喉が痛いのは病気のサイン?よくある原因や対処法
風邪をひくと最初に気になるのが喉(のど)という人も多いでしょう。
また、しゃべり過ぎ、歌い過ぎて喉が痛くなるなんてこともあります。喉が痛くなると、声を出すのがつらくなったり、食べ物を飲み込むと痛いから食欲もなくなったりもします。
よくおこるので放置したり、「すぐに喉が痛くなって自然に治るからいつどんな病院に行けばいいのか」なんて悩んだりする人もいるかもしれません。
喉には息をする、食べ物などを飲み込む、声を出すという3つの機能があります。
喉が痛くなると、こうした生きていくうえで欠かせない行動に影響します。
そのため、あまり放っておくのもよくありません。
ここではどんなことで喉が痛くなるのか、どんな対処法があるのか、よくある原因を中心に解説します。
喉は感染症がおこりやすい
喉は、咽頭(いんとう)と喉頭(こうとう)にわかれています。ここで食べ物は咽頭から食道へ、空気は咽頭から喉頭をとおり気管へわかれていきます。ほかにも声を出すための声帯が喉頭にあるなど、複雑な構造をしています。
鼻や口とつながり、直接、外の世界に接している部分でもあります。そのため、ウイルスや細菌などの病原体が侵入して感染症をおこす最前線といえます。
咽頭に感染して炎症をおこすと咽頭炎、喉頭であれば喉頭炎と呼ばれます。
咽頭炎の中でも、中咽頭(口を開けた突き当たり)には、免疫機能を担当する扁桃腺(へんとうせん)があり、扁桃腺に感染が生じ、炎症をおこして扁桃炎になることがあります。扁桃炎は主に発熱やのどの痛みが生じます。
咳(せき)やくしゃみで病原体を含んだ唾液が空気中に飛び散り、それを吸い込んでしまったりする飛沫(ひまつ)感染や、病原体が付着した手で口を触ってしまう接触感染などで発症します。病原体が口や鼻から侵入すると喉の器官で病原体が増殖します。体も白血球などが病原体を排除しようとして、炎症を引きおこします。炎症をおこすと痛みを感じたり、赤く腫れたりします。
原因となる病原体はさまざまです。インフルエンザや麻疹、アデノウイルスやコクサッキーウイルス、コロナウイルスなど、喉に症状をおこすウイルスはたくさんあります。一般的に風邪という場合もウイルスによるものがほとんどです。ウイルスだけでなく溶連菌などの細菌による場合もあります。
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この痛みの原因は感染?それとも別の部位?
喉の痛みの原因は感染症だけとは限りません。
軽ければ心配のいらないものもあります。声の出し過ぎや、お酒の飲み過ぎ、たばこの吸い過ぎなど、アルコールや煙の刺激での炎症です。また、エアコンをつけっぱなしにしているような乾燥した環境も喉に負担をかけます。
注意しなければいけないのは、ほかの病気によって引きおこされている可能性もあるということです。
喉にアレルギーによる症状があらわれることも
アレルギーによって喉の違和感が生じることがあります。アレルギーによるものであれば、特定の季節や場所などで引きおこされる可能性があります。アレルギーの原因となるアレルゲンはさまざまです。花粉やカビ、ダニなどが原因になることもあります。鼻や目にも症状があらわれているならアレルギーの可能性は高くなります。食べ物によるアレルギーで喉に症状があらわれることもあります。アレルギーでは、多くの場合、痛みというよりかゆみを強く感じるかもしれません。
痛みはあまりない喉におこるがん
喉の粘膜にがんができることがあります。いつまでも違和感が続くようであれば、咽頭がんや喉頭がんの可能性も考える必要があります。喉のどこにがんが発生したかによっても、あらわれる症状が違います。
より鼻に近い上咽頭であれば、耳をふさがれたような感じや鼻への症状があらわれることもあります。中咽頭にできると喉にしみるような感じがあり、進行すると飲み込みにくさや息苦しいなどの症状が強くなります。より食道に近い下咽頭がんでは早い段階から飲み込みにくさがあらわれることもあります。
甲状腺の病気
甲状腺は喉の近くにある器官です。体温や新陳代謝をコントロールする甲状腺ホルモンを分泌しており、生命活動には欠かせない臓器です。甲状腺の病気で甲状腺に痛みを感じることは多くはありませんが「亜急性甲状腺炎」という病気にかかると甲状腺や喉などに痛みがあります。また、痛みだけなく甲状腺の腫れもおこります。さらに、甲状腺の組織が炎症をおこして破壊されるため、あわせて甲状腺ホルモンにかかわる症状をおこします。発熱や動悸(どうき)、汗をかくといった症状です。
亜急性甲状腺炎は原因がはっきりしていませんが、ウイルスによる感染も関係があると推察されています。
喉じゃなくて食道?
