い、血清尿酸値の高い人が増加傾向にあります。
血清尿酸値が高くなると高尿酸血症を発症し、放っておくと関節などに激痛を伴う痛風に進行します。
怖いことに、糖尿病や高血圧症、高脂血症などを合併すると、心筋梗塞や狭心症を招くこともあります。

血清尿酸値は、内科での血液検査、健康診断や人間ドックなどで、測定することができます。
必ず検査して、健康管理に役立てましょう。検査の結果、血清尿酸値が高い場合には、早めに医師に相談しましょう。

血清尿酸値とは

血液の液体成分中(血清)における尿酸の濃度を表したものを血清尿酸値といいます。
尿酸とは、細胞中にある核酸の構成物質であるプリン体が、肝臓で分解されて生じる老廃物です。
プリン体は、細胞の新陳代謝によって核酸から放出されたり、身体を動かすときに使われるエネルギー物質の燃焼によって作られたりします。

また、ほかの動植物にも含まれているため、食品からも体内に取り込まれます。

血清尿酸値が高いと発症する病気、高尿酸血症とは

生活習慣病の一つである高尿酸血症は、現在、日本では潜在患者も含めて約500万人がかかっているといわれています。
その多くは中高年の男性ですが、閉経後の女性にもしばしばみられます。

尿酸は常時体内に1,200㎎蓄積されています。1日に700㎎産生され、同量が尿や汗、便とともに排泄されます。
こうして、体内の尿酸量は一定に保たれています。しかし、尿酸が産生されすぎたり、うまく排泄されなかったりすると、血清中の尿酸の濃度が増し、血清尿酸値が高くなります。

血清尿酸値が7.0㎎/dl(※)以上の場合を高尿酸血症といいます。また、ほとんど症状が現れない場合を無症状性高尿酸血症といいます。
この場合、そのまま放っておくと痛風に進行するため、早めに血清尿酸値を下げる必要があります。

※7.0㎎/dl・・・血液100ml中に尿酸が7㎎溶けている状態

高尿酸血症の発症の原因は

主に、食べ過ぎや飲み過ぎ、運動不足などによる肥満が原因であるといわれています。
肥満になると、中性脂肪が尿酸の産生を促すため、血清尿酸値が高くなります。

特に、内臓脂肪型肥満の方は要注意です。
体格指数(※)(BMI:Body Mass Index)が25以上である場合や、腹囲が男性で85㎝、女性で90㎝以上の方も注意しましょう。

また、血清尿酸値は、高血圧症や糖尿病などにおける腎臓機能の低下や薬の副作用により高くなります。
女性の場合は、女性ホルモンが尿酸の排泄を促すため、閉経すると排泄が困難になり、血清尿酸値が高くなります。
遺伝や体質という説もありますが、生活習慣に気をつければ発症を防ぐこともできます。

※ 体格指数・・・肥満度を示す指標。体脂肪率と相関しており、国際的に広く利用されている。
日本人の男女においては、体格指数(BMI)22が最も病気になりにくい標準値とされている。

体格指数(BMI)=体重(㎏)÷<身長(m)×身長(m)>

高尿酸血症の発症の原因は

高尿酸血症の3つの型

高尿酸血症は、3つの型に分けられます。型によって治療方針が異なります。

尿酸排泄低下型

産生される尿酸量は正常なのに、腎臓の機能障害のために排泄量が減少している状態。高尿酸血症の約60%を占めます。

尿酸産生過剰型

排泄される尿酸量が変わらないのに、尿酸が過剰に産生されている状態。高尿酸血症の約10%を占めます。

混合型

尿酸が過剰に産生されるとともに、尿酸の排泄が減少している状態。高尿酸血症の約30%を占めます。

高尿酸血症の検査と診断

まず、血液生化学検査で血清尿酸値を調べます。血清尿酸値が7.0㎎/dl以上あると、高尿酸血症と診断されます。
血清尿酸値は、その日に摂取した食品や気温などの影響を受けるため、数回に渡る検査を必要とします。

次に、高尿酸血症の型を診断するための検査を行い、治療方針を決定します。

高尿酸血症の型を診断するための検査

■尿中尿酸排泄量検査
1日に排泄した尿を溜め、尿酸量を測定します。尿酸量が400㎎/dl以下なら尿酸排泄低下型、800㎎/dl以上なら尿酸産生過剰型、その中間なら混合型と診断されます。午前中の空腹時の2~4時間に排泄した尿を溜め、24時間分に換算して測定する場合もあります。

■尿酸クリアランス
尿酸を排泄する腎臓の機能を調べます。検査の1時間前に水を飲み、その1時間後に採血と採尿をし、血清尿酸値と尿中の尿酸濃度を調べます。

■クレアチニン(※1)・クリアランス
血中と尿中のクレアチニン濃度を測定し、腎臓の糸球体(※2)のろ過能力を調べます。

まず、検査の前に水を500ml飲み、1時間後に排尿します。その30分後に採血をして血中のクレアチニン濃度を測定します。
さらにその30分後に採尿をして尿中のクレアチニン濃度を測定します。

これらの結果から、腎臓が1分間に排泄したクレアチニン量を算出します。糸球体のろ過能力の低下や尿の排泄障害などがある場合は、この数値が低くなります。

※1クレアチニン・・・血液中のアミノ酸が使われた後の老廃物
※2糸球体・・・毛細血管という細い血管の網が小さな球体になったもの

治療法は?

