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つうふう痛風

更新日:2022/08/16 公開日:2019/02/05 view数:27,478
目次
  1. 痛風とは
  2. 痛風の症状
  3. 痛風の診療科目・検査方法
  4. 痛風の原因
  5. 痛風の予防・治療方法・治療期間
  6. 痛風の治療経過(合併症・後遺症)
  7. 痛風になりやすい年齢や性別

痛風とは

痛風は体内の尿酸が関節に蓄積することで、関節炎を引きおこす病気です。「風に吹かれただけでも痛い」といわれたことが名前の由来とされています。
発症すると治療しても完治することは難しく、一生つきあわなくてはいけません。また、食生活との関係が強く、魚卵などのプリン体の多く含まれる食品を摂取することで症状が悪化することでも知られています。

痛風はプリン体の過剰摂取によって、体内の尿酸値が高まることで発症します。初めは痛みを伴いませんが、次第に足の関節が痛み出します。痛みの特徴は名前の通り、場合によっては歩行が困難になるほどの激痛です。

結晶化した尿酸は関節に付着し、激しい痛みを伴う関節炎を引きおこします。発作的に強烈な痛みを感じるため「痛風発作」とよびます。多くの場合、10日前後を目安に症状は治まり、その後痛みは消失します。

しかし、痛風発作は1年以内に再びおこるとされています。
治療せずに放っておくと発作の間隔が短くなり、慢性化します。

また、原因となるプリン体は高価な食品に多く含まれることから、以前は「ぜいたく病」と言われたこともありました。
食生活の改善や適度な運動を維持し、適切な治療を受ければ症状を改善することができます。発作がおきないからといって治療をやめ、不健康な生活に戻ると症状が悪化するため、尿酸値を正常な値でキープする努力が不可欠です。

痛風の症状

ある日突然、足の親指の付け根などの関節が赤く腫れて痛みだします。
激烈で耐えがたいほどの痛みです。
こうした痛みを繰り返しておこり、足首や膝の関節が腫れはじめます。なかには腎臓の機能が低下して尿毒症腎不全を引きおこしたり、尿路結石ができたりする可能性もあります。

痛みは締めつけられるように強く、歩くことが困難になるほど激しく痛む場合もあります。こうした症状は「痛風発作」とよばれ、突然あらわれます。
一般的に3日ほど続いたあとは10日前後で痛みも腫れも退き、症状は完全になくなります。しかし、治療せず放置すると発作の間隔が短くなっていきます。
重度の慢性痛風に進行する危険もあるため、早期に病院を受診し治療を開始することが重要です。

9割の痛風発作が下肢の関節でおこります。最初の発作の7割が足の親指の関節で発症します。
ほかには、くるぶし、かかと、足の甲、ひざなどの関節に発症することもあります。ただし、1か所に強い痛みを感じるのが特徴で、複数の関節が同時に痛むことはありません。


痛風の症状分類

痛風の症状は進行具合によって次の3つにわけられています。

無症候性高尿酸血症期(むしょうこうせいこうにょうさんけっしょうき)

この時期に自覚のある症状はありません。
血中の尿酸濃度が高くなっている高尿酸血症の状態です。痛風発作の原因となる尿酸の結晶が作られている段階です。

痛風発作期

痛風発作がおこる時期です。
耐えがたい痛みが「あらわれたり、収まったり」を繰り返します。治療を開始するべき時期といえます。

慢性痛風期

適切な治療や生活習慣の改善をせず痛風発作を放っておくと慢性痛風期になっていきます。
関節だけではなく皮膚の下にも結晶がたまるようになります。
症状は日常生活に支障をきたすレベルです。合併症を発症するリスクも高くなります。

痛風発作の激しい痛みは突然やってくる場合がほとんどです。
ただし、何回も発作を経験すると、関節がピリピリ・ジンジンする、鈍い痛みがあるなど、前兆のような症状を感じとるようになります。
これらの前兆症状は、発作の経験が多い人ほどわかるようになります。
痛風と似たような症状をおこす病気もあります。外反母趾、変形性関節症、蜂窩織炎(ほうかしきえん)、変形性腰椎症、偽痛風関節リウマチなどです。

痛風の診療科目・検査方法

痛風の治療には早期発見が重要です。
高尿酸血症には自覚症状がないため、最初の痛風発作ではじめて自覚する場合も多くあります。痛みが退いたら病院へ行きましょう。
10日前後で激しい痛みを伴うともなう症状は消えますが、治ったと安易に考えることはできません。

また、関節炎の改善後も、多くは高尿酸血症や合併症のコントロールを目的にしばらくの通院治療が必要になります。痛風だけでなくほかの病気の可能性も視野に入れて診療するため、内科を受診しましょう。持病がある場合はかかりつけの病院に行き、まずは医師に相談しましょう。

