【2022年】インフルエンザ予防接種を今年も打つべき?流行する?新型コロナウイルスワクチンとの接種間隔や値段は?

今年もそろそろインフルエンザの流行シーズンが到来します。
コロナ禍初の昨シーズンは、幸いにもインフルエンザは流行せず、心配されていた「同時流行」(いわゆるツインデミック)もみられませんでした。
これは、新型コロナ対策で、手指消毒やマスクの着用、三密の回避や、人の移動を制限するなどの感染対策がインフルエンザにも有効だったと考えられています。
では、今シーズンはどうでしょうか。
今年に入ってから、新型コロナのワクチン接種が進んできている分、気の緩みから感染予防対策が疎かになってしまう可能性があります。
昨シーズンは、2歳までの子供が感染しやすいRSウイルス感染症や、インフルエンザが流行しませんでした。
しかし 今年の夏は、RSウイルス感染症に感染した子供が急増し、例年よりもずれた時期に流行しました。
これは、昨シーズンに、RSウイルス感染症にかかる子供が少なかったため、免疫を持っていない子供達に、一気に感染したと言われています。
インフルエンザも免疫を持たない人が増えているので、集団免疫が下がってきていることが考えられます。そのため、今シーズンはインフルエンザの流行が懸念されています。
今シーズンも昨シーズンと同様に、インフルエンザへの感染や、かかってしまった時の重症化を予防するため、予防接種をすることが重要です。
今回は、インフルエンザ対策で気をつけたいこと、新型コロナウイルスとの違い、インフルエンザの予防接種は受けるべきかなどについて解説します。
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- 目次
今冬も昨年同様にインフルエンザ予防接種が重要
「予防接種を受けたのにインフルエンザに感染したことがある。」という方もいるかもしれません。
インフルエンザワクチンは感染を全て抑制できませんが、発病を抑えることはできます。特に役割を発揮するのは「重症化の予防」とされています。
厚生労働省によれば、「65歳以上の高齢者福祉施設に入所している高齢者の45%の発病を阻止し、80%程度の死亡を阻止した」という研究結果もあるようです。
特に高齢者の場合は肺炎などの合併症を引きおこしやすく、死亡する確率も比較的高いとされています。
また若く健康な方であっても、「インフルエンザ脳症」という合併症を引きおこす可能性もあります。
インフルエンザ脳症になると、最悪の場合死に至ることもあるため、若いからと油断してはいけません。
手洗い・うがいでも感染対策
昨シーズンは、インフルエンザの患者数が例年よりかなり減少しました。
これは国内で新型コロナウイルスが流行したことで、手洗いやうがい、消毒といった対策がしっかりと行われていたためだといわれています。
手洗いやうがいなどで予防ができたといって、予防接種を受けなくていいというわけではありません。
今冬も昨年同様に、感染対策として予防接種と手洗い・うがいをしっかりと行うことが大切です。
接種時期や値段、接種可能な医療機関は?
「いつからワクチンが受けられるの?」「ワクチン接種の値段が知りたい」「インフルエンザのワクチンを受けたいけれど、どこで予約してどこで受けられるのかわからない」などで悩んでいる人はいませんか?
ここでは、ワクチンの摂取時期や費用、接種可能な医療機関をご紹介します。
ワクチンの接種時期は10月から。終了は医院により異なる
ほとんどの場合、毎年10月1日から接種が開始されます。
医療機関によっては、予約を開始する時期が10月1日ではなく、中旬以降というところもあるようです。
そのため、インフルエンザの予防接種を予約する時は、事前に予約開始日を確認しておきましょう。
また、終了時期については、医療機関によってかなりばらつきがあります。ワクチンの在庫が終了するまで受け付けているため、2月頃まで行っている医療機関もあれば、12月中に終了するところもあります。
しかし今シーズンの場合は、例年と少し違う状況になっています。
厚生労働省の発表によると、今シーズンのインフルエンザワクチンの供給量に関しては、昨シーズンに比べると少ないようです。しかし、例年と同量程度は供給されるとの見込みです。
また、今年はワクチン製造に必要な材料の入手が遅れているため、出荷も昨シーズンに比べると遅れると言われています。
昨年は10月中旬の時点で、供給予定量全体の約9割が出荷されていましたが、今年は12月中旬あたりまで、順次ワクチンが入荷される予定とのことです。
そのため、例年よりも、遅い時期まで予防接種が受けられる可能性がありますが、一度に供給される量が少ないので、予約が取りにくい状況になる可能性も考えられます。
インフルエンザワクチンの接種は1~2回
インフルエンザワクチンの接種回数は、基本的に13歳以上の場合は1回です。
ただし、体質などによって、医師が必要と判断した場合は2回接種する場合もあります。
また13歳未満の場合は2回接種します。この場合、接種間隔は免疫力の働きを高めるため2~4週間の間隔を空ける必要があります。
2回接種を受ける場合は、1回目接種を受けた後に2回目のスケジュールを医師に確認しておくとよいでしょう。
新型コロナワクチン接種後のインフルエンザワクチン接種
厚生労働省のQ&Aによると、原則として新型コロナワクチンとそれ以外のワクチンの同時接種はできません。
インフルエンザの予防接種は、新型コロナワクチンを接種してから2週間以上空けてから接種しましょう。
インフルエンザ予防接種の費用は?