高尿酸血症の治療法は、食事療法・運動療法などの生活指導、尿路管理や薬物療法があります。

治療の目安として、コントロール目標となる血清尿酸値を6㎎/dl、正常値の上限を7㎎/dl、治療を開始する基準を8㎎/dlと定めています。
これを「6・7・8のルール」といいます。

血清尿酸値の急激な低下は、症状の悪化や薬の副作用の原因になるため、徐々に下げることが重要です。

生活指導(食事療法・運動療法)

高尿酸血症の治療の基本です。プリン体を多く含む食品やアルコールを控えるなど、1日の総摂取カロリー(※1)を制限します。
また、ウォーキングや水中歩行などの有酸素運動を行い、標準体重(※2)に近づけます。

過度の減量でホルモンバランスを崩したり、激しい運動(無酸素運動)をしてプリン体を発生させたりすると、血清尿酸値が高くなります。
食事療法や運動療法は、必ず医師の指導の下で行いましょう。

※1 総摂取カロリー・・・1日の食事で摂取するカロリーの合計。運動量や年齢、性別によって適切な総摂取カロリーは異なる。適切な総摂取カロリーの目安=標準体重(㎏)×25~30kcal
※2 標準体重・・・健康的な理想体重。最も病気になりにくいとされているBMI標準値を用いて算出する。標準体重(㎏)=22(BMI標準値)×身長(m)×身長(m)

尿路管理

高尿酸血症になると、尿が酸性になりがちです。尿酸は酸性の尿に溶けにくく、結晶を作って腎臓の機能を損なったり、尿路結石(※)を作ったりして、尿の排泄を妨げます。

そのため、尿が酸性にならないように管理します。これを「尿路管理」といいます。
尿の酸性度(pH)は、pH7未満が酸性、pH7が中性、pH7を超えるとアルカリ性になります。

※ 尿路結石・・・尿酸の結晶が固まって結石となり、尿管に流れ出てとどまったもの。結石が動くと粘膜を刺激して、激しい痛みを起こす

尿路管理のポイント

■尿量を増やす
1日に2L以上の水分を摂取し、2L以上の尿を排泄するようにします。
特に、発汗後や就寝前は、水やお茶などの糖分を含まない飲料を十分補給しましょう。

■尿の酸化を防ぐ
バランスのよい食事をすることで、尿の酸化を防ぎます。改善されない場合は、薬物療法の一つである尿アルカリ化薬(クエン酸製剤)を服用します。

薬物療法

血清尿酸値が、生活指導を行っても下がらない場合や、8㎎/dl以上の場合に行われます。
治療を開始してから半年間は副作用が起こりやすいため、定期的に検査を受ける必要があります。
症状が治まったからといって、勝手に服用を止めると、血清尿酸値はすぐに元に戻ります。

医師の指示に従い、用法用量を守って服用しましょう。使用する薬は、高尿酸血症の型によって異なります。
■高尿酸血症の治療で使用する薬
・尿酸排泄低下型の薬
尿酸排泄促進薬(プロベネシド、ベンズブロマロン、ブコローム)を使用します。
血液中の尿酸は、腎臓の糸球体でろ過されますが、尿細管(※1)で再吸収されます。
尿酸排泄促進薬は、尿細管での再吸収を抑制し、多くの尿酸を尿中に排泄します。

副作用として、尿路結石がみられる場合もあるため、尿アルカリ化薬(クエン酸製剤)を併用して予防します。

・尿酸産生過剰型の薬
尿酸生成抑制薬(アロプリノール)を使用します。尿路結石がある場合やその既往歴(※2)がある場合にも使用します。
尿酸生成抑制薬は、プリン体が尿酸に分解されるときに働く酵素を抑制し、尿酸の産生を妨げます。

副作用として、皮疹(※3)や肝機能障害がみられる場合もあります。
腎不全の患者さんは、症状が悪化することがあるため、投与量を調整する必要があります。

・混合型の薬
症状によって、尿酸産生過剰型の薬と尿酸排泄低下型の薬を組み合わせる。

※1尿細管・・・腎臓内にあるうねり曲がった無数の細い管
※2既往歴・・・過去にかかったことのある病気の記録
※3皮疹・・・皮膚に出る発疹

合併しやすい生活習慣病

高尿酸血症は、合併症が怖い病気です。高尿酸血症の患者さんの約80%は、ほかの生活習慣病を合併しており、その根底には内臓脂肪型肥満があるといわれています。
合併症があると、血管を損傷する尿酸の力が強まるため、高尿酸血症と並行して合併症も治療する必要があります。
合併している病気によって治療法が異なりますので、必ず主治医に相談し、それぞれの専門医にかかりましょう。

生活習慣病を合併し動脈硬化が進行すると、狭心症や心筋梗塞、脳血管障害の誘因となることがあります。
そのため、高尿酸血症だけではなく、生活習慣病全般を改善するよう治療していくことが重要です。

また、血清尿酸値をしっかりコントロールすれば、ほかの病気の予防にも役立つといえるでしょう。

高血圧症との合併

高血圧症との合併では、尿酸排泄低下型の高尿酸血症が多くみられます。そのため、尿酸排泄促進薬を使用する場合がほとんどです。

また、高血圧症では酸性尿である場合が多く、尿路結石ができやすいため、尿アルカリ化薬(クエン酸製剤)を併用します。降圧薬を使用しているときに血清尿酸値が増えると、症状が悪化しやすくなります。
そのため、血清尿酸値の低下作用も兼ね備えた降圧薬(ロサルタン、アンジオテンシン変換酵素阻害薬、カルシウム拮抗薬、α1遮断薬)を使用する場合もあります。

