口腔アレルギーの検査方法は?何科?費用や結果が出るまでの日数も
特定のフルーツや野菜を食べると、口の中が痒くなったりヒリヒリしたりする場合、口腔アレルギーの可能性があります。
花粉症やラテックスアレルギーを持っている方は、口腔アレルギーを併発しやすいため注意が必要です。
この記事では、口腔アレルギーの検査について解説していきます。
口腔アレルギーとは?
1.口腔アレルギーの特徴
口腔アレルギーとは、特定のフルーツ・野菜・ナッツなどを口にしたときに生じるアレルギー反応のことで、基本的に花粉症かラテックスアレルギーを持つ方にみられます。
なぜこれらの食品に限定されるかというと、花粉のアレルゲンやラテックス(ゴムの主成分)が、ある特定のフルーツ・野菜・ナッツのたんぱく質と似た構造を持つためです。
つまり、特定の食品に対して体がアレルゲンと勘違いしている状態です。
シラカバ花粉症のうち2割程度、スギ花粉症のうち1割程度が発症するとされています。
2.症状
症状は、口腔内と全身に表れます。
原因となる食品を口にすると、数分から1時間以内に次のような症状が表れます。
口腔内にみられる症状
- かゆみ
- しびれ
- ヒリヒリとした刺激
- ただれ
- 腫れ
- むくみ
- のどの奥が詰まったような違和感
その他の部位にみられる症状
口腔内以外では、次のような症状がみられることがあります。
- 鼻水
- 目のかゆみ
- じんましん
- 腹痛
- 吐き気
- 下痢
- 喘息発作
- 呼吸困難
ひどい場合は命の危険を伴うアナフィラキシーショックを起こし、全身に症状が表れることがあるため注意が必要です。
3.原因となる食品
口腔アレルギーの原因となる食品は次の通りです。
<フルーツ>
- シラカバ(マタタビ)科:キウイ
- シラカバ(バラ)科:リンゴ・桃・さくらんぼ・あんず・ぶどう・ラフランス
- イネ科:スイカ・メロン・オレンジ
- ヨモギ・ブタクサ:メロン・スイカ
- バショウ科:バナナ
<野菜>
- イネ科・スギ:トマト
- ヨモギ・ブタクサ:セロリ
- ウリ科:きゅうり
<ナッツ>
- カバノキ科:ヘーゼルナッツ・アーモンド・クルミ・ピーナッツ
- キク科:ひまわりの種
症状の表れ方には個人差がある
フルーツや野菜の場合、よく熟したものに反応しやすいとされています。
また生では症状が表れても、加熱すれば問題なく食べられると言う方もいます。
検査について
1.検査方法
口腔アレルギーの検査については、次のような方法があります。
血液検査
採血による検査です。
アレルギーの有無や、その度合を知ることができます。
プリックテスト
腕や背中に専用の針で傷をつけ、そこにアレルゲンの疑いがある食品を乗せて皮膚の変化をしらべる方法です。
アレルゲン液もしくは新鮮食材を乗せて15~30分ほど放置し、腫れの具合を確認するため比較的すぐに結果がわかります。
ただしプリックテストを取り扱っていない病院もあるため、事前に確認する必要があります。
2.検査は何科で受けられる?
口腔アレルギーの検査は、さまざまな科で受けられます。
- 内科
- 呼吸器科
- アレルギー科
- 耳鼻いんこう科
- 皮膚科
- 眼科
受診科目は、次のように状況に応じて選択すると良いでしょう。
例
- 花粉症持ち→アレルギー科・耳鼻いんこう科
- 原因食品に心当たりがない→アレルギー科・皮膚科
- 息苦しさを感じる→呼吸器科
3.費用はどのくらい?
口腔アレルギーの疑いがあり、医師によって検査が必要と判断された場合は保険が適用されます。
費用については医療機関によっても異なりますが、一般的に下記の通りです。
血液検査
卵・甲殻類・果物といった具合で5項目ごとに検査が行われ、基本的には1,500~5,000程度かかります。
追加で受けたい項目があれば、1項目あたり1,000円程度の追加料金がかかる仕組みです。
プリックテスト
原因食品を持参して受ける場合は、1項目につき200円程度です。
持参しない場合は、400円ほどかかります。
4.結果はどのくらいで出る?
検査方法によって結果が出るまでの期間は多少異なります。
血液検査
血液検査は専門機関に検体を送る場合もあり、結果が出るまで5日~1週間ほどかかります。
プリックテスト
プリックテストは皮膚の反応を見ながら検査を進めるため、その場ですぐに結果が出ます。
治療について
1.口腔アレルギーは治る?
口腔アレルギーは治るものではありません。
そのため治すことよりも、症状を抑えることが治療の目的となります。
2.治療方法
薬物治療
基本的にはアレルゲンとなる食品を避けて過ごしますが、口にしてしまった場合は抗ヒスタミン薬やステロイド薬の投与で症状を抑えます。
経口減感作療法
体質を変化させていく方法です。
どのくらいの量でアレルギー反応を起こすか特定し、それより少ない量から食べ始めて徐々に摂取量を増やすことで体を慣れさせます。
自己判断では行わず、専門医や設備を有している医療機関で行いましょう。
1~2年ほどアレルゲンを避ける
子供の場合、アレルゲンとなる食品を1~2年ほど避けて過ごすことで、徐々に摂取できるようになる可能性があります。
ただし最終的には、医療機関で負荷テストなどを行って安全性を確認する必要があり、医師の判断に基づいて許容量を探っていくことが大切です。
まとめ
口腔アレルギーは、花粉症やラテックスアレルギー持ちの方にとっては油断できません。
一度発症するとアレルギー自体を治すことは難しいので、上手に付き合っていくことが大切です。
まれに命にかかわる重篤な症状を引き起こすこともあるため、アレルゲンとわかっているのであれば口にしないようにしましょう。特に、生での摂取は厳禁です。
原因となる食品の特定ができていない場合は、早めに医療機関で検査を受けることをおすすめします。
執筆・監修ドクター
経歴1996年 埼玉医科大学卒業
1997年 埼玉医科大学第一外科入(一般外科、呼吸器外科、心臓血管外科)終了
1999年 戸田中央総合病院心臓血管外科医として就職
2000年 埼玉医科大学心臓血管外科就職
2006年-2012年3月 公立昭和病院心臓血管外科就職
2012年4月 岡村医院、医師として勤務
2012年7月 岡村クリニック開院
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