アレルギー疾患

アレルギー疾患にはどのような病気がありますか?原因になるものはどのくらいあるのでしょうか?

【監修】板東 浩 先生(医学博士、内科医)

 

アレルギー疾患は、身体のなかに異物(アレルゲン)が入ることで起こります。免疫システムが「病原体ではない異物」を攻撃対象とすることで炎症が起こります。

一般的なアレルゲンには、ハウスダスト、花粉、薬物、食物などが存在します。ハウスダストによるアレルギー性鼻炎、花粉による花粉症、食物による食物アレルギーなどが広く知られています。

アレルギー疾患では、皮膚症状、呼吸器症状、消化器症状など幅広い症状をきたします。同時に複数のアレルギー症状が出ることをアナフィラキシーといいます。もっとも効果的な予防法はアレルゲンを特定し、接触・摂取を避けることです。

アレルギーとは

身体にとっての異物(抗原あるいはアレルゲン)が体内に入ってきた時、これに対抗する物質(IgE抗体)を作って排除・防御するしくみが身体にはあります(抗原抗体反応)。抗原に対して適切な防御であれば問題ないものの、抗体が体内で増えすぎて本来の防御から逸脱してしまった過剰反応がアレルギーです。

この抗原抗体反応が、鼻の粘膜で起これば「アレルギー性鼻炎」、気管支で起これば「喘息」、腸壁で起これば「食物アレルギー」となります。例えばアレルギー性鼻炎なら、くしゃみや鼻みずなどによって抗原を排除しようとします。

アレルギーには下記の4つの型がありますが、一般的に知られている「アレルギー」とは、主にⅠ型を指しています。

同義語抗原皮膚反応代表疾患
Ⅰ型

即時型

アナフィラキシー型

●外来性抗原
ハウスダスト、ダニ、
花粉、真菌、TDI、
TMA(ハプテン)、
薬剤(ハプテン)
即時型
15~20
分で最大の発赤と膨疹
アナフィラキシーショック
アレルギー性鼻炎
結膜炎
気管支喘息
蕁麻疹
アトピー性皮膚炎
花粉症
食物アレルギー
Ⅱ型細胞障害型
細胞融解型
●外来性抗原(ハプ
テン)
ペニシリンなどの薬剤●自己抗原
細胞膜・基底膜抗原
 不適合輸血による溶血性貧血
自己免疫性溶血性貧血
特発性血小板減少性紫斑病
薬剤性溶血性貧血・顆粒球
減少症・血小板減少症
Goodpasture症候群
薬剤アレルギー
Ⅲ型免疫複合体型
アルサス型
●外来性抗原
細菌、薬剤、異種蛋白
●自己抗原
変性IgG、DNA
遅発型
3~8時
間で最大の紅斑と浮腫
血清病
糸球体腎炎
過敏性肺炎
慢性関節リウマチ
全身性エリテマトーデス
薬剤アレルギー
アレルギー性気管支炎
Ⅳ型遅延型
細胞性免疫
ツベルクリン型
●外来性抗原細菌
真菌
●自己抗原
遅発型
24~72
時間で最大の紅斑と硬結
接触性皮膚炎
アレルギー性脳炎
アトピー性皮膚炎
過敏性肺炎
移植拒絶反応
結核性空洞
類上皮細胞
性肉芽腫
薬剤アレルギー

【参考】厚生労働省:アレルギー総論

 

上記の通りアレルギーとは身体の反応を表し、また特定のものに対する反応を指します。アトピーとはアレルギーの一種で、Ⅰ型のアレルギー反応によって起こる疾患のことです。そのため、よく耳にするアトピー性皮膚炎や食物アレルギー、喘息も含めて、「アトピー」と総称することがあります。

「アトピー」という言葉の語源はギリシア語に由来しており、「否定型の」「奇妙な」という意味です。まだアレルギーについてよくわかっていなかった時代では、アレルギーと言えばアナフィラキシーショックのことを指していました。アトピー性皮膚炎、アトピー性鼻炎、花粉症、喘息などは、当時はまだアレルギーであると認識されておらず、「アトピー」と言われることもありました。

アレルギーとは

アレルギーを引き起こす抗原(アレルゲン)とは?