糖尿病・耐糖能障害との合併

通常、糖尿病では血清尿酸値は低くなります。これは、尿に糖が出ていると、浸透圧の関係で尿が増え、尿酸の排泄が促されるためです。
しかし、糖尿予備群といわれる耐糖能障害(※)や、糖尿病が重症になって腎機能障害を併発した場合は、血清尿酸値は高くなります。

さらに、耐糖能障害と高尿酸血症を合併すると、動脈硬化が進行しやすくなります。
そのため、尿に糖が出ている場合は、血清尿酸値と血糖値の両方の管理が大切です。

※耐糖能障害・・・糖尿病ほどではないが、血糖値が高い場合のこと

高脂血症との合併

高脂血症とは、内臓脂肪型肥満により血中の中性脂肪値が高まった状態をいいます。
中性脂肪は尿酸の産生を促すため、血清尿酸値も高くなります。その相乗効果により、動脈硬化が進行しやすくなります。

また、高脂血症の薬が血清尿酸値に影響を及ぼす場合もあるため、注意する必要があります。
尿酸排泄低下型の高尿酸血症と合併したときに、尿酸の排泄を促す作用を兼ね備えた薬(フェノフィブラート)を使用する場合もあります。

日常生活での注意点

高尿酸血症を含めた生活習慣病全般を改善するために、日常生活でも以下の点に注意しましょう。
■食生活を改善しましょう
適切な摂取エネルギーの範囲内で、1日3食規則正しい食事を心掛けましょう。
野菜や海藻類などのアルカリ性食品を多く取り、プリン体が多く含まれる肉類などの摂取は控えめにしましょう。

■アルコールはほどほどに
アルコールは、尿酸の産生を促し排泄を抑制するので控えましょう。特に、ビールの原料である麦芽は、プリン体を多く含むのでほどほどに。
また、アルコールの飲み過ぎは、中性脂肪を増やすため高脂血症の原因にもなります。

■有酸素運動をコツコツと
肥満防止のために、毎日継続して有酸素運動を行いましょう。
短時間に身体を激しく動かす無酸素運動は、かえって尿酸を増やすので避けましょう。

■ゆっくりと身体を休めて
ストレスや疲労をためないように、リラックスする時間を作り十分な休養を取りましょう。

■水分を十分に補給して
1日に2L以上の尿を排出するよう、水分を十分に取りましょう。
ただし、スポーツドリンクやジュースなどの糖分を含む飲料は避けましょう。

■禁煙を心掛けて
喫煙は、生活習慣病全般の原因であり、血管を収縮させるため動脈硬化の誘因にもなります。禁煙を心掛けましょう。

■定期的な検査を心掛けて
高尿酸血症だけではなく、ほかの生活習慣病を予防するためにも定期的な検査を心掛けましょう。

 

監修/北村 聖 先生
東京大学医学教育国際協力研究センター教授

食中毒

【監修】板東 浩 先生(医学博士、内科医)

予防の原則は「つけない」「増やさない」「やっつける」

毎年のようにレストランや旅館などでの集団食中毒が話題となっています。
そもそも、どのようにして食中毒から身を守ったら良いのか、家庭でできる食中毒予防には下記の6つのポイントがあります。

家庭でできる食中毒予防6つのポイント

ポイント1:食品の購入

肉、魚、野菜などの生鮮食品は新鮮なものを購入する、消費期限を確認することは大前提です。
ビニール袋などに分けて包み、もれた肉汁や魚の水分が他の商品に付着しないようにしましょう。また、冷蔵・冷凍が必要な食品の買い物は最後にし、購入後は寄り道しないように心がけます。

ポイント2:家庭での保存

冷凍や冷蔵が必要な食品は、すみやかに冷凍庫や冷蔵庫で保存しましょう。ここで注意したいのは、詰め過ぎで冷凍・冷蔵がきちんと機能していない冷蔵庫です。すきまなく詰め込むのではなく、目安は7割程度が目安となります。

設定温度は冷蔵庫が10℃以下、冷凍庫は-15℃以下に維持することが重要です。細菌の多くは10℃で増殖がゆっくりとなり、-15℃では増殖が停止します。(細菌が死滅するわけではないので注意)一度冷凍した食材を解凍、再冷凍は危険です。

また、水漏れを防ぐために必ずビニール袋や容器に入れ、他の食品に肉や魚などの水分がかからないようにしましょう。

ポイント3:下準備

タオルやふきんが清潔かどうか、石鹸はあるか、調理台は清潔か、必ず確認しましょう。
井戸水を使用している家庭では、自治体などでおこなっている水質検査を受けると良いです。肉や魚の汁が、他の食材、調理済みの食品にかからないよう十二分に注意しましょう。

まな板は清潔かもしっかりと確認すべきです。そして、生の肉や魚と、他の食材を扱うまな板は分けると良いでしょう。使用済みのまな板、包丁、ふきんは、すみやかに洗うことも大切ですが、熱湯や漂白剤などで消毒することをおすすめします。

