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いえん胃炎

いかたる胃カタル
更新日:2022/08/16 公開日:2019/02/04 view数:20,932

胃炎(いえん)とは、胃におこる炎症の総称です。暴飲暴食、ストレス、医薬品の副作用など、さまざまな理由で発症します。
胃炎にはたくさんの分類がありますが、胃痛、みぞおち付近の痛み、胸やけ、吐き気などが主な症状です。大きな分類としては急激に症状があらわれた場合を急性胃炎、長期的に持続する場合を慢性胃炎とよんでいます。また、慢性胃炎のなかにはピロリ菌を原因とする萎縮性胃炎があり、胃がんの原因になる可能性があるので注意が必要です。

胃の症状だけでなく発熱があるような場合、ノロウイルスなどによる感染性胃腸炎の疑いがあります。こうした全身におこる症状がある場合は「単なる胃炎ではなく、感染性の胃腸炎ではないか」ということも考慮し早急に医療機関を受診しましょう。

胃の粘膜は、熱いもの、冷たいもの、すっぱいもの、辛いものなどの食事として入ってくる刺激に対して強い抵抗力を持っています。しかし、ある限界を超えると炎症をおこし、胃炎となります。胃は、心臓のように24時間活動しているわけではないものの、肝臓や膵臓(すいぞう)などと違って私たちが直接存在を感じることができる臓器です。また、大きな悲しみや悩みに対して「胃の痛む思いをした」という言い方があります。胃はストレスにも敏感で、感情の影響を受けやすいデリケートな臓器です。

炎症がすすんでしまうと胃のもつ修復力も低下してしまうので、潰瘍などができる前に医療機関で受診、診断、治療をすることが推奨されます。


目次
  1. 胃炎の症状
  2. 胃炎の診療科目・検査方法
  3. 胃炎の原因
  4. 胃炎の予防・治療方法・治療期間
  5. 胃炎の治療経過(合併症・後遺症)
  6. 胃炎になりやすい年齢や性別

胃炎の症状

胃炎の症状は急性胃炎と慢性胃炎で違いがあります。

急性胃炎

みぞおち付近の痛み、胃が膨らむような不快感、むかつき、嘔吐(おうと)、吐血、下血などが急激におこります。

慢性胃炎

空腹時や夜間の胸やけ、食欲不振、食後のむかつき、胃のもたれなどです。いずれも慢性胃炎に特有なものではなく、胃潰瘍や胃がんでも同様の症状がみられます。しかし、症状が全くみられないこともあります。
胃粘膜が萎縮して胃壁が薄くなり、内視鏡で血管が透けて見えるのが萎縮性胃炎です。胃粘膜の炎症と修復が何度も繰り返されると、胃の運動機能も低下する場合があります。

胃炎でおこる主な症状を解説します。

心窩部痛(しんかぶつう)

心窩部痛はみぞおち付近の痛みを指します。
一般的に食後にキリキリとした痛みがありますが、食事の摂取とは関係なくおこることもあります。

腹部膨満感や不快感

胃腸の動きが弱まり、胃内にガスが充満することにより不快感が出てきます。また、吐き気や嘔吐の症状は胃液が溜まることによってムカムカ感が生じます。げっぷが出ると楽になることがあります。

間欠的嘔吐

一定量や時間で、胃液が充満することによって嘔吐を繰り返しおこすことを間欠的嘔吐といいます。
また、嘔吐に伴う吐血や下血は急性胃粘膜病変という急性の胃炎によっておこります。
粘膜から出血し、吐血や下血がみられます。

胃炎の診療科目・検査方法

慢性胃炎では特有な症状というものはないのですが、胃の不快感や胃痛の影には胃潰瘍や胃がんのような恐ろしい病気が隠れている可能性もあります。「消化器内科」「内科」などを受診します。

問診で「胃炎の症状があらわれるまでの食事内容、食事の習慣(時間や回数)」「どのような薬を服用しているか」「ストレスの有無」「胃炎の家族歴」などを確認します。そして腹部の触診、聴診で診断し、薬物治療を開始します。
確定診断をするには、内視鏡検査をおこないます。とくに慢性胃炎の原因になるピロリ菌への感染の診断には主に尿素呼気検査、または血液、便、胃内視鏡による胃粘膜の生検などを実施します。

胃炎の原因

感染性胃炎の場合は、細菌や寄生虫などが原因です。
また感染性胃炎の代表例はヘリコバクター・ピロリ感染症です。
感染以外の原因には、過度の飲酒、ストレス、非ステロイド系消炎鎮痛剤などの医薬品の副作用、化学的毒物、ストレスなどがあります。