アレルゲンとなるもの

アレルゲンはいくつかの経路から体内に取り込まれます。アレルゲンを排除しようと免疫機能が過剰にはたらくことで、炎症が起こるのがアレルギー反応です。

たとえば食物性アレルゲンの場合、抗原抗体反応を起こすものは、比較的大きな分子のタンパク質です。タンパク質は消化の過程でアミノ酸に分解・吸収されるため、通常は何も起こりません。しかし、体調不良などにより消化機能が衰えている場合や、子供だと消化吸収機能が未発達の場合があり、タンパク質が大きな分子のまま腸に到達してしまうため、抗原抗体反応を起こします。

花粉症であれば、鼻や目、のどなどの粘膜にアレルゲンとなるスギなどの花粉がつくことでおこります。免疫機能が花粉を異物の侵入と判断し、排除しようと、鼻水や涙を過剰に分泌することでおこります。

抗原(アレルゲン)には主に下記のようなものがあげられます。

吸引性アレルゲン室内ほこり、カビ、ダニ、畳、ソバガラ、ペットの毛、衣服、寝具(綿、絹、羊毛、羽毛)
建材に使用されている化学部質(ホルムアルデヒド、VOCなど)
花粉ブタクサ、カナムグラ、スギ、アカマツ、ススキ、ヒメガマ
カビアルテルナリア、ペニシリウム、カンジダ、クラドシポリウム、アスペルギルス
食物性アレルゲン卵、乳、小麦、そば、落花生、えび、かに、大豆、いか、いくら、鮭、さば、牛肉、鶏肉、豚肉、くるみ、やまいも、オレンジ、キウイフルーツ、もも、りんご、バナナ、ゼラチン、あわび、まつたけ
薬物性アレルゲン鎮痛剤、解熱剤、抗生物質、ホルモン剤、ペニシリン、サルファイト、タートラジン色素
接触性アレルゲン化粧品、塗料、衣服、金属、うるし、ラテックス(ゴム)、寝具類、ヨード、洗剤

【参考】アトピー・アレルギー克服応援ブック

アレルギーを予防するには

日常生活での注意点

アレルギーを緩和するには、アレルゲンを遠ざけることが大切です。アレルギー性鼻炎にしてもアトピー性皮膚炎にしても喘息にしても同様です。

通年性アレルギー性鼻炎の場合は毎日掃除をする、畳ではなくフローリングにする、布団ではなくベッドにする、布製のソファーをやめる、布団やぬいぐるみは毎日ていねいに掃除機をかける、空気清浄機を使用するなどでハウスダストやダニを減らすことができます。
また、犬や猫などのペットは飼わないようにしたり、こまめに布団を干したりすることにも気をつけましょう。

季節性アレルギー性鼻炎の場合は、花粉を避けることが大切です。
外出時にはマスクや眼鏡をつける、洗濯物や布団を干した後は、花粉を丹念に払い落とすようにしましょう。

また、食物アレルギーがある場合は加工食品についてもアレルゲンが含まれていないかを確認しましょう。

医師とのつきあい方

アレルギー疾患には長期間に及ぶ治療が必要です。受診し続けるためには金銭的な負担だけではなく、医療機関に通い続ける時間や継続性も必要です。

大学病院や専門外来で詳しく検査を受けたり、最先端の治療を受けることも重要なことですが、日常的に医師に相談できる環境も重要です。円滑にコミュニケーションがとれて診察の経過も把握できる医師との関係も大切にしましょう。
小児科や皮膚科の医師はアレルギーを専門としているわけではないものの、適切な医療機関の紹介を受けることができるかもしれません。

アレルギーの検査方法とは

アレルギーの検査方法は何種類もありますが、大きく分けると下記の3つの方法があります。これらは患者さんの年齢や症状、体調、タイミングなどを医師と相談しながら検査を進めていきます。

① 血液検査
血液検査は主に血中の抗体量を調べるためにおこないます。アレルギー性鼻炎や蕁麻疹(じんましん)、ぜんそくなどの特定は可能なものの、接触性皮膚炎などⅣ型の判断には向いていない検査方法です。

② 皮膚テスト
皮膚テストは主にⅠ型のアレルギー検査が目的ですが、その反応からⅣ型のアレルギーであることがわかる場合もあります。実際の検査ではスクラッチテストや皮内テスト(注射)、パッチテストなどをおこないます。

③ 誘発テスト
誘発テストは、アレルギーの症状をより詳しく調べるなどの目的で、少量のアレルゲンを接種します。検査内容は経口負荷試験、吸入誘発テストなどがこれに該当します。症状をおこして診断するので、必ず医療機関でおこないます。

一緒に調べられている病気

食物アレルギー

アナフィラキシー

アトピー性皮膚炎

気管支喘息

じんましん

アレルギー性鼻炎

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病気スコープ編集部
2017年10月24日

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