また、スポンジやたわしは煮沸消毒すると良いでしょう。

ポイント4:調理

加熱して調理する食品は必ず十分に加熱しましょう。もし、食中毒菌がいた場合でも殺菌することができます。目安は、中心部の温度が75度で1分以上加熱することです。

また、電子調理器を含む調理器具が清潔であるかどうかも確認しましょう。調理を途中でやめて室温で放置すると細菌が増えたり、他の食品についたりする恐れがあります。

ポイント5:食事
食事の前は必ず手洗いをしましょう。石鹸で手の甲や指の間まで、20秒以上洗うことが目安です。

食べ残しは室温に放置せず、かならず冷凍・冷蔵保存しましょう。気温と湿度が徐々に上がる春~初夏にかけて、油断しがちなポイントです。

ポイント6 :残りもの
残った食品はきれいな容器に移し、冷蔵庫や冷凍庫で保存しましょう。時間が経っている場合は思い切って捨てることも大切です。
汁物は沸騰するまで加熱しましょう。

これらは、「付けない、増やさない、やっつける(殺す)」がポイントになっています。簡単な予防方法なため、ポイントをきちんと押さえ、家庭からの食中毒を防ぎましょう。

【参考】家庭で行うHACCP(宇宙食から生まれた衛生管理)

予防の原則は「つけない」「増やさない」「やっつける」

市販の便利グッズを利用

節電意識の高まりから、ホームセンターや衛生用品売り場で、キッチンまわりやお風呂場、洗面台、お手洗い、寝室、リビングにいたるまで、清潔を保つための商品を多く見かけるようになっています。

調理台をさっと拭くだけ、まな板にふきかけるだけで除菌できるタイプのスプレーなどもあり、これらの商品をうまく活用することで食中毒から家族を守ることができます。しかし、塩素系やアルコール系など、それぞれの取り扱いには注意しましょう。

夏期に注目される食中毒は、年間通して発生しています。油断せず、予防に努めましょう。

【参考】 みんなのメンタルヘルス (厚生労働省)

 

監修/板東 浩 先生
医学博士/内科医

膵がん

【監修】板東 浩 先生(医学博士、内科医)

膵(すい)がんの相対生存率、罹患率(りかんりつ)

膵がんの相対生存率について

平成28年1月20日、国立がん研究センターより、がんの部位別施設別5年および10年後の相対生存率が発表されました。この調査において、もっとも相対生存率が低く印象に残ったものは「膵がん」で、4.9%です。

膵がんは症状を自覚した時にはかなり進行した状態であることが多い、難しいがんです。今回はこの膵がんについて紹介いたします。平成26年の厚生労働省の調査によると、全死因の第一位は「悪性新生物」(一般的は“がん”と言われます)で、367,943人(死亡総数に占める割合は28.9%)です。

そのうち膵がんは31,692人(死亡総数に占める割合は2.5%)で、平成25年から1,517人増となっています。つまり、全死亡者の100人に約2人は、膵がんで亡くなっています。ちなみに気管・気管支および肺がんは5.8%、胃がんは3.8%、乳がんは1.0%です。

また、膵がん死亡者を年次推移でみていくと、徐々に増加していることがわかります。2005年の段階では25,000人に満たず、2000年の段階では20,000人以下でした。

現代人が膵がんになりやすいのか?

国立研究開発法人国立がん研究センターがん対策情報センターより「高精度地域がん登録のがん罹患データ」(山形、福井、長崎の3県、1985年~2010年)が公表されています。

これによれば、年齢構成を一定にそろえた年齢調整罹患率の年次推移において、40歳頃を境に膵がんの罹患率が上昇しており、この傾向は年次推移でもほぼ一定です。つまり、時代とともに現代人が膵がんにかかりやすくなっているわけではなく、膵がんを発症する年齢層(40代)が増加しているということです。
また、時代とともに検査の精度が上がってきたことも考慮すべきです。

男性は膵がんにかかりやすい

この罹患率データを男女別で見ていくと、おおよそ全年齢層において女性よりも男性の罹患率が高い状況です。例えば、2010年の50代前半の女性が6.1%であるのに対し、同じ世代の男性では16.1%です。60代前半では、女性が22%であるのに対し、男性は41.6%です。この差は、高齢になればなるほど顕著になります。

【参考】 「がん情報サービスganjoho.jp 統計」国立研究開発法人国立がん研究センターがん対策情報センター

膵がんの症状

早期ではほとんど症状が見られない

膵臓は、十二指腸、胆のう、胃、肝臓などの臓器に囲まれており、膵がんを発症した位置によっては周辺の臓器に浸潤(転移)してしまいます。ところが膵がんの場合の多くは、自覚できる症状が見られません。そのため、症状が出現した頃には多くの場合、膵がんがかなり進行してしまっている状態です。

よく見られる症状

腹痛、食欲不振、消化不良、全身倦怠感、黄疸(おうだん/白目が黄色くなる、尿が濃くなるといった症状)、腰や背中の痛み、体重減少、あるいは糖尿病の発症または急激な悪化といった症状が見られ、膵がんを疑うことになります。これらはがんが発症する位置によって異なります。

膵臓の右側(膵頭部)の場合

膵臓の右側にできた膵がんの場合、大きな症状としては黄疸症状が見られます。(日本人の場合は気づきにくく、医師が気づいた頃にはかなり進行している場合があります。)また半数近くのケースで腹痛、体重減少が見られます。

