食中毒

食中毒の予防は、具体的にどのようなことをすればよいですか?

【監修】板東 浩 先生(医学博士、内科医)
 

一般的に「食中毒」といった場合、「食物と同時に病原体・有毒物質を摂取して、胃腸症状などの体調不良をきたすこと」を指します。病原体には「細菌」「寄生虫」「ウイルス」などがあり、有毒物質には「細菌が産生する毒素」「自然毒」「化学物質」などがあります。胃腸症状が中心の場合、食中毒もまた感染性胃腸炎急性胃腸炎の一種です。

基本的には、夏場に細菌性食中毒、冬場にウイルス性食中毒が流行します。5月くらいから細菌性の食中毒が増えて9~10月にかけて激減し、11月にはウイルス性の食中毒が増えはじめて3月あたりまで続くのが毎年のパターンです。ただ、近年は暖房器具の普及から「季節外れの細菌性食中毒」も出ていますし、衛生環境の発達による危機意識低下で「寄生虫による食中毒」が再び増えてきています。

食中毒は、食事に由来する体調不良

食中毒は、「食事が原因の体調不良」を指しています。
食べ物自体はもちろん、食品添加物、調理器具、容器、包装などが原因の場合も含みます。

また、「食事に由来する体調不良」という条件を満たしているなら、胃腸症状ではなくても食中毒です。
「食品衛生法―第58条」では「食品、添加物、器具もしくは容器包装に起因して中毒した人(または、その疑いがある人)」を「食中毒患者等」と呼んでいます。
食中毒患者は胃腸症状に限定されません。

【引用】食品衛生法 第五十八条 

食中毒は、食事に由来する体調不良

食中毒の種類

食中毒の原因物質には、さまざまな種類が存在します。
原因別に分類した場合、次の5種類に大別することができます。

細菌性食中毒

食品に付着していた細菌が原因の食中毒は、細菌性食中毒に分類されます。
食中毒を引き起こす細菌の多くは、20℃以上で増殖が速くなり、35~40℃でもっとも活発に増殖します。
そのため、細菌性食中毒が多発するのは主に夏場です。

厚生労働省が発表した「病因物質別患者数発生状況(2015年)」によれば、食中毒と診断された患者さんの26.5%が細菌性食中毒でした。
具体的な原因菌ごとの内訳は、次のとおりです。

カンピロバクター 9.2%
サルモネラ属 8.4%
ブドウ球菌 2.7%
ウェルシュ菌 2.4%
病原性大腸菌(※1) 1.6%
腸炎ビブリオ 1.0%
腸管出血性大腸菌(※2) 0.7%
セレウス菌 0.4%
そのほかの細菌 0.1%

※1:本来、病原性大腸菌には腸管出血性大腸菌を含めますが、上の表内の「病原性大腸菌」は、食中毒の原因となる大腸菌から、「腸管出血性大腸菌」を除いたものです。
症状の程度に大きな差があることから、便宜的に区別しています。

※2:「腸管出血性大腸菌」は、ベロ毒素と呼ばれる毒素を産生する大腸菌です。
代表的な腸管出血性大腸菌は「O-157」です。

【参考】平成27年食中毒発生状況概要版

ウイルス性食中毒

食品に付着していた病原体がウイルスであれば、ウイルス性食中毒に分類されます。ウイルスが安定的に存在できる条件は、低温・乾燥です。
そのため、ウイルス性の食中毒は冬場に流行する傾向があります。

厚生労働省の「病因物質別患者数発生状況(2015年)」によると、食中毒と診断された患者さんのうち、66.6%がウイルス性食中毒でした。ウイルス性食中毒のうち、65.5%がノロウイルスによる食中毒でしたので、「ウイルス性食中毒は、ほとんどがノロウイルスによるもの」と捉えることができます。

【参考】平成27年食中毒発生状況概要版

自然毒食中毒

自然毒食中毒は、自然に存在する毒物が原因の食中毒です。

代表的なのは「毒キノコの誤食による食中毒」「フグの不適切調理による食中毒」です。
自然毒には植物由来と動物由来があり、毒キノコなら植物由来、フグ毒なら動物由来に分類されます。

厚生労働省の統計―「病因物質別患者数発生状況(2015年)」を参照すると、食中毒と診断された患者さんのうち、自然毒食中毒は1.1%でした。
植物性自然毒が0.8%、動物性自然毒が0.3%という内訳になっています。

【参考】平成27年食中毒発生状況概要版

化学性食中毒

化学性食中毒は、化学物質を摂取したことが原因の食中毒です。
「家庭菜園の野菜に多量の農薬が付着していた」「食器に多量の洗剤が残留していた」などの理由で体調を崩せば、化学性食中毒と扱われます。

ただし、化学性食中毒に分類されるには、「誤食」が絶対条件です。
「本人」「調理した人物」などの過失で、間違って化学物質を食べた場合に化学性食中毒となります。
「自殺のために自分から摂取した場合」「殺人・傷害を目的として故意に混入した場合」は、食中毒に分類されることはありません。

厚生労働省の調べによると、2015年に食中毒と診断された患者さんの1.8%が化学性食中毒によるものでした。

【参考】平成27年食中毒発生状況概要版

寄生虫食中毒

寄生虫に感染したことによる食中毒は、寄生虫食中毒に分類されます。
衛生面の向上で激減しましたが、近年、再び増加の傾向を見せています。
増加の要因としては、次の2つがあげられます。

・衛生的な環境で育った現代人は、食中毒への警戒心が低下している
・生食用魚介類を冷凍せず、生のまま流通させることが増えた

厚生労働省の調査によれば、2015年に食中毒と診断された患者さんの1.3%が寄生虫食中毒でした。
具体的な寄生虫の内訳は、クドアが0.7%、アニサキスが0.6%となっています。そのほかの寄生虫による食中毒はほとんど見られませんでした。

【参考】平成27年食中毒発生状況概要版

一緒に調べられている病名

急性胃腸炎

感染性胃腸炎

板東浩先生
 【監修医】医学博士 / 内科医: 板東浩 先生
 1957年生まれ。
 1981年 徳島大学を卒業。
 ECFMG資格を得て、米国でfamily medicineを臨床研修。
 抗加齢医学、糖質制限、プライマリ・ケア、統合医療などの研究を行う。
 
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病気スコープ編集部
2017年10月24日

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