喉の痛みと思っていたものは、もしかしたら食道でおこっている病気の症状かもしれません。食道は下咽頭とのど仏のあたりでつながっていている臓器です。食道の病気では喉が痛くなるものがあります。例えば、逆流性食道炎では、喉に痛みや違和感があったり、飲み込みにくさを感じたりすることがあります。
病院にいくタイミング
もし、軽い風邪や、喉のつかい過ぎなどで痛くなり、2~3日で治ったようであれば、わざわざ医療機関を受診する必要はないかもしれません。ただし、高い熱が出たり、激しくせき込んだりするなど、喉の痛み以外の症状が強い場合は医療機関への受診を考えましょう。また、ウイルスによる感染症では、薬によって体内に侵入したウイルスを排除することは困難ですが、細菌によるものであれば、抗菌薬を内服することが効果的です。
痛みは強くなくても、いつまでも続くような場合は受診して原因をつきとめたほうがよいでしょう。例えば、咽頭がんであれば、そのままにしていても治らないばかりでなく、進行して取り返しのつかない状態になります。
よくある風邪などの軽い感染症による症状であれば、長くても1~2週間ほどでほとんどの場合は回復します。「すぐには病院にいかない」という人も、もし、それ以上続くようであれば医療機関への受診も検討してください。
病気によっては別の診療科を勧められる可能性もありますが、最初は耳鼻いんこう科へ行くのがよいでしょう。
喉の状態によって、炎症をしずめる薬や抗生物質などを使用することで、症状がなるべく早く回復するよう治療することも可能です。
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喉が痛い時に食べやすい食事、飲みやすい飲み物
喉が痛いと食べ物を飲み込むと痛い、だるいなどで食欲がなくなります。ただ、免疫力も低くなりやすいので、食事での栄養補給や飲み物から水分補給をすることは重要です。
まずは柔らかく、しっかりと栄養がとれ、消化にもよいものを選びましょう。
「喉によい」ことでよく名前があがるのはハチミツです。実際に殺菌作用もあり、唾液の分泌を促進することで喉を潤します。また、マヌカハニーなどより高い殺菌作用で知られるハチミツもあります。喉の炎症に効果があると考えられていますが、医学的な研究はまだまだこれからです。ハチミツであれば、お湯などで割って飲み物として飲むこともできます。ただし、ボツリヌス菌へ感染する可能性があるため、あまり年齢の低い子どもに与えてはいけません。厚生労働省では1歳未満の乳児にはハチミツを与えないように注意喚起をおこなっています。
飲み込むのが痛くて気になる間は、ゼリーや豆腐などの柔らかいものや、ネギなどの野菜をよく煮るなど工夫しましょう。
飲み物は栄養価の高いものを摂取しましょう。またコーヒーやお酒など、喉の粘膜に刺激をあたえるものはさけましょう。
いつまでも食べづらい、飲み込みづらいような状況が続くようであれば病院へ行き、相談してください。
生活のなかで喉を大切にする
日頃から喉を大切にすることは病気を減らすことにもつながります。
たくさん話をしたり、歌をうたったりした後は喉を休ませましょう。辛いものやアルコールなどの刺激の強い食事は控えます。刺激の強い食品は普段もほどほどに楽しむのがよいでしょう。
喉が乾燥しやすい場合は加湿器をつかったり、マスクをしたりして工夫しましょう。
睡眠時に口呼吸になっている場合は、喉への負担だけでなく、睡眠時無呼吸症候群のリスクもあがります。もし、鼻炎などが続いているのであれば、耳鼻いんこう科で治療することで改善する可能性もあります。また、喉だけでなく睡眠の質が高くなることで、抵抗力があがり、感染しにくさにも影響します。
参考・出典サイト
執筆・監修ドクター
経歴2009年に日本大学医学部を卒業。初期研修課程終了後、東京医科歯科大学耳鼻咽喉科へ入局。東京医科歯科大学付属病院や土浦協同病院などの市中病院で研鑽を積み、カリフォルニア大学サンディエゴ校へ留学。
2016年7月より医療法人社団則由会AGAヘアクリニックを院長として開院すると同時に水島耳鼻咽喉科副院長に就任。
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