膵臓の真ん中(膵体部)、左側(膵尾部)の場合

食欲不振、腹痛、背中の痛み、腰痛、体重減少といった症状が見られます。この部分にがんが発症してもなかなか症状が出にくいので、症状が発覚した時点でかなりがんが進行している状態です。
膵臓は胃などの臓器の裏側にあり、多くの神経が集中している背中のすぐ近くに位置しているため、膵がんが進行してくるとすぐに浸潤してしまいます。

また、食欲不振、腹痛など、日常の何気ない症状が見落とされてしまい、どんどんがんが進行してしまう点も膵がんの恐いところです。はっきりとした原因が見当たらないのにこれらの症状が続く場合は膵がんを疑い、医療機関で検査することが大切です。

糖尿病の発症、急激な悪化

膵臓では、膵液およびインスリンなどのホルモンを分泌しています。そのため、糖尿病の要因(急激な体重増加、肥満、過食)がないのに糖尿病を発症したり、すでに治療を進めているのに急激に悪化したりした場合は、膵がんを疑うきっかけとなります。

膵がんの症状

膵がんの主なリスクファクターと予防

前述の通り、膵がんは年齢が高くなるほど発症率が高いがんです。これは膵がんに限ったことではないですが、あらためて危険因子(リスクファクター)を見てみましょう。

膵がんリスクファクター

  • ・喫煙者(ヘビースモーカー)
    膵がんになる確率が2~3倍となります。
    ・大量飲酒および慢性膵炎
    ・遺伝
    近親者にがん発症者がいる場合。
    ・糖尿病患者
    ・膵管内乳頭粘液性腫瘍の患者
    ・肥満
    BMI(体格指数)=体重(kg)÷身長(m)×身長(m)
    男性では25以上、女性では30を超えると肥満です。この基準値を超えると、正常値内の方に比べて男性の場合は膵がん危険率が1.4倍、女性で1.3倍と言われています。

自己の生活習慣の改善により膵がんになる危険要因を遠ざけるものは、喫煙、飲酒、肥満です。肥満に気をつけた食事と運動、適度な飲酒と喫煙を心がけましょう。
一方で遺伝や糖尿病患者などは、膵がんを意識した定期的な検査を受けることにより、早期の発見につながる可能性があります。

【参考】 日本消化器病学会「膵臓がんが疑われる症状から診断まで」

膵がんだとわかったら

信頼できる医師がいる医療機関を選ぶ

膵がんが疑われた場合、あるいは膵がんであることがわかった場合は、専門医がいる医療機関で受診をしましょう。インターネットや本であらかじめ、個人医院や総合病院の内科や消化器内科など、専門医の有無、専門医の診察可能時間などを情報収集しましょう。

膵がんだとわかると、膵がんであることを告知し、患者に合った治療法の提案がなされます。膵がんは一人ひとりタイプや状態が異なり、それにより治療方法の選択肢も変わってきます。また、医療機関によって治療方針が異なる場合もあります。そして膵がんは5年、10年とつきあっていく可能性がある病気です。

したがって、治療方針についてメリット・デメリットなどをわかりやすく説明してもらえるか、質問することができるか、セカンドオピニオンのための紹介状や資料を用意してもらえるか、今後よいコミュニケーションを築いていけそうかどうかも医療機関選びのポイントになってきます。

膵がんの状態や進行度などを知って治療方針を検討する

膵がんだと疑われたら、種々の画像診断でがんの進行度や悪性度などを把握します(病期診断)。
膵がんは進行度によって治療方針が異なります。がんが膵臓の中にあるのか、周辺の臓器にまで浸潤しているのか、またはリンパ節などを通じて他の臓器に転移(遠隔転移)しているのかなどを診断します。

膵がんの症状は個人によって異なり、医師の治療方針もそれぞれです。医師から治療方針の説明を受けた時に、疑問や不安を抱えている場合は、主治医以外の医師の意見「セカンドオピニオン」を聞くこともできます。その場合は、主治医にその旨を説明し、これまでの検査結果や紹介状といった資料を準備してもらいましょう。

膵がんの治療法

主な治療法としては、「手術療法」、抗ガン剤を使う「化学療法」、ガン細胞に放射線を照射する「放射線療法」の3つがあります。基本的には複数の治療法を組み合わせた治療が行われます。

手術療法(外科治療)

膵がん治療の中では治療できる確率が高いものの、7~8割の患者は手術を決断するころにはがんが進行しており、がん部を含めて膵臓と周辺のリンパ節などを切除することが多いとされています。

化学療法

診断により、手術療法ではがんを取りきれないと診断された場合に行われます。

放射線治療

手術では切除できないがんであると診断された場合に対して行われます。
早期の発見が難しいとは言われていましたが、2013年、アメリカの15歳の少年が膵がんを5分で、しかも安価で発見する画期的方法を開発しました。そのため、今後の検査技術の発展に注目がされています。

 

監修/板東 浩 先生
医学博士/内科医

ニコチン依存症

【監修】板東 浩 先生(医学博士、内科医)

たばこがやめられない2つの原因とは?

やめたいと思ってもなかなかやめられないものの1つにたばこがあります。意思が弱いと指摘されて落ち込んだり、あるいは開き直ったりしている人も多くいます。
「意思が弱いから禁煙できない」、これは必ずしも正しいとは言えません。たばこをやめられない原因は、大きくわけて2つあります。

  • 1.「ニコチン中毒」
  • 2.喫煙の日常習慣化による心理的依存

たばこをやめるためには、これら2つの依存状態から抜け出さなければなりません。
ただし、漠然と「さあ今日から絶対に吸わないぞ!」または「また来週から、再来週から、来月から・・・」といった方法ではなかなか難しいことが考えられます。禁煙を成功させるためには、いくつかの段階をふむことをおすすめします。

たばこがやめられない2つの原因とは?