急性胃炎

アルコール飲料の飲みすぎなどの暴飲暴食、非ステロイド系消炎鎮痛薬などの医薬品、化学的毒物、ストレスなどがあります。

慢性胃炎

現在、慢性胃炎の多くは、ヘリコバクター・ピロリ菌の感染が関係していると考えられています。胃には胃酸という強力な消化液があるため、無菌状態と思われていました。しかし、オーストラリアの2人の研究者が1982年、胃にヘリコバクター・ピロリという細菌を発見しました。2人はこの細菌が胃炎や消化性潰瘍の発生に関係することを発表し、2005年度のノーベル生理学・医学賞を受賞しています。
ヘリコバクター・ピロリ菌は胃炎や胃潰瘍だけでなく、胃がんの発生にも関係していると考えられています。現在、ピロリ菌未感染であれば胃がんが発生することは極めて少ないことは明らかになっています。

胃を守る殺菌の働きをする胃酸

食物の消化には、胃壁(いへき)から分泌される胃酸が大きな役割を果たしています。とても強い酸性である胃酸は、食物とともに入ってきた細菌や微生物などを死滅させる殺菌の働きもしています。

胃の防御を担う粘膜

粘液は、胃壁(いへき)の一番内側にある胃粘膜をおおって胃酸が直接胃壁に触れないように守っています。また、胃粘膜には少しくらいの傷は自己修復する力がありますが、傷が大きくなるとその修復力だけでは間に合わなくなり、炎症が進みます。胃炎の初期は、胃粘膜の表面がただれているびらんという状態です。胃炎が進行すると胃粘膜の修復力が低下して、粘液での防御が不十分になります。胃酸が直接胃壁に触れると、胃粘膜を消化して胃潰瘍(いかいよう)になります。

胃炎の予防・治療方法・治療期間

急性胃炎の治療では、原因の除去が重要となります。ストレスや薬物など原因がはっきりしている場合、原因を取り除くだけで治ってしまうこともあります。吐き気や嘔吐がひどい場合は、絶食して点滴による栄養補給をおこない、胃酸分泌抑制薬、胃粘膜保護薬などで治療します。胃粘膜に出血がある場合は止血剤を用いますが、適切な治療により比較的早く治る場合がほとんどです。

慢性胃炎では胃酸の分泌を抑制する薬での治療が中心となりますが、胃粘膜保護薬や胃の運動機能改善薬を併用することもあります。ヘリコバクター・ピロリ菌に感染している慢性胃炎であれば、除菌します。

治療期間は胃炎の原因や病気の状態・病態・程度によりさまざまです。

薬物療法で使う主な薬

薬物療法では、急性、慢性にかかわらず胃酸分泌抑制薬、胃粘膜保護薬、胃の運動機能改善薬が使われます。

胃酸分泌抑制薬

胃酸の分泌を抑える薬です。シメチジンやファモチジンなどのヒスタミンH2受容体拮抗薬、ランソプラゾール、オメプラゾールなどのプロトンポンプ阻害薬などがあります。

胃粘膜保護薬

胃粘膜を保護して、胃粘膜の防御力や修復力を高める薬です。ショ糖硫酸エステルアルミニウム塩塩、レバミピドなどが使われます。

運動機能改善薬

胃の運動機能を促進する薬です。塩化カルプロニウムなどの副交感神経刺激薬、メトクロプラミドなどのドパミン受容体拮抗薬などがあります。

生活習慣の改善

過労やストレスを避けて安静にすることも重要です。
コーヒー、濃い緑茶や紅茶、強い香辛料などの刺激物など胃酸の分泌を促すような食事や焼肉など脂質の多い食事は控え、規則正しい食生活を心がけます。

胃炎の治療経過(合併症・後遺症)

胃炎は治療をおこなえば基本的には、徐々に軽快に向かいます。

ただし、原因によっては長期化する可能性もあります。
たとえばストレス性胃炎は、ストレス要因が存在する限り、再発、慢性化の恐れがあります。
ヘリコバクター・ピロリ感染症の場合、ピロリ菌を除菌することで軽快します。

胃炎になりやすい年齢や性別

胃炎全体の罹患者数をまとめたデータは存在しません。
「胃炎」という言葉は、「急性胃炎」「慢性胃炎」「機能性ディスペプシア」などを併せた意味をもっています。
統計結果が確認できる「ヘリコバクター・ピロリの感染者数」は日本国内に約6,000万人とされています。
ヘリコバクター・ピロリは「慢性胃炎(萎縮性胃炎)」「胃潰瘍」「胃がん」などの原因として知られています。

急性胃炎や慢性胃炎の場合、年齢差や男女差はとくにありません。
機能性ディスペプシアはやや女性に多いとされますが、日本国内ではエビデンスが不十分です。

執筆・監修ドクター

川本 徹
川本 徹 医師 みなと芝クリニック 院長 担当科目 内科/皮膚科/胃腸内科/外科/整形外科/消化器内科/肛門外科

経歴1987年 筑波大学医学専門学群卒業
1989年 筑波大学大学院
1993年 筑波大学大学院医学研究科修了
1996年 筑波大学臨床医学系外科(消化器)講師
2003年 米国テキサス大学MDアンダーソン癌センター客員講師
2008年 東京女子医科大学消化器病センター外科非常勤講師
2010年 5月より、みなと芝クリニック 院長
2013年 東邦大学医学部医学科 客員講師

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