確実な痛風の診断は、発作中の関節内に尿酸の結晶があることを証明することです。
通常は、血中尿酸値が高く、痛風特有の臨床症状があれば診断は可能です。

診察では問診からおこないます。以下の情報を医師に伝えると、診断の助けになります。
服用している薬がある人は「お薬手帳」を持参しましょう。

・発作前の自覚症状の有無
・発作がおこった日時
・発作がおこった部位
・具体的な症状
・痛風の治療歴はあるか
・ほかの病歴、治療中の病気
・家族の病歴
など

血液検査では、尿酸値、血沈、CRPの測定をし、全身の状態や痛風の重症度を調べます。血沈とは赤血球が沈むスピード、CRPとは炎症がおこっているときに増えるタンパク質のことです。この2つを調べることで、炎症がおこっているかどうかがわかります。

尿検査には、尿に混じった潜血の有無や、酸性かアルカリ性かを調べます。
高尿酸血症の場合は、なにが原因で尿酸の値が高くなっているかを特定します。
高尿酸血症の原因は2つあり、混合タイプをあわせると3タイプに分かれます。

  • 尿酸の排泄低下タイプ:体外に尿酸を排泄する機能が低下している
  • 尿酸の過剰生産タイプ:体内で尿酸を過剰に生産している
  • 混合タイプ:2つの原因のどちらも当てはまる

24時間尿検査は、1日にわたって尿を集め尿酸排泄量を調べる検査です。
尿酸が1日にどのくらい排泄されているかを調べ、それによって肝臓で作られている尿酸の量も調べます。より正確に痛風の診断をするためにおこないます。
関節をレントゲン検査で調べます。
痛風がおこった関節や骨の状態を調べ、変形していないか調べます。
心電図検査などでほかの病気の可能性を調べることもあります。

痛風の原因

尿酸値の高い状態が続くことで、尿酸が結晶になって激しい関節炎を伴う症状になります。
尿酸値があがる原因は食事内容やアルコール摂取のほか、別の病気が原因になっていることもあります。なかには使用中の薬によってひきおこされることもあります。

尿酸は「DNA(デオキシリボ核酸)やATP(アデノシン三リン酸)に含まれるプリン体が分解されて生じる老廃物」です。DNAは「遺伝子の構成要素」、ATPは「細胞が活動するためのエネルギー源」になります。いずれも、体内に存在する物質なので、尿酸は必ずつくられます。私たちの体内では「11日あたり約0.6g」の尿酸がつくられています。正常範囲の分量であれば尿酸は問題をおこしません。血液に溶けこんで、定期的に尿や便から排出されます。

しかし、血中の尿酸濃度が高い状態が続くと、結晶化した尿酸が関節にたまっていきます。限界をこえ、関節にたまるとはがれ落ちます。
結晶がはがれ落ちたときに、白血球がそれを異物と認識し攻撃してしまうため、炎症反応がおこり、痛みを引きおこします。

身体の中にはあらかじめ一定量の尿酸があります。これは「尿酸プール」とよばれます。
健康な人の尿酸プールは1200mg程度に保たれています。
一方、1日におよそ700mgの尿酸が新たに作り出され、同じ量の尿酸を排出しているため、1200mgのうち700mgは日々入れ替わっていることになります。
しかし、出入りする尿酸のバランスが崩れ、尿酸プールが増えると、血液中の尿酸値も上昇します。

プリン体は、プリン体を含む食品の摂取、激しい運動、新陳代謝などで作りだされます。プリン体の量が増えすぎると、比例して尿酸の量も増えることになります。
プリン体を多く含む食品として代表的な食品は、白子やエビ、レバー、カツオなどです。ほかにも干し椎茸やひものは乾燥させてあるため、相対的に高い数字になります。
プリン体はうまみ成分に当たる成分で、「おいしい」と思う食物に多く含まれています。

脂肪やプリン体の多い食事が続いている、ビールをはじめとしたアルコールを多量に摂取している、運動不足など、生活スタイルによってプリン体摂取のコントロールは難しくなっています。
また、急激なエネルギー消費や、激しい運動といった要素もプリン体を増やす原因になるため、高尿酸血症の方は注意する必要があります。

肥満の人は一般的な食事量を超えた飲食をしています。そのため、プリン体の摂取量も多く、尿酸値が上がりやすくなります。
痛風患者のうち、37%はメタボリックシンドロームだというデータもあります。

ほかにも、仕事や家庭でストレスが溜まると尿酸値の上昇につながるとされています。
ストレスだけで痛風を発症する可能性は低いものの、原因のひとつとなりえます。

痛風の予防・治療方法・治療期間

痛風発作の前兆が感じられるときには、コルヒチン1錠(0.5mg)を服用し、発作をおこりにくくします。
痛風発作がよくおこる場合には、コルヒチン1日1錠を連日服用することが有効であるとされています。これを「コルヒチン・カバー」とよび、1~3か月間にわたって服用します。

発作による痛みに対しては、「抗炎症薬」を使用します。激しい痛みには非ステロイド抗炎症薬(NSAID)が有効であるとされています。
短期間に多量投与し、炎症を抑えるNSAIDパルス療法もありますが、副作用に十分注意する必要があります。