禁煙を成功させるための5ステップ

1.たばこの害を知る
たばこが自分の身体や、家族や恋人といった大切な人に及ぼす悪影響を正しく認識している人はあまり多くはありません。

たばこは身体に悪いということは百も承知ではあるものの、具体的にどう悪いのかは案外知らないもので、たばこは人間の身体を確実にむしばんでいきます。喫煙とがんの関連については、これまで動物実験や疫学研究など、さまざまな研究が行われてきました。
これらは、1964年に発表された米国公衆衛生総監報告をはじめとして、世界各国で数多く報告されています。

まず第一に、たばこは死亡数の非常に多い肺がんの最大の原因であることです。喫煙年数が長ければ長いほど1日の喫煙本数が多いほど、喫煙開始年齢が若いほど、がんの危険性が高くなります。
次に肺の働きを低下させ、呼吸に困難をきたす「肺気腫」という病気を招くことです。

たばこに含まれるタールの中にあるベンツピレンの多環芳香族炭化水素(たかんほうこうぞくたんかすいそ)など、約20種類の強力な発がん物質が肺がんを引き起こします。発がん物質の多くは体内で活性型に変化したのち、DNAと共有結合をしてDNA付加体を形成します。
このDNA付加体がDNA複製の際に、遺伝子の変異を引き起こします。こうした遺伝子変異が、がん遺伝子、がん抑制遺伝子、DNA修復遺伝子などにいくつか蓄積することによって、細胞ががん化すると考えられています。

喫煙歴のある肺がん患者さんの細胞には、がん遺伝子やがん抑制遺伝子に変異が多く認められます。また、多環芳香族炭化水素がDNA付加体を形成する位置に一致して、遺伝子変異が起こります。喫煙者に生じた肺がんでは、こうした遺伝子変異が非喫煙者の肺がんよりも多くみられ、悪性度が高いことが知られています。
また、有害物質を多く含む副流煙による受動喫煙の健康への影響、つまり周りの人への健康被害についても無視できないことが近年の研究結果でわかっています。

たばこが要因となる病気
慢性肺疾患、虚血性心疾患(狭心症・心筋梗塞)、胃潰瘍・十二指腸潰瘍

2.喫煙習慣を分析する
たばこをやめにくい大きな原因に、ニコチン依存があります。自分自身のニコチン依存度がどの程度か知っておくと、禁煙するのに役立ちます。

ニコチン依存度チェック(厚生労働省の最新たばこ情報)

3.禁煙の準備をする
禁煙を始めるには、タイミングと動機付けが大切です。やみくもに始めても長くは続かないことが考えられます。

  • ●仕事が一段落してある程度ストレスから解放された状態となる休暇中
  • ●自分や家族の誕生日など、自分にとって意味のある大切な日からなど

禁煙を開始する前に、下記の準備をしておくと良いとされています。
たばこを吸わない環境を自分から作ることも大切です。

  • ●タバコの銘柄を、おいしくないと感じる銘柄やニコチンの少ない銘柄に変える。ただし、ニコチンの少ない銘柄に変えた場合、本数が増えることがあるので注意する。
  • ●タバコを吸う時に、タバコを持つ手やくわえる口の位置を変え、ライターをやめてマッチを使う。
  • ●タバコを吸う時間や場所を段階的に制限していく。
  • ●タバコがどうしても吸いたくなる場所や時間をチェックする。
  • ●家族や友人、職場の同僚の中から、一緒に禁煙を始める仲間を見つける。
  • ●家族や友人など周囲の人に、禁煙することを伝え、協力してもらう。
  • ●タバコをやめてもストレスがたまらないように、タバコに変わるストレス対処法(リラクゼーション法など)を身につける。
  • ●タバコが吸いたくなってもすぐには吸わないで、3分間我慢する。その間、吸いたくてどうしようもない場合は、深呼吸などタバコの代わりになるものを見つけて実践してみる。
  • ●禁煙したことのある人は、失敗した理由を思い出して今回の参考にする。
  • ●タバコの買い置きはしない。また、タバコを持ち歩かないように心がけ、自由にタバコが吸えない環境を作りだす。
  • ●禁煙開始日が近づいてきたら、灰皿をタバコの吸いがらでいっぱいにし、その光景とニオイが非常に不快であることを確認する。
  • ●禁煙開始日の前日に、残っているタバコやライター、灰皿などをすべて処分する。
    タバコの本数を極端に減らしたり、完全に禁煙したりすると、人によっては離脱症状(禁断症状)が出ることを、あらかじめ承知しておく。
  • ●喫煙再開の多くは、タバコの離脱症状が出現し、まだ身体がニコチンに依存している禁煙後1~2週間に始まることをあらかじめ認識しておく。
  • ●生涯2度とタバコは吸わないと考えると、精神的に大きな負担になるので、今日1日だけは吸わないでおこうと、軽い気持ちでチャレンジする。

