熱っぽいのに熱はない…それは生理前の症状かも!?原因と対処法を医師が解説
熱っぽいような体のだるさを感じて体温計を計ってみても熱が高いわけではない…。そんな経験をしたことはありませんか?
このようなとき、体の中では何が起こっているのでしょうか。
この記事では、熱っぽいのに熱はない症状の原因や対処法などについて、解説していきます。
熱っぽいのに熱がないって…どんな状態?
熱っぽいけれど、体温計で熱を測ってみると熱がないという状態は以下のようなことが考えられます。
・身体に疲労がたまっている
・精神的に疲労している
・必要な栄養がとれず栄養不足の状態になっている
・病気になっている
疲労の蓄積で熱っぽくなる
運動や仕事を長い時間続けていると、身体や脳が疲れてきます。休息を取ることで疲れがなくなれば何も問題ありません。
しかし、休息を取っても疲れがとれず、いつまでもその状態が続いてしまうと、疲労が蓄積されてだるさや熱っぽさが表れます。
女性の場合は生理が原因?
上記で挙げてきた内容が一般的な状態になりますが、女性の場合は生理が関係している可能性があります。
生理のしくみとホルモンの減少
女性の場合、生理前に熱っぽくなることがあります。その原因が「月経前症候群(PMS)」です。
生理前になると生理の準備のため、黄体ホルモンであるプロゲステロンが大量に体内に放出されます。プロゲステロンの量が増えると生理が始まります。
プロゲステロンが体温をつかさどっている脳の体温中枢に「基礎体温を上げる」という指令をすることにより、生理前になると熱っぽい状態になります。
更年期で熱っぽくなるのは?
更年期でよくみられるホットフラッシュ(急に暑くなって汗をかくような症状)など、熱っぽいにもかかわらず、体温計で測ると熱がないということもあります。
熱っぽさのもう一つの原因となる更年期とは、閉経の年齢が50才の場合、その前後10年間(45才~55才)のことをいいます。
多くの女性は、この時期に身体の不調が表れるようになります。
女性ホルモンが減って自律神経のバランスが乱れる
ホットフラッシュの症状がよく表れるのは、どうしてなのでしょうか?
更年期では、女性ホルモンの一つであるエストロゲンの出る量がだんだんと少なくなってきます。
そのため、血管の収縮や拡張をコントロールしている自律神経のバランスが乱れ、ホットフラッシュや急な冷えといった、さまざまな更年期の症状が表れます。
自律神経の乱れから体温調節機能が働かなくなる
自律神経が乱れると、体温を調節する機能が弱まってきます。何をしたというわけでもないのに急に暑くなって汗が吹き出したりします。
汗を拭くためのタオルや体温調節しやすい服装をして対応するようにしましょう。日常生活に支障が出るようなら、迷わずに病院を受診しましょう。
また、自律神経の調節が乱れることで、水分の代謝もうまくいかなくなることがあります。
これにより、喉が乾いたり、イガイガしたり、痛みとなって表れるなど、喉の不調の原因にもつながっていきます。
熱っぽいのに熱がない状態が続くときの対処法
基礎体温の変化を記録すると対処しやすい
熱っぽいのに熱はない状態に対処するには、自分の身体がどのような状態になっているかを知ることがとても大切です。平熱がどのくらいなのか、いつ頃になると熱っぽくなるのかということがわかると対処がしやすくなります。
そのためには、基礎体温を測って記録するようにしましょう。
基礎体温を記録することによって、体温の推移がわかるようになり、いろいろなホルモンの関係がわかってきます。
体温からみるホルモンの関係
女性を例にした場合、高温期と低温期で分泌されるホルモンが異なります。
高温期には黄体ホルモンの分泌によって体温が上昇し、低温期には卵胞ホルモンが分泌される、といったようにそれぞれ分かれています。
生理と体温の動きの関係
生理から次の生理がくるまでに、低温期と高温期の2つの時期があります。生理の後は体温が低い低温期の状態が続き、排卵が起こると体温が高くなる高温期がきます。排卵から14日後には次の生理がきます。
卵巣の機能が上手く働いていないと高温期が短くなります。
更年期の時期には生理不順になりがちですので、基礎体温を記録することで、次の生理の時期を予測することができます。
また、熱っぽい時期も予測できるので、不安にならずにすみます。
生理以外の可能性の場合
日常生活や仕事での疲れがたまって熱っぽいようなら、ゆっくりと休息を取るようにしましょう。
また、風邪をひく前の予兆かもしれません。休息を取って状態が改善されれば問題はありませんが、10日以上症状が続く場合は病院を受診することをおすすめします。
アレルギー症状の可能性も
食物アレルギーや花粉症などのアレルギーの症状が出ている可能性もあります。アレルギーの症状は風邪とよく似ていて、頭痛や鼻水、くしゃみ、眠気などの症状が起こります。
アレルギー症状は自己判断で薬を飲んでいても改善がみられません。病院で血液検査を行うことで、アレルギーかどうか診断してもらえます。
自律神経が敏感になっていることも
現代社会では、日常生活の変化や仕事のストレスなどで、自律神経が過敏になっていることもあります。
自律神経の中でも活動的になる「交感神経」と、リラックスモードになる「副交感神経」があり、互いにバランスを取りながら体調を整えています。
自律神経が過敏になってしまうと、交感神経と副交感神経の交感が上手くいかなくなり、交感神経が優位な状態になっています。
そういう時は、深呼吸や軽くストレッチをする、音楽を聴く、楽器を演奏する、湯船にゆっくりと浸かる、何もせずにボーっとするなど、副交感神経が優位になる状態にしてみてください。
自分なりのリラックスできる方法をみつけて、上手に“ガス抜き”をしましょう。
妊娠の可能性も
女性の場合、熱っぽい症状が続くときは、妊娠していることも考えられます。
生理がきちんときているのか確認して、妊娠検査薬で検査してみましょう。もし妊娠しているようなら、すぐに病院を受診するようにしてください。
まとめ
熱っぽいのに熱がない場合はどうしたらいいのかわからないため、不安になるかと思います。まずは自分の生活習慣を見直してみることが大切です。
女性の場合は、更年期が原因で熱っぽい症状が表れることもあります。
また、疲労やストレスからくることも多いため、熱っぽさやだるさで日常生活に支障が出ているときは、病院を受診して、適切な治療を受けるようにしてください。
執筆者:久野銀座クリニック 岡村信良 医師
2006年 北里大学大学院卒
2008年 平塚共済病院内科医長を経て小田原銀座クリニックに入職、その後院長に就任
2013年 12月には当院久野銀座クリニックを開業
早期発見、早期治療を心がけ、健康で心豊かな人生を歩んでいただくことを願っており、内科・消化器内科を中心に幅広い情報の発信に努める。
執筆・監修ドクター
経歴2006年 北里大学大学院卒、
2008年 平塚共済病院内科医長を経て小田原銀座クリニックに入職、その後院長に就任。
2013年 12月には当院久野銀座クリニックを開業
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