痛風関節炎に適応のあるNSAID一覧

一般名 剤形 痛風発作に推奨される投与法
インドメタシン 25mg、37.5mg

徐放性カプセル

1回25mgを1日2回

症状により1回37.5mgを1日2回

ナプロキセン 100mg錠 初回400~600mg、その後1回200mgを1日3回または300mgを3時間ごとに3回まで
オキサプロジン 100mg、200mg錠 常用量400mg、最高量600mg
プラノプロフェン 75mg錠 1回150~225mgを1日3回

翌日から1回75mgを1日3回

NSAIDが使用できない患者さんや、使用しても効き目がない場合、複数の箇所で関節炎をおこした場合は、副腎皮質ステロイドを関節内注入します。
また、痛風発作がおこっているときに尿酸降下薬を服用すると、発作が悪化することがわかっています。

無症状の時期の治療

高尿酸血症の治療をおこないます。
尿酸値の上昇を抑えるための指導を受けて、食事制限や運動不足の解消などに取り組みます。一度痛風を発症した場合でも、健康的な生活を送ることによって尿酸値を正常値に納め、発作がおきないようにすることが可能です。
まず、食事の総カロリー数を抑えます。肥満やメタボリックシンドロームに当てはまる人は無理のない減量をおこないます。
食べ過ぎや飲み過ぎ、プリン体の多い食品の摂取は意識的に控えることが重要です。栄養バランスのとれた食事を摂るように心がけます。
アルコールは分解されると尿酸ができるため、飲酒はできるだけ控えます。適量は1合程度です。アルコール自体が尿酸を生み出すため、「プリン体カット」と記載された商品だからたくさん飲んでも良いということではありません。
また、体内の水分が少ないと尿酸値が上昇するため、毎日2L以上の水分を摂取し、2Lの尿を出すようにします。
激しい運動(無酸素運動)は、逆に尿酸値の上昇につながります。そのため、ウォーキングなどの軽い運動(有酸素運動)が推奨されます。
尿酸値がなかなか下がらない場合や、慢性痛風の場合は尿酸降下薬が処方されます。高尿酸血症の3タイプのうちどれに当てはまるかを元に、原因を改善させる尿酸治療薬を選択します。

痛風の治療経過(合併症・後遺症)

関節炎症状が出現してから速やかに治療を開始できれば症状の緩和を図ることが可能です。しかし、痛風を放置していると、皮膚の下にある組織にも尿酸がたまりこぶのようになります(痛風結節)。こぶ自体を触っても痛みを感じませんが、症状が進行すると関節の変形や脱臼につながります。痛風結節が脊髄におこると神経にも影響が出ます。
また、進行すると慢性痛風になります。慢性的に痛みが生じるようになると、歩くことさえ困難になります。腎不全脳卒中心筋梗塞などの合併症を併発するリスクも格段に高くなります。

また、痛風や痛風を引きおこす高尿酸血症を改善せずに放っておくと、高血圧高脂血症糖尿病などの生活習慣病を発症しやすくなります。痛風患者の合併症として特に多いのは高血圧高脂血症です。痛風患者のそれぞれ40%以上の割合で併発しているとされています。
痛風も生活習慣病も血管に負担がかかる病気です。そのため、動脈硬化を引きおこす可能性も十分にあります。動脈硬化は脳梗塞心筋梗塞など、生命にかかわることもあります。

尿酸の結晶が腎臓にたまると慢性腎臓病を引きおこし、尿路結石ができると排尿時に激しい痛みを感じる場合もあります。

痛風になりやすい年齢や性別

痛風をおこす原因となる高尿酸血症は30代以上の男性のおよそ30%がかかえているといわれます。

2006年の2つの調査では、成人男性では21.5%~26.2%でした。
発症しやすい年代は30~40代とされています。この調査は、高尿酸血症を治療中の人の数は除外されておらず、尿酸降下薬を服用中の患者数を考慮すると、実際の割合は報告の数字よりも高い可能性があります。
痛風は50年前までは50代に多いとされていましたが、近年では食生活の変化やストレスなどが原因で、発症年齢の低下がみられます。10代の高尿酸血症の割合は16.3%です。

痛風が発症しやすいのは圧倒的に男性です。
1992年の調査では痛風患者の割合は男性は98.5%、女性は1.5%でした。しかし、
女性は女性ホルモンに尿酸の排泄を促す機能があるため、50代を過ぎると閉経や加齢の影響で女性ホルモンの分泌が減り痛風になりやすくなります。

高尿酸血症の人が必ずしも痛風を発症するわけではありませんが、尿酸値が10%以上(高尿酸値)の人が5年間に痛風発作をおこす確率は、尿酸値が6%未満の人に対して60倍となります。

執筆・監修ドクター

大田 幹
大田 幹 医師 代々木上原駅前内科クリニック 院長 担当科目 内科/消化器内科/糖尿病内科/アレルギー科/リウマチ科

経歴東北大学医学部 卒業
東京大学大学院 博士課程終了
国際医療福祉大学 元准教授

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