4.たばこの離脱症状から抜け出す
禁煙を開始するとさまざまな離脱症状、いわゆる禁断症状があらわれます。例えば、無性にたばこを吸いたい、イライラする、集中できない、便秘、口寂しい等などがあげられます。
これらは辛いものの永遠に続くものではなく、3日から1週間、長くても2~3週間で消失します。離脱症状から抜け出すには、離脱症状が起こった時にどう対処したのか、そこから何を学んだのかを記録することをおすすめします。
大切なのは2~3度の失敗は誰にでもあるものと考え、つまずいても自己嫌悪に陥らないこと。

ニコチンガムについて
1994年から、日本でも医師の処方のもとであれば使用できるようになっています。ニコチンガムを噛むだけで禁煙が成功するわけではありません。あくまで”補助”であることを忘れず、医師の指示にしたがってください。

5.禁煙を継続する
朝起きた時、たばこを吸う仲間の中に入った時、コーヒーを飲んだ時、食後など禁煙を貫くことができるでしょうか。
周りには誘惑がたくさんあるので、そんな時にはどうするのか考えてみることが大切です。

思い切って始めてみよう!2つの禁煙法

禁煙するには主として「減煙法」と「断煙法」の2つの方法があります。

減煙法

例えば、1日目は19本、2日目は18本と徐々にたばこの本数を減らしていく方法です。ただし、本数が減っても吸い込む回数が増えたり、根元まで吸ったりしがちで、1日10本以下になるとそれ以上減らすのが苦痛になることがあります。
そのため、禁煙前の本数に戻ってしまうことがないようにしましょう。

断煙法

最初からきっぱりとたばこをやめる方法です。禁煙による苦痛(ニコチンの離脱症状)が短期間で解消できるため、成功率が高い方法です。また、離脱症状が強い場合はニコチンガムや医師の処方によりニコチンパッチを使用し、一時的にニコチンを補給して苦痛を緩和することも可能です。

禁煙を継続させるコツ
禁煙を継続させるためのコツには、下記のようなものがあります。

  • ●禁煙を始めた理由や禁煙中の努力を思い浮かべる
  • ●気楽に取り組む
  • ●周りにも禁煙をすすめる
  • ●禁煙して良かったことを思い浮かべるなど

 

監修/板東 浩 先生
医学博士/内科医

乳がん

【監修】板東 浩 先生(医学博士、内科医)

乳がんとは~年に一度は検診に。11人に1人は乳がん

症状を知って自己チェックを習慣に

乳がんは母乳を分泌する乳腺という組織にできるがんです。他のがんと比較し、ゆっくりと増殖し、1cmのがんになるのに7年程度はかかるといわれています。
乳がんを早期に発見するには、まずは乳がんについて知り、最低月に1回、乳房を自分で触ってみる自己検診を行うことが大切です。しこりなどの症状がみられたらすぐに乳腺外科や乳房外来、または外科の診療科がある病院で検査を受けましょう。
しこりや異変が見られないときも、30歳以上の方は年に1回は乳がん検診を受けるようにしましょう。

乳房のしこり

乳がんの代表的な症状は乳房のしこりです。乳がんが5mm~1cmになると、自分で触って気づくようになります。しこりは硬くてごりごりしていて痛みはほとんどありません。
自己チェックは、お風呂で石けんをつけた手で4本の指を添えて、脇の下から乳首まで「の」の字を描くように、しこりや硬いこぶがないか、乳房の一部が硬くないか触ります。
しこりは良性のケースが多いものの、気づいたらすぐに医師に相談しましょう。

乳頭からの分泌物

乳がんになると妊娠中や出産直後または授乳中ではないのに、乳頭から乳汁や茶褐色の血液のようなものが分泌される場合があります。自己チェックは、乳頭とつまんだ時に、茶褐色の分泌物の有無を確認します。

乳房のへこみやひきつれ、皮膚の異常

乳がんが皮膚の近くにできると、乳房がえくぼ状にへこんだり、ひきつったり、あるいは赤く腫れたりすることがあります。このしこりがない乳がんは比較的若い人にみられる「炎症性乳がん」で進行が早く、乳房にある皮膚の毛穴が目立つようになります。

感染性の炎症を疑われることもあり、まずは抗生物質を処方されるケースがありますが、症状が改善しない場合は乳腺外科を受診してください。

わきの下の腫れ、しこり、腕のしびれ

乳がんがわきの下に転移すると、わきの下のしこりを確認できるようになります。しこりに神経が圧迫されますので、腕にしびれを感じることがあります。乳腺にできたがんが大きくなってくると、周囲の脂肪組織にがんが広がっていき、次第に筋肉や乳房表面の皮膚までがんに浸潤されていきます。

肋骨まで転移してしまう場合や、乳腺の中にあるリンパ管に転移して全身のリンパ節にがんが転移したり、乳腺の中にある血管を介し、血流に乗って肺や骨などに転移したりしてしまうこともあります。

現代の女性はリスクが高い!乳がんの主な要因

乳がんの発病には、エストロゲン(卵胞ホルモン)という女性ホルモンが影響しています。エストロゲンは、月経をコントロールする働きのあるホルモンで、乳がんの発生や増殖を促進する働きもあるといわれています。
エストロゲンは、妊娠中や授乳中に分泌が抑えられますが、現代女性は初潮が始まるのが早かったり閉経が遅かったり、生涯出産を経験しないなど、エストロゲンの影響を受けている期間が長いため、乳がんを発病するリスクが高くなっています。