予防接種の費用は1回あたりおよそ3,000~5,000円です。
会社の健康保険や、65歳以上の高齢者であれば行政から補助がおりることがあります。
どこで接種できる?
基本的には内科や小児科で接種することができますが、耳鼻いんこう科や整形外科などでも接種することができる場合もあるようです。
接種を検討されている方は、次に紹介するリストから医療機関を探してみましょう。
予防接種を行っている医療機関(地域別)
インフルエンザと新型コロナの症状の違い
インフルエンザと新型コロナウイルスの症状は非常に似ています。
熱や倦怠感、咳が出るなどの症状は、新型コロナウイルスでも、インフルエンザでもあらわれるため、見分けがつきにくいです。
「体調が悪いけれど、インフルエンザなのか、新型コロナウイルスなのか気になる」という場合は、以下の表を参考にしてみてください。
また、体調に少しでも不安な点がある場合は、できるだけ早めに医療機関を受診するようにしましょう。
インフルエンザと新型コロナウイルスの違い
インフルエンザ | 新型コロナウイルス | |
感染経路 | 接触・飛沫・空気 | 接触・飛沫・空気 |
潜伏期間 | 1~3日間程度 | 1日~3週間程度 |
流行する時期 | 冬季 | 1年を通して |
症状の進行 | 急激 | 緩やか 急に悪化する可能性あり |
症状 | ・38度以上の高熱 ・関節痛、筋肉痛、頭痛 ・全身の倦怠感 など、全身症状 |
・37度5分以上の発熱が4日以上続く ・咳 ・息切れ ・頭痛、倦怠感、だるさ ・人によって味覚、嗅覚異常 ・肺炎(悪化した場合) ・無症状の場合もある |
治療方法 | ・対症療法 ・抗インフルエンザ薬を使用 |
・対症療法が中心 ・抗コロナ治療薬を医療機関にて使用※ ・重症化した場合は集中治療、人工呼吸器を使用 |
治るまでの期間 | 1週間程度 | 2~3週間程度 |
※酸素投与を必要としない軽症等で、肥満や糖尿病など、重症化リスクのある方で医師が必要と判断した場合に限ります。
予防接種以外の感染対策
予防接種だけではなく、以下の点に気をつけることでさらに予防する働きが高まります。
- 手洗い・うがいを徹底する
- 人混みを避ける
- 人が多いところへやむを得ず行く場合はマスクを着用する
- 適度な休息と栄養補給
- 湿度を適度に保つ
インフルエンザの感染経路は、くしゃみなどの飛沫を吸い込むことにより感染する「飛沫感染」と、手に付いたウイルスが鼻などの粘膜に触れて感染する「接触感染」です。
同様の感染経路を持つ新型コロナウイルスの対策でも、厚生労働省が「新しい生活様式」として、「手洗いうがいの徹底」「人混みを避ける」「マスクを着用する」などを推奨しています。
そのため、インフルエンザ対策をすることで新型コロナウイルスの対策にもなります。
2022年もインフルエンザワクチン接種で感染予防
新型コロナウイルスの感染者数が減少傾向にあり、ワクチン接種も進んでいます。
しかし、冬になると乾燥により免疫力も落ちやすくなるため、新型コロナウイルスの感染者数が増える可能性があります。
そこにインフルエンザの感染が広がることで、新型コロナウイルスとインフルエンザの「ツインデミック」が起こるのではとも言われています。
徐々に日常生活や社会生活、経済活動の制限が全国的に緩和されてきていますが、感染予防対策を引き続きしっかり行いましょう。
インフルエンザも新型コロナウイルスも、予防接種である程度予防することができるようになりました。
しかし、免疫力の低い高齢者や妊婦さん、子供など、インフルエンザにかかったら重症化リスクの高い方々がいます。
そうした方々を守るためにも、インフルエンザを流行させないようにすることが大切です。
新型コロナウイルスのワクチン摂取を優先する必要はありますが、インフルエンザの予防接種も意欲的に受けるようにしましょう。
医療機関によっては、予約受付が取りにくい状況になっている場合もあります。
そのため、インフルエンザ予防接種を希望する方は、医療機関のホームページなどで受付状況を確認するようにしましょう。
執筆・監修ドクター

経歴産業医科大学医学部 卒業
順天堂大学医学部公衆衛生学教室 研究員
McGill University Occupational Health 留学
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