低用量ピルの効果と副作用とは?血栓症のリスクが高いのはどんな人?

低用量ピルは、避妊だけでなく、さまざまな病気の治療薬としても使われています。
この記事では、低用量ピルの副作用や、以前使われていたピルとの違い、使用目的について解説します。
以前のピルと低用量ピルは違う!
1.そもそも、ピルって??

ピルというと経口避妊薬を指すことが多い
一般的に『ピル』というと、『経口避妊薬』の意味合いで使われることが多いです。ピルは、おもに排卵をとめることで避妊効果があらわれる薬です。
ピルを服用すると、避妊効果があるワケ
ピルには、2種類の『女性ホルモン剤』が含まれています。
低用量ピルは、3つの作用で妊娠を防ぎます。
・排卵を促すホルモンの分泌がおさえられるため、 排卵がおこりません。
・子宮内膜が厚くならず、万が一に排卵し、受精しても着床しづらくなります。
・子宮頚管の粘液を変化させ、精子が子宮内部へ入りにくくなります。
2.低用量ピルは、副作用を軽減した薬!

以前使われていたピルは、含まれるホルモン剤の容量が多く、『血栓症』など重大な副作用がありました。それにより、医療現場で使いにくいという弱点がありました。
そこで、「排卵をとめ、避妊する」という本来の目的をそのままに、副作用を軽減した薬が開発されました。
それが『低用量ピル』です。低用量ピルは、副作用を少なくするため、以前のピルよりも、含まれるホルモン剤の容量が減っています。
治療目的で使われる低用量ピル(LFP)について
1.どんな病気で処方される?

避妊目的で病院を受診したわけではないのに、婦人科で診察を受け、医師からLFPの服用をすすめられることがあります。
女性の病気の治療に用いられる
実は、LFPが処方される女性の病気は少なくありません。
代表的なものでは、『子宮内膜症』や、月経痛がひどい『月経困難症』、『月経前症候群(PMS)』、『月経不順』、月経時の出血量が多い『過多月経』などがあります。
また、この他にも低用量ピルを治療に用いる病気は多くあります。
女性ホルモンの分泌をおさえ、病気の進行や痛みをやわらげる
たとえば、子宮内膜症の場合、ピルを服用することで、子宮内膜症の進行や痛みにかかわる女性ホルモンの分泌がおさえられます。
2.以前のピルも、治療目的で使われている

以前使われていたピルは、『高用量ピル』や『中用量ピル』と呼ばれ、今も医療現場で使われることがあります。
今は避妊目的ではなく、おもに病気の治療薬として使われています。
中用量ピルは、アフターピルや月経周期をずらす目的に用いられます。また、高用量ピルは、『無月経』や『機能性子宮出血』の治療に使われます。
低用量ピルの副作用について

1.低用量ピルの副作用として、血栓症になることも
低用量ピルを服用することで、『血栓症』になる可能性があります。
血栓症とは、どんな病気のこと?
血栓症とは、血管の中で血液が固まり、『循環障害』を起こす病気の総称です。動脈、静脈どちらでも起こり得ます。
心筋梗塞や脳梗塞などを引き起こすことも
血栓症が引き起こす代表的な病気としては、『心筋梗塞』や『脳梗塞』、『下肢の静脈血栓症』、『肺塞栓』などがあります。また、ニュースなどで取り上げられることも多い『エコノミークラス症候群』も、血栓症のひとつです。
血栓症の症状は、血栓の生じる血管や、部位によってさまざまです。命にかかわるほど重症なケースもあれば、自覚症状がなく、軽症ですむケースもあります。
2.要注意!血栓症になるリスクの高い人

低用量ピルを服用したからといって、簡単に血栓症を発症するわけではありません。
血液がドロドロしている人や、先天的・遺伝的に、血栓症になりやすい体質の人が低用量ピルを飲むと、発症するリスクが高まります。
特に、次のような人は要注意です。
・たばこを1日に15本以上吸う人
・手術の前後など、寝たきりの生活をしている人
・糖尿病や高血圧などの持病がある人
・過去の既往歴、家族歴から体質的に問題がある人
こうしたリスクはないかどうかを、問診で確認していきます。また、血栓症を発症する場合は、ピルを内服する期間の長短とは関係なく発症します。
3.服用の前に!リスクを洗い出す問診が重要
先に解説したように、問診はピルを服用するリスクを洗い出すために、非常に大切です。
一見、「ピルとどのような関係があるんだろう?」と思うかもしれませんが、こうした医師と患者の問診によって、おおむね副作用を回避することができます。
ですから、婦人科でピルをすすめられたり、処方してもらったりする際は、ピルとは直接関係のなさそうな質問にも、できる限り正確に答えるようにしてください。
40歳以上やBMI30以上(肥満)、喫煙者、片頭痛(前兆なし)、軽症の高血圧、脂質異常症、血栓症の家族歴のある方は内服するのに特に注意が必要な人のため、医師と相談して内服しましょう。
また、45歳以上や喫煙者(35歳以上で1日15本以上)、片頭痛(前兆あり)、重症高血圧、糖尿病、乳がんなどにあてはまる方はOCを内服することができません。
さいごに。薬の副作用について

医師はもちろん、副作用を考慮したうえで処方している
医師は、低用量ピルを処方する際、その効果がリスクを上回ることを確認しています。これは、避妊目的でも、病気の治療目的でも同じです。
また、ピルだけに限らず、すべての医薬品についてもいえることです。
低用量ピル以外の薬にも、副作用がでる可能性はある
普段、医師から処方されて飲んでいる『鎮痛剤』や『抗生物質』や『消化剤』といった薬にも、副作用のリスクはあります。
医師は当然それも踏まえたうえで、薬の効果がリスクを上回ると判断し、薬を処方しています。
低用量ピルが、とりたて副作用のリスクが高いわけではない
数ある薬の中で、何も低用量ピルだけが副作用のリスクが高い、というわけではありません。
それとともに、リスクを回避するために、問診や検査が大切である、ということを知っておいてください。
執筆・監修ドクター
経歴1999年 日本医科大学産婦人科教室入局 日本医科大学付属病院 産婦人科研修医
2001年 国立横須賀病院(現 横須賀市立うわまち病院) 産婦人科
2002年 東京都保健医療公社 東部地域病院 婦人科
2003年 日本医科大学付属病院 女性診療科・産科 助手代理
2004年 日本医科大学付属第二病院 女性診療科・産科 助手
現在 石野医院の副院長
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