また、女性の社会進出により、未婚の人や、初産が30歳以上、出産後は仕事復帰するために授乳を早く切り上げるというケースも珍しくなくなってきました。こういった方もエストロゲンのバランスが崩れやすく乳がん発病のリスクが高くなります。さらに、閉経後は卵巣でつくられていたエストロゲンが脂肪細胞で合成されるようになります。
そのため、肥満気味で体脂肪の多い人も要注意です。

わきの下の腫れ、しこり、腕のしびれ

チェック!乳がんのリスク要因

  • ・初潮が始まるのが早かった、または50歳以上で閉経になった
    ・30歳以上で未婚、あるいは出産の経験がない
    ・出産したのが30歳以前でも、子どもに母乳をあげなかった
    ・初潮が11歳以下
    ・初産年齢が30歳以上
    ・閉経が55歳以上
    ・子宮内膜症などで、エストロゲン製剤を長期間服用している
    ・乳腺の良性疾患にかかったことがある
    ・肥満気味
    ・脂肪が多い食事をとっている
    ・飲酒料が多い(毎日コップ2杯以上の飲酒)
    ・子宮がん、卵巣がんにかかったことがある
    ・ホルモン補充療法を受けている
    ・家族や血族に乳がんを発病した人がいる

※更年期障害を改善するための治療法のひとつ。骨粗鬆症の予防やアンチエイジングの効果が期待されています。

乳がんだとわかったら

信頼できる医師がいる医療機関を選ぶ

乳がんかな?と思った時、乳がんであることがわかった時は、乳腺専門医がいる医療機関での受診がおすすめです。個人医院や総合病院の乳腺外来など、専門医がいるかどうか、また専門医の診察可能時間などを、インターネットや本であらかじめ情報収集しておきましょう。

乳がんだとわかると、医師は乳がんであることを告知し、患者に合った治療法の提案をしてくれます。乳がんは一人ひとりタイプや状態が異なり、それにより治療方法の選択肢も変わってきまし、医療機関によって治療方針が異なる場合もあります。そして乳がんは5年、10年とつきあっていく可能性がある病気です。

したがって、治療方針についてメリット・デメリットなどをわかりやすく説明してもらえるか、質問することができるか、セカンドオピニオンのための紹介状や資料を用意してもらえるか、今後よいコミュニケーションを築いていけそうかどうかも、医療機関選びのポイントになってきます。

乳がんのタイプや状態、性質、進行度などを知って治療方針を検討する

乳がんが疑われたら、様々な検査によってタイプや状態、性質、進行度を確認します。
乳がんは様々な要素で分類され、それによって治療方針が異なります。まず大きくはがんが乳腺の組織の中にとどまっている「非浸潤がん」と、がん細胞が乳腺の外に出て周辺の組織にまで進出している「浸潤がん」があります。

「非浸潤がん」は早期の乳がんで、がんの部分のみを切除することで他の臓器などへの転移の心配がないと考えられています。「浸潤がん」は血管やリンパ管に入り込み、遠く離れた臓器にまで転移している可能性があります。したがって、「非浸潤がん」の段階で発見し、治療することが望ましいと言えます。
ところが、この「非浸潤がん」の段階では、自己チェックでしこりに気づくことが困難です。マンモグラフィ検診であれば見つけることができますので、定期的に検診を受診することが大切です。

他にも、がん細胞のもつ性質(増殖能力、再発リスクの予測など)といったサブタイプ、悪性度(グレード)、進行度(ステージ)、しこりの位置や数などを確認し、また患者の年齢・体力なども考慮して、治療方針を検討します。
これらは人によって治療の方法も異なります。検査により自分の乳がんの状態や性質などを理解しましょう。

乳がんの治療法

主な治療法としては、手術(部分切除/乳房切除)、ホルモン剤を服用するホルモン療法、抗がん剤を使う化学療法、がん細胞に放射線を照射する放射線療法などがあり、基本的には複数の治療法を組み合わせた治療が行われます。
女性が乳房を失うことは、精神的にとても大きなダメージを伴います。以前はがんの再発や転移を防ぐため、がんがある方の乳房全体、すなわちがん細胞と胸の筋肉、わきの下のリンパ節を切除する方法が主流でした。

しかし、美容上の理由や、腕の筋肉が上がらないなどの後遺症が残ること、部分切除と全体切除のその後の生存率が大きく変わらないことがわかってきたので、乳房周辺の筋肉や神経を残すような手術方法や、乳房をできるだけ残す乳房温存手術が行われるようになってきました。
また、乳房を切除してしまった場合も、状態によっては、背中やおなかの皮膚の一部を、皮下脂肪や筋肉ごと胸に移植して乳房を再建する乳房再建手術を適用できる技術が出てきています。

しかし部分切除は、しこりの大きさ、数、手術後に放射線治療(※)が受けられるかどうかなどの条件があります。 治療方針を検討する際に検査結果をよく理解し、希望の優先順位を医師に相談しましょう。
「乳房保存療法」が広く知られるようになり、誰もがこれを選択できるとおもわれているかもしれません。しかし、がんのタイプにより、状況によりケースバイケースなので、自己判断をせず、必ず、担当の医師と詳しく相談することが重要です。

(※)放射線を照射しがん細胞のみにダメージを与えます。妊娠中や進行がん、過去にも同じ部位に放射線治療を行ったことがある場合は適用できません。また乳房再建手術も難しくなるといったデメリットがあります。

 

監修/板東 浩 先生
医学博